地下鉄直通優等列車誕生へ 東武東上線 ダイヤ改正予測(2016年3月12日予定)

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東武鉄道は、2015年11月12日配布の2015年度第2四半期決算説明会資料( http://www.tobu.co.jp/file/pdf/5713524df6fc26ca5a8ecdbcc1be5bff/presentation.pdf )にて副都心直通の急行運転開始を16年春から行うとした。また着席整理券制列車「TJライナー」の夕方下り列車増便と朝上り列車の新設が盛り込まれている。東上線ではこれまでもかなり特徴的なダイヤ改正をしており、中でも昼間時急行毎時5本(正毎時12分間隔)、準急毎時3本(正毎時20分間隔)、普通毎時8本(6~9分間隔)だった時の2011年3月~2013年3月のダイヤは、私がダイヤ改正に興味を持つようになったきっかけであり、この時のすべての運行間隔がバラバラなのにまとまったものを組んでいた当時のダイヤをかなり高評価していた。今回はこれについてダイヤを予測していきたい。

1. なぜ副都心線に導入されるのか

まず現在のダイヤをおさらいしよう。地下鉄直通列車は東上線内は普通列車として運行するため、たとえ副都心線の急行であっても全列車東武線内は各駅に停まるというのが現状のダイヤである。現在のダイヤでは平日朝7時10分~8時10分までに和光市に到着する地下鉄直通上り列車は合計9本で、始発駅内訳は森林公園4本、川越市4本、志木1本であり、有楽町線直通が5本、副都心線直通が4本である。昼間時間帯は有楽町線から毎時2本、副都心線内で急行として運行されている列車が毎時2本、川越市まで運行されている。平日夕ラッシュ時は和光市発19時~20時で見ていくと合計7本で、内訳は有楽町線からが5本、副都心線からが2本であり、行先は森林公園1本、川越市4本、志木2本であり、志木行きは副都心線からの直通列車、それ以外は有楽町線からの直通列車であった。

ここまで見ていくと、東武東上線への直通列車は副都心線より有楽町線の方が多いことがうかがえる。日中しか見ないと理解に苦しむ人がいると思われるが、鉄道会社は輸送量の増える夕ラッシュ時には、車両の固定資産税や維持費を少なくするため必要最小限の運行本数で運行するが、日中は運用に比較的「ゆとり」があるため、副都心線では運行本数を増やしているのである。要するに日中の運行本数では輸送量を反映しているとは言えないのである。だから当サイトでは「昼夕輸送力比」を算出しているし、事実平日夕ラッシュ時で見れば副都心線は合計毎時13本(8両と10両が混在)に対し、有楽町線は毎時14本(全列車10両)であり、有楽町線の方が夕ラッシュ時の輸送力が高く、需要も高いということが見て取れる。

つまり、輸送力の高さでは有楽町線が副都心線を上回っているが、優等列車の有無や東上線内での収入減のリスクの低い副都心線が選ばれたとみられる。

運行時間帯については次に考察していく。




2.1 平日朝ラッシュ時間帯

平日朝にはTJライナーが新たに運行されることが決まっている。このうち池袋9時11分着は、現在急行列車が運行されており、時刻変更なしに運行できない状態となっている。ただ前後には準急が運行されているため、この急行を副都心線直通に振り替えてふじみ野で準急に接続させれば、ある程度のTJライナー誘導につながるし地下鉄直通需要の利便性上昇につながるものと思われる。7時台にもTJライナーの設定があることから、こちらも何らかの形で急行を副都心線直通にする可能性がある(その場合は現行森林公園6時18分森林公園発準急が小川町始発になり、上りTJライナーに森林公園で接続する形になり、現行小川町5時55発の急行が森林公園始発に短縮されて副都心線直通になる可能性も考えられる)。よって、朝ラッシュ時に副都心線直通優等列車を設定するとしたら、最大2本であると思われる。

2.2 昼間時間帯

昼間時間帯の設定は容易に行えるものだと思える。現状の副都心線内急行運転の普通川越市行きを急行森林公園行きに格上げし、池袋始発の急行森林公園行きのうち毎時2本を準急川越市行きに格下げし、両者を和光市または志木で緩急接続させる。これで東上線池袋需要も対面乗り換えはあるものの著しく低下することもなく、かといって地下鉄からの利用者も従来通り急行通過駅を利用する際にも、対面乗り換えこそあるもののそこまで利便性は失われないものと思われる。昼間時間帯30分間の発車順予測は以下の通り。

快速小川町行き→普通成増行き→準急川越市行き→普通成増行き→急行小川町or森林公園行き→普通川越市行き➝準急川越市行き(和光市or志木で副都心線からくる急行森林公園行きに接続)➝普通成増行き→…




2.3 平日夕ラッシュ時間帯

現状副都心線直通列車が志木止まりがほとんどであることを考えると、この時間帯の地下鉄直通優等列車の運行は無いものとみていかもしれない。むしろこの時間帯にこそTJライナーの利用を促進してほしいと思われるものと思われる。東武東上線二区間定期券「二東流」は今どうなっているのだろうか…

TJライナーについては、すでに運行時刻が公表されている( 詳細はこちら )。これを見る限り、現行森林公園への最終列車は23時48分発の準急だが、これを機に料金さえ払えば24時ちょうどまで繰り下がることになる。また現行23時に出発する急行小川町行きも時刻変更によって2分ほど繰り下がるかもしれない。

ただし、TJライナーの増発は純増便ではないことにご注意願いたい。実はTJライナー運行開始前は夕ラッシュ時に急行毎時5本、準急毎時5本あったものが、急行は据え置かれたが準急は毎時4本に削減されている(おそらくこの時に普通も毎時10本→毎時9本に減らされている気もするが、証拠を示すものが何もないので言及しないことにする)。ただし2008年のTJライナー導入時に全列車10両編成化が達成されており、輸送力は必ずしも落ちているわけではないが、減便をしないと運用が増えることになる。つまり、今回のTJライナーの増発は準急の減便を意味するのではないだろうか?

3. 昼夕輸送力比

今回も昼夕輸送力比(適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を見ていくと池袋口では全体で80%であり、内訳は優等系列は72%、普通列車は89%である。

優等列車は昼間に快速から準急まであるため列車ごとに混雑のバラツキは見えるものの、適切な範囲内に収まっている。対して普通列車は8両編成時代からの流れで昼間の毎時8本をかたくなに維持しており、沿線人口が急に増えるはずもなく空席が目立っている。10両編成化された今、地域輸送性を考えても西武新宿線や京成本線と同様毎時6本にしても差し支えないのではなかろうか?


4. 結び

東武東上線は圏央道開通にもめげず、昼間時間帯における快速の増設など、遠方需要についてはかなり定着してきているようだが、近距離(都区内)区間はあまり芳しくないように感じられる。今回のダイヤ改正でどのようになるかが注目したいと思う。

コメント

  1. tc1151234 より:

    興味深いサイトと思います。また、「今世紀中に更新」とごまかしている弊ブログと異なり更新頻度が高く、完敗です。
    さて、東上線利用者であり、いわゆる「川越市以北」区間利用者でもある私から僭越ながらコメントさせていただきます。
    1. なぜ副都心線に導入されるのか?
    様々な理由が記されていますが、最も大きな要因は「副都心線は日中志向の利用がされていて、有楽町線はラッシュ志向の利用がなされている」という特性でしょう。簡単に言うと、平日の仕事は都心部で行い、休日の買い物等は副都心部(新宿、渋谷等)で行うという傾向があるのでしょう。
    2.1 平日朝ラッシュ
    上りは利用したことがないので、省略します(笑)。下りは混雑する急行、余裕のある準急という構図がありますので、準急森林公園を準急川越市に振り替えて、和光市でその準急に連絡する(地下鉄からの)急行森林公園とすると、混雑は平準化するでしょう。
    2.2 昼間時間帯
    快速++様の書いたダイヤ案の可能性がありますが、私は利便性向上を意図して以下のダイヤ案を提案します。
    (概要)和光市-川越市で急行を増発
    (詳細)池袋発着の準急とFライナーが和光市で相互接続し、Fライナーは川越市発着
    このダイヤとすれば、池袋断面で混雑が平準化(現在は準急が空いている傾向)できます。
    2.3 平日夕ラッシュ時
    やはり下りは利用したことがないので、省略します(笑)。
    上りの利用実態をまとめると、快速は急行と比較して空いていることはコメントします。快速通過駅の利用が多いのです。
    ここまで現状維持をベースとしたコメントをさせていただきましたが、東上線のダイヤ改正では何が起こるのか分からないので(13年3月ダイヤ改正で快速設定は想定外でした)、見ものです。

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