北陸新幹線ダイヤ改正予測(2016年3月予定)

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北陸新幹線は本年2015年3月14日に金沢まで延伸した路線で、長野~金沢間は開業時のダイヤで現在は運行している。そこで今回は開業1年後のダイヤについてみていく。

1. ダイヤ改正の可能性は?

JR西日本の記者会見では北陸新幹線の本数増に慎重だと日本経済新聞は伝えている( http://www.nikkei.com/article/DGXLZO94160000Y5A111C1LB0000/ )。

この記事から見る限り、今回の2016年3月ダイヤ改正で定期便の運行本数が増える見込みはほぼ0と言って過言ではない。ではなぜ今回ダイヤ予測をするのか。それは臨時列車の増発が十分予想されるからである。

新幹線において臨時便を考えることは非常に重要で、ダイヤ改正プレスに記載されることはあまりないが、ダイヤは臨時便のスジも含めて構成されている。臨時便を考えないという方には東海道新幹線の「のぞみ10本ダイヤ」が理解できないし、臨時便が無ければ7割の「のぞみ」があと3分所要時分を短縮できることも理解できないであろう。なぜなら日本の大動脈である東海道新幹線であっても定期「のぞみ」は概ね毎時4~6本であり、それ以外は臨時便である。そして臨時便を運行しない日にもそのスジを残しているからこそ定期「のぞみ」の所要時分が延びるのである。北陸新幹線を同様で金沢延伸時のダイヤ構成の時点で臨時便も想定していたからこそ、最大1日8往復の臨時「かがやき」を運行することが出来るのである。今回はこの臨時列車について見ていく。




2. そもそも臨時列車とは

運行される列車は、おもに「定期列車」と「臨時列車」に大別されるが、ここではこの2つでは定義がやや曖昧のため(理由は後述)次の4つに大別する。

まずは毎日運行する「毎日運転列車」、特定の曜日にのみ運行する「曜日運転列車」、臨時ではあるけれどもある程度の頻度で運行する「多頻度運転列車」、主に帰省シーズンのような時期にしか運行しない「僅少列車」である。なぜ先述の「定期列車」と「臨時列車」では定義がやや曖昧かというと、都市鉄道の場合平日ダイヤと土休日ダイヤに分けていることが多く、ラッシュ時のダイヤはほぼすべて「曜日運転列車」に該当するのだが、ダイヤを分けていることから定期列車として扱われる。しかし基本的に曜日でダイヤを分けない新幹線の場合は対応が分かれ、JTB時刻表およびJR時刻表の場合には定期列車として扱われるのだが、JR東海のWEB上および配布の東海道・山陽新幹線時刻表では臨時列車として扱われている。また毎日運転列車でも、様々な事情により毎日運転の臨時列車として運行される場合がある。新高岡停車の「かがやき」や2013年3月~2015年3月まで存在した東京21時10分発臨時「のぞみ」(現在は定期化)であり、後者は全定期「のぞみ」N700系運行という名目を守るために生まれた、700系運行(晩年はN700系運行)による毎日運転の臨時列車であった。そのためここでは明確に区分するために「毎日運転列車」と「曜日運転列車」に分けている。また臨時列車についても、先述の「曜日運転列車」の運転日に加え利用の高い時期の運転日を増やした「多頻度運転列車」と、帰省シーズンにしか運行しない「僅少列車」では使い勝手も変わってくるだろうし、運転日数の少ない後者は日頃の利用者にとってはほぼ認識されない列車である。そのためここでは4つに分けて考える。




3. 現状の北陸新幹線は?

現状北陸新幹線は、定期「かがやき」10往復、臨時「かがやき」8往復が運行されているが、臨時と称している列車のうち少なくとも1往復は「毎日運転列車」である。そして、残りの最大7往復は「多頻度運転列車」である。ここで注目していただきたいのが、現行では北陸新幹線には「僅少列車」の「かがやき」が運転されていないのである。この僅少列車は東北、上越はもちろんのこと、近年開業した山陽・九州新幹線「さくら」でも運行されているし、天下の東海道新幹線にも丸々2か月運行しない僅少「のぞみ」が存在する。それなのに北陸新幹線にはこの「僅少列車」が存在しないのである。だから今年の帰省シーズンでは指定席が取れない事象が大量に起こったのである。

ただ、北陸新幹線にも限界はある。そもそも運行する車両がなければ「僅少列車」であっても運行できないのである。次の章で増備状況について見ていく。




4. E7系 W7系の増備状況は?

E7系およびW7系は北陸新幹線の車両で、長野以北運行の列車はこの形式のみ使用される。JR東日本とJR西日本がそれぞれ車両を保有しているため形式は異なるが、同一性能の車両である。3月の開業時点ではE7系が17編成、W7系が10編成の合計27編成が用意されたが、今年度に入りそれぞれ1編成ずつ増備され今では29編成が在籍する。JR東日本長野支社掲載の北陸新幹線時刻表( http://www.jreast.co.jp/nagano/info/time_table2.html )によると、定期列車のE2系運用は本年12月24日で終了し、翌25日からは「あさま」含め全ての定期列車がE7系またはW7系による運行となる。その後多頻度運転列車の「あさま」としてE2系の運用は続くものの、利用者からしたらありがたいクリスマスプレゼントとなることだろう。
ただ、E7系やW7系が増えたということは、それだけ金沢まで運行できる列車が増えたということであるから、今回のダイヤ改正により僅少列車としての「かがやき」が増えるのではないだろうか?

5. それではなぜ定期列車の増発はなされないのか?

上の日本経済新聞の記事にあるように、毎日運転の臨時列車は定期列車に格上げした方が利用者は分かりやすくなる。しかしそれを阻む理由が2つ存在する。1つは2016年3月ダイヤ改正はこちらにあるように12日と26日に分かれる可能性が高い。JR西日本の在来線が東海道・山陽新幹線などに合わせて12日、JR東日本がらみの新幹線が26日だとするとその間の調整期間を設けなくてはならず、煩雑化してしまう。そのため、2016年ダイヤ改正では小規模に抑えようとしているのではなかろうか。あともう1つは、新高岡停車の「かがやき」を定期化すると沿線のパワーバランスが崩れる恐れがある。現在は臨時のため黙認されているようであるが、もし定期化してしまうと富山県内に2つの停車駅を持つことになり、長野、石川の両県から反感を買うことは必須で、全列車が高崎駅を通過することもあって群馬県も停車駅誘致に乗り出す動きを見せてくるかもしれない。係争を生み出さないためにも、毎日運転の臨時列車という措置は必要なのかもしれない。


6. 結び

北陸新幹線ブームは凄まじいもので、開業当初のダイヤから高崎で上越新幹線を追い抜くという芸当をしている。2016年は小規模なダイヤ改正にとどまるものと思われるが、今後のダイヤ改正に期待したい。

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