今年が20なら来年は50! 東海道新幹線ダイヤ改正予測(2017年3月25日予定)

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JRグループでは例年3月に一斉ダイヤ改正が行われる。今回は日本初の高速鉄道であり、パターンダイヤを堅持している東海道新幹線の2017年3月ダイヤ改正予測を立てる。

1. 続々導入されるN700A

JR東海とJR西日本では東海道・山陽新幹線の運行用のN700系を順次導入しており、2016年度はJR東海が6編成、JR西日本が4編成のN700A2次車を導入した。

この導入が行われれば、JR東海では全133編成中112編成(84.2%)が、JR西日本では全16両編成42編成中25編成(59.5%)がN700系となる。さらにJR東海ではさらに進歩させたN700A3次車を1編成今年度中に導入する( http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000028233.pdf )。3次車はブレーキ性能をより高めており、既存のN700A1次車および2次車へも同様の改造を行うとしている。この改造を行えば、山陽新幹線で500系時代に幻となった320km/hでの運転計画が復活する可能性があり、JR西日本にとってもメリットがある可能性がある。

とはいえ、N700系自体JR東海が主導して製造したものであるから、JR西日本にとっては無駄なものが多い。300km/h対応についてはJR西日本の技術で開発した500系新幹線で足りていたし、高い起動加速度も2.6km/h/sという新快速を上回る水準も高速鉄道としては使用しないわけではないがオーバースペックであり、東北新幹線同様1.6km/h/sでも十分である。空気ばね式車体傾斜装置や定速運行装置なんて直線が多く運行本数が減る山陽新幹線では使用されない。1323席という座席数は完全にJR東海のエゴであり、1992年に導入された300系の全座席数および1985年に導入された100系先頭車の座席数から科学的根拠なく定めたに過ぎない。そのためバリアフリー新法が制定された今でも、多目的室や多目的トイレが他新幹線(山陽九州新幹線用N700系8両編成や東北新幹線E5系、北陸新幹線E7系など)と比べると狭くなっており、はっきりいって前時代的である。

とはいえ国鉄時代からパターンダイヤを組み民営化してJR東海になった後も、ATSの最高速度を上げたり、車両性能を統一したり、たゆまぬ努力をしていることは間違いない(ただ山陽新幹線的には半分以上が無用の長物だが)。高速鉄道ながら緻密なダイヤを組んでいる点では、ダイヤグラム的には非常に興味深いところで、世界に類を見ない。そこで今回は2017年3月の東海道新幹線のダイヤ改正について予測を立てることとする。




2. 今回の規模はさらに小規模か

まず前回行われた2016年3月のダイヤ改正について見ていこう。この改正ではN700系すべてがN700A化改造を終えたため、285km/h対応となり、一部の「のぞみ」と初終電を中心とする「こだま」の所要時間が短縮した。「のぞみ」については理由通りスピードアップによるものであるが、「こだま」については700系の運転曲線でダイヤを組んでおり、各駅停車ゆえに285km/hになってもすぐ減速してしまうため、起動加速度の向上によって所要時間が短縮したのが一番大きい。つまり2016年3月ダイヤ改正は、車両性能が高い編成を増やしたために多くの列車でスピードアップが図られたのである。

しかし2017年3月はどうか。前回は285km/h対応の編成が1年間で改造含め30編成以上増えたが、今回は上述した通りわずか11編成。「のぞみ」が東京~博多間を運用するには毎時1本あたり12運用が必要で、1年では賄いきれない。しかし東京~新大阪間の「のぞみ」であれば6運用で済むので、JR東海編成のみでことが足りるというわけだ。とはいえ2015年度でN700系自体の運用が増えたのは東京毎時20分発新大阪行き多頻度「のぞみ」だけ。そのまま2016年3月のダイヤ改正で東京発時刻を3分後ろ送りにすることにより、2時間30分運転する列車を増やすことに成功した。つまり2016年度内にN700系を入れた臨時「のぞみ」が日中にスピードアップされる可能性が高い。

ということで、2016年12月~2017年2月の東海道新幹線の時刻表を見ると、今回N700系が多く導入されたのは新大阪毎時13分発東京毎時50分着の臨時「のぞみ」である。この臨時「のぞみ」は、大阪毎時10分発東京毎時43分着の多頻度「のぞみ」が前を走っており、静岡で「こだま」を抜かすまでは続行運転を続ける。そのため、東京毎時43分着「のぞみ」が臨時となる新大阪11時10分~14時10分発、東京13時43分~16時43分着の計4本の「のぞみ」が、繁忙期を除き新大阪発を3分繰り下げて2時間30分で運行する臨時「のぞみ」として運行される可能性が高い。

その他に、東京23時42分着の臨時「のぞみ190号」および「のぞみ432号」がほぼN700系運用となっており、山陽新幹線内ではすでにN700系での運転曲線となっている。また新大阪発東京行きの場合でも700系での運行日は2016年度はわずか10日にも満たないことから、この列車は2017年3月より東海道新幹線内でもN700系での運転曲線となり、スピードアップが見込まれる。
以下は可能性は0ではないが、2017年のダイヤ改正では実現する可能性が低い私自身が候補として考えていたものをいくつか挙げる。




2.1. 定期「のぞみ」含む上下毎時4本の所要時間短縮

現在パターンダイヤ時間帯でN700系限定運用となっているのは、下りは東京発毎時00分、10分、30分、33分(ひかり)、50分、上りは東京着10分(ひかり)、13分、23分、33分、53分の「のぞみ」(一部ひかり)計毎時5本である。このうち285km/h運転をしているのは東京毎時10分発、33分着の僅か毎時1往復であり、東海道新幹線内ではたった20%でしか発揮できていない。これをさらに発揮するべく、N700系限定運用の「ひかり」の所要時間を短縮する必要がある。

待避の場合、1本抜かされる場合には2分、2本抜かされる場合には抜く列車同士の間隔が原則3分(例外として静岡で抜かれる「ひかり」と浜松で抜かれる名古屋発着の「こだま」の場合は4分、岐阜羽島で抜かれる「こだま」の場合は5分)なので2分足して5分である。しかし、N700系で運行される「ひかり」は、岐阜羽島では1本しか抜かれないにもかかわらず上下ともに4分、米原では上り東京行きは6分、下り新大阪行きは7分も停車している。またこの「ひかり」は小田原または豊橋停車であるため、長距離を285km/hで運行可能である。そのため、総じて3分短縮可能なスジだと思われる。

しかし、その性能についていけないのが岐阜羽島や米原で抜かす臨時「のぞみ」。定期「のぞみ」は2011年に全てN700系化されたが、臨時については今でも700系を多く使用している。そのため、朝晩など「こだま」の待避が少ない時間帯は2時間30分運転ができるものの、パターンダイヤ時間帯では2時間33分での運転が限界である。そのため、東京発毎時47分と53分発の新大阪行き、および新大阪発東京毎時50分と56分着の「のぞみ」がN700系化する必要がある。今回両者のN700系化の様子も見ていたが、10時台までと16時台以降発列車のN700系化率が低く、2017年は見送りとなりそうだ。

2.2. 名古屋発着「こだま」のN700系化

東京毎時26分発、17分着の名古屋発着「こだま」は、15往復中10往復がN700系でに運行となっており、残り5往復でN700系化が完成し、スピードアップが可能となる。ただ、JR西日本所属の700系の走行距離精算に用いられていること、こちらの「こだま」のみが起動加速度向上によりスピードアップしても新大阪発着の「こだま」との途中駅での運転時刻のバラツキがさらに不均等になるというデメリットがあり、実現性が乏しいものと思われる。しかしこれは先述のN700系「ひかり」高速化には欠かせないものなので、2017年3月には実現はできないとしても2019年までに実現される可能性はある。


3. 結び

今回のダイヤ改正ではデータイムの「のぞみ」の短縮は4本程度と少なめで、それ以外の時間帯も追加投入されるN700系が少ないため小規模になるかと思われる。2020年3月には東海道新幹線内はN700系に統一され、データイム時間帯の全ての列車のスピードアップが見込まれる。2020年以降はリニア中央新幹線開業に向けて短編成化可能なN700Sが導入され、ダイヤ改正としては2020年3月が東海道新幹線では最後のヤマとなるだろう。それまでどのようなダイヤ改正が行われるのか期待したい。

コメント

  1. 【匿名】 より:

    まだ先ですが、2020年までに
    300km/h運転も開始しそうな感じですね。
    (というかそういう計画なのか)
    330km/hの場合は京都-米原のような
    一部区間に限られますから、
    記事の通りその頃には東海道新幹線は
    ほぼほぼ完成、という形になるのでしょう。
    むしろリニア完成を見越して
    東海道区間よりも
    山陽新幹線(直通)方面での
    速達化をしてほしいところです。

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