「サロベツ」「きたみ」廃止か JR北海道新幹線・特急ダイヤ予測(2017年3月25日予定)

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JR北海道では2017年春に16駅の廃止を含むダイヤ改正を実施する見込みであるが、今回はJR北海道の新幹線・特急列車について見ていく。

JR北海道の普通列車関連のダイヤ予測・廃駅関連はこちら

1. 「スーパー宗谷」「オホーツク」の運行区間短縮

今回のダイヤ改正で注目されるのが、特急気動車の老朽化に伴う運行区間短縮である。

かつては気動車特急の最先端を行き、当時日本一表定速度の高い在来線特急「スーパー北斗」を運行していたが、列車火災や脱線など保守管理に重大な欠陥があり、やむなくスピードダウンと減便を余儀なくされた。もちろん収益力も減り保守費も以前より膨らんだことから減益減収となり経営を圧迫しているのが現状である。

そこで2015年の普通列車79本見直しに次いで見直しのメスが入ったのが気動車特急なのである。JR北海道が4月19日に公表したプレスリリース( https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160413-1.pdf )によると、車齢32年以上の特急型気動車キハ183系は34両在籍し、これを削減したいものだと思われる。現在特急「北斗」に使用されているキハ183系は主に国鉄分割民営化後に製造された通称N183やNN183と呼ばれるもので、車体傾斜制御がないとはいえ120km/hを出せる車種であるが、特急「サロベツ」や「オホーツク」で用いられるキハ183系は主に国鉄時代に製造されたもので、当初最高100km/hだった当形式を110km/hにして運行している。とはいっても札幌~旭川間では特急「スーパーカムイ」が120km/hで運行されていること、気動車のため加速が電車に及ばないことからダイヤの制約にもなり、キハ261系特急「スーパー宗谷」を導入したり、美唄・砂川を通過することによりなんとか最小限にしようという意図が読み取れる。

とはいえ、このダイヤ改正が行われる頃には車齢35年を迎える特急車両を定期列車として使っている会社なんてどこにもなく、2015年内でもJR東日本による485系のさよならイベントなど国鉄型車両の引退が最近増えている。そうなれば新型車両の導入によって解決すべきであろうという話にもなるが、残念ながらそのような金銭的な余裕はない。2015年度には北海道新幹線新函館北斗開業を見据えて特急キハ261系が24両導入されているが、スーパーとかちと共通運用とすることによって新造車両を抑えている。このキハ261系の導入は今後も続けられることになっているが、その製造も極力抑えたいもの。そこで、置き換え対象となる先述したキハ183系34両を極力圧縮したいところだ。

そこで今回出てきたのが特急「スーパー宗谷」「オホーツク」の一部旭川発着化である。現在特急「北斗」で使用されているキハ183系は42両に及び、2018年3月にはそのうち波動輸送含め20両程度の運用となった「オホーツク」をN183系で置き換えれば10分程度のスピードアップにもなり、その分キハ261系を導入して一部の「北斗」を「スーパー北斗」に置き換えれば「北斗」系統のスピードアップにもつながる。

特急列車の系統分割については、過去にJR四国では「宇和海」「あじすり」、JR西日本では「白鳥」「雷鳥」(現在のサンダーバード)、JR九州では「にちりん」などで行われている。但しJR四国の場合は松山・高知発着となっており、同一県内の輸送には支障をきたさずほんのわずかの本州・高松向けの直通輸送のみが乗り換えとなっており、ダメージは少なく抑えつつも2000系気動車の減車に成功した。JR西日本は大阪~富山の「スーパー雷鳥」「サンダーバード」の高速化と所要時間短縮のため、JR九州も博多~大分間の特急「ソニック」の振り子式車両導入によるスピードアップのために系統分割が行われており、現在では博多~宮崎間の輸送は九州新幹線と高速バスを利用した「B&Sみやざき」にその役割を譲っている。それと同様のことをJR北海道は行おうとしているが、北海道自体が1自治体のため、道庁所在地である札幌に乗り入れているかいないかは大きな問題だと思われる。そんな経緯で行われるダイヤ改正が2017年3月のJR北海道ダイヤ改正になるものと思われる。



1.1. 「スーパー宗谷」「オホーツク」のダイヤ予測

ここで2017年3月に行われる「スーパー宗谷」「オホーツク」のダイヤ改正のダイヤ予測を立てる。各種報道記事による運行本数の概要は以下の通り。

「宗谷」系統

  • 札幌~稚内 3往復→1往復
  • 旭川~稚内 0往復→2往復

「オホーツク」系統

  • 札幌~網走 4往復→2往復
  • 旭川~網走 0往復→2往復

この情報を基に考えていく。

まずは「宗谷」系統。札幌発着は1往復だけ残ることとなる。これは「オホーツク」にも言えることだが、気動車の所属が苗穂であるため、その回送も兼ねているものだと考えられる。

とはいえその札幌発着の1往復がどうなるのかが一番の関心事であろう。他のサイトを見る限り、朝は稚内行き、夜は札幌行きで運行されるという意見が大勢を占めている。確かに現在「サロベツ」と合わせて4運用ある「宗谷」系統がキハ261系のみで足りうる2運用にまで削減されるとなればJR北海道としてはもってこいであろう。それゆえ現在宗谷本線特急に「サロベツ」があるが、今回のダイヤ改正で消滅する可能性がある。しかし旭川で特急「スーパーカムイ」と接続するとしても、やはり需要の多い時間帯は直通にしてほしいところ。そこで、1日1往復しかない路線が道内ではどうなっているのかをみてみた。とはいえ1日1往復しか特急がない区間はJR北海道にはないので、北海道を走る高速バスで見ていく。

まずは北海道中央バスの「高速しんとつかわ号」。JR北海道の普通列車も1日1往復しか行かない新十津川へ向かう高速バスである。これを見ていくと朝は札幌行き、夜は新十津川行きとなっている。次に沿岸バスの「特急はぼろ号」。合計で6往復となるが、うち5往復は高速経由便。かつてのメインルートだった増毛経由便は1往復となっている。こちらも見ていくと、朝は札幌行き、夕方に羽幌行きとなっている。つまり、この2つから見えたのは、1日1往復の場合朝は札幌行き、夜は郊外行きがいいということである。となれば特急「スーパー宗谷」も朝の札幌行き、夕方の稚内行きで札幌発着を残す可能性が高いことになる。

次にオホーツク。こちらは札幌発着が2往復のため朝夕に往復するのであろう。運用からいけば1,7,2,8号が札幌発着を存続しそうだが、3号や6号も可能性がある。そしてこちらで気になるのはもう1つ。「オホーツク」の一部が旭川発着になったら特別快速「きたみ」の意味が大きく薄れてしまうのである。「オホーツク」自体の札幌乗り入れが縮小するので、札幌~北見・網走の需要が航空機やバスに吸い取られるのは言うまでもない。となれば、客単価を少しでも上げようとするために、特急料金を徴収できるよう旭川~北見間を運行する特別快速「きたみ」は廃止になるのではなかろうか?2016年3月に快速「狩勝」が1本廃止となり、一部区間で普通列車に置き換えられたことを考えると十分に考えられ、運行区間が遠軽~北見間や白滝~北見間に短縮されてもおかしくなさそうだ。2016年4月号のJTB時刻表より1ページしか割かなくなった石北本線のページが、さらにさみしいことになるものと思われる。




2. 「スーパーカムイ」は増結か?

今回もう1つ注目となりそうなのが、札幌~旭川間で運行している電車特急「スーパーカムイ」である。上にあげた「スーパー宗谷」「オホーツク」の一部が旭川発着となることから、この「スーパーカムイ」が札幌まで連絡することとなる。その「スーパーカムイ」も大きな転機を迎えている。それは、特急「スーパー白鳥」で使用されていた789系の転用である。北海道新幹線の開業によって余剰となった789系の使い道は電車特急である「スーパーカムイ」「すずらん」に限定されてしまう。となれば、古参の785系を追い出すべく転用するしかなかろう。785系はまだ車両寿命としては早いが、致し方なかろう。

「スーパーカムイ」は現在モノクラス編成のためグリーン車の連結はない。これは、所要時間が1時間25分と比較的短いこと、並行する「スーパー宗谷」「オホーツク」にはグリーン車が連結されていることなどがある。しかし、その「スーパー宗谷」「オホーツク」が運行区間を短縮されてしまえばグリーン車の連結する列車が減り、札幌~旭川分のグリーン料金を徴収できなくなる。そうなればますます経営を圧迫する可能性がある。それを解決するために、今回のダイヤ改正から「スーパー宗谷」「オホーツク」と旭川で連絡する列車を含む一部の特急「スーパーカムイ」にグリーン車を連結する可能性が高い。グリーン車に関しては元「スーパー白鳥」編成を用いれば連結済みであるため、これが運用に就く可能性が高い。そのため、一部の6両化も考えられる。かつて789系が道央に挿入前のころ、785系特急「スーパーカムイ」と181系特急「ライラック」で1時間に1本ずつ棲み分けしていたこともあったので、今回の編成数的にもそれが可能であり、グリーン車連結の「スーパーカムイ」が1時間に1本程度運行されるのではないかと思われる。

また、「スーパー白鳥」で用いられていた789系には増結編成もある。つまり、多客期には「スーパー北斗」のうようとまではいかないが増結をし、8両や9両で運行される可能性がある。現在「スーパー宗谷」や「オホーツク」で多客期増結で6両になることがあるが、それに「スーパーカムイ」分が加わるとなれば可能性はあるものと思われる。




3. 北海道新幹線は縮小傾向

2016年3月に開業した北海道新幹線。こちらは開業後初のダイヤ改正を迎えるが、こちらも増収したとはいえなかなか想定通りには伸びていないようだ。

JRグループでは春夏秋冬の4季に分けて臨時列車の公表をしているが、2016年春夏秋では1日最大3往復設定されていた北海道新幹線の臨時列車が2016年冬では最大2往復にまで減らされてしまった。しかも残った2往復は双方とも東京~新青森間の「はやぶさ」の臨時延長である。今のところ「スーパー北斗」「北斗」と連絡している時間帯は1時間に1本程度用意されているが、そのうちのいずれかが新青森以北で臨時列車化する可能性があり、今回注目すべきだと思われる。




4. 「北斗」1往復が「スーパー北斗」と置き換えか

2016年度内のキハ261系の出庫状況は8両であり、特急「北斗」のうち1往復を「スーパー北斗」に置き換える様相である。ただ、前述のように北海道新幹線が想定よりも需要が下回っているようなので、新函館北斗駅で接続するこの列車も減車する可能性がある。


5. 結び

2016年3月のダイヤ改正では北海道新幹線が華々しく開業したものの、今回のダイヤ改正ではJR北海道の縮小が鮮明に表れ、今回も予測では特急「サロベツ」、特別快速「きたみ」の廃止が取りざたされている。今後JR北海道がどのような方策をとっていくのかが問われるものになると思われる。

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