ロシア国境を結ぶ高速鉄道開業へ! 中国鉄路ダイヤ改正(2018年12月25日/2018年12月29日) 中国铁路调图

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中国鉄路は2018年12月26日、プレスリリースにて12月25日に哈牡線を電化しCRH乗り入れを開始したと公表した( 哈尔滨至牡丹江高速铁路开通运营 )。今回はこれから中国東北部での新線開業について見ていく。

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1. ハルビンとロシア国境を結ぶ高速鉄道開業へ

今回の2018年12月25日中国鉄路ダイヤ改正では、黒竜江省の省都ハルビンと牡丹江を結ぶ哈牡線が開業した。

ハルビン~牡丹江間は既に在来線として浜綏線が開業しているが、それに並行する形で高速新線として哈牡線が開業することとなった。

哈牡線はハルビン~牡丹江を結ぶ300kmにも及ぶ路線で、うちハルビン側7kmは2018年9月30日に開業した哈佳線と線路を共用しており、残る293kmが新線開業区間となる。中国の高速鉄道では高速鉄道開業に合わせ省都級の都市でも新駅をつくって北京南駅や上海虹橋駅など郊外に新駅を設置するのだが、哈牡線は珍しく既存駅を結んでいる。なお最高速度は250km/hとなっている。

この開業により、ハルビン~牡丹江間は在来線の浜綏線経由の355kmから300kmに55km短縮することとなった。

運転系統については哈牡線内完結のハルビン~牡丹江間のみならず、浜綏線に直通してハルビン~牡丹江~綏芬河(ロシア国境)を結ぶ高速列車CRHも設定された。

浜綏線牡丹江~綏芬河間は2015年12月28日に新線付け替えと複線電化が実施され、最高速度が90km/hから200km/h化に引き上げられ大幅な高速化が図られた。中国では快速列車などの客車列車は160km/h運転までしか行われておらず、この高速化は高速列車CRH乗り入れを前提にしたものと思われる。そこで今回のハルビン~牡丹江間を結ぶ哈牡線開業と同時に高速列車運転を開始することとなったようだ。なお2018年12月25日の開業当初は全てがD列車(動車列車)での運転となっている。

2018年12月25日の開業当初の運転本数は、ハルビン→牡丹江→綏芬河間が6本、綏芬河→牡丹江→ハルビン間が7本、ハルビン~牡丹江間は先述の綏芬河発着を合わせて17往復が設定された。

ハルビン~牡丹江間は最速4時間26分から1時間28分に、ハルビン~綏芬河間は最速6時間24分から2時間33分に、それぞれ大幅に所要時間を短縮した。

ただ高速化に伴い運賃はハルビン~牡丹江間で53.5人民元(約880日本円)から111人民元(約1,830日本円)に、ハルビン~綏芬河間で72人民元(約1,200日本円)から162人民元(約2,670日本円)に値上がりすることとなった。

なおこのダイヤ改正でハルビン~綏芬河間を運転する快速列車2往復が廃止され、浜綏線牡丹江~綏芬河間を走る客車列車は牡丹江~綏芬河間の快速列車1往復と大連~ハルビン~牡丹江~綏芬河間の普通客車快車1往復のみとなり、そのほかは高速列車CRHのみの運転となった。

では、ロシア国境の綏芬河からロシアの入り口グロデコヴォへのアクセスはどうかというと、列車は1日1往復しか運転されない。綏芬河10時00分発401国際列車と綏芬河17時14分着402国際列車となっている。なお両列車とも中国側の綏芬河で出入境検査が行われる

綏芬河発グロデコヴォ行きに関しては綏芬河で接続する高速列車CRHがない。このことから前泊するか普通客車快車で1泊寝泊まるしかない。

またグロデコヴォ発綏芬河行きに関しては、綏芬河到着9分後にハルビン行き最終CRHが発車してしまう。国際列車到着後綏芬河で中国入境手続きがある他、高速列車利用の際には概ね15分前までに検査場を通らなくてはならないため、接続不可能だ。

ともなると、今回の高速新線開業によるロシアへのアクセス改善は図られないようだ。




2. 瀋陽での高速新線開業へ

また今回の2018年12月29日中国鉄路ダイヤ改正では、京瀋高速線のうち承徳南~瀋陽北間が先行開業した。

将来的には京瀋高速線は北京星火~瀋陽北間を結ぶ686kmとなる予定だが、このうち500kmが先行開業する形となった。全線開業は2020年12月を目標としているが、開業した暁には四縦四横の重要幹線として位置付けられるため、営業最高速度は300km/hと他の路線より高く設定されている。

日本に無理やり例えると、東北新幹線で本来の計画で赤羽~新青森まで建設されるところ、盛岡~新青森が先に開業し今回のダイヤ改正で古川~盛岡が開業する感じ、北陸新幹線なら高崎~上越妙高が未開業で上越妙高~富山が先行開業したような感じなのだ。そんなの誰が使うか。

運転当初は6往復で、京瀋高速線完結列車のみの運転となっている。

瀋陽北~岐新 岐新~朝陽 朝陽~承徳南 承徳南~北京星火
6往復 4往復(全便瀋陽北乗り入れ) 2往復(全便瀋陽北乗り入れ) 未開業

300km/h対応の路線であることからも全てG列車(高速列車)での運転となっているが、部分開業であることから6往復という少ない本数になったものと思われる。済青高速線・青塩線の暫定開業ダイヤよりは本数は多いが、全国規模の大規模なダイヤ改正が行われたとしても大増発の可能性は北京星火開業まで持ち越しだろう。

北京~瀋陽を結んでいる京哈線や瀋大線よりはるかに内陸にあり、これまでつながりの薄かった都市を串刺しにするかのように縫っていることから並行在来線として扱う路線らしきものが見当たらないことから単純比較はできないが、瀋陽北~承徳南間では最速2時間28分となっている。料金は243人民元(約2,000日本円)となっている。


3. 結び

今回の2018年12月10日中国鉄路ダイヤ改正では、中国東北部でも高速新線が開業したことにより、大幅に所要時間短縮が図られた。

今後も高速新線の開業が相次ぐ中国鉄路でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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