高速新線2路線同時開業でスピードアップ! TGV・フランス国鉄ダイヤ改正(2017年7月2日)

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フランス国鉄(SNCF)は、2017年7月2日に高速新線(LGV)を同時に2路線開業してダイヤ改正を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。

1. 同時に高速新線2路線開業

今回2017年7月2日のヨーロッパ夏ダイヤ改正では、フランスにて同時に2つの高速新線が開業した。開業したのはLGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線とLGV南ヨーロッパ大西洋線で、ともに実質終端がY字状に分岐した1990年までに開通したLGV南太平洋線の延長路線であり、最高速度は320km/hで運行される。今回は双方のダイヤ改正について見ていく。

1.1. 西に延びるLGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線

今回開業した路線の1つ目は、182kmに及ぶLGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線。LGV大西洋線の終端ル・マンから北西部レンネまでを結ぶ。これまでもル・マンからレンネまで在来線経由で運行することにより首都パリからのTGVを運行していたが、ヨーロッパ鉄道時刻表2017年冬号では週5日以上運行されるのは18往復で所要時間も最速2時間05分であったが、ヨーロッパ鉄道時刻表2017年夏号によれば今回のLGV新線開業によりノンストップ型12往復が最速1時間28分運転のレンネまで高速新線経由となったほか、途中在来線に転線し既存駅に停車するものの新線を一部走る7往復も概ね所要時間1時間57分で運行されるようになった。これにより総じて1往復増発が図られ、週7日運行列車も増えたほか、ノンストップ型で37分、途中駅停車型でも20分短縮することとなった。
また、陸半球の中心で知られるナントへも、LGV新線を途中のサブレ・シュル・サルトまで利用できるためスピードアップが図られている。ヨーロッパ鉄道時刻表2017年冬号によればこれまで最速2時間09分であったが、ヨーロッパ鉄道時刻表2017年夏号によると今回の新線開業に伴うダイヤ改正により最速1時間56分となり、13分短縮されることとなったが、こちらは所要時間短縮効果が薄いためか増発には至らなかった。今回のLGV新線が開業したことにより、フランス北西部の大都市へはパリから2時間以内に結ばれることとなった。

1.2. 南に延びるLGV南ヨーロッパ大西洋線

また今回のダイヤ改正では、LGV大西洋線もう1つの終点サン・ピエール・デ・コールから南西部ボルドーまでに至る全長302kmにも及ぶLGV南ヨーロッパ大西洋線が開業した。こちらもこれまでもパリ~ボルドー間にてTGVが運行されてきたが、今回のLGV南ヨーロッパ大西洋線の開業により高速運行区間がノンストップ列車では倍増し、先述のLGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線よりも高い効果を発揮することとなった。これまではヨーロッパ鉄道時刻表2017年冬号によればパリ~ボルドー間はノンストップ型で最速3時間11分であったが、ヨーロッパ鉄道時刻表2017年夏号によれば今回のLGV新線開業に伴うダイヤ改正により最速2時間04分となり、67分の短縮に成功した。ノンストップ型の週5日以上運行列車は13往復のまま据え置かれたが、多頻度運行の臨時列車が3往復運行できるようになり、曜日によって増発を実施した。


2. 結び

今回2017年7月2日ヨーロッパ夏のダイヤ改正では、フランス国内にてLGVブルターニュ-ペイ・ド・ラ・ロワール線とLGV南ヨーロッパ大西洋線の2つの高速新線を同時に開業させることで、TGV型車両で運行する列車(InOui)の大幅な所要時間短縮につなげることができた。今回ダイヤ改正では定期列車の増発にはあまりつながらなかったが、臨時列車が増発したことにより、より需要に柔軟に応えることができるようになったと思う。
フランスでは今でも高速新線が建設中であり、次回2018年ヨーロッパ冬ダイヤ改正(2017年12月実施予定)では1981年に開業した最初のフランス高速新線であるLGV南東線がさらに延長される見通しだ。ただ、今回開業した2線はLGV東ヨーロッパ線や日本の東北新幹線と共に開業当初は鉄輪式高速鉄道の最高速度タイである320km/hを記録していたが、中国は2017年9月21日ダイヤ改正にて新型車両の投入により京沪高速鉄路の最高速度を300km/hから350km/hに引き上げて鉄輪式高速鉄道の営業最高速度単独トップを再び手にした。今後フランスでも最高速度引き上げが行われるのか、それに伴うダイヤ改正が行われるのか注目してゆきたい。

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