国際特急列車ユーロシティもスピードアップ! ゴッダルトベーストンネル開業に伴うスイス国内ダイヤ改正(2016年12月11日) / Gotthard Base Tunnel in Switzerland opening at 11, Dec. 2016.

スイス国鉄( Schweizerische Bundesbahnen )では、2016年12月11日にゴッタルドベーストンネルを開業したと公表した。今回はこれについて見ていく。


1. スイス・ドイツとイタリアがさらに近く

今回開業したゴッタルドベーストンネルは、スイス南部のアルプストンネルを貫いて建設された全長57kmのトンネルで、日本の北海道と青森県を結ぶ北海道新幹線の青函トンネルを抜き、世界で一番長いトンネルとなった。このゴッタルドベーストンネルの開通により、より長編成の貨物列車を運行することが可能となり、旧線にあった7回ものループ線を通らなくなることから大幅な時間短縮となった。トンネル自体は2016年6月1日に開通したが、2017年ヨーロッパ冬ダイヤ改正により旅客列車も本格的に新線乗り入れすることとなったのだ。
ヨーロッパ鉄道時刻表2017年冬号によれば、スイスのチューリッヒとイタリアのミラノ間の国際特急列車「ユーロシティ(EC)」が37分短縮の3時間36分での運行となる。この「ユーロシティ(EC)」はチューリッヒでドイツ高速鉄道ICEに乗り換えが可能で、フランクフルトやハノーバー、ベルリンへと向かうことができ、ドイツからイタリアへの最短ルートとして機能している。今回の新線開業で「ユーロシティ(EC)」(2時間に1本程度)やスイス国内振り子式特急列車の「インターシティ・ナイゲツーク(ICN)」(2時間に1本程度)、スイス国内特急列車の「インターシティ(IC)」(毎時1本)の合計概ね毎時2本は軒並み新線に切り替えたが、中距離列車の「インターレギオ(IR)」や快速列車の「レギオエクスプレス(RE)」の合計概ね毎時1本は旧線で残ることとなった。新線切り替えにより所要時間は短縮したが、運行本数は据え置かれているようだ。

2. 中距離列車の「インターレギオ(IR)」、エルストフェルトで系統分離へ

これまで旧線しかなかったために「ユーロシティ(EC)」から「インターレギオ(IR)」までスイスのイタリアとの国境沿いの町ロカルノまで直通で、「ユーロシティ(EC)」や「インターシティ(IC)」などの特急列車に抜かれることなく運行ていた。しかし今回2016年12月11日ヨーロッパ冬のダイヤ改正でゴッダルトベーストンネルが開通したことにより特急列車の「ユーロシティ(EC)」から「インターシティ(IC)」まで速達化したことにより、中距離列車の「インターレギオ(IR)」は先着列車ではなくなり、需要が落ちると見込まれた。そこでスイス国鉄はある程度需要の見込めるエルストフェルトまでは従来通り中距離列車「インターレギオ(IR)」を運行し、そこから先の旧線区間は鈍行列車の本数を維持したままほとんどの場合種別を格下げした快速列車「レギオエクスプレス(RE)」に乗り換えさせる系統分離を行った。これにより旧線の地域輸送は確保される見通しとなったが、スイス南部からはスイス最大の都市チューリッヒへ行くためには原則乗り換えが生じることとなり、そこそこの規模(といっても1万5千人程度の人口)の都市であるベリンツォナやロガルノからは「インターシティ(IC)」などの特急誘導となった。ただこれまでイタリア・ミラノ発着で運行されていた朝晩の区間運転的存在となっている快速列車「レギオエクスプレス(RE)」は旧線経由のまま存置され、国境を挟む需要は保たれているようだ。

3. 旧線の活用法は

今回の新線開業で毎時1本の中距離列車ないし快速列車しか走らなくなる旧線であるが、旧線と新線が並走しては採算が悪くなるのはやむ負えない。そこでスイス国鉄はゴッダルトベーストンネルの開業に合わせて旧線のゲシェネン~ルガノ間に展望車連結のゴッダルトパノラマエクスプレスを4月15日~10月22日まで(但し8月1日を除く)の夏期間に運行することとなった( http://www.myswitzerland.com/ja/gotthard-panorama-express.html )。一般旅客列車が運行されているとはいえ日本のJR西日本山陰本線(嵯峨野線)の旧線区間を活用した嵯峨野観光鉄道のような観光ニーズを生み出そうとしているようだ。

4. 結び

今回のヨーロッパ2017年冬ダイヤ改正では、ゴッダルトベーストンネルの旅客営業開始により各種特急列車の所要時間が短縮され、ドイツ・スイスとイタリアがより身近になった。現在は特急列車のみの運行でドイツへは乗り換えが必須だが、貨物共用トンネルではあるが日本の北海道新幹線の青函トンネル同様に今後ドイツ高速鉄道ICEが直通してさらに身近になるのか、見守ってゆきたいと思う。
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