直通拡大で利便性向上へ! ユーロスターアムステルダム延伸暫定開業に伴うダイヤ改正(2017年12月10日)

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ユーロスターは2017年12月10日、ヨーロッパ鉄道時刻表にてベルギーの首都ブリュッセル発着の一部列車をオランダの首都アムステルダムまで延長させると公表した。今回はこれについて見ていく。

1. アムステルダムまで暫定延伸で、イギリスとオランダが鉄道で直通へ

今回の2017年12月10日実施ヨーロッパ鉄道冬のダイヤ改正では、イギリスとフランス・ベルギーを結ぶユーロスターが、ベルギーの首都ブリュッセル経由でオランダの首都アムステルダムまで乗り入れ区間を拡大する。

本来は2016年末から行われる予定であったが、ユーロスターは乗降駅全駅に出入国審査場の設置が必要で、2016年9月のイギリスのEU離脱の投票などの影響もあり体制が整わなかったために2017年12月にまでアムステルダム乗り入れが遅れたという経緯がある。また今回のアムステルダム乗り入れ延長は4月4日までは1日最大2往復しか行われない暫定開業状態で、本格的なアムステルダム乗り入れ延長は2018年4月以降となるようだ。

なお、ユーロスター向けのイギリス国鉄374系の増備は行われない模様で、ベルギー国鉄も増備を行う予定もなければオランダ国鉄は導入の予定もない。そのため、オランダ国内では片乗り入れ状態となる見込みで、2018年4月の本開業後も列車本数に余裕のない朝夕の運転は見送られ、日中のみとなるのではないだろうか。




2. 1年越しの待望のアムステルダム延伸

今回の2017年12月10日ユーロスターダイヤ改正は、ヨーロッパ鉄道時刻表には延伸開業の1年以上前となる2016年12月に英語版が出版されたヨーロッパ鉄道2017年冬ダイヤ号に既に掲載されていた。

しかし当時掲載の2017年12月から運転されるアムステルダム乗り入れユーロスターの時刻は実際に導入され2017年12月出版の最新の時刻表と比較すると一部列車に数分の運転時刻変更があり、ベルギーのアントウェルペンやオランダのスキップホル空港は当時掲載の時刻表では停車することとなったが、出入国検査場が設置できていないなどの理由で暫定延伸時に実際行われたダイヤでは両駅は通過となった。

そんな幻の時刻表が掲載されたユーロスターであるが、実際に運行されることとなった列車の所要時間は、アムステルダム行きは全て3時間50分で、ロンドン行きは4時間11分〜4時間36分となっている。ただし、暫定開業の現段階では1日2往復の運転となっておりそれ以外での利用の場合には従来通りブリュッセルで乗り換えとなる。また土曜日と休日は平日と異なるダイヤで運転されることとなった。




ただし、ユーロスターは他の国際列車やシェンゲン協定を結んだ国間を原則フリーで通過できる措置がなく、乗車駅で出入国審査を行わなければならない。そのため、乗車駅を30分前に入場しなければならないデメリットがある。そのため所要時間で一見航空機と互角に競えそうと思えても、実は劣勢に立たされているのだ。それが東ヨーロッパ方面では所要時間が変わらないロンドン発着とパリ発着の高速鉄道の乗り入れ区間の差につながっており、ロンドン発着のユーロスターがベルギーのブリュッセルが主な終着点で今回の2017年12月10日ダイヤ改正でやっとオランダのアムステルダムまで延伸したにもかかわらず、フランス高速鉄道TGVはさらに東のドイツのケルンやフランクフルトまで乗り入れている。EUを離脱する予定のイギリスが国境フリーになることはないし、EUから離脱するとイギリスとヨーロッパ諸国の経済活動が減衰し、ユーロスターの利用者が減る公算もある。今後の展開は政治にも左右されるのであろう。


3. 結び

今回の2017年12月10日ユーロスターダイヤ改正では、乗り入れ区間の延伸によりユーロスターがベルギー経由でオランダまで乗り入れることとなり、イギリスとオランダが始めて鉄道で直通することとなった。ただ、イギリスはEUから独立する見込みで、一つのヨーロッパからは離れそうだ。今後政治的側面も含めて2018年4月の本開業に向けてどのようなダイヤ改正を行うのか、また将来的にフランス・パリを起点とするフランス高速鉄道TGVと同様にドイツのケルンやフランクフルトまで乗り入れ区間を延長する計画もあり、今後どのようなダイヤを組むのか楽しみにしたい。

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