あずさ通過で名古屋飛ばし級の最大のピンチ! JR東日本長野支社ダイヤ改正(2019年3月16日)

JR東日本長野支社は12月14日、プレスリリースにて2019年3月16日にダイヤ改正を行うと公表した( 2019年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち中央本線特急「あずさ」について見ていく。

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1. 定期「あずさ」をE353系に統一へ

今回の2019年3月16日JR東日本長野支社ダイヤ改正では、新型車両E353系の追加投入により、特急「あずさ」全列車がE353系による運転となる。

これにより2018年3月17日ダイヤ改正より全列車がE353系による運転となった特急「スーパーあずさ」との差が小さくなったことから、特急「スーパーあずさ」を特急「あずさ」に統一することとなった。

ただ、常磐線特急「ひたち」のように運転区間を品川~上野~いわき間に統一するのかと思いきや、また総武本線千葉発着1往復と大糸線南小谷発着1往復は存続することとなった。

常磐線特急にE657系を導入する際にはいわき以北の特急をいわきで系統分割する予定であったが(なお2012年3月ダイヤ改正で実施予定で愛称募集までしたが、お察しの通り運転再開すらできていない)、今回の中央本線特急の定期列車E353系統一時には東京・新宿~甲府・竜王・松本間のみの運転に縮小することなく、千葉発着や南小谷発着も存続することとなった。

また今回のダイヤ改正を以て、特急「あずさ」は常磐線特急「ひたち」「ときわ」同様座席未指定券発券制の全席指定席での運転に変更となる。

これに伴い1973年のエル特急指定から発売され続けていたエル特急回数券の後継となるあずさ回数券は廃止されることとなった。

また常磐線特急「ひたち」「ときわ」の運転区間は全てSuicaエリア内であるが、特急「あずさ」が1往復だけ乗り入れる大糸線はSuicaエリア外であり、Suicaエリア外での座席未指定券制による普通車全車指定席列車の導入は初と思われる。田沢湖線特急「こまち」ですら立席特急券は自由席特急料金と同額で利用できるのに、大糸線では指定席と自由席が同額になることとなった。在来線特別急行列車に自由席が設けられたのは1965年10月1日ダイヤ改正により山陽本線や奥羽本線山形以北などで設けられたのが始まりとされており、国鉄特急が全席指定という固定観念は50年以上前に葬り去られている。Suicaエリア外でまで自由席料金を割り引かないのはいかがなものか。

ちなみに、塩尻~松本間では特急「あずさ」の事前料金と特急「しなの」のA特急料金自由席はともに750円で同額となっており、実質自由席利用であれば料金の差額なく利用できることから、総武本線特急で特急「成田エクスプレス」だけ割高となるようなことは多くの場合で避けられそうだ。

2. 所要時間短縮も停車駅削減へ

また今回の2019年3月16日JR東日本長野支社ダイヤ改正では、特急「あずさ」の所要時間短縮が図られる。

新宿から松本へ向かう下り列車ではこれまで最速2時間26分で運転していたが、今回のダイヤ改正で2時間25分運転となり1分短縮される。

また平均所要時間も新宿→松本で2時間44分から2時間38分に短縮され6分短縮、松本→新宿で2時間41分から2時間37分に短縮され4分短縮されることとなった。

これまで特急「あずさ」はE257系でも運転できるダイヤとなっていたが、今回の新型車両E353系導入に伴い特急「スーパーあずさ」のみならず特急「あずさ」も車体傾斜装置を搭載することとなり、曲線での通過速度が向上した。

ただ、今回のダイヤ改正はそれだけではない。停車駅の大幅整理が行われたのだ。

3. エル特急時代から初めての通過列車設定へ

では各駅で停車本数はどのように変わったのだろうか。

東京都内・山梨県内(東京~新宿~甲府~小淵沢間)の停車駅整理については以前の記事で扱ったので、今回は長野県内に絞って見ていく。

上諏訪は特急「スーパーあずさ」「あずさ」の18往復全停車であるが、今回のダイヤ改正で1往復が通過となり停車するのは17往復となる。

特急「あずさ」は国鉄時代の1973年10月1日に10往復に増発されたことからエル特急指定され、このうち松本まで乗り入れていた9往復全てが茅野・上諏訪に全停車であり、そのほかの甲府~松本の各駅では通過する特急「あずさ」が存在していた(ちなみに残る1往復は新宿~甲府間運転で、「かいじ」は当時急行であったことから特急の場合は甲府発着でも「あずさ」を名乗っていた)。この慣習は2018年現在まで特急「スーパーあずさ」が運転されても特急「スーパーあずさ」「あずさ」合わせて実施されてきたことである。しかし今回のダイヤ改正で茅野は特急「あずさ」全停車を維持したものの、上諏訪が特急「あずさ」が、少なくともエル特急指定化後初めて一部通過駅に陥落したのである。

しかも全特急停車の地位を守った茅野の1日平均乗車人員は3,753人なのに対し、特急停車が削減された上諏訪の1日平均乗車人員は4,367人と茅野を上回っている。上諏訪発着の臨時特急「かいじ」の設定もあったことがあるだけに、茅野より上諏訪の方が交通の要所として優位であるはずだ。

これは、1992年3月14日ダイヤ改正でそれまで東海道新幹線の全列車が停車していた名古屋・京都を通過する東京6時00分発「のぞみ301号」新大阪行き並みの衝撃なのだ。この名古屋・京都通過の「のぞみ」は名古屋・京都より利用者数の少ない新横浜に停車していたが、500系新幹線が東京乗り入れを開始した1997年11月29日ダイヤ改正で廃止された。

ただこの「のぞみ」の場合設定前から東京6時04分発「ひかり1号」博多行き(国鉄100系新幹線による運転)が設定されており1992年3月14日ダイヤ改正で東京6時07分発に繰り下げられたものの東京~新大阪間は途中名古屋・京都のみの停車であったこと、1993年3月13日ダイヤ改正ではこの「ひかり1号」が東海道新幹線内での停車駅を変えることなく東京6時07分発のまま「のぞみ1号」博多行き(「のぞみ」型車両こと300系新幹線で運転)に格上げされたことから代替列車がすぐ後続にあった。またこの東京6時00分発途中停車駅が新横浜のみの「のぞみ301号」新大阪行きの設定は純増便によるもので、名古屋・京都の停車回数が減ったわけではない。当時は岐阜羽島に停車するけど米原を通過する「ひかり」という今では考えられない列車まであったから、今以上にバリエーションに富んでいたと言ってもいいのかもしれない。

しかし今回の特急「あずさ」のエル特急指定化後初となる上諏訪通過列車の設定は、少なくとも45年間守り抜いてきた全特急停車の地位を減便という形で降ろされたのだ。東海道新幹線の場合は開業後約27年5か月半で史上初めて名古屋・京都通過の旅客列車を純増便として設定することとなったが、特急「あずさ」の上諏訪飛ばしはもはや東海道新幹線における名古屋飛ばしよりも重大な事件と言っても過言ではないのだ。

4. その他の停車本数はどうなる

では、今回の2019年3月16日JR東日本長野支社ダイヤ改正で特急「あずさ」の停車本数が変化する駅はどこだろう。

まずは富士見。1986年11月1日ダイヤ改正で急行「アルプス」のうち昼行列車全4往復がが特急「あずさ」に格上げされたことに伴い特急停車駅に昇格したが、今回のダイヤ改正で停車本数は11本から4本に減る。

次に下諏訪。こちらは辛うじてエル特急設定時より1本の停車が確保されていたが、今回のダイヤ改正で特急「スーパーあずさ」「あずさ」の停車本数が16本から4本に大幅に削減されることとなり、1985年3月3日ダイヤ改正時点の特急停車本数と同水準となった。いや、当時は急行「アルプス」が昼行定期列車で4往復運転されていたから、その時より新宿直通列車は減ったことになる。乗車人員が2,056人/日と上諏訪の半分以下では致し方ないように思う。

なお、富士見と下諏訪に停車する定期特急「あずさ」は2往復とも一致している。両駅にも停車するのは千葉6時38分発(新宿7時30分発)特急「あずさ3号」南小谷行き、新宿21時00分発特急「あずさ35号」松本行き、松本6時25分発特急「あずさ2号」東京行き、松本17時18分発特急「あずさ30号」千葉行きとなっている。これら特急「あずさ」に限り韮崎~松本間の全ての特急停車駅に停まる。

新宿発松本行き最終「あずさ」については小淵沢から先接続する普通列車がないことから、1976年7月1日ダイヤ改正時点ですでに長野県内をこまめに停車している。また松本発新宿行き一番列車についても停車駅を削減すると20分ほど早く出なくてはならなくなることから、停車を残したのだろう。

次に減ったのは岡谷。これまで特急「スーパーあずさ」「あずさ」が33本停車していたが、今回のダイヤ改正で28本に減る。逆を言えば、通過列車が3本から8本に増えることとなった。

また塩尻もこれまで特急「スーパーあずさ」「あずさ」が32本停車していたが、今回のダイヤ改正で28本に減る。逆を言えば、通過列車が4本から8本に増えることとなった。

これらの岡谷・塩尻通過「あずさ」4往復もともに一致している。エル特急時代の1982年11月14日までは甲府~松本間では茅野と上諏訪の全停車駅しか停車しない特急「あずさ」が普通であったが、上越新幹線が開業した1982年11月15日ダイヤ改正以来長野県内で全停車駅しか停車しない特急「あずさ」は1日3~4本となってしまった。もっとも当時は塩嶺トンネル(みどり湖経由)が工事中で未開業だったため岡谷より辰野の方が停車本数が多かったのだが、この特急「あずさ」が4往復8本に増えたのは、速達性の高い列車が増えたと言えそうだ。

5. 結び

今回の2019年3月16日JR東日本長野支社ダイヤ改正では、中央本線特急「あずさ」の定期列車に使用される車両が新型車両E353系に統一されたことに伴い、所要時間短縮と全席指定化が図られた。

しかし、自由席の廃止やエル特急回数券の後継だったあずさ回数券の廃止、45年間破られていなかった上諏訪通過の列車設定など、エル特急時代の名残をことごとく捨て去ることとなった。

今後中央本線特急「あずさ」でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。


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