新駅開業も特急くろしお縮小へ JR西日本ダイヤ改正予測(2018年3月予定)

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JR西日本は9月26日、プレスリリースにて2018年3月におおさか東線に衣摺加美北駅を開業すると公表した( おおさか東線全線開業に向けて~JR長瀬・新加美駅間新駅の駅名の決定について~ )。また和歌山県は10月17日、メールマガジンにて2018年3月のダイヤ改正にて紀勢本線特急「くろしお」を縮小する公表した( JRきのくに線特急くろしお号の減便等について )。今回はこれらについて見ていく。

1. おおさか東線衣摺加美北駅開業

また今回実施される2018年3月ダイヤ改正では、おおさか東線JR長瀬〜新加美間にに衣摺加美北駅が開業する。

地名の由来は東大阪市の衣摺と大阪市平野区の加美北であるが、駅所在地が東大阪市衣摺であること、大阪市内にも関わらず隣の新加美が大阪市内の駅として取り扱われていないことから、大阪市内の駅にはならないものと思われる。なお今回新設される衣摺加美北駅周辺は千日前線の近鉄弥刀駅延伸構想の経由地であるが、今回のJRおおさか東線新駅設置により千日前線を延伸する必要が無くなったのではないだろうか。

今回のダイヤ改正で衣摺加美北駅が開業すると、キタの中心地梅田に近いJR東西線北新地まで放出での対面乗り換え1回のみで行くことができ、25分程度かかるものの僅か220円で行けるようになる。もし近隣(といっても1.8km離れているのだが)の大阪市営地下鉄千日前線南巽駅から梅田を目指そうとすると、谷町九丁目乗り換えで谷町線利用東梅田下車が最短ルートだが25分~30分見ないといけない上280円かかる。

とはいえ衣摺加美北周辺は住宅地であり、地下鉄の中間駅並みの需要しか見込めない。現在大阪市営バス30系統と近鉄バス40系統が昼間毎時1本ずつ、ラッシュ時概ね毎時2本ずつアクセスしているが、このうち近鉄バス40系統は近鉄布施駅~JR平野駅を結んでいることからJRおおさか東線と需要が被ってしまっているのである。衣摺加美北駅開業後は近鉄バス40系統の縮小は避けられず、廃止もやむを得ないものと思われる。

新駅が1駅増えるが、1分程度の所要時間増加があるくらいで、あまり変化はないものと思われる。直通快速も通過するであろう。おおさか東線は2019年3月ダイヤ改正で新大阪~放出間が開業予定で、その際に大規模なダイヤ改正が行われるものと思われ、今回のダイヤ改正では大規模なダイヤ改正は行われないのではないだろうか。




2. 特急「くろしお」1往復短縮

今回実施される2018年3月ダイヤ改正では、紀勢本線特急「くろしお」のうち1往復が白浜〜新宮間で運転を取りやめる。

これにより新宮に乗り入れる特急「くろしお」は7往復から6往復に削減されることとなった。特急「くろしお」の新宮乗り入れは2011年3月12日のダイヤ改正実施前まで9往復であったが、10年も経たないうちにさらに削減された形だ。JR東日本でも2016年3月26日の北海道新幹線開業と同時に奥羽本線特急「つがる」(秋田〜青森間)を利用者減少を理由に5往復から3往復に削減しているが、今回の場合は和歌山県は和歌山市を含め全県的に人口減少しており、県の人口が2015年の国勢調査でついに100万人を切り、利用客が減るのはやむ終えないものと思われる。

また阪和自動車道が続々延伸開業し車の交通量が増えていることもあるが、なんと白浜〜新宮間には高速バスの運行もなければ一般路線バスによる隣町への移動もままならず、路線バスもコミュニティバスのような市町村運営バスが主体となってしまっている。となると、紀勢本線白浜〜新宮間を移動するには自家用車かJRの2択しかなく、JR以外の公共交通機関がないのだ。つまり多少減便したところでJRの利用者は他に逃げる可能性は少なく、赤字になった瞬間運行本数を切ることができるのである。対して白浜以北では明光バスの高速バスなど対大阪・和歌山・京都で競合交通機関があり、特急「くろしお」を減便すると需要が流れかねない。ただ、白浜以北の場合繁忙期は9両運転しており臨時列車も僅少ながら運行されていることから、9両運転日を減らしていけば供給を調節できる。対して白浜以南は繁忙期でも6両での運行となり調節するには減便しかなくなってしまう。

白浜~新宮間で一番本数の少ない周参見~串本間では普通列車も8往復しかなく、2016年度の輸送密度が1,252人/日となっており、城端線や氷見線の半分に満たず気動車運行の開始した東北本線黒磯~新白河間の半分程度で、全車キハ120形気動車による運行で最大でも3両編成にしかならない関西本線非電化区間(加茂~亀山間)の1,257人/日に僅かに負け、奥羽本線大館~弘前間の1,228人/日に迫る勢いである。このような閑散路線であることからもむしろ特急が6往復残ることが奇跡的と思われ、JR東海の紀勢本線特急「ワイドビュー南紀」のように定期4往復と臨時2往復に再編されても全くおかしくない状況だ。今回の特急「くろしお」の1往復短縮は致し方ないのであろう。


3. 結び

今回の2018年3月のJR西日本ダイヤ改正では、小幅なところでミナミ側でもダイヤ改正がなされるようだ。今後どのようになるのか見守って行きたい。

コメント

  1. あっと より:

    加美など平野区から梅田まで行く人って意外と少ないと思います。多いのはやはりミナミや本町ではないかと。「マイスタイル」なども使われているところを見るとJRに新駅ができてもやはり市バスや地下鉄の利用は安泰な気がします。
    白浜以南の路線バス、減りましたよね。。。
    輸送密度的には本当にバス程度で賄えるくらいなのかもしれません。県や自治体が主となってオンデマンドでいいので紀南を貫く路線バスがあってもいいとは思いますよね。道の駅や観光地もあるわけですし、アピールすればある程度の需要はあるように思います。

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