120km/h対応路線開業で新快速並みの表定速度実現へ! 南京地下鉄S3号線・S9号線開業に伴うダイヤ改正(2017年12月6日/2017年12月30日) 南京地铁调图

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南京地下鉄は2017年12月4日、WEB版新聞記事にて12月6日にS3号線を開業させると公表した( 好消息不止一个!南京地铁S3号线(宁和城际一期)12月6日开通试运营 部分区间票价要下降 )。また南京地下鉄は2017年12月29日、WEB版新聞記事にて12月30日にS9号線を開業させ、その時刻表を公表した( 南京地铁S9号线首末班车时刻表 )。今回はこれらについて見ていく。

1. 長江を跨ぐ郊外新線の開業

南京地下鉄では2017年12月に相次いで2路線を開業した。1つは12月6日開業のS3号線(寧和線)、もう1つが12月30日開業のS9号線である。

まずは2017年12月6日に開業した南京地下鉄S3号線。寧和線の異名がついているが、S3号線のSはSuburb(近郊)を示し、市内だけではなく郊外にも延びる路線となっている。中国では国鉄から転換した中国鉄路が長距離輸送に重きをおいているため、地下鉄が市内輸送のみならず中距離輸送をも担うこととなっている。南京地下鉄では市内路線が4線に対し、郊外路線が今回のS3号線とS9号線の開業で4線となり、同数の確保となる。地下鉄の郊外路線進出は発展した地下鉄網を形成した中国の都市ではままあることなのだが、市内路線より郊外路線がこれだけ多いのは中国国内でも南京だけで、いかに南京では中距離輸送にも重きを置かなくてはいけないのかが分かる内容となっている。

それでは今回開業した南京地下鉄S3号線はどのような路線となるのか。南京地下鉄S3号線は地下鉄1号線、3号線、S1号線や中国高速列車CRHと乗り換えられる南京南駅から西に延び、長江を渡って高家沖に至る全長35.6km、19駅に渡る路線である。全列車6両編成B型車が使用され、1編成当たりでは中国の一般的な地下鉄と同じ輸送力を誇る。最高時速も100km/hで、中国としては一般的な郊外路線の最高速度となっている。

運行ダイヤは終日に渡り市中心部に近い南京南~劉村までは8分間隔であるが、劉村とその次の馬騾圩駅の間で長江を渡り、対岸の西岸となる劉村~高家沖間は24分間隔の運転となる。なんとS3号線は3分の1しか全線運転を行わず、3分の2は長江を渡らず手前で折り返してしまうのだ。6両編成8分間隔は妥当な線であるが、6両編成24分間隔というのはやや間隔が空いており、利便性が低いような気もする。地下鉄S8号線のように4両編成にして16分間隔にすることはできなかったのかと思う。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると地下鉄S3号線の全線で100.0%となっており、さすがに昼間は空気輸送なのだろう。とはいえ、中国の地下鉄は10分間隔はまれで空気輸送を承知でも8分間隔にする傾向があるので、終日長江以東の市中心部は8分間隔での運転としたのであろう。所要時間は全線運転の南京南~高家沖間が49分、区間運転の南京南~劉村間が25分となっている。

初電は南京南発・高家沖発ともに6時00分発で、最終は全線運転の南京南発高家沖行きが南京南22時00分発、高家沖発南京南行きが高家沖22時00分発、区間運転の南京南発劉村行きが南京南23時00分発、劉村発南京南行きが劉村23時00分発となっている。




2. 3両編成で細かく輸送も、表定速度は新快速並みの新線開業

また2017年12月30日には、南京地下鉄S9号線が開業した。

地下鉄S9号線はすでに開業している南京地下鉄S1号線(寧高線)の支線として建設されている。開業したのは地下鉄S1号線と乗り換えられる翔宇路南駅から南下し高淳駅に至る全長52.38km、6駅に渡る路線である。先述した地下鉄S3号線は長江を跨ぐ区間こそ駅間距離が9kmあるがそれ以外は1km~1.5km程度の駅間距離であることが多いにもかかわらず、地下鉄S9号線はそれ以上に駅間距離が長く、植木算で平均駅間距離が10kmを超えている。これは、明覚~団結圩間で和臼湖のど真ん中を横断するためであり、この2駅間距離は16.9kmとなっている。つまり終点の高淳は南京市街地から見て和白湖があることで鉄道のみならずバスなどのその他の陸上交通でも迂回しなければならず、そこを一直線に結んでいるという点で待望の新線であるということなのだろう。そのため地下鉄と称しているが、東京メトロ東西線のように地上区間が多くなっている。

運転間隔は、終日22分30秒間隔となっている。この運転間隔は中国の地下鉄でもかなり開いている部類で、S9号線より間隔が開いているのは先述したS3号線の一部区間くらいしかなく、韓国ソウル地下鉄7号線や光州地下鉄1号線などのように車両基地のある駅だけ1駅手前でほとんどの列車が折り返す場合があり1時間間隔になることもあるが、全線で22分30秒間隔というのもなかなか珍しい。車両は3両編成B型車となっており、先述の地下鉄S3号線のように6両編成24分間隔であれば減車して増便してほしいところだが、かといって中国の他の地下鉄のように4両編成や6両編成にしてしまうとJR東日本の東金線のように昼間60分間隔でもおかしくなくなってしまう。3両編成となると22分30秒間隔でも致し方ないように感じる。なお翔宇路南で接続する地下鉄S1号線は昼間11分22秒間隔、平日ラッシュ時9分57秒間隔となっていおり、郊外路線ゆえ運転間隔が広くても利用者が集まるようだ。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると100.0%で、こちらはラッシュ時以上に昼間を減らしたら昼間30分間隔とかになりかねない。地域輸送性も考慮した昼間の運転間隔となっているのだろう。




この3両編成というのも中国の地下鉄では初で、中国の地下鉄は概ね6両編成であることが多く、近年の中国の地下鉄では車両サイズを京急・阪急クラスの19m車のB型車から近鉄・南海クラスの21m車のA型車の導入に切り替えて輸送力を増強している例は多くあるが、たまに北京地下鉄空港線や同日2017年12月30日開業のS1号線、燕房線や南京地下鉄S8号線のように4両編成で運転される路線もある。しかし3両編成というのは日本では東京メトロ丸ノ内支線や千代田支線などの例があるが(双方とも2019年までに消滅予定)、これまで開業した中国の地下鉄の中で最短編成で、今回の南京地下鉄S9号線が初の導入となる。それだけ需要が見込めないということなのだろう。当初は地下鉄S1号線と直通して南京南まで乗り入れる計画もあった楊だが、需要が余りにも見込めないため立ち消えとなり、2018年5月開業予定の地下鉄S7号線が地下鉄S1号線と直通する予定となっている。

なお、全線所要時間は36分で4運用で運転されるようだが、表定速度を計算すると全線距離は52.38kmであることから、表定速度は87.3km/hとなり、JR西日本の新快速(長浜~姫路間最速表定速度78.6km/h、大阪~三ノ宮間最速表定速度87.4km/h、京都~大阪間最速表定速度91.7km/h)や瀬戸大橋線快速マリンライナー(岡山~高松間表定速度82.8km/h)に匹敵する表定速度を持つ。各駅停車なのにこの表定速度が出せるというのは、先述したように駅間距離が長いことのほかに、路線自体が120km/h対応であるからであるが、この120km/h対応というのも南京地下鉄S8号線では実施されているが翔宇路南で接続する地下鉄S1号線は100km/h対応となっており、もはや地下鉄S9号線の輸送力を考えてもオーバースペックすぎるような気がする。この120km/h対応により、かなり高速性に長けた路線になってしまったようだ。

また初電は翔宇路南発高淳行きが翔宇路南6時00分発、高淳発翔宇路南行きが高淳6時00分発となっており、終電は翔宇路南発高淳行きが翔宇路南22時00分発、高淳発翔宇路南行きが高淳22時00分発で設定されている。この高淳発翔宇路南行き最終列車は終点翔宇路南でS1号線南京南行き最終列車に接続でき、南京市中心部まで向かうことができる。

なおこの直後の2018年1月13日ダイヤ改正では、S9号線用車両が1編成増備されることにより、運転間隔が22分30秒間隔から18分間隔に短縮し、輸送力が25.0%増加することとなった。


3. 結び

今回の2017年12月6日南京地下鉄ダイヤ改正ではS3号線が開業し、2017年12月30日南京地下鉄ダイヤ改正ではS9号線が開業した。今後南京地下鉄では郊外路線の延伸が期待されており、2018年5月には地下鉄S7号線が開業するなど急速な拡大が見込まれる。

今後相次ぐ新線開業で南京地下鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、そしてどのような表定速度の列車が設定されるのか、期待したい。

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