新車導入で朝夕ラッシュ時に増発! 上海地下鉄9号線・11号線ダイヤ改正(2017年6月30日)

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上海地下鉄は6月27日、プレスリリースにて6月30日に9号線(申松線)と11号線(申嘉線)でダイヤ改正を行ったと公表した( 持续挖潜增效 提升服务水平 6月30日起 9、11号线工作日高峰时段小幅增能 )。今回はこれについて見ていく。

上海地铁是6月21日,它宣布并于9号线(申松線)和11号线(申嘉線)在新闻发布会上进行了修订时间表6月30日( 持续挖潜增效 提升服务水平 6月30日起 9、11号线工作日高峰时段小幅增能 )。 这一次我们会看这个。

1. 9号線は新車導入により増発

上海地下鉄9号線は2007年に開業した比較的新しい路線であるが、2008年に開業した日暮里・舎人ライナーのように逐次増便を続けた結果僅か開業10年で3車種目が登場することとなった。今回は新型車両6両編成6本を導入することにより増便を図ることに成功した。

今回の2017年6月30日ダイヤ改正では、平日朝夕ラッシュ時に増発が見られることとなった。朝は上り(楊高中路方面)のみが増発となり、松江南→余山間では運行間隔が平均4分30秒間隔から平均3分45秒間隔へ、都心に近い余山→楊高中路間では約3分間隔から約2分30秒間隔に短縮することとなった。上海地下鉄は正確な時刻表はなく大阪市交通局御堂筋線の都心部のように運行間隔のみが表記されているが、類推するに3本に1本が途中駅余山始発で運行されているものと思われる。この朝の増発により朝ラッシュ時の輸送力が20%増加することとなった。




また平日夕ラッシュ時は車両送り込みの関係もあって下り(松江南方面)だけでなく上り(楊高中路方面)も増発を行うこととなった。今回のダイヤ改正で夕ラッシュ時は5運用が増加することに伴い、都心に近い楊高中路~余山間は約3分40秒間隔から3分10秒間隔へ、余山~松江南間は7分20秒間隔から6分20秒間隔へ短縮された。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算していくと、平日昼間は5分30秒間隔のまま変わりないから楊高中路~余山間では66.7%から57.6%に、余山~松江南間は133.3%から115.2%に変化した。余山~松江南間で100%を超えているのは、9号線の需要に偏りがあるため朝夕ラッシュ時は区間運転を実施するが、世界的には地下鉄の区間運転は稀で外国人利用者にはわかりにくいため大阪市営地下鉄谷町線同様昼間は全線通しでの運転のみにしているためだと考えられるが、余山~松江南間で昼間空気輸送が多くなっているのは否めない。逆に都心に近い楊高中路~余山間では昼夕輸送力比が下がっており、平日昼間を基に計算すると日本の基準では適正値外になってしまった。欧米の地下鉄の昼夕輸送力比が概ね80%であること、中国の他都市の地下鉄を比較しても低い値となっており、土休日昼間は5分間隔と平日昼間より増便していることにより63.3%となっているものの昼間に大きく混雑している可能性が高い。

プレスリリースは小幅増強としているものの、今回の増発は日本からしてみれば大幅な増発に匹敵する。大幅なラッシュ時の輸送力増強はありがたいが、利便性的にはダイヤ改正前の運行間隔でも不便ではなかったため、人件費抑制によるコスト抑制のためにも増便ではなく1号線や2号線のように6両から8両への増結の方が望ましかったのではないだろうか。




2. 11号線は車両増備により増発

2012年より順次開業している11号線は、中国では省市(日本でいうと都道府県に相当)を跨ぐ唯一の地下鉄で、距離は72kmにも及ぶ。日本で例えるなら東京メトロ東西線のような路線で、郊外では地上に多く出る他、終点の花橋(蘇州市)からは東葉高速鉄道に相当する蘇州地下鉄3号線の建設が2019年末に向けて進められている。その一方で南東側は2016年に開園した上海ディズニーランドを起点としており、郊外路線のみならず娯楽施設へのアクセスも定着しつつある。

今回11号線では6編成の新車を増備することにより、朝夕ラッシュ時に増発を行うこととなった。平日朝ラッシュ時は小幅ではあるが、都心に近い南翔→三林間で約2分30秒間隔から約2分間隔に短縮し、輸送力が25%程増強される。これまで平日朝ラッシュ時は3本に1本が南翔始発であったが、これが2本に1本程度にまで増加されるものと思われる。

対して平日夕ラッシュ時は全線にわたり増強が行われる。平日夕ラッシュ時は最大で6運用増やすことにより下り(嘉定北・花橋方面)のみ7分サイクルダイヤから6分サイクルダイヤに縮め全線で16.7%の輸送力増強となった。具体的には迪士尼(ディズニー)~三林間は7分間隔から6分間隔に、三林~南翔~嘉定新城間は3分30秒間隔から3分間隔に、分岐後の嘉定新城~嘉定北・花橋間は7分間隔から6分間隔に短縮された。昼間の運行間隔はほぼ全線で平日6分間隔、土休日5分間隔と変わっていないことから、平日昼間を基に昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算していくと58.3%から50%に低下した。土休日は上海ディズニーランドの影響で増便しているものと思われるが、やはり昼間の輸送力が足りないように感じる。

11号線の場合は昼間6分間隔より広げると利便性に支障を大きくきたしうること、分岐した後は平日昼間は12分間隔であるからこれ以上運行本数を減らして増結するのははばかられるが、平日朝ラッシュ時は既に2分間隔となる区間ができており今後2019年に開業する蘇州地下鉄3号線と直通する可能性があることを考えると需要が伸びるのは必然で、8両増結も考えなくてはならなくなるのであろう。


3. 結び

今回2017年6月30日の上海地下鉄ダイヤ改正では、朝夕ラッシュ時に最大25%の輸送力増加という大幅な増発を行った。これは近年の中国における地下鉄建設ラッシュにより車両製造が追いついていないのも一因に思えるが、今回ダイヤ改正を行った9号線と11号線はともに延伸計画があり、今後需要が伸びることは必須だ。今後のダイヤ改正に注目したい。

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