新規2路線同時開業で終電繰り下げによる運転時間拡大へ! 上海地下鉄9号線・17号線ダイヤ改正(2017年12月30日) 上海地铁调图

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上海地下鉄は2017年12月27日、プレスリリースにて12月30日に2路線を開業・延伸すると公表した( 9号线三期杨高中路站~曹路站 17号线虹桥火车站站~东方绿舟站 2017年12月30日起载客试运营 )。今回はこれについて見ていく。

1. 地下鉄9号線延伸へ

今回の2017年12月30日上海地下鉄ダイヤ改正では、新たに2路線が新規開業・延伸する。

まずは延伸した地下鉄9号線。延伸したのは西側の終点であった楊高中路~曹路間14.1km、9駅間であり、途中の金海路ではすでに開業している地下鉄12号線に乗り換えることができる。車両はこれまで地下鉄9号線で使用されてきた6両編成A型車(近鉄や南海で用いられる車両サイズに相当)を用いる。今回のダイヤ改正で16編成が増強されることとなった。

地下鉄9号線は2017年内だけでも6月30日と10月20日にダイヤ改正を実施しており、それぞれ微増している。

特に2017年10月20日ダイヤ改正では今回の地下鉄9号線延伸に伴う運用変更や利用者増加をにらんだものとなっていた。今回の上海地下鉄9号線西区間開業に先立つ2017年10月20日ダイヤ改正では、平日朝ラッシュ時の東行き(楊高中路方面)は松江南駅→余山で2分30秒~5分間隔(平均3分45秒間隔)だったものが3分20秒間隔に、余山→楊高中路間では2分20秒間隔から2分13秒間隔(毎時27本)へと短縮した。

また逆方向の西行き(松江南駅方面)でも平日朝ラッシュ時に増発が実施され、楊高中路→余山間で3分30秒間隔から3分20秒間隔(毎時18本)に、余山→松江南間で7分間隔から6分40秒間隔(毎時9本)に短縮され、平日朝ラッシュ時に5本増発が実施され輸送力が全区間で5.0%増強された。また平日夕ラッシュ時についても楊高中路~余山間では両方向とも3分10秒間隔から3分間隔に、余山~松江南駅間では6分20秒間隔から6分間隔に短縮され、輸送力が5.6%増加した。

昼間は全線で平日は5分30秒間隔、土休日は5分間隔で変わりないことから昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると、楊高中路~余山間では57.6%から54.5%に、余山~楊高中路間では115.2%から109.1%に変化した。楊高中路~余山間では昼間の混雑が増す一方、余山~楊高中路間では昼間の空気輸送が緩和されつつある。

そして今回の2017年12月30日上海地下鉄9号線ダイヤ改正では、路線延伸に伴いダイヤ改正を実施する。延伸区間の楊高中路~曹路間では平日朝ラッシュ時は両方向とも6分40秒間隔、昼間は平日は5分30秒間隔、土休日は5分間隔、平日夕ラッシュ時は両方向とも6分間隔となる。昼間に関しては平日・土休日とも既存区間の運転間隔と変わらないため全列車全線運転となるが、ラッシュ時は楊高中路で折り返す既存区間のみ運転の列車が設定され、平日朝ラッシュ時の東行き(曹路方面)では3本中2本が楊高中路止めとなり、西行き(松江南駅方面)では2本中1本が楊高中路始発となる。また平日夕ラッシュ時も楊高中路以東の既存区間を運転する列車のうち2本に1本が楊高中路発着となる。このことからラッシュ時の地下鉄9号線の運転系統は松江南駅~余山~楊高中路間の既存区間のみ運転系統と余山~楊高中路~曹路間の新規開業区間乗り入れ系統の2つの運転系統となり、全線運転はラッシュ時は実施されないこととなった。

本来であれば運転間隔は平日朝ラッシュ時が一番短く、次に平日夕ラッシュ時、昼間(土休日の次に平日)の順に広くなる(つまり運転本数が少なくなる)はずなのだが、今回の2017年12月30日ダイヤ改正では地下鉄9号線延伸区間においては昼間が一番運転間隔が短く、次に平日夕ラッシュ時、一番運転間隔が長いのは平日朝ラッシュ時ということになる。

昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると109.1%となるが、平日夕ラッシュ時の運転本数が平日朝ラッシュ時より多いため平日夕ラッシュ時ですら空席が出る可能性があるほか、昼間が空気輸送になるのは間違いない。世界的には昼間の地下鉄は全区間運転が原則なのでラッシュ時に部分運転を実施していると末端区間でラッシュ時より昼間の方が運転本数が多くなることがある。とはいえ、今回の上海地下鉄9号線延伸区間での昼間の空気輸送は昼夕輸送力比以上に空席が目立つはずだ。開業から2年程度はJR東日本総武緩行線津田沼~千葉間のように昼間の半分程度の列車を楊高中路折返しにして、平日昼間昼間は11分間隔、土休日昼間は10分間隔にしても良かったのではないだろうか。

1.1. 9号線延伸と同時に終電延長へ

また、今回の2017年12月30日ダイヤ改正では、地下鉄9号線の終電が延長される。

現在の西行き最終は松江南駅21時50分発楊高中路行きであるが、今回の2017年12月30日により終電が40分繰り下がり松江南駅22時30分発曹路行きとなる。この遅さ故、金海路では地下鉄12号線の終電から接続を受けることができる。また東行き最終は楊高中路22時30分発松江南駅行きであるが、路線が延長したことで曹路22時30分発松江南行きが最終となる。これにより楊高中路以東の既存区間では終電が25分繰り下がることとなった。

これは、上海地下鉄では終電を完全な上り方向ではない限り原則路線の両端の駅を22時30分に発車する列車としており、路線が延長すればするほど終電が繰り下がる仕組みとなっているためで、今回地下鉄9号線が西方面に延長したことにより夕方以降の西方面にも多くの需要が生まれ上りとは言い切れなくなったこともあり他路線同様終電発車時刻を22時30分発にしたものと思われる。これにより日曜~木曜の上海一遅い終電は上海地下鉄11号線の迪士尼(ディズニー)22時25分発安亭行き(安亭0時00分着)から上海地下鉄9号線の曹路22時30分発松江南駅行き(松江南駅0時14分着)に変更されることとなった。

なお、初電については西行き(松江南駅方面)は曹路5時30分発松江南駅行き列車が設定され、東行きは中春路5時40分発曹路行きとして設定されることとなった。また金曜・土曜のみ実施の終電延長についてはこれまで同様楊高中路~余山間の設定のみで、今回新規開業した区間では実施されないほか、時刻も据え置かれ日曜~木曜のように終電が繰り下げられることはなかった。

2. 新規路線地下鉄17号線開業

また今回の2017年12月30日上海地下鉄ダイヤ改正では、新たに地下鉄17号線が開業する。

開業するのは虹橋国鉄駅~東方南舟間34.8km、13駅で、駅間距離を考えると北京地下鉄でいう八通線や房山線など漢字名称がついているよな郊外路線扱いということなのだろう。使用車両は6両編成A型車(近鉄や南海と同じ車両規格)となっている。東側の終点虹橋国鉄駅では地下鉄2号線と地下鉄10号線に接続することができ、上海市中心部へ向かうことができる。虹橋国鉄駅では上海地下鉄で最も利用の多い路線地下鉄2号線の同一方向と対面接続ができる。またこれに合わせ、隣の虹橋空港第2ターミナル駅ではホーム新設により地下鉄2号線広蘭路方面と地下鉄10号線新江湾城方面のそれぞれ上海市街地方面行きが南海泉佐野駅のように左右のドアを開くことにより、対面接続ができるようになった。

ダイヤについて見ていくと、平日朝夕ラッシュ時は東方緑舟~2駅東側の淀山湖大道間は10分間隔、淀山湖大道~虹橋国鉄駅間は5分間隔での運転となる。記事によれば平日朝夕ラッシュ時は全線運転が毎時6本と淀山湖大道~虹橋国鉄駅間の区間運転が毎時6本の合計毎時12本が交互に運転されるようだ。昼間について見ていくと、平日は全区間運転が8分間隔、土休日は全区間運転が6分間隔で運転され、平日昼間を基に昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると、淀山湖大道~虹橋国鉄駅間は60%、東方緑舟~淀山湖大道間は120%となる。先述の地下鉄9号線同様昼間は世界標準の全区間運転のみとしていることから末端区間では昼間より平日ラッシュ時の方が運転本数が少ないということになっているが、虹橋国鉄駅基準で考えれば適正範囲内にあると言えよう。

また初電は上り(虹橋国鉄駅方面)は東方緑舟6時00分発、下り(東方緑舟方面)は虹橋国鉄駅6時00分発で設定されており、両方向とも両端の駅を6時ちょうどに出発するダイヤが組まれている。一方終電については方向によって差があり、上り(虹橋国鉄駅方面)は東方緑舟22時00分発、下り(東方緑舟方面)は虹橋国鉄駅22時30分発で設定されている。なお1、2、7、8、9、10号線で実施されている金曜土曜の終電延長は実施されないほか、 同日2017年12月30日実施の北京地下鉄ダイヤ改正のように接続する路線での増発は実施されないこととなった。これは上海地下鉄2号線が上海地下鉄一混雑している路線であること、地下鉄10号線は2017年9月25日ダイヤ改正で上海虹橋発着が大幅増発したことにより地下鉄17号線の旅客増加分に対応できると思われたのだろう。

なお今回の地下鉄9号線の延伸と地下鉄17号線の開業により、上海地下鉄全線で666kmとなった。


3. 結び

今回の2017年12月30日上海地下鉄ダイヤ改正では、9号線の延伸と17号線の新規開業が成され、9号線の終電繰り下げを実施した。とはいえ、中国大陸の地下鉄一遅い終電は同日のダイヤ改正で終電が15分繰り下げられた北京地下鉄1号線の苹果園及び四恵東0時25分着であるため、まだまだ終電を延ばすことは可能そうなほか、上海と北京で地下鉄競争を繰り広げているようにも見える。

今後上海地下鉄がどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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