平日朝夕増発と終電繰り下げも昼間に大幅減便へ 東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道ダイヤ改正(2018年3月30日)

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東京メトロは2018年2月15日、プレスリリースにて3月30日に地下鉄半蔵門線と地下鉄南北線でダイヤ改正を行うと公表した( 3/30(金)半蔵門線・南北線のダイヤを改正します )。さらに埼玉高速鉄道は2月15日、プレスリリースにて3月30日にダイヤ改正を行うと公表した( 平成30年3月30日(金)にダイヤ改正を実施します )。今回はこのうち、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道線について見ていく。

2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

同日実施の東急目黒線ダイヤ改正についてはこちら!

1. 平日ラッシュ時に増発へ

今回の2018年3月30日東京メトロ南北線及び埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、平日朝夕ラッシュ時に増発を実施する。

まずは平日朝ラッシュ時から。王子神谷7時40分発東急目黒線直通各駅停車武蔵小杉行きは、埼玉高速鉄道線鳩ケ谷7時26分発に延長することとなった。この送り込みとして、市ケ谷7時02分発鳩ケ谷行きが増発されている。

このほかに平日朝は、埼玉高速鉄道線浦和美園5時24分発地下鉄南北線白金高輪行きと平日奥沢6時32分発各駅停車日吉行きが直通化し埼玉高速鉄道線浦和美園5時24分発各駅停車日吉行きとなったことで白金高輪→奥沢間で平日早朝に1本増発された。また市ケ谷7時21分発鳩ケ谷行きが浦和美園行きに延長することとなった。

次に平日夜。前回の2017年3月25日ダイヤ改正で赤羽岩淵発着の列車を7往復増やしたが、このうち赤羽岩淵20時~23時台発の4往復が埼玉高速鉄道線に乗り入れることにより乗客が分散し混雑が均等化することとなった。夕ラッシュ時ピークではないが、オフピークの混雑緩和と運転間隔均等化により利便性は向上しそうだ。




2. 終電延長で最終の新幹線からも接続へ

また今回の2018年3月30日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、終電繰り下げを実施する。

平日は東急目黒線日吉23時23分発各駅停車鳩ケ谷行き終電が浦和美園行きに延長されることとなった。これにより地下鉄南北線内から新井宿~浦和美園への終電は9~11分繰り下がることとなった。一方、赤羽岩淵→鳩ケ谷間では終電の1分繰り上げを実施することとなった。

この終電繰り下げにより、東海道新幹線最終の「のぞみ64号」東京行き(東京23時45分着)から京浜東北線王子連絡で新井宿~浦和美園の各駅に到着できるようになったことで、新大阪から20分遅い新幹線で新井宿~浦和美園へ行くことができるようになった。

また土休日は白金高輪23時46分発最終鳩ケ谷行きが浦和美園行きに延長したことで、新井宿~浦和美園への最終が8分繰り下がることとなった。これにより土休日は博多18時33分発東海道新幹線「のぞみ62号」東京行きから京浜東北線王子連絡で接続できるようになり、新大阪で17分遅く出る新幹線からも接続できるようになった。ただし平日より終電が早いことから、土休日は東京23時45分着の最終「のぞみ64号」からは赤羽岩淵までしか行けないのは変わりないようだ。




3. 埼玉高速鉄道、昼間大幅削減へ

また今回の2018年3月30日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、昼間に大幅な減便を実施する。

対象となるのは平日は10~16時台の15往復、土休日は9~17時台の21往復で、鳩ケ谷発着のうち約半数が赤羽岩淵発着に短縮される。これにより昼間は赤羽岩淵~鳩ヶ谷間で6分間隔(毎時10本)から6~12分間隔(毎時7.5本)にまで縮小し、輸送力は25.0%減少することとなった。

これにより平日夕ラッシュ時は5分間隔(毎時12本)のまま変わりないことから、赤羽岩淵~鳩ケ谷間の昼夕輸送力比は83.3%から62.5%に下がることとなった。




地域輸送性を考えると、川口を通る京浜東北線は平日昼間は毎時11本、土休日昼間は毎時12本(5分間隔)での運転であるから埼玉高速鉄道の6分間隔でも問題ないが、12分間隔が空くと幹線系統のバス感が否めない。ただ毎時6本あればつくばエクスプレスや埼京線の各駅停車などが当てはまるので、地域輸送性が損なわれるわけではなさそうだ。

そもそも輸送力が適正か見ていくと、平成27年度の大都市交通センサスによれば地下鉄南北線で最も利用が多いのは後楽園~東大前間の隣駅輸送人員201,747人/日・往復であるが、これに必要な昼間の輸送力は51両で6両固定編成で運用されていることから毎時9本で足りることになる。ただ折返しが可能となる王子神谷~志茂間は105,058人/日・往復で昼間27両・毎時5本あれば輸送力は足りる。赤羽岩淵~川口元郷間は92,600人/日・往復で昼間24両・毎時4本あれば地域輸送性を無視すれば輸送力は足りる。鳩ケ谷~新井宿なんて53,843人/日・往復で昼間14両・毎時3本で足りてしまう。赤羽岩淵~川口元郷間の輸送密度は新交通システムAGT5両編成を導入している都営日暮里・舎人ライナー西日暮里~赤土小学校前と同レベルだから、6両編成の地下鉄車両ではいかに輸送力過剰かがわかる。そりゃあ減便されても致し方ないだろう。

ではなぜ平日朝夕に増発したのに昼間に大幅減便を実施したのか。本来鉄道では定期券利用割合は60~70%位のはずなのに、地下鉄南北線では駒込以北で75%を超え、埼玉高速鉄道に入ると80%前後になるのである。逆に言えば定期券以外の券種(いわゆる普通券)での利用が普通の鉄道なら30~40%あるにもかかわらず、地下鉄南北線駒込以北では25%以下、埼玉高速鉄道線では20%程度しかいないことを指しているのだ。これでは普通の鉄道もそうだが、同じく北に延びる日暮里・舎人ライナーでもここまで普通券利用客割合は少なくない。

ではなぜ普通券利用が少ないのか。定期券利用は昼間の利用が少ないから相対的に普通券利用は昼間の利用を反映していることから、昼間に利用が少ない原因を探れば良さそうだ。

そこで競合する交通機関で比べてみる。赤羽岩淵~鳩ケ谷間は埼玉高速鉄道線で8分、昼間は6~12分間隔で310円、赤羽駅東口~鳩ケ谷本町一丁目間は国際興業バス赤21・赤20系統で21分、終日12分間隔でIC258円。通勤利用なら赤羽からJR利用より空いている地下鉄南北線や埼玉高速鉄道を利用したい、鳩ケ谷始発の列車に合わせて着席したいなどのニーズがあるものと思われるが、昼間については完全に値段の高さと地下鉄南北線の不便さがあだとなっている。

そもそも東京23区が上海市並みに広かったら埼玉高速鉄道と東葉高速鉄道は確実に営団地下鉄として建設されたはずで、昼間は終点浦和美園まで全便乗り入れていたはずである。末端区間が別会社運営であることによる高い運賃と赤字補てんの不可により減便を実施するのは世界どこを見ても日本だけの特有の問題で、同一会社として運営すべきだったようにも思う。

また地下鉄南北線と直通する東急目黒線は2023年3月の東急新横浜線開業に伴う相鉄への直通開始までに8両対応化する見込みである。相鉄新横浜線と直接直通する東急電鉄は8両編成の用意が必要であり、東京都交通局も都営三田線の新車を8両編成で用意する見込みである。とはいえ、直通する全社局の路線で6両編成を8両編成に増結する必要はないものと考えられる。

東急東横線は2013年3月15日までみなとみらい線とともに全列車8両編成での運転であったが、2013年3月16日の地下鉄副都心線との直通運転開始に伴い、10両編成が乗り入れることとなった。これにより東急電鉄では10両編成の5000系4000番台を新造したが、横浜高速鉄道ではみなとみらい線のホームはすでに準備してあった10両分使用することとなったが、車両は全列車8両編成のままで10両化する気配もない。一方東武鉄道や西武鉄道も地下鉄乗り入れ用の8両編成を一切用意せず、全て10両編成が直通する。

ともなると、今回の相鉄東急直通線の開業においても東急は8両編成と6両編成を両方用意する必要はあるかもしれないが、相鉄が6両編成を導入する必要はなく全て8両編成を用意すればいいし、埼玉高速鉄道は横浜高速鉄道みなとみらい線同様ホームは今より長く使用させる必要は生じるがホーム長は8両分で建設されているので少し整備すれば他社の8両編成を直通させることはできるし、埼玉高速鉄道の編成を延ばす義務はなく6両編成であれば(相鉄には直通できなくなるかもしれないが)日吉までの乗り入れていれば大きな問題にはならない。武蔵小山で抜かれる各駅停車がもってこいだろう。


4. 結び

今回の2018年3月30日東京メトロ南北線及び埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、平日朝夕に増発が実施され埼玉高速鉄道線を中心に利便性が向上した。

一方で昼間は赤羽岩淵~鳩ケ谷間で大幅に減便し、輸送力が大幅に低下することとなった。

今後2023年春予定の東急新横浜線開業に伴う相鉄への乗り入れ開始で東京メトロ南北線や埼玉高速鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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