不便になる青春18きっぷ・北海道東日本パス 制度変更&普通列車減便(2016年3月26日)

JRグループは5日、北海道新幹線開業後のおトクなきっぷの取り扱いについて公表した( http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160105-2.pdf )。今回は青春18きっぷを含むおトクなきっぷの見直しおよび、利用するのに必要な沿線の普通列車のダイヤ改正について見ていく。
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1. 「青春18きっぷ」は原則JR在来線普通列車のみ利用可能

「青春18きっぷ」は国鉄末期の1982年から発売されている期間限定の企画乗車券である。当時利用客を増やそうか考えたときに、列車の増発や設備の向上を図るには金銭的な余裕がなかった国鉄が全線の普通列車(新快速・快速含む)のみの乗り放題乗車券という非常に初期投資を抑えた需要拡大策を打ったのが始まりであるとされている。当時特定地方交通線によるローカル線の廃止が相次いでいたが、この企画乗車券の発売により全国で旅行者が増え、人気となった。これにより分割民営化後もJR旅客6社で引き続き発売されることになった。その後JR各社はそれぞれのエリアで通年利用できる青春18きっぷに類似した企画乗車券を相次いで発売するが、「青春18きっぷ」を廃止に追い込むまで至らず、現在まで期間限定で発売されている。2016年3月の北海道新幹線開業により陸路で在来線のみで北海道と東北を行き来することは不可能になるが、今回のプレスで北海道新幹線開業後も青春18きっぷは発売し続けることになった。ただし、そこには東北と北海道を行き来するための新たな特例を設けることとなった。

1.1. これまでにない新しい例外の設定

「青春18きっぷ」は発売以来、ローカル線が廃止になっても第三セクターに転換されても一貫してJR在来線の普通列車のみ有効ということに変わりはなかった。しかし2010年12月に転機が訪れる。東北新幹線全線開業により東北本線八戸~青森間が第三セクターの青い森鉄道に転換されるが、この際に大湊線と八戸線がJR在来線と接続しない飛び地区間となってしまったのである。これではJR在来線全駅に行けなくなるということで、青い森鉄道の当該区間は特例として通過利用に限り青春18きっぷが使用できるようになった。2015年3月に七尾線、氷見線、城端線が他JR在来線と孤立した際にも同様の措置がとられた。
しかし今回のケースはこれまでとは違う。2016年のダイヤ改正では北海道新幹線が開業したことにより北海道と東北を結ぶ在来線が第三セクターも含めてなくなってしまう。ある意味北海道自体が孤立してしまう状況になってしまっている。そこで今回それを打開するために新幹線を特例で乗せるようにした策が「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」である。これを使えば片道2,300円で北海道新幹線の特定特急料金(奥津軽いまべつ~木古内間)1,490円と道南いさりび鉄道の運賃(木古内~五稜郭間)960円の合計2450円分が利用できる。本来青春18きっぷで新幹線や特急を利用する場合には普通乗車券も必要であるからなおさらお得である。ただしこの「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」が利用できるのは奥津軽いまべつ~五稜郭間を通過利用する場合に限るものであり、木古内の乗り換え時に途中下車は出来るもののあくまで途中下車という扱いである。そして奥津軽いまべつ駅は北海道新幹線単独の駅である。ここからJR在来線に接続するためには、別駅である津軽線津軽二股駅まで移動しなければならない。津軽線はJR東日本の在来線であるから「青春18きっぷ」が使用できるが、津軽二股へ行くのは1日5往復しかない。しかも現状の津軽線ダイヤと北海道新幹線の開業時ダイヤを比べると同日に接続できるのは下り(北海道方面)で1日4本、上り(青森方面)で1日3本しかない。もちろん津軽線は2016年3月26日以降特急「スーパー白鳥」「白鳥」の運行がなくなるのである程度所要時間が短縮されるものと思われるので、詳しい時間の記載は割愛させていただく。しかし多少接続が良くなったとしても青春18きっぷ利用可能期間には大変な混雑が予想され、当初の需要拡大という目論見は達成できることだろう。今回特例を設けたことで輸送密度134人の当該区間が廃止を免れることがほぼ確実なことは地元住民にとってもうれしいことだと思われる。ただ「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売は「青春18きっぷ」の発売・利用期間に合わせているので、利用日当日に発売していないこともあるので注意が必要である。
しかし青春18きっぷでは不便ではなかろうか?もし俗に言われる「ワープ」をするのであれば、私としては次の切符の利用をお勧めする。

2. 北海道への在来線旅行は「北海道&東日本パス」が便利

北海道行くには従来から「青春18きっぷ」では不便な点があった。1つは青函トンネルは特急・急行列車しか運行が無く、「青春18きっぷ」では融通が利きにくい。また東北新幹線の開業により並行在来線である東北本線盛岡~青森間で第三セクターが運行しており、「青春18きっぷ」の使用がこの区間ではできない。これを打開するために2002年12月のIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道開業と同時に発売を開始したのが「北海道&東日本パス」である。今回は「北海道&東日本パス」についても使用条件の変更があるので触れさせていただく( http://www.jreast.co.jp/press/2015/20160102.pdf )。
 この企画乗車券はJR東日本とJR北海道の全ての在来線普通列車が乗り放題である他、第三セクターとなったIGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道にもこのきっぷ1枚で乗車できる。またこの企画乗車券で北越急行も利用できる。また発売当初は青森~札幌間で運行されている青函急行「はまなす」の自由席も追加料金なしで利用できた。このきっぷの発売により当初懸念されていた東北本線経由での「青春18きっぷ」が利用できなくなることの問題を解決し、「はまなす」も追加料金なし(当時)で利用できることもあって値段の割に非常に使い勝手の良い企画乗車券となった。2010年に急行列車を利用する際には急行券が必要となったが、運賃は「北海道&東日本パス」で有効であり、依然優等列車利用時に普通乗車券も必要とする「青春18きっぷ」より使い勝手がいいことには変わりはない。
そして「北海道&東日本パス」のもう1つの利便性の高さが新青森~青森~函館間で自由席特急券を購入すれば特急列車の利用が可能であることである。こちらも運賃部分は「北海道&東日本パス」が有効であるため、「青春18きっぷ」より安く移動することが出来る。2016年3月の北海道新幹線開業以降はこの制度が見直され、新青森~青森~函館間の特急列車がなくなることから北海道新幹線の新青森~新函館北斗間がこの特例を担うことになる。逆手にとれば、原則普通列車しか利用できないのに特定特急券を駆使すれば奥津軽いまべつや木古内で下車できることになる。津軽海峡線から北海道新幹線に変わることによりこれまで追加料金2,250円で済んでいたものが3,930円に値上がりするが、所要時間も短くなることから致し方ないものだと思われる。もし追加料金を安く抑えたいのであれば上述の「青春18きっぷ」同様奥津軽いまべつ駅と津軽二股駅を徒歩連絡すればよい。そうすれば特定特急料金は2,800円で済む。もしもう少し追加料金を削りたいなら木古内で道南いさりび鉄道に乗り換えるのが良いだろう。ただし道南いさりび鉄道は「北海道&東日本パス」の適用外のため運賃960円を支払わなくてはならない。奥津軽いまべつ~木古内間の特定特急料金1,490円が別途必要であるから合計2,450円が必要となる。これだけ見ると「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」より割高に見えるが、IGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道を含め東北本線経由で利用できること、1日当たりの単価が安いことから北海道旅行には「北海道&東日本パス」の利用をお勧めする。
ただ「北海道&東日本パス」は今回の北海道新幹線開業を受け1枚当たり560円値上げされる。7日間有効であるからこれまで1日当たり1,470円だったものが1,550円に値上げされる。ただこれも「青春18きっぷ」の1日当たり2,370円と比べても格段に安いことには変わりない。かなり割安なきっぷであるため多少の値上げはやむをえないことであろう。

3. 「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」の利用可能列車が減る普通列車の減便が今回も実施

2016年のダイヤ改正で例年のごとく普通列車の削減が実施される。まず東北本線では一ノ関~小牛田間で1往復削減される( http://www.jr-morioka.com/cgi-bin/pdf/press/pdf_1450417169_1.pdf )。仙台から北海道への利用の際には十分注意が必要になると思われる。また青い森鉄道でもほぼ全線にわたって1~2往復の減便が明記されている( http://aoimorirailway.com/wp/wp-content/uploads/2015/12/H2803_Revision.pdf )。そして「北海道&東日本パス」の利用者にとっては急行「はまなす」の廃止のダメージは大きく、青森~札幌間を夜間に移動できた便利な列車を失うことになる。そうなると普通列車を利用せざるを得なくなるが今回の極めつけはJR北海道管内での普通列車79本の見直しである。特に長万部周辺の減便はすさまじく、函館~札幌間で普通列車で移動するのもままならない。長万部→函館間の快速「アイリス」が廃止されるほどである。
ここでは函館~札幌間の普通列車の乗り継ぎダイヤ予測を見ていく。以下の山線、海線はそれぞれ全線函館本線利用と特急「北斗」に即したルートを指しており、時刻は千歳線内および函館本線小樽~札幌間ははJR北海道の公式プレスリリース( http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151218-2.pdf )にあるように補正を行い、それ以外は2015年3月ダイヤ改正時の時刻をそのまま用い、JR北海道が行う普通列車の削減は反映するものとする。また山線、海線共に利用可能な場合には所要時分が短い方を記載する。また以下の情報に誤記載であってもその責を当サイトは追わないものとする。
同日内に移動できる時刻予測は以下の通り
函館→札幌
山線(函館)8時18分発→(大沼公園経由)→11時33分着(長万部)12時10分発→15時29分着(小樽)15時30分→(快速エアポート)→16時02分着(札幌)
海線(函館)10時49分発→(大沼公園経由)→12時14分着(森)13時29分発→14時47分着(長万部)15時22分発→16時54分着(東室蘭)16時57分発→18時08分着(苫小牧)18時16分発→19時02分着(北広島)19時05分発→(快速エアポート)→19時22分着(札幌)
山線(函館)14時26分発→(鹿部経由)→17時29分着(長万部)19時46分発→23時54分着(札幌)
以上3本
札幌→函館
山線(札幌)11時43分発→(快速エアポート)→12時15分着(小樽)12時20分発→15時15分着(長万部)16時09分発→(鹿部経由)→19時25分着(函館)
海線(札幌)13時05分発→(快速エアポート)→13時22分着(北広島)13時24分発→14時22分着(苫小牧)14時47分発→15時54分着(東室蘭)16時14分発→18時00分着(長万部)18時03分発→(大沼公園経由)→21時19分着(函館)
以上2本
以上のようになり函館~札幌間では普通列車のみとなるとかなりの移動制限が出てくる。もちろんダイヤ改正によって自国の調整は図られるであろうが、この移動が可能な本数については不変だと思われる。普通列車のみで函館~札幌間を移動する方は、同日中に移動できる本数は極めて少ないことを周知の上で行ってほしいと思う。

4. その他のおトクなきっぷ

今回のプレスリリースにある目立ったものとしては「三連休乗車券」のエリア拡大であろう。現在も函館まで利用できるが、名称を変更したうえで経路を北海道新幹線経由へと変更し、函館本線の利用可の区間を森までに広げる。現在大人13,390円となっているが「三連休東日本・函館パス」に変更され14,050円へと660円値上げされる。
また新幹線などを対象にJR東日本「えきねっと」で発売されている「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」はJR北海道では「北海道ネットきっぷ」「北海道お先にネットきっぷ」として発売され、「えきねっとトクだ値」「お先にトクだ値」同様の設定が北海道新幹線内でも行われる。ただ1つ違いがあるとすれば、JR東日本管内では東京や仙台など主要都市発着でなければ発売は無かったが、北海道新幹線内では全区間に適用がある。特急料金が高かった分配慮がなされたのではないだろうか。
今回の北海道新幹線開業により企画乗車券の新設や廃止が多いが、既存の企画乗車券や割引制度については東北新幹線で適用になるものは原則北海道新幹線でも適用になることである。

5. 結び

今回北海道新幹線の開業によりおトクなきっぷの見直しが行われたが、今回の設定は全ての需要層に配慮がなされている。ただ同日に行われるダイヤ改正の影響で普通列車のみの企画乗車券では利便性の低下が起きているが、これもJR北海道の厳しい経営状況では致し方ないものだと思われるし、利用者も安いことの代償としてある程度認知していることだと思われる。おトクなきっぷの適切な設定は利用者数を左右するので、今後の展開に期待したいと思う。
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