輸送量から導く適切な輸送力

鉄道の適切な輸送力はどのように決められているのだろうか。ここではまず、乗車チャンスを考えず、輸送量に対して求められている輸送力について考えていく。


都市鉄道の適切な輸送力

まず、都市鉄道において昼間1両当たりに運べる1日輸送量はいくらくらいなのか。ここでは昼夕輸送力比が66~75%で地域輸送性を考慮した昼間の空気輸送を行っていない都市鉄道の路線をモデルにして、昼間の適切な輸送力を座席がちょうど埋まるくらい(乗車率30%程度)として考えていく。

大都市交通センサスのデータを基に見ていくと、どうやら昼間1両当たり約2,000人/日・片道の輸送量を運べるようだ。ただ座席定員は運転台の有無や車両の長さによって変わるほか、立席定員は車体幅によっても変わる。あくまでもざっくりなのでそのあたりは適宜調整すればいいと思う。

なお、バスの場合は昼間毎時1本、平日夕ラッシュ時毎時2本、平日朝ラッシュ時毎時3本の場合、約1,000人/日・片道の輸送量を運べるようだ。また、団地などの住宅地への路線の場合、このケースでは沿線に約5,000人が住んでいることになるようだ。

昼間毎時3本なら3倍すればいいし、隣駅間輸送密度は往復の値なので2で割った値を代入すればいい。

ただ、輸送密度は隣駅間輸送密度をある恣意的に区切った区間で見た平均なので、偏りがある。そのため、適切な輸送力を見出すためには、隣駅間輸送密度の方が精度が高い。

JRグループ各社では路線・区間ごとに輸送密度を公表しているが、都市鉄道の場合には大都市交通センサスで公表される隣駅間輸送密度の方が良いだろう。

在来線特急の適切な輸送力

次に中距離以上の都市間鉄道について。20m級の特急列車が昼間1両あたりに必要な輸送密度はざっくり2,000人/日・往復となっている。朝夕は偶然にも都市鉄道同様1.5倍の輸送力が必要となり、1両あたり1,333人/日・往復くらい必要そうだ。ただ、在来線特急で終日毎時1本程度な運転の場合、昼間に減車するのが手間なため、朝夕の輸送力のままそのまま昼間も運転していることが多い。また多客期は終日にわたり昼間の2倍の輸送力が必要になるので、1両あたり1,000人/日・往復くらいの輸送力が必要となる。

新幹線の適切な輸送力

また新幹線では1両あたりの輸送力が在来線特急と大きく異なる。在来線特急では中間車で概ね4列×16列なのに対し、新幹線では中間車で概ね5列×20列となっていることから、1.5倍の輸送力がある。ともなると、昼間は1両で3,000人/日・往復運べるし、朝夕は1両で2,000人/日・往復運べる。多客期には1両で1500人/日・往復運べることになる。

この考えを持つだけで、適切な輸送力を大雑把ながらも客観的に把握できるようになり、ダイヤの改善点も議論しやすくなるのではないだろうか。

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