近畿日本鉄道では2025年度に大阪線と名古屋線で新型通勤型車両を導入するとしている。今回はこれについて見ていく。
1. 名古屋線向け新型車両1A系導入へ!
2026年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、名古屋線向け新型通勤電車1A系を運転開始する見込みだ。
近畿日本鉄道では約22年ぶりの標準軌用通勤電車の新車として2024年10月に奈良線・京都線向け新型車両8A系を運転開始した。これまでの車両同様深紅とクリーム色の配色としている。
近畿日本鉄道ではこれと同型の新型車両を今後各線に投入するとしており、2025年度は大阪線と名古屋線に投入するとしている。
2025年6月5日に車両製作工場で近鉄向け車両鋼体が見えたが、青い車両で1A系と書かれていたのである。はて、なぜわざわざこれまでの深紅とクリーム色を捨てて青色としたのか。何か別の用途でも考えているのだろうか。
2. なぜ1A系は青いのか
ただ今回近鉄名古屋線向けに投入する新型車両1A系は赤ではなく青い。シリーズ21の黄色から2024年時点の最新型車両8A系で従来の赤に戻したので近鉄本来の車体色に戻したと思っていたが。今回1A系を青として8A系の赤としたのは何か用途を分ける意図でもあるのだろうか。
同型車両で赤と青に色を分けて用途を分けている例としてしなの鉄道SR1系がある。2020年7月4日から営業運転を開始したSR1系は青い100番台と赤い200番台に分けられ、青い100番台は朝夕や土休日に着席保障列車や観光列車として別途料金を徴収するライナー用車両としている。このため今回の色分けは着席保障列車用と一般列車用に分けている可能性はなきにしもあらずである。
ただ近鉄名古屋本線ではすでに特急型車両による名阪特急や名伊特急を運転しており、各毎時1本が名鉄名古屋線内に停車駅の多い乙特急として運転している。このため名鉄名古屋線主要駅は毎時2本の特急列車の運転があり、いずれも着席保障列車として機能しているのだ。まあJR東海と伊勢鉄道が運転する快速みえとの競合目的で急行の一部を着席保証車両として料金を徴収しても良いが、伊勢志摩へより便利に行ける近鉄特急は臨時列車を運転するほどの盛況なのでそうなるとは思えない。昼間空気輸送すぎてライナー化が決まっている西武鉄道新宿線特急「小江戸」のようにわざわざ特急から着席保証ライナーや一部指定席の急行に下げる必要はないのである。
そう考えると近鉄名古屋線向けに新たな着席保障列車を運転するために新型車両1A系を青にしたとは考えにくい。
ではなぜ近畿日本鉄道は名古屋線向け新型車両1A系を青で投入したのだろうか。それはおそらく近鉄名古屋線の路線色が青だからではないだろうか。
奈良線向け新型車両8A系は奈良線の路線色がたまたま赤だったので往年の近鉄通勤車両と同じ配色にしたが、名古屋線は路線色が青なので青い車両にしたということではないだろうか。
このため同じく2025年度に大阪線向けに投入する新型車両は水色になる可能性が高いし、南大阪線向けにも新型車両を投入するのであれば緑色になる可能性になりそうだ。
路線ごとに色が違うとなると地下鉄や東急電鉄のようだが、これらは系統ごとに車両がすみ分けられているのに対し近畿日本鉄道は名阪特急や阪伊特急のように複数の系統をまたぐ列車も多く近鉄は1つという印象が強い。路線ごとに分けてしまって1社としての統一感がなくなるのはいかがなものだろうか。
3. 結び
今回の2026年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、近鉄名古屋線で新型車両1A系を運転開始する見込みだ。
今後近鉄名古屋線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:2025年3月期決算説明会 – JR西日本
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