空港アクセス増強へ 南海電鉄ダイヤ改正(2017年1月28日)

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南海電鉄は2016年11月17日、プレスリリースにて2017年1月28日に南海線系統でダイヤ改正すると公表した( http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/161117_2.pdf )。また12月27日にはさらに詳細な記事を出した( http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/161227_1.pdf )。今回はこれについて見ていく。

1. 南海電鉄にも明るい兆し

最近のダイヤ改正では、区間急行を空港急行に置き換えて和歌山方面を普通列車の4両編成をメインにして減車を図ったり、2015年の高野線ダイヤ改正では露骨な区間急行の減便や泉北ライナー導入による料金徴収収入の増加、泉北高速線直通を準急行がメインだったものを約4割を区間急行に格上げさせるなど、減便減車によるランコスト削減と増収策をかなり打っている。それが今回ほぼ純粋増発となっており、南海電鉄としては最近かつてない好況になっているものと思われる。

とはいえ手放しで喜べるかと言われるとそうでもない。12月27日付のプレスでは、「関空トク割ラピートきっぷ」の値上げに踏み切るとした。空港需要が伸びているため利用者が増えていることを要因としているようだが、この額でもJRに勝てると踏み切ったこと、全線として経営状況が厳しいことなどから、このような結果となったと思われる。2005年の大規模減便以降、負のスパイラルが続いていていて、やっと訪日外国人需要が伸びたところでこのような策をとるとは残念でならない。




2. 特急「ラピート」の増発・増結

今回のダイヤ改正では訪日外国人向けの関西空港需要が伸びていることから、空港関連中心のダイヤ改正となっている。かつては関西空港は無用の長物で、関西3空港を合理化するために伊丹をつぶそうという話もあったが、LCCが台頭し始めた2010年代以降LCCターミナルとしての活路を見出すようになり、訪日外国人が年間2000万人を超えるという波に乗ることもあり、V字回復を遂げることに成功した。これは成田空港にも言えることで、2016年11月19日に行われた京成電鉄のダイヤ改正にも同様のことが言えると思われる。

さて、今回は特急「ラピート」の増発も含まれている。関西空港から大阪へ座席指定列車を使用して行くには南海の「ラピート」とJRの「はるか」であるが、「はるか」は新大阪にしか停まらないためアクセスがやや悪い。そのため、ミナミに存在しキタへも行きやすいなんば発着の「ラピート」の方が安いし利便性が良い。そのため今回は空港急行の混雑緩和目的もあるが、特急「ラピート」の増発に踏み切ったものであると考えられる。

3. 空港急行の増発・増結

今回のダイヤ改正では6割程度の空港急行が8両に増結されるが、ライバルのJR阪和線は関西空港発車時点では4両ではあるものの、日根野で4両増結するためすでに8両化が完了している。とはいえ南海がなぜ消極的なのかというと、JRより南海の方が安いため関西空港への南海空港急行利用はLCC利用者向けであり、多少混雑していても構わないということなのだろう。

また、詳細に公表された空港急行の運行本数は平日・土休日とも20本程度増便している。改正する時刻表を見ていくと、平日・土休日とも夕ラッシュ時の区間急行が30分間隔から2時間間隔に削減され、その削減分が空港急行に引きあけられており、夕ラッシュ時にも最低毎時3本の空港急行が確保されるようになった。これにより泉佐野~和歌山市間では区間急行と普通列車が交換されることにより、区間急行は主に6両編成、普通列車は主に4両編成で運行されることから泉佐野以南での輸送力削減がはかられ、その削減分で空港急行の2両増結が図られているものと思われる。そのため泉佐野以北では夕ラッシュ時でも増結となっており、輸送力増強が期待できるのである。

また深夜時間帯では区間急行羽倉崎行きが急行(春木停車)泉佐野行きへと短縮されており、偶然ではあるものの急行の春木停車が復活する運びとなった。


4. 結び

今回のダイヤ改正は京成同様訪日外国人の増加による国内景気の好循環を表す一例と思われる。今後継続的に増結が行われるか、またJRがどのような対抗策を打ってくるのか見守りたい。

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