増発でのぞみ毎時11本運転実施へ! 東海道新幹線ダイヤ改正(2019年3月16日)

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JR東海は12月14日、プレスリリースにて2019年3月16日にダイヤ改正を行うと公表した( 2019年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち、東海道新幹線の早朝時間帯の増発について見ていく。

2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

同日実施の東海道新幹線ダイヤ改正のうち、昼間のパターンダイヤ時間帯についてはこちら!

1. 臨時「のぞみ」増発で毎時11本運転へ

今回の2019年3月16日東海道新幹線ダイヤ改正では、臨時「のぞみ」が増発されることとなった。

増発されるのは新大阪6時30分発臨時「のぞみ292号」東京行きで、全線所要時間は2時間29分となっていることからN700系専用運転になるものと思われる。

現在、新大阪6時台発は定期「のぞみ」6本、臨時「のぞみ」(休日運休含む)4本の合計10本が運転されている。「のぞみ」毎時10本運転は2012年3月17日ダイヤ改正で一部の米原停車「ひかり」にN700系を導入することにより、一部の時間帯で下り(新大阪・博多方面)列車で導入されたのが初となっており、2014年3月15日ダイヤ改正より昼間のパターンダイヤ時間帯に実施を拡大するとともに、新大阪6時台発「のぞみ」も新大阪6時57分発「のぞみ294号」東京行きを新設することにより、毎時9本から毎時10本に増発された。

それきり最高速度の引き上げが実施され285km/h運転が実施されようが、「ひかり」の完全N700系化で「のぞみ」が所要時間短縮しようが「のぞみ」は最大毎時10本での運転のまま維持されている。しかし今回のダイヤ改正では、5年ぶりに新大阪6時台発臨時「のぞみ」が増発されることで、「のぞみ」毎時11本運転が実現することとなった。




2. 11本目「のぞみ」運転のカラクリはいかに

では、本来最高毎時10本しか運転できないはずの「のぞみ」がなぜ毎時11本運転を行えるようになるのか。

そもそも「のぞみ」毎時10本運転は何を定義に指しているのか。東海道新幹線のパターンダイヤは2008年3月15日ダイヤ改正以来列車新設と所要時間短縮のみを行っている。ただ、所要時間短縮を行う際には始発か終着のどちらかの時刻をずらさなければならない。2015年3月14日ダイヤ改正で285km/h運転を実施することになった際には、初列車は始発駅時刻を変えず、終列車は終着駅時刻を変えないことで東京・新大阪での滞在時間を6分延ばすことに成功したが、それ以外のパターンダイヤ時間帯では東京発着時刻を変えず、新大阪・山陽新幹線側で運転時刻をずらしている。

そしてJR東海のダイヤ改正プレスリリースを見る限り、概ね下りは東京発時刻、上りは東京着時刻で記載されており、新大阪発時刻での記載は少ない。「のぞみ」毎時10本運転というのも、東京発着基準で毎時10本の「のぞみ」が設定可能という意味を指している。

で、JR東海の認識で東京着時刻毎時11本運転を行う時間帯が2019年3月16日ダイヤ改正以降実施されるのかみていくと、見事にない。2018年現在、東京に到着する8時40分~9時39分までに到着する「のぞみ」は9本。そこに2019年3月16日ダイヤ改正で増発される東京8時59分着の「のぞみ292号」が増えても、この時間帯に東京に到着する「のぞみ」は毎時10本にしかならない。なぜ新大阪基準で見ると6時台発は毎時11本なのに、東京着では毎時10本になってしまうのか。

東海道新幹線では、N700系は285km/h運転に対応しているが、昼間は一部の定期「こだま」や臨時「のぞみ」で軌道加速度がN700系より劣る700系新幹線を使用している。パターンダイヤを作るとなると、「こだま」を抜かす駅を指定する必要があり、一部で2時間27分運転がせいぜいとなっているほか、多くは2時間33分運転となっている。

しかし早朝・深夜では、「こだま」も三島始発を除き多くがN700系で運転されていることから、「こだま」を抜かす時間ロスが少なくて済む。このことから、早朝・深夜の「のぞみ」は2時間22分運転を行うことができるほか、パターンダイヤ時間帯よりも所要時間を短縮して運転できる「のぞみ」が多く運転される。

では新大阪6時台発はどうなっているのか。新大阪6時00分発「のぞみ200号」東京行きと新大阪6時03分発「のぞみ202号」東京行きは、ともに新大阪→東京間2時間23分運転を行っている。その後の新大阪6時16分発「のぞみ204号」東京行きは2時間27分運転、新大阪6時20分発~6時43分発「のぞみ」は全て2時間30分運転を行っており、いずれも昼間のスタンダードである2時間33分運転より速い。

そして、東京着時刻を変えずに所要時間短縮を図っていることから、これらの列車では新大阪発時刻をパターンダイヤ時間帯より繰り下げる必要がある。すると、パターンダイヤ時間帯より遅く出発させることができることから、列車間隔を詰めることができる。そのため東京到着「のぞみ」が毎時10本であっても、新大阪6時台発では毎時11本の「のぞみ」が運転可能ということになるのだ。補足だが条件合わせを行っても、8時40分~9時39分までに到着する「のぞみ」はダイヤ改正後毎時10本となるが、この列車が該当する新大阪6時16分~7時15分発の「のぞみ」は11本の運転となっている。

確かに東京駅で全列車折り返すため、東京駅での時刻を移動させにくいというのはあると思われるが、上り列車の着時刻を意識して列車を選ぶことはあっても、到着時刻から毎時10本の運転だとは普通は言わない。普通なら発時刻で見るだろう。ともなると、JR東海を除いて「のぞみ」毎時11本運転になるというのは不条理ということにはならないだろう。




3. 「のぞみ」毎時11本運転は他にあるのか

では、このような経緯でJR東海以外が納得する形の「のぞみ」毎時11本運転を実施することとなる新大阪6時台発であるが、ほかに「のぞみ」毎時11本運転を行っている時間帯はないだろうか。

まず、「のぞみ」毎時11本運転を行うには、東京発着は毎時10本しか設定できないことから所要時間の違いを利用するほかない。早朝・深夜には「のぞみ」が2時間22分運転を実施しており、昼間の「のぞみ」より5~11分程度速く設定されている。しかし早朝下り(新大阪・博多方面)で速い「のぞみ」があると新大阪で後続の「のぞみ」と離れてしまい、運転間隔が空いてしまう。また深夜の上り(東京方面)でやろうとすると、新大阪であらかじめ運転間隔を広げないといけない。

では、深夜の下り(新大阪方面)はどうだろうか。東京発は毎時10本しか設定できないが、最終の東京21時23分発「のぞみ265号」は2015年3月14日ダイヤ改正より最高速度が引き上げられたことにより新大阪まで2時間22分運転を行っていることから、新大阪で運転間隔が詰まっている。このことから新大阪22時50分~23時49分着の「のぞみ」は毎時11本設定されている。

ただ新大阪着毎時11本で「のぞみ」毎時11本運転と言うのは理不尽だ。そこで他の駅で見ていくと、名古屋22時台発下り「のぞみ」は毎時11本の運転となっている。始発駅基準ではないと言われればそれまでだが、少なくとも名古屋→京都・新大阪を新幹線で移動する人は一定数いるはずで、京都で下り「のぞみ」毎時11本運転よりは合理性があるはずだ。ともなると、「のぞみ」毎時11本運転は2例目、ということになるのだろう。


4. 結び

今回の2019年3月16日東海道新幹線ダイヤ改正では、新大阪発臨時「のぞみ292号」を設定することにより、新大阪6時台発の東京行き「のぞみ」が最大11本運転されることとなった。

次回予定されている2020年3月ダイヤ改正では700系新幹線が引退し東海道新幹線の営業列車はN700系による運転に統一され、所要時間も早朝・深夜とパターンダイヤ時間帯で差が縮まることから、新大阪発「のぞみ」の毎時11本運転は1年きりで終了する可能性がある。

今後東海道新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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