JR九州では2023年8月8日より筑肥線用103系でリバイバル塗装の水色塗装を行っている。今回はこれから2026年以降のJR九州筑肥線ダイヤ改正について予測していく。
1. 利用が少ない筑肥線筑前前原~西唐津間で気動車置き換えと減車か!
JR九州では筑肥線用103系3両編成のうち1本を運転開始当初のリバイバル塗装で運転している。
鉄道車両のリバイバル塗装はその車両の引退が近いことを指していることが多い。実際筑肥線用103系も1983年から営業開始した車両ですでに車齢42年を越えており、当初投入した6両編成9本中6本は2015年2月~3月に新型車両305系6両編成6本に置き換えた。残る筑肥線用103系は3両分割工事を受けた3両編成5本となっているが、未だに置き換え用新型車両の公表がない。
103系3両編成が走る筑前前原~唐津間の平均輸送密度は2023年度で5,061人/日・往復となっている。昼間毎時1両で4,000人/日・往復運べるとすると、多少ばらつきがあるとはいえ昼間毎時2両で十分運びきれてしまう。ばらつきが考えられるとはいえ筑前前原~唐津間の中間駅で1日平均乗車人員が1,000人を超える駅はなく、500人を超えているのも筑前深江くらいなので毎時2両では足りない輸送密度8,000人/日・往復を越える隣駅間はないだろう。
この輸送量だと平日夕方は毎時3両~4両、平日朝も毎時5両~6両あれば運びきれてしまう。筑肥線筑前深江~唐津間は平日朝に毎時4本運転を行っていることを踏まえると、終日2両編成で十分運びきれてしまう。少なくとも現状の103系電車3両編成から2両編成に減車しても全く問題ないわけだ。
もっとも輸送密度を踏まえてもわざわざ電化設備を撤去するほどのまでのことかとは思うが、そもそも筑肥線は全線単線非電化だったが、福岡市交通局による地下鉄開業で天神にも乗り入れられるようになること、松浦川河口に橋脚をかけることで唐津市内の中心駅を統合する目的で直流電化工事と合わせて再編した。これにより1983年の福岡市営地下鉄乗り入れ化と電化に合わせ唐津駅乗り入れを開始、西唐津駅横に唐津車両センターを設置し筑肥線電車の点検をしている。
ただし筑肥線向け電車は地下鉄に合わせて直流としたためほかの多くのJR九州の交流電車と合わず独立設備が必要なこと、103系6両編成は9本しか投入されなかったこと、その後も303系6両編成3本を増備したものの合計12本にとどまることから全般検査設備を自社で保有せず、福岡市交通局姪浜車両基地で行っている。
ただ現状の運用繰りではJR九州の車両はほとんどが筑前前原~西唐津間を回送同然に6両編成を空気輸送列車として運転している始末である。2021年3月13日JR九州ダイヤ改正で筑肥線のほとんどの列車が筑前前原乗り換えとなりほとんどの列車が6両から103系3両に減車されたにもかかわらずだ。
このことから検査を姪浜車両基地で行い唐津車両センターへの電車の出入りをなくせば、筑前前原~西唐津間を非電化化して経費を削減できるのではないだろうか。
そもそも筑肥線電車の所属する唐津車両センターは電車のほかに唐津線・筑肥線用気動車を16両配置している。気動車を配置しても点検に大きな問題はない。また電車より気動車の方が製造費が安くつくため固定資産税も抑えられる。YC1系のような2両編成気動車を導入した方が新車導入コストも抑えられるのだ。
そう考えると設備削減と保守合理化を図るため筑肥線筑前前原~西唐津間を非電化化、2両編成気動車に置き換えてもおかしくないのではないだろうか。
2. 唐津車両センターの電車乗り入れ廃止で303系置き換え分も気動車で代替か!
また筑前前原~西唐津間を非電化化すると地下鉄空港線直通用の6両編成の運用も削減できる。
朝夕を中心に唐津車両センター出入庫の関係で6両固定編成の303系や305系の運用が増えるが、6両固定編成の唐津乗り入れがなくなってしまえば福岡空港~筑前前原、せいぜい筑前深江の往復だけで済むようになる。これにより筑肥線6両編成電車運用を3運用削減できる見込みだ。これにより1999年から導入し車齢23年を越える303系6両固定編成3本を電車で置き換える必要がなくなる。
103系3両固定編成5本と303系6両固定編成3本計33両の置き換えに際し、2両編成気動車8本16両で置き換えてもおかしくないのではないか。
3. 筑肥線103系や303系の置き換え時期はいつになるのか
では103系や303系の置き換えはいつになるのだろうか。
まず非電化化に際する車両更新となると、2両編成9本の気動車は一斉投入になる。このため103系と303系は同時置き換えと見た方がいいだろう。
ただ1983年運転開始の103系と1999年運転開始の303系は製造時期が大きく異なっている。車齢40年を越える103系はとっとと置き換えられても致し方ないし実際6両固定編成は新型車両305系に置き換え済みである。一方車齢20年程度の303系は6両ワンマン運転にも対応していることから特段あえて置き換える必要性はない。
このため非電化化して2両編成気動車で置き換えるにあたり103系と303系を置き換えるにはやや強引なのである。
4. 中古車として東京臨海高速鉄道りんかい線用70-000形を2両に減車し投入へ!
そこでとりあえず非電化化に向けた車両基地再編ができない中で老朽化した103系だけでも車両更新しようとして白羽の矢が立ったのが東京臨海高速鉄道りんかい線用70-000形を中古車として筑肥線に転属させることである。
3両から2両に減車するが、先述した通り輸送力として全く問題ないし、鋼製車からステンレス車への置き換えとなるため大きく動力費を削減できる。
またりんかい線用70-000形は1996年から運転開始した車両であることから非電化化するにあたり同時置き換え対象となりうる303系電車と車齢が近い。このため今後筑前前原~西唐津間を非電化化することになったとき一斉に車両置き換えがができるのだ。鉄道車両の寿命は40年~50年程度であることから、2040年~2045年頃をめどに非電化化し303系6両編成や70-000形2両編成を2両編成気動車で置き換えてもおかしくはない。
そう考えると2026年3月ごろをめどに筑前前原~西唐津間は103系3両編成5本を中古車両の70-000形2両編成5本で置き換えひとまず車両更新、その後2040年ごろに非電化化を図る際に70-000形2両編成5本と303系6両編成3本を気動車2両編成8本で置き換えるのではないだろうか。
5. 結び
今回の2026年3月JR九州筑肥線ダイヤ改正では、103系電車の置き換え目的として303系とほぼ車齢の近い東京臨海高速鉄道りんかい線用70-000形を投入、その後2040年ごろをめどに維持費節減のため筑前前原~西唐津間を非電化化し2両編成気動車を投入し、老朽化した303系電車と70-000系電車を置き換える見込みだ。
今後JR九州筑肥線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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