ついに可部線一部復活へ JR西日本広島支社ダイヤ修正(2016年12月18日)

 449回閲覧

JR西日本広島支社は11月14日、プレスリリースにて2016年12月18日に2017年3月予定の可部線可部~あき亀山間延伸に向けて先行してダイヤ修正が行うと公表した( https://www.westjr.co.jp/press/article/2016/11/page_9481.html )。今回はこれに伴い、3月のダイヤ改正の予測を行う。

1. 今回のダイヤ修正は可部線延伸をにらんだもの

今回のダイヤ修正では可部線を始めとして広島地区のJR線で広く行われる。最も運転時刻の変更が多いのは可部線である。これは、可部駅が3線から2線に減り、河戸帆待川までの運用を考えなくてはならないためであり、可部~あき亀山間の試験運行もこのダイヤのスジで行われるものと思われる。開業前のダイヤ修正としては、2000年の埼玉高速鉄道開業前の当時の営団地下鉄南北線、および2004年の横浜高速鉄道みなとみらい線開業前日の東急東横線などが挙げられる。この時行われたダイヤ修正も新線への試験走行スジを確保するためのものであり、今回も同様の対策となるものと思われる。




2. 新線開業により需要が見込めるのか

そもそも今回の可部線延伸は、2003年に廃止となった可部~三段峡間46.2kmのうち、1.6kmが復活することになる。それより先の区間はすでに沿線自治体である広島市と安芸太田町に無償譲渡されており、道路の拡張やバスターミナル用地として活用されている。廃止代替時に広島交通(可部~安芸飯室)と広電バス(安芸飯室~三段峡)が出されたが、広電バスは当初設定されていた可部~三段峡間の急行バスを需要低迷により2010年で廃止、広島と益田を戸河内経由結ぶ新広益線も石見交通のみの運行としてしまった。広島交通も中型車で平日8往復、土休日5往復しか運行しないとすると、とても厳しい現状が見えるものと思われる。

では、バス10往復程度しかない需要しかなかったのだろうか。実は可部線から北に500m程離れた国道191号線に目を向けると、バスの多さに驚く。可部~飯室間で昼間毎時3本、河戸帆待川に近い中大毛寺までは毎時6から7本運行されており、比較的需要があるのである。特に勝木止めや勝木台止め、県営虹山住宅止めは国道191号線より可部線寄りのエリアも通るためよりいっそう狙えるのである。

ただしバスにもメリットがある。それは、バスは広島市の中心部である紙屋町や八丁堀まで直通で結ぶことである。広島市街地の東のはずれの広島駅を西側から経由するのは広島市への輸送の3割程度しかなく、はっきりいってJRに乗ってくれる乗客は芸備線も含めて少なく、ほぼ広島交通に取られてしまう始末である。エリアを延ばしても紙屋町を通らなければ、市民はなかなか使いづらいのである。

とはいえ、新駅の立地も計画的に練られていることから、次項で説明する。




3. 計画的に練られた新駅設置

2017年3月のダイヤ改正であき亀山と河戸帆待川の両駅が開業するわけだが、双方とも立地が戦略的に行われている。

まずは河戸帆待川駅から。この駅は可部駅から0.8kmに位置し、棒線駅である。この位置は、安佐北区役所の近傍であり、役所アクセスとして用いられることが期待される。

次はあき亀山駅。かつての河戸駅は可部駅から1.3kmに位置していたが、この駅は可部駅から1.6kmに位置している。これは、広島駅からの運賃計算キロが20.1kmにさせるためであり、認可の運賃もそれに相当する410円となっている。もし河戸駅の場所のまま復活したら0.3km短くなり、320円になってしまい、可部駅と運賃が変わらず営業経費が増すだけの他、90円分収益が落ちることになる。この差は定期券でも大きい。一言でいうと大人の事情といえよう。今回の2駅は、かなり戦略的に作られているものと思われる。

4. 2017年3月のダイヤ予想

ここで2017年3月の可部線のダイヤ予想を立てる。

広島市の総合交通戦略によれば中島駅の交換設備設置による可部駅までのラッシュ時10分間隔化が挙げられているが、今のところその見通しは立っていない。となれば、可部駅に来る電車は終日概ね20分間隔となる。先にあげた通り河戸帆待川駅は安佐北区役所近傍であることから昼間でもある程度需要が見込め、あき亀山まで終日20分間隔になるものと思われる。初終電については可部発着となる可能性はあるが、それ以外は原則直通になるものと思われる。


5. 結び

今回はJR西日本在来線では8年ぶりの延伸となり、特にJRで廃止となった路線の復活としては初となる。とはいえ、重厚長大型の遠距離重視の国鉄時代に整備された路線ではなかなか地元のニーズに合致せず、難航しているところも多い。今回もバスに圧倒されており、同じ広島県内では三江線の廃止が正式に決まったが、今後いかにニーズのあったサービスを提供できるかがカギになると思われる。

コメント

コメントを投稿される方はこちらの注意事項をお読みください。コメント投稿時点でこの注意事項に同意したものとみなします。

トップページに戻る

タイトルとURLをコピーしました