北海道の特急再編へ JR北海道ダイヤ改正(2017年3月4日)

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JR北海道は12月16日、プレスで2017年3月4日にダイヤ改正すると公表した( https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161216-3.pdf )。今回はこれについて見ていく。

2017年3月4日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 旭川方面気動車特急の大幅見直し

今回の2017年3月ダイヤ改正では、前評判通り旭川を経由する特急列車の見直しが大幅に行われた

今回は特急「スーパー宗谷」と「オホーツク」で見直しが行われ、宗谷本線方面は札幌発着の「宗谷」1往復と旭川発着の「サロベツ」2往復となり、全てが高性能のキハ261系化、石北本線方面は札幌発着の「オホーツク」2往復と旭川発着の「大雪」2往復に再編される。電車特急は札幌〜旭川間を従来の5両編成を用いた「カムイ」と、6両編成グリーン車付きの「ライラック」の2種類となり、電車特急としては合計で1往復の増便となるほか、列車番号はこちらのみ通しで振られる。旭川発着の気動車特急は旭川で特急「ライラック」に乗り換えることができ、接続する「ライラック」は指定席を1両拡大する措置がとられ、遠距離利用に有利にする。

今回の2017年3月ダイヤ改正にて気動車特急8本を旭川発着に短縮しハブ化を図ることにより少なくとも14両のキハ183系の削減に成功するものと思われる。これは、2016年3月に行われた普通列車79本見直しのキハ40系10両削減より効率が良い。キハ183系については車齢が33年を超える初期車の34両を置き換えたいようで、今回のダイヤ改正で8両はキハ261系増備でまかなえることから、残るは12両となる見込みである。そしてその12両はもれなく今回のダイヤ改正で特急「オホーツク」に集中投入されることになる。とはいえ、多客期増結を考えると実は現状でも8両は波動輸送用であり、のこり4両を点検時の予備や臨時代走用としてしまえば、35年のみならず50年持たせようと思えばもたせることができるのではなかろうか。JR北海道の存続のためには、車両更新費を抑えなければならないので、最高速度と騒音に目をつぶらなくてはならないという厳しい現実があり、電車特急も北海道新幹線開業前に青函トンネルで使用されていた789系0代を用いて新車の製造を抑えている。

新幹線開業による特急列車の転用はJR東日本のE751系、JR九州787系、JR西日本289系などが挙げられるが、いずれも国鉄485系(または交流設備を撤去した183系)の置き換えであり、国鉄分割民営化後に製造された特急型車両の置き換えを行うのは今回のJR北海道が初である。また、2007年まで札幌~旭川間で「ライラック」として運行されていた781系の製造時期は1978年~1980年であり、485系の最終製造が1979年で、2017年3月まで定期運用があることを考えると、運行が多頻度だったとはいえ寿命前に789系1000代に置き換えてしまった感が否めない。JR北海道は分割民営化当初から経営難が予想されていたため、その意識がなかったのか気になるところである。

なお、今回のダイヤ改正で札幌~旭川間の特急列車は3往復削減されるが、電車特急の増結化により輸送力自体は増え、ハブ化によるランコスト削減を図る一方で混雑緩和に寄与するものと思われる。また特別快速「きたみ」は、旭川での特急「ライラック」「カムイ」との接続を改善し、現状の35~41分から特急「大雪」との接続時間と同等の10~12分で乗り継ぎができるようになる。2017年以降は札幌からの石北本線方面の公認接続列車として機能し、利便性を極力維持する方向性が確認できる。




2. 「北斗」も1往復置き換え

キハ183系特急「北斗」も1往復がキハ261系に置き換えられ、10分程度スピードアップが図られる。この置き換えで捻出されたキハ183系は先述の通り特急「オホーツク」「大雪」に転用されると思われる。今後「オホーツク」「大雪」用キハ183系の置き換えのために「北斗」がどこまで「スーパー北斗」に転用されるか注目だと思われる。




3. 気動車普通列車の削減は回避したものの、廃駅はすすむ

今回のダイヤ改正では千歳線美々、根室線島ノ下、稲士別、上厚内、釧網線五十石、函館線東山、姫川、桂川、北豊津、蕨岱の合計10駅廃止が廃止となり、昨年の8駅廃止と合わせて合計18駅が廃止となった。

前回は石北本線の白滝と名の付く駅がことごとく廃止に追い込まれたが、今回の廃止で2年間の累計では函館本線6駅、根室本線4駅、石北本線4駅、石勝線2駅、釧網本線1駅、千歳線1駅となった。電化区間での廃止は函館本線張碓駅(1998年休止)以来であり、電化区間であっても厳しい環境がみえる。実際千歳線に乗ってみると栄えているのは札幌市外では駅前だけで、少し走ると畑と農地しかなくなる。そのような環境が駅前にも広がっている地域があり、今回はさらなる廃止に追い込まれたものと思われる。廃駅のメリットとしては駅設備を手放せるほか、気動車の場合走行中は惰行で走行するため、おもに軽油を消費するのは駅発車時となることから、ランコスト削減につなげることができる。2年連続で閑散線区である宗谷本線の廃駅がなかったが、これは政治的意図が関わっている可能性が高いと思われ、せっかくロシアと首脳会談をやっていて、樺太への鉄道構想が復活しかけている狭間で宗谷本線の廃駅となれば、水を差しかねない。そのため今回のプレスでは宗谷本線は1駅も廃止にしなかったものの、2018年ダイヤ改正では多くの廃駅が見込まれるものと思われる。その他留萌本線にも廃駅候補が複数あったが、こちらは路線ごと廃止する方針なのだろう。


4. 結び

今回のダイヤ改正では、気動車特急の見直しや廃駅の加速など、さらなるJR北海道の縮小を感じた。

今後JR北海道は4線区の廃止も画策しており、今後どのような展開を見据えているのか見守ってゆきたい。

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