平日朝に快速急行大増発で大幅時間短縮! 小田急電鉄複々線化完了に伴うダイヤ改正(2018年3月17日)

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小田急電鉄は11月1日、プレスリリースにて2018年3月に代々木上原~登戸間の複々線化工事事業が完了することを受け、大幅なダイヤ改正を行うと公表した( 2018年3月、新ダイヤでの運行開始 )。今回は第2弾として、平日朝ラッシュ時のダイヤについて、向ケ丘遊園→新宿間の急行停車駅(経堂含む)を中心に見ていく。

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同日実施予定の小田急電鉄の昼間のダイヤ改正についてはこちら!

1. 複々線化完成で輸送力大幅増強

今回の2018年3月17日ダイヤ改正では、小田急電鉄の複々線化完成に伴い、終日にわたり大きくダイヤが改正される。

平日朝ラッシュ時は毎時27本から毎時36本に大幅増強され、地下鉄千代田線直通列車も毎時5本から毎時12本に大幅増加する(逆に言えば、新宿行きは毎時22本から毎時24本へ2本しか増えない)。輸送力は現状は毎時252両であるが、2018年3月17日ダイヤ改正後は毎時348両に38.1%増強され、混雑率も150%程度にまで緩和される見込みであるが、2015年大都市交通センサスのデータによれば小田急電鉄の東京都心部方面利用の約72%が新宿利用であるにもかかわらず、新宿行きは下北沢に到着する列車の輸送量ベースで65%程度しか設定されないことから、最混雑区間が2016年度現在は世田谷代田→下北沢となっているが、2018年度以降は参宮橋→南新宿に変更となる可能性がある。

プレスリリース付属の時刻表を見ると、平日朝ラッシュ時は快速急行と通勤急行、通勤準急の3種別が内側線の急行線を用い、各駅停車のみが外側の緩行線を使用する見込みだ。ただ通勤準急は登戸で快速急行を待避する必要があるため、向ケ丘遊園→登戸間で緩行線である外側線を使用するようだ。また、地下鉄千代田線方面行き直通列車は下北沢で地下1階ホーム到着となるため、梅ヶ丘→代々木上原でも緩行線を走行する見込みだ。そのほか、平日朝オフピークに運行される急行は急行線を走行するが、日中や平日夕ラッシュ時に運転される停車駅の増えた準急は緩行線を走行するようだ。




2. 小田急電鉄でも千鳥停車を実施

今回2018年3月ダイヤ改正では、小田急電鉄の種別と停車駅に大幅に手を加えられる。

まずは運行本数について。先述した通り平日朝ラッシュ時の運行本数が毎時27本から毎時36本に拡大される。これまでは向ケ丘遊園→代々木上原間では6分40秒サイクルダイヤを組んでおり、急行+準急が2本、各停が1本を9サイクルで1時間を回していたが、今回の2018年3月17日ダイヤ改正で白紙化され、10分サイクルダイヤに再編の上、小田原発快速急行新宿行き、藤沢発快速急行新宿行き、多摩線発通勤急行新宿行き、小田原線発各停新宿行き、小田原線発通勤準急千代田線方面、向ケ丘遊園発各停千代田線方面が1本ずつを6サイクルで1時間を回すこととなった。千代田線直通列車は2017年現在では急行や準急が毎時5本であるが、2018年3月17日ダイヤ改正後は通勤準急毎時6本と各停毎時6本の合わせて毎時12本となる。

今回の2018年3月17日ダイヤ改正では先述のように多くの種別改廃や停車駅変更が行われているが、平日朝ラッシュ時時間帯に関しては実はダイヤパターンこそ大きく変わっているが、実は停車駅は比較的簡素だ。まず、各駅停車は東急大井町線のようなことがない限り各駅に停まる。ただし新要素として千代田線直通列車が新しく設定されている。また通勤準急は現在平日朝ラッシュ時に運転されている準急から経堂を追加停車させただけのもので、平日夕ラッシュ時の準急と停車駅は全く同一だ。残るは通勤急行と快速急行であるが、今回小田急電鉄ではこの2種別に対して千鳥停車方式を採用している。

通勤急行も快速急行も、小田原線や多摩線では急行と同じ停車駅であるが、新百合ヶ丘を過ぎると快速急行は新規停車となる登戸に停車するのに対し、通勤急行は向ケ丘遊園と成城学園前に停車してから下北沢に到着する。つまり昼間は急行の停車する経堂を除く急行停車駅(つまり2017年現在の平日朝ラッシュ時の急行停車駅)を快速急行と通勤急行にそれぞれ振り分けているのである。このように千鳥停車を行うことによって、需要の多い登戸と成城学園前から乗る乗客を分散させ、混雑を均等化できるものと思われる。また複々線化区間の急行停車駅すべてをカバーする種別である通勤準急を新宿乗り入れではなく地下鉄千代田線直通とすることで、朝の約7割にも及ぶ新宿駅利用から遠ざけ、混雑を分散させようとしている。

そのほか、現在平日朝の中心的存在となっている急行は平日朝も経堂に停車するようになったのだが、下北沢7時00分~8時54分着で全廃されており、急行のない時間帯は先述の通り快速急行と通勤急行が急行停車駅の需要をカバーすることになった。

ということで、次の節から向ケ丘遊園~経堂間の急行停車駅の乗車チャンスについて見ていく。




3. 所要時間短縮も、乗車チャンスはいかに

今回の2017年3月17日小田急電鉄ダイヤ改正では、所要時間短縮が大きく謳われている。

今回扱う範囲内でも、経堂→新宿が21分から14分となり7分の短縮、登戸→新宿が27分から18分となり9分の短縮が図られる。しかし乗車チャンスが大きく減っては所要時間の短縮も水の泡だ。ということで今回は各駅の乗車チャンスについて、小田急電鉄ダイヤ改正プレスリリースに付いている時刻表を基に、平日朝の下北沢先着列車(代々木上原先着と同義)と新宿直通先着列車で比較して見ていく。なお、評価は小田急線利用の東京都心方面利用の約7割が新宿利用で、残り約3割が代々木上原または下北沢で地下鉄千代田線ないし京王井の頭線に乗り継ぐ需要であるため、新宿先着列車を重視することとする。




3.1. 向ケ丘遊園は大幅減少

川崎市多摩区の代表駅となる向ケ丘遊園であるが、他の急行停車駅と比べても利用者数が少ないために今回尾2018年3月17日ダイヤ改正で乗車チャンスが大幅に減っている。現状は下北沢先着が急行と準急の合計毎時18本、うち新宿乗り入れが13本であるが、ダイヤ改正後は下北沢先着が通勤急行と通勤準急の合計毎時12本、うち新宿乗り入れは通勤急行のみの毎時6本のみとなっている。

先着列車全体で見ても33.4%減少しているというのに、新宿直通先着列車は半分以下にまで落ち込んでいる。いくら新宿までの所要時間が29分から20分に大幅に短縮されるとはいえ、通勤準急は千代田線に乗り入れるとはいえもっと遅くなるはずだからこれはいただけない。そういう際には各駅停車を1駅乗って登戸に行ってみよう。多摩線始発の通勤急行よりかは混んでいると思われるが、江ノ島線から来る快速急行に接続することができる。もじ通勤急行に乗りそびれ、急ぎの場合には使ってみよう。

3.2. 登戸も実質減少か

次に川崎市多摩区で一番需要の多い駅登戸だ。

JR東日本の南武線とも乗り換えらえるこの駅は今回の2018年3月17日ダイヤ改正で新たに快速急行の停車駅に加わった。さぞかし乗車チャンスも増えただろうと思われたがどっこい。よく見ると小田原発の快速急行と通勤準急が同時発車ではないか。ということで、現状は向ケ丘遊園同様下北沢先着が急行と準急の合計毎時18本、うち新宿乗り入れが13本であるが、下北沢先着は快速急行の毎時12本のみで、その全てが新宿に乗り入れる。

ダイヤ改正後の快速急行は均等に5分間隔で来るが、現状も3~5分間隔で急行や準急が来ると思えばそこまで悪くはない、いや現状では千代田線直通急行・準急を挟むと新宿行きまで7分待つこともあるので対新宿としてはむしろ改正なのだろう。所要時間短縮もあり登戸の利便性は多少乗車チャンスは減っているが利便性は総じて上がっているように思う。またこれまで毎時5本あった千代田線直通利用したいのであれば、ダイヤ改正後では通勤準急毎時6本を利用すればよい。停車駅は現状の急行より多いが、複々線化効果により所要時間短縮は快速急行程ではないが行われているし、途中駅で抜かされるわけでもないので、登戸からは東京都心のどこに行くにも改善されているようだ。



3.3. 成城学園前は利便性低下へ

次の急行停車駅となる成城学園前。ここまでくると通勤急行と通勤準急の差は経堂に停まるか停まらないかしかないため、下北沢や代々木上原までの所要時間はさほど変わらない。また均等に5分間隔発車となっているから毎時12本が確保されている。しかし新宿に乗り入れるのは通勤急行のみであるから毎時6本のみだ。

先着列車全体で見ても33.4%減少しているというのに、新宿直通先着列車は半分以下にまで落ち込んでおり、利用者数は多いはずなのに結果は向ケ丘遊園と変わらないという悲しい結果になっている、いやむしろ向ケ丘遊園ではできた各停利用による登戸からの快速急行利用ができないから、むしろ向ケ丘遊園より利便性が低いのかもしれない。競合交通機関がないだけでここまで利便性に差が出るとなると、やはり今回の2018年3月17日のダイヤ改正は小田急電鉄による「選択と集中」が行われているのであろう。

3.4. 経堂は平日朝ラッシュ時に優等列車停車で大幅改善

そして今回の2018年3月17日ダイヤ改正で平日朝ラッシュ時に優等列車が停まるようになる経堂だ。これまで平日朝ラッシュ時は新宿行き各駅停車毎時9本しかなかったが、今回の2018年3月17日ダイヤ改正で各駅停車が毎時12本になるほか、通勤準急も毎時6本停車することとなる。

ただ経堂で地下鉄千代田線直通各駅停車が地下鉄千代田線直通通勤準急を待避するので新宿方面・地下鉄千代田線方面とも先着直通列車は毎時6本ずつとなるが、地下鉄千代田線直通の通勤準急は代々木上原で江ノ島線から来る快速急行新宿行きと接続するため、利便性は高くなるはずだ。それゆえ所要時間も乗り換えのない現状では各駅停車しかないために新宿まで21分かかるのに、今回のダイヤ改正後は通勤準急から快速急行に代々木上原で乗り換えて14分となり、7分も短縮することになった。

今回のダイヤ改正では経堂からの新宿直通優等列車は平日朝ラッシュ時には設定されなかったが、オフピークには急行が停車することとなったため、もし新宿まで直通する優等列車を利用したいのであれば7時までと8時50分以降のオフピーク通勤をするということになるのだろう。


4. 結び

今回の2018年3月17日小田急電鉄ダイヤ改正では、複々線化工事完成に伴い平日朝ラッシュ時の運行形態に大幅な変更が生じ、急行停車駅だけでも快速急行が停まるか停まらないかで大きく利便性に差が出ることが分かった。今回のダイヤ改正では小田急電鉄初の試みとなる千鳥停車を快速急行と通勤急行で導入したが、この千鳥停車が混雑緩和に対しどのように発揮されるのか、地下鉄千代田線直通優等列車を通勤準急に一本化したことでどのような影響が出るのか見守ってゆきたい。

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