新型特急導入も料金不要列車減便へ 近畿日本鉄道ダイヤ変更予測(2020年3月予定)

近畿日本鉄道は2019年8月30日、2020年3月14日より名阪特急に新型車両を投入すると公表した( 新型名阪特急「ひのとり」 2020年3月14日(土)デビュー! )。今回はこれから、近畿日本鉄道の2020年3月ダイヤ改正について予測していく。

2020年3月ダイヤ改正予測一覧はこちら!


1. 阪神電鉄の減便で近鉄奈良線も減便か

今回の2020年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、2018年3月17日ダイヤ変更以来約2年ぶりに近鉄の主要路線でダイヤ変更が実施される見込みだ。

今回のダイヤ改正では近鉄奈良線と直通する阪神なんば線で快速急行が減便することが濃厚であり、その影響を受け平日朝の大阪難波→近鉄奈良間の快速急行を削減する可能性が高い。

もっともこの減便は阪神本線内で快速急行が6両から8両に増結するため行われているが、尼崎から東側では既に尼崎で増解結して10両編成として運転していることから、ただ減便するだけなのだ。

ただ阪神なんば線内でも混雑率が102%しかならないこと、近鉄奈良線内でもラッシュ時と逆方向であることなどから、減便しても影響は最小限に抑えられるものと思われる。

これにより近鉄車の運用数を1運用減らすことができそうで、8両ないし10両分を削減できそうだ。

このほかにも河内永和に停車する列車を増やす可能性もゼロではないが、近鉄奈良に向かう際に570円から450円に下げられては、近鉄に減収をもたらしうる。そう考えると、引き続き山陽新幹線から奈良への利用はなんば経由で利用してもらいたいのだろう。そう考えると、河内永和に他の種別を停めるとはあまりかんがえられないのではないだろうか。




2. 新型特急車両導入で料金値上げへ

今回の2020年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、名阪特急に80000系ひのとりを導入する。

これまでも近畿日本鉄道では新しい特急型車両をおおむねダイヤ改正に合わせて導入してきた。今回の80000系ひのとりが2020年3月14日に導入するということは、それに合わせてダイヤ改正が実施される可能性が高そうだ。

この80000系ひのとりは6両編成8本と8両編成3本を導入する。この両数は21000系アーバンライナー(plus)の両数と一致している。

車内設備は、6両ないし8両編成のうち先頭車2両はプレミアム車両、そのほかの中間車がレギュラー車両となっている。現在名阪特急のうち停車駅の少ない速達列車で運転している21000系アーバンライナーplusでは6号車のみがデラックス車両となっているが、改造前の21000系アーバンライナーと同じくハイグレード座席が2両に戻っている。

ただ、編成全体で見ると1本あたりの輸送力は落ちている。21000系アーバンライナー(plus)は6両編成で編成定員306人だが、8000系ひのとりは同じ6両編成でも239人しか利用できず、輸送力が21.9%も落ちている。つまり80000系ひのとり6両編成の編成定員は21000系アーバンライナー(plus)5両分もないのだ。ちなみに80000系ひのとり8両編成は編成定員327人であることから、21000系アーバンライナー(plus)6両編成とほぼ同じ輸送力を持つということになる。

これは、80000系ひのとりプレミアム車両はシートピッチ(前後間隔)が1,300mmとE5系新幹線やE7系新幹線のグランクラス、航空機のファーストクラス並みとなっており、21000系アーバンライナー(plus)デラックス車両の1,050mmと比べて大幅に広がっていること、80000系ひのとりプレミアム車両はハイデッカー車を採用したことで乗降扉から座席まで階段が用意されておりスペースをとることなどが考えられる。

また80000系ひのとりレギュラー車両はシートピッチ(前後間隔)が1,160mmと新幹線やJR各線在来線特急のグリーン車と同じシートピッチとなっており(但し2人掛け&2人掛けなので、E657系常磐線特急「ひたち」「ときわ」やE353系中央本線特急「あずさ」「かいじ」などのグリーン車に似ている、と思った方が良い)、21000系アーバンライナー(plus)レギュラー車両の1,050mmと比べてこちらも広がっている(とはいえ21000系アーバンライナー(plus)レギュラー車両のシートピッチも新幹線普通車のシートピッチ1,040mmとほぼ同等のシートピッチなのだが)。

これにより21000系アーバンライナー(plus)デラックス車両が1両36人なのに対し80000系ひのとりプレミアム車両は1両21人、21000系アーバンライナー(plus)レギュラー車両は1両56人なのに対し80000系ひのとりレギュラー車両は1両52人と減っている。

これにより1編成当たりの輸送力が20%以上落ちるわけだが、所要時間が15分程度しか変わらず原則全列車先着する特急列車で停車駅の多い列車と停車駅の絞った列車どちらに多く乗るかと言うと、停車駅の多い方が途中駅から拾えるので乗客が多くなりやすくなるだろう。そう考えると、名阪特急のうち停車駅が少ない列車で座席定員を減らすのは理にかなっているともとれる。

しかし近鉄の新車導入戦略はそれでは終わらない。なんと新型車両80000系ひのとりで運転する特急列車は他の近鉄特急より高い料金を徴収するのだ

プレミアム車両は大阪難波・鶴橋~近鉄名古屋間の利用で、特急料金と別にかかる特別車両料金が900円で設定される。21000系アーバンライナー(plus)デラックス車両の特別車両料金が520円(2019年10月1日以降)であることから、380円の値上げとなる。ただハイグレード座席の値上げに関しては、シートピッチが広がっておりハイデッカー車両となること、しまかぜの特別車両料金が大阪難波・近鉄名古屋~賢島間で1,050円(2019年10月1日以降)、大阪難波・近鉄名古屋~伊勢市・宇治山田間で840円であることを考えると、妥当な値上げと言っても良いのではないだろうか。

しかし80000系ひのとりではレギュラー車両を利用の際も特別車両料金を徴収するのだ。大阪難波・鶴橋~近鉄名古屋間の利用でレギュラー車両でも特別車両料金200円を徴収するのだ。つまり80000系ひのとりでレギュラー車両を利用する際でも、ほかのAceなどの特急型車両のレギュラー車両と比べて200円高くつくのだ。

2017年4月21日ダイヤ改正で導入した東武500系Revatyでシートピッチ狭くしたのに全日で一番料金の高い土休日料金を徴収して午後割・夜割。平日料金を適用させないただの値上げよりかはましかもしれない。

しかし特別車両料金というのは本来他の座席と比べて付加価値のある座席を使用する際に支払うべき料金である。レギュラー特別車両料金とは一体なによ、定期チャーター便よりも矛盾したこと言ってない?

また近鉄では2021年3月までに名阪特急のうち速達列車を全て80000系ひのとりで置き換え運用するとしている。これは実質名阪特急のうち停車駅の少ない特急列車の値上げと捉えていいだろう。

80000系ひのとりと21000系アーバンライナー(plus)の導入本数が同じであると考えると、今回のダイヤ改正による置き換えにより1988年より製造された21000系アーバンライナー(plus)は廃車が濃厚とするのが一番道理が通る。が、12000系スナックカーが現存する車両でも1971年に製造された車両があり、既に48年も運転している車両もある。1980年より運用している小田急ロマンスカーLSEや1982年より運用しているJR西日本伯備線特急「やくも」もビックリするレベルで、他に特急型車両でこんなにも長期間運用している大手私鉄は東武鉄道350型(元急行「りょうもう」用、1800型として1969年に製造)くらいしかない。そう考えると、増結用2両編成3本は12000系スナックカー2両編成3本をそのまま置き換え、12000系スナックカーの2両編成をすべて置き換える可能性がある。また1号車のデラックス車両をレギュラー車両に改造して大阪線のみならず4両+2両の運用を6両固定で置き換える可能性もある。

なお2002年に製造された21020系アーバンライナーnextは名阪乙特急を中心に運転を継続するのだろう。

このように考えていくと、減っている旅客量に対していかに収益を確保するかを目標としているようだ。快速急行の減便は近鉄車の運用数を減らすことができ経費節減につなげることができるほか、事実上の名阪特急の値上げは客単価の増額による増収入の期待ではないか。




3. 速達列車の停車駅増加は引き続き実施されるのか

今回の2020年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、速達列車の停車駅増加は引き続き実施されるのだろうか。

現在の大阪都市圏の鉄道は、総利用者数は増えているが、増えているのは大都市部の昼間であってラッシュ時や末端部の終日は減り続けている。鉄道会社にとって割引があって時間により極端な輸送量変化がありそれを運ぶための列車を導入する必要があるコスパの悪いラッシュ時の乗客増加より、普通乗車券(強いて割り引いても回数乗車券)で乗車してくれてラッシュ時を超えない車両で運用でき、人員行路的にも無理を強いることが減る昼間の利用客数が増える方が良いのだ。

ただ2019年4月15日南海電鉄ダイヤ改正を考えても、混雑率が130%以上の路線で減便行うとは考えにくいし、120%以上の路線も減便にはなる可能性は低いとみていいだろう(もっとも東京都市圏なら減便の対象になる水準なのだが)。そう考えると、大阪周辺での幹線系線区の減便は考えにくく、考えられるとしたら末端部のみになりそうだ。

そこで考えられるのが速達列車の各駅停車化による列車走行キロ削減だ。

まず考えられるのが大阪線の三本松の快速急行停車化。三本松は乗車人員104人/日と極めて需要が少なく、平日夕ラッシュ時は1時間に1本しか停車しないような小駅だが、朝は6時台に毎時3本も停車している。しかも10両編成の快速急行が毎時4本あるので合計毎時7本も運転している。そんなに運転本数が必要なのか、榛原始発や大和朝倉始発に短縮して運転本数を削減しにくるのではないだろうか。

ただ、朝夕ラッシュ時に三本松に停車する名張発着の準急以下の列車は、名張の車庫からの出入庫を兼ねている。そう考えると、直ちに三本松に快速急行を停車させて名張発着の準急以下を削減するということはしにくいのではないだろうか。

また、もう大阪線でもう1つ考えられるのが、急行の一部格下げだ。前回の2018年3月17日ダイヤ改正では河内国分〜五位堂間で各駅に停まる列車を地域輸送性の観点から毎時3本から毎時4本に増発したが、同時に五位堂の車庫への出入庫をしやすくしている。ただ、五位堂から先は昼間毎時19両あれば足りてしまうこと、大阪上本町を出るとほぼ終日にわたり準急以下は河内国分や五位堂などで抜かれてしまい、大和高田や大和八木へは先着しない。

そう考えると、急行の一部を五位堂〜桜井間で各駅に停車させ、急行通過駅から鶴橋・大阪上本町への直通列車を設定することで、利便性向上を狙える。もし急行から五位堂〜桜井間を各駅に停車させても、大和高田〜鶴橋では1駅、大和八木〜大阪上本町では3駅しか停車駅が増えない。そう考えると、急行のうち一部を区間急行として五位堂〜桜井間を各駅に停車させてもいいのではないだろうか。

区間急行を設定するとすれば、昼間は急行毎時3本のうち名張行きおよび青山町始発の合計毎時1本、平日夜間の大阪上本町20時台以降発は急行毎時4本のうち毎時2本を区間急行に格下げて、その分普通列車や区間準急を減らしてしまえばいいのではないだろうか。大和高田〜桜井間で並走しているJR桜井線は昼間毎時1本しかないし、ピカピカな新車227系100番台を入れたって和歌山方面に乗り入れて大阪には向かわないのですでに近鉄が大きく優勢だし(というか既にほぼ棲み分けされてるし)、毎時1本が区間内各駅に停まる大阪上本町先着として設定して利便性向上を図ってもお互い影響はないと言っても過言ではないだろう。

また区間急行を昼間や平日夜間オフピーク時に設定すると、需要の少ない三本松を区間急行以下の停車とし、急行を通過とすることができる。そうすれば残った急行も所要時間を短縮することができそうだ。

このほかに大阪線では平日朝夕ラッシュ時の快速急行運転時間帯短縮に伴う急行への格下げ、土休日朝夕運転の快速急行の大幅な急行格下げを行い、末端区間で準急以下を格下げ・運転区間の短縮を図るのではないだろうか。

また南大阪線は輸送量的に昼間に減便や減車が図られる可能性がある。もっとも大阪阿部野橋発着では大きき変わらないであろうと思われるが、古市で長野線と分岐した後は本当に急行が必要なのか疑わしいほど閑散としている。

2015年の大都市交通センサスのデータをもとに近隣の路線で比較すると、長野線古市~喜志間は54,300人/日・往復、橿原線平端~ファミリー公園前間は47,649人/日・往復にもかかわらず、南大阪線古市~駒ヶ谷間は40,949人/日・往復しか利用がないのだ。昼間は毎時1両で4,000人/日・往復輸送できると考えれば、南大阪線古市〜橿原神宮前間は毎時11両あれば足りてしまうのだ。もし準急のように4両編成で運転すれば、毎時3本で足りてしまうのである。そもそも平日夕ラッシュ時に毎時6本しか運転していないのだから、昼夕輸送力比を考慮しても毎時4本で足りる。地域輸送性を考慮しても各駅に停まる列車は毎時3本あればいいはずだ。

そう考えると、南大阪線古市〜橿原神宮前間は格好の減便可能路線だ。

ではどのように削減できるのか。まず急行は橿原線で毎時2本運転しており吉野線直通も毎時2本運転していることから、近鉄としては急行を減便したくはないようだ(これさえなければ急行を昼間毎時1本に削減できるのだが…)。

そう考えると、1つは急行を区間急行同様尺土〜橿原神宮前間を各駅停車にし、平日朝夕ラッシュ時など尺土〜橿原神宮前間で通過運転を行う必要がある時間帯は急行停車駅のまま新種別快速急行として運転すること。

こうすれば、終日急行毎時2本が吉野まで行くことには変わりない。また昼間の急行は尺土で古市〜橿原神宮前間運転の普通列車に接続するが、急行を尺土〜橿原神宮前間で各駅停車にしてしまえば普通列車を尺土〜橿原神宮前間で運転する必要もなくなるので、御所線直通に振り替えることができる。御所線2両ワンマン列車を尺土折り返しから古市折り返しに伸ばしてしまえば良さそうだ。

そうすれば尺土での南大阪線急行から御所線乗り換えの5分待ちも解消され、御所線各駅への所要時間も短縮する。

また、地域輸送性を考慮しても古市〜橿原神宮前間は毎時3本の各駅停車があればよい。つまり、そもそも古市発着の普通列車も昼間毎時2本から毎時1本に減らしたって構わない。急行毎時2本で各駅に停まるのが毎時3本はどうなんだという意見もあると思うが、橿原線で昼間に行われているのでそこまで大きく大それたことではない。

そうすれば、御所線も6,240人/日・往復しかないので、昼間を毎時3本に減らしてしまい、うち毎時1本を古市乗り入れにすれば、運用数としても足りる。

さらに橿原線も、平端以南で急行を各駅に停車させ普通列車をその分天理線直通に回すことで、減便することは可能だ。ただし、平端での対面接続ができなくなるので利便性はやや落ちそうだ。

近鉄では停車駅増加で運用数が削減できると判断した場合にはホームの延長を行っており(前回2018年3月17日ダイヤ改正での急行停車駅増加然り)、地形や設備的制約がなければホーム延長が行われる可能性がある。これらの停車駅増加や運転区間短縮、減便の全てが図られるとは限らないが、今後も近畿日本鉄道でダイヤ変更のたびにどこかで減便が図られるのは間違いなさそうだ。

4. 結び

今回の2020年3月近畿日本鉄道ダイヤ変更では、新型特急車両の導入が行われる一方で、奈良線の平日朝ラッシュ時下り列車の減便や急行の停車駅増加により、どのような縮小が何らかの形で行われる可能性がありそうだ。

今後近畿日本鉄道でどのようなダイヤ変更を実施するのか、見守って行きたい。


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