日比谷線用東武20000系列短縮ワンマン化への布石か 東武鉄道・上毛電気鉄道ダイヤ改正(2017年4月21日)

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東武鉄道は2月28日、プレスリリースにて2017年4月21日に特急以外の列車でもダイヤ改正を行うと公表した( http://www.tobu.co.jp/file/pdf/812bccf06a3e6c3655e33c92ab2f9031/170228_4.pdf?date=20170301175350 )。またこれに合わせて上毛電気鉄道も同日4月21日にダイヤ改正を行うと公表した( http://www.jomorailway.com/img/rinkfile/2017daiyakai.pdf )。今回はこれについて見ていく。

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1. 特急「りょうもう」の利便性向上と接続改善

今回2017年4月21日ダイヤ改正では、特急「リバティ」の設定による東武日光線の快速廃止だけではなく、伊勢崎線系統でも特急「りょうもう」を軸に置いた比較的大規模なダイヤ改正が行われた。

赤城で接続する上毛電気鉄道では、特急「りょうもう」の時刻に合わせて、初電の繰り上げが行われた。具体的には大胡始発西桐生行きは18分繰り上げを行い、東武桐生線の普通東小泉行き(太田で特急「りょうもう6号」浅草行きに接続)に接続することにより北千住・浅草の到着時刻をちょうど1時間(土休日は59分)繰り上げることに成功した。東武鉄道としても上毛電気鉄道初電からの「りょうもう」利用需要に応えるため、土休日のみ運転だった「りょうもう6号」を毎日運転に変更し、平日にも運行されるようになった。また後続の赤城始発特急「りょうもう8号」も赤城始発時刻を30分、浅草着時刻を20分繰り上げて北千住・浅草を経て東京への滞在時間を延長することに成功した。

また終電についても東武特急「りょうもう」の運行時刻繰り下げを行った。従来赤城方面の最終列車だった特急「りょうもう45号(ダイヤ改正後)」赤城行きは浅草発時刻を20時10分発から20時20分発に10分繰り下げ、それに伴い上毛電気鉄道も中央前橋行き最終列車を16分繰り下げて接続させ、東京滞在時間を10分延ばすことに成功した。また、従来太田行きだった浅草21時10分発特急「りょうもう49号(ダイヤ改正後)」は運行区間を延長し、赤城行きとなった。これに伴い上毛電気鉄道では大湖行き最終列車を14分、西桐生行き最終列車を3分繰り下げることにより接続を図ることとなった。従来までは浅草20時40分発特急「りょうもう45号」伊勢崎行きに乗車の上、途中太田で東武桐生線普通赤城行きに乗り継いで上毛電気鉄道にさらに乗り換えていたが、今回のダイヤ改正で東京滞在時間が30分さらに伸び、乗り換え回数も1回に減少することに成功した。




2. 昼間だけでなく夕ラッシュも館林で系統分割

今回の2017年4月21日のダイヤ改正では、東武快速の廃止に伴う南栗橋でのさらなる系統分割が大きな話題となったが、東武伊勢崎線でもこっそり系統分割が行われた。

これまで久喜〜館林間は昼間は6両編成の毎時3本の普通列車があり、うち毎時1本は太田まで乗り入れており、平日夕ラッシュ時は6両以上の区間急行及び普通列車が毎時4本、うち太田まで概ね毎時3本が乗り入れていた。伊勢崎方面へは3両編成のワンマン列車で、昼間は館林から毎時1本、平日夕ラッシュ時は太田から毎時2本運行されていた。今回のダイヤ改正ではその様相が一変し、朝の3両ワンマンの館林乗り入れが増加し6両+2両編成が1運用減、昼間は特急を除き全列車館林で系統分割となり館林〜太田間は3両ワンマンのみの毎時2本に縮小し6両編成が1運用減、平日夕ラッシュ時は毎時1本程度を除き太田発着の6両編成以上が館林発着に短縮され、代替として太田〜伊勢崎間の3両ワンマンが館林まで延長することにより乗車チャンスを確保し、6両編成の2運用減を行なった。




そこで東武伊勢崎線館林~太田間で恒例の昼夕輸送力比(適正値60〜78%/推奨値66%~75%)をみていくと、ダイヤ改正前は昼間は毎時9両、平日夕ラッシュ時は毎時18両~20両のため昼夕輸送力比は45%~50%であったが、ダイヤ改正後は昼間は毎時6両、平日夕ラッシュ時は毎時12両となり昼夕輸送力比は50%とほとんど変わらず、自動車社会化している地域では妥当なラインと言える。これにより東武鉄道館林地区では3両ワンマンの運用がどの編成も概ね終日組まれることとなり、6両編成は終日で1運用削減することに成功した。そのため足利市や太田などからJR宇都宮線に乗り換えられる久喜へ行くためには平日朝を除き原則館林で乗り換えが必要となり、利便性確保のため特急「りょうもう」の久喜全停車を行うことで大宮アクセスを特急誘導によって確保しようとしたのであろう。

今回のダイヤ改正では、8000系の3両ワンマン車両の使用頻度が増えたが、東武鉄道としては10000系列を東武野田線用に捻出して8000系を追い出したい又は60000系の導入数を減らしたい思惑があるものと思われ、このダイヤ改正で行われた東武快速の廃止による6050系の東武日光線普通列車での運用増加でも4両の10000系列車両を浮かせることに成功し、この記事で扱った8両の削減と合わせて12両が捻出され、東武野田線の2運用の置き換えにつなげられるものだと思われる。




また、東武鉄道では地下鉄東京メトロ日比谷線直通用に70000系を導入し、寿命に余裕がある20000系列の置き換えようとしているが、東武鉄道としてはこの20000系列を再利用したいところ。かつて日比谷線直通用に使われていた2000系は東武野田線に転用されたが、起動加速度を調整しようとしたところうまくいかずあえなく廃止となったが、今では地下鉄の起動加速度3.3km/h/sは多くで受け入れられており、近郊電車も他社含め全般的に起動加速度が向上したこと(概ね2.5km/h/s程度)、またモーターの性能が向上していることからそのまま転用できるのではないだろうか。

現状東武鉄道では2両~4両のワンマン運転において古参の8000系を使用しており、老朽化が激しい。ツーマンでは南栗橋入出庫を除けば東武野田線でしか使用しておらず、こちらは先述の10000系列の転用か70000系列の導入で済ませようとしている。かつての2000系のように20000系列の転用で新車導入を抑えたいところだが、残念なことに柏と船橋にはホームドアが設置され、今後拡大する可能性があることを考えると車両長が2m短い20000系列は東武野田線に20000系列を導入するのはドア位置が合わないため不可能なのである。

しかし、ワンマン運転が実施されている東武亀戸線や大師線、宇都宮線、佐野線、小泉線、桐生線、伊勢崎線の末端区間はそもそも輸送人員が少ないため、ホームドアが設置される可能性は極めて低い。現在使用されている8000系は20m車であり20000系は18m車と2両短いため1両あたりの重量が他ステンレス車導入と比べてもそのぶん軽くなること、、モーターも技術革新が進み省エネなことから、東武鉄道のワンマン線区への20000系列の転用はもってこいなのだ。

しかし東武だって今ある8000系は極力使い切りたい。そこで今回2017年4月21日のダイヤ改正で6両編成運用を減らして8000系3両ワンマン運用を増やすことで8000系の台車を極力使い切らして他の車両を温存又は転属させたいのであろう。今後8000系をいつまで使い続けるのかも見どころだと思われる。


3. 結び

今回2017年4月21日ダイヤ改正では、東武日光線快速の廃止や東武特急「リバティ」の導入、そしてその直後の2017年GWに臨時列車としての東武快速の復活にスポットが当てられていたが、伊勢崎線方面では他社である上毛電気鉄道も含めて特急「りょうもう」の利用を基軸とした大幅なダイヤ改正を行なった。東武鉄道は依然経営が厳しいが、今後どのような舵取りをしていくか見守って行きたい。




記事の取り扱いについて(2017年6月17日午前8時30分追記)

6月16日夜から6月17日の朝にかけて、この記事および当サイトと思しきものを誹謗中傷するととれる内容がとあるブログにて赤字大文字表記で投稿されました。日時は作為的に変更されているため正確な投稿時間は不明ではありますが、今後当「鉄道ダイヤ研究会」のサイト全体及び記事内容についてこのような投稿を繰り返す場合、日本国刑法230条1項(名誉毀損)及び関係法令により告訴させていただくことを辞しません。この件については該当ブログには通知済みであり、多少表現をあいまいにしてはいただいたものの内容としては未だに関係法令(刑法231条)に抵触する内容となっております。再度コメント欄に投稿しようとしたところ投稿拒否されたため、告訴されても良いものだと解釈しております。

私自身も時々間違いを書くこともあるのでコメント欄でご指摘していただけると非常にありがたいのですが、意見を反映したうえで時間不足もあり個々のご返信はご遠慮させていただいております。今後とも皆様のご意見を反映し記事を作成してゆきたいと思いますので、鉄道ダイヤ研究会をよろしくお願いいたします。追記の投稿により多くの読者の皆様にご迷惑をおかけし申し訳ありません。

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