全線運転再開も減速運転と新青森乗り換え実施へ 東北新幹線臨時ダイヤ運転(2021年2月24日以降実施)

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全線運転再開も減速運転と新青森乗り換え実施へ 東北新幹線臨時ダイヤ運転(2021年2月24日以降実施)

JR東日本は2021年2月22日、プレスリリースにて2月24日の東北新幹線運転再開に際し臨時ダイヤで運転すると公表した( 東北新幹線 2月24日以降下り臨時時刻表東北新幹線 2月24日以降上り臨時時刻表 )。今回はこれについて見ていく。

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1. 運転再開で減速運転実施もはやぶさ加算料金設定へ

今回の2021年2月24日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、全線で運転を再開する。

これにより2月13日の地震による不通から11日で全線で運転を再開することとなったのだが、那須塩原~一ノ関間は暫定復旧のため減速運転を行うこととなった。本来「はやぶさ」や「こまち」なら320km/h運転、「やまびこ」や「つばさ」なら275km/h運転を行うところ今回の臨時ダイヤ運転では概ね130km/hでの運転にまで下げるようだ(ただし比較的被害の少なかった古川~一ノ関間は160km/h以上出している模様)。

まあ130km/hしか出さなかったとしても、これまでの東北本線や常磐線への迂回経路と比べ乗り換え回数は少なくて済むし、在来線よりは線形がいいのであと2週間かけて完全なフル設備で復旧するより完全復旧まで1か月かかっても減速運転で暫定復旧をした方が良いということに越したことはない。




プレスリリースでは今回の臨時ダイヤ運転で東京・大宮~仙台・盛岡間で通常より概ね1時間程度所要時間が長くかかるとしているが、実際に時刻表を見ると「はやぶさ」「こまち」の場合大宮~仙台間で50分、仙台~盛岡間で20分余計にかかる。これにより東京~仙台間は本来最速1時間30分で行くところを今回の臨時ダイヤでは2時間20分、東京~新青森間を本来最速2時間59分で行くところ今回の臨時ダイヤでは最速4時間09分もかけて行くこととなった。ただ1時間10分も余計に時間をかけて行く。にもかかわらず、「はやぶさ」加算料金最大520円を徴収し続けるのだ。なお地震前に購入した指定席新幹線特急券はそのまま使えることから、通常列車の遅延扱いで運転するようだ。

そもそも「はやぶさ」加算料金は300km/h以上の高速運転を行うに当たり基本新幹線特急料金に加えて徴収する料金である。このことから2011年3月5日の運行開始直後に起きた地震で不通になり運転再開した当初は300km/h運転ができないことから「はやぶさ」と名乗っていても加算料金を徴収しなかった。

もっとも東北新幹線で最高速度を275km/hから320km/hに縮めたところで大宮~新青森間で21分所要時間を短縮したのだが(なお厳密には21分中8分は最速列車の八戸通過化と盛岡での増解結解消によるため、純粋な速度向上による所要時間短縮は13分しか短縮していない)、今回の臨時ダイヤで所定より1時間10分も余計にかかることを考えると275km/h運転より遅いのは明白なので「はやぶさ」加算料金を徴収してはならないはずなのだ。

ただそれでもJR東日本が「はやぶさ」加算料金をかけているのはおそらく宇都宮~那須塩原間と一ノ関~盛岡間では320km/h運転をしていることや、通常ダイヤより2時間は遅れていないことから特急料金払戻の対象外であることを根拠とするのだろう。JR東海でも東海道新幹線東京~新大阪間で「のぞみ」より20分遅い列車は「ひかり」として運転し「のぞみ」加算料金を取っていないというのに、こんなボッタクリ列車ほかにあるだろうか。

なお「やまびこ」「なすの」などは停車駅が多く所要時間延長幅がそもそも小さいほか、臨時「はやぶさ」「やまびこ」などの待避時間を削って各駅間の所要時間延長分に充てている列車が多いため、実際のところ那須塩原~郡山間ではあまり所要時間が変わっていない。




2. 北海道新幹線との直通運転を原則中止へ

今回の2021年2月24日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、北海道新幹線との直通運転を原則取りやめる。

そもそも東北新幹線と北海道新幹線は特急料金が完全別体型で合算しているに過ぎないので、わざわざ新青森で系統分割しても運用数が増えるだけでメリットになるとは思えない。ただ東北新幹線「はやぶさ」が通常列車の遅延扱い(1時間10分程度)で運転していることから、何らかの拍子にさらに50分遅れて2時間以上遅延した際に直通運転であれば全区間同一列車なのでJR北海道管内の北海道新幹線区間も含めて全区間で特急料金の払い戻し対象になる。しかし新青森で乗り換えさせて別列車としてしまえば、東北新幹線内で合計2時間以上の遅延になったとしても特急料金の払い戻し対象になるのはJR東日本管内の東京~新青森間のみとなり、JR北海道管内の北海道新幹線分の特急料金は払い戻しの対象から外れる。もっとも所定の北海道新幹線に乗り継げない場合には無手数料で乗車列車の振替をできるのだろうが、特急料金が徴収できなくなるよりはるかにマシである。そう考えると今回の東北新幹線と北海道新幹線の直通運転の中止はJR北海道への配慮の可能性は考えられそうだ。

なお新青森で「はやぶさ」同士を乗り換えても座席指定料金は通常ダイヤと同じ1席分のみの徴収となる。もっとも新青森は2面4線あるので乗り換えとなっても対面乗り換えですぐ乗り換えられるだろうと思っているだろうが、対面乗り換えの場合でも乗り換え時間は最短の場合通常停車時間の2分しかなく、また1日10往復が新青森で系統分割する中うち2往復が対面乗り換えではなく階段昇降を伴うのだ。しかも階段昇降があっても乗り換え時間は最短3分とかなり短い。もっとも移動する人は少ないし乗車待ちはするのだろうが、それにしても乗り換え時間が短すぎる。

なお今回の臨時ダイヤ運転で時刻変更のない盛岡以北のみ運転の「はやて」は通常ダイヤ同様のため、新青森を跨いで直通運転を行うこととなった。

これにより北海道新幹線では従来新青森~新函館北斗間で1日13往復運転しているところを、臨時ダイヤ期間中は「はやぶさ」を1往復減便し12往復で運転することとなる。なお北海道新幹線内での初列車・終列車に変更はない。




3. 減速運転により運転本数微減へ

今回の2021年2月24日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、所要時間がかかることから減便を行う。

プレスリリースでは通常に8割程度の運転としているが、東北新幹線ではそもそも臨時列車を運転できるように各車種で通常ダイヤの2倍程度の運転本数でも運転できる程度に車両を用意しているので、実のところ定期列車の車両運用上の減便はほぼなく、目立った減便は昼間に定期列車が毎時2本運転する時間帯のある「はやぶさ」の毎時1本化や朝の「はやぶさ」毎時3本運転の毎時2本への減便程度で、「こまち」「つばさ」「やまびこ」「なすの」はほぼ本数据え置きである。

このことから多くの減便は所要時間延長により最終列車が24時までに終着駅に到着できない列車の減便である。これにより北海道新幹線は1往復、山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」で2往復減便することとなった。

また東北新幹線「はやぶさ」では極力東北地方での利便に影響が出ないよう、仙台以北のみ運転の「はやぶさ」を1日1往復から2往復に増加し、うち1往復は仙台~盛岡間ノンストップで設定することとなった。




ただ終列車間際の東北新幹線の列車設定が通常より停車駅が多くなっている。まあ東京から仙台行き最終が通過駅が2駅(お大和那須塩原)から1駅(白石蔵王)になるくらいならまだ分かるのだが、盛岡から東京への最終「やまびこ」が全駅停車の「あおば」状態となるのである。おいおい、ただでさえ減速運転で所要時間が延びているというのに停車駅を増やしたらさらに所要時間が延びるし、そんなことを終列車でやったら余計終列車が繰り上がるではないか。お陰様で仙台から東京への最終は21時47分発から21時00分発に47分も繰り上がることとなった。

なお東北新幹線で臨時ダイヤを組むとたいてい岩手県内の東北本線で新幹線接続のための時刻変更を行うことが多いのだが、今回の臨時ダイヤでは岩手県内の東北本線は通常通り運行することとなった。

また今回の臨時ダイヤ運転は那須塩原~古川間でおそらく130km/h制限で運転していると思われるが、今後一気に320km/h運転に回復するよりかは段階的に減速区間の縮小するか速度の段階的な向上を行う可能性が高そうだ。今回の臨時ダイヤは2021年3月13日ダイヤ改正まで継続するとしているからそれまでに変更することは考えにくそうであるが、本来ダイヤ改正を行うはずであった2021年3月13日に所要時間を多少短縮した新たな臨時ダイヤを策定するのではないだろうか。そう考えると今後臨時ダイヤがさらに変更する可能性が高そうだ。


4. 結び

今回の2021年2月24日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、11日ぶりに全線運転を再開したものの暫定復旧による減速運転のため従来より1時間程度余計にかかることとなった。

今後東北新幹線でどのように臨時ダイヤを組んでいくのか、見守ってゆきたい。

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