新型車両E8系投入でつばさスピードアップで値上げか! 東北新幹線・山形新幹線ダイヤ改正(2024年3月予定)

E8系イメージ

JR東日本は2020年3月3日、プレスリリースにて2024年3月より東北新幹線「つばさ」「やまびこ」にて新型車両E8系の運転を開始すると公表した( 山形新幹線をより便利に快適にします )。今回はこれから2024年3月実施予定の東北新幹線ダイヤ改正について予測していく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!


1. 「つばさ」「やまびこ」で新型車両運転開始へ!

今回の2024年3月東北新幹線・山形新幹線ダイヤ改正では、新型車両を導入する。

新型車両として投入するのはE8系で、ミニ新幹線型車両の7両編成となっている。最高速度向上と荷物スペースの拡大に伴い定員が減る。

同じミニ新幹線用車両のE6系でも導入後に一部の車両に荷物スペースを設置することにより普通席が7席減っていることから、多少の普通席の減少は致し方ないのだが、「つばさ」ではE3系からE8系への車両交換に伴い普通席が52席も減少する

「こまち」の場合E3系からE6系への置き換えの際に普通席の定員減少は6両から7両への増結で賄ったが、ミニ新幹線を8両に延ばしてしまうと10両のフル規格車両と併結できなくなってしまうためできない。そのためノーズの伸びた分座席が減少することとなってしまった。

ただ気になるのは、近年縮小傾向にあるはずのグリーン車の座席数が増えている。おそらくE6系同様多目的トイレなどを12号車に設置するためではないかと思うが、E3系同様11号車のままでも良かったではないか。

なお極力定員を確保するためにノーズの長さを延ばせないことと停車駅が多いことから、最高速度は300km/hとなっている。東北新幹線と同じ原則R4000までの曲線しかない山陽新幹線で500系新幹線やN700系新幹線(少なくとも「みずほ」「さくら」型車両の8両編成)は車体傾斜装置なしでの300km/h運転を行っていることから、320km/h運転を行うE5系やE6系で設置している車体傾斜装置の導入はないものと思われる

E8系の投入本数は17本で、現在の山形新幹線「つばさ」用E3系の15本より2本多い。この2本分は東北新幹線「やまびこ」運用に就いているE3系6両編成元「こまち」編成2本の置き換え用なるものと思われ、山形新幹線のみならず東北新幹線仙台や盛岡までE8系が乗り入れることを意味している。盛岡発着の「やまびこ」は定期列車では2019年3月16日ダイヤ改正で全てE2系をE5系に置き換えているので、一部で併結しているE3系6両編成をE8系に置き換えてしまえば全ての定期盛岡発着「やまびこ」を300km/h対応にできる。

裏を返せば「やまびこ」の最高速度は300km/h運転より引き上げることはないことを意味しており、ALFA-Xの成果により導入する新型車両による360km/h運転を「やまびこ」では行わないと宣言しているようなものである。また現在残っているE2系運用がほとんどE3系「つばさ」と併結する運用のため、E2系も2026年3月、遅くとも2027年3月までには引退しているということなのだろう

東京~新青森間で2010年12月1日の開業時は275km/h運転の「はやて」の3時間20分運転だ最速だったものを2013年3月16日ダイヤ改正より実施している320km/h運転の「はやぶさ」で2時間59分運転とし21分短縮しているとしているが、スピードアップにかかっているのは13分だけで残り8分は最速列車が八戸通過となり盛岡での「こまち」との増解結をなくしたことで停車時間を削減したためである。ある意味他の事業とセットで行うことで、所要時間短縮効果を事実上水増ししてきた。

そう考えると今回はE8系導入による最高速度引き上げとセットで福島駅構内での東北新幹線と奥羽本線への連絡線路を複線化してより大きな所要時間短縮効果を出そうとしていたはずだが、福島駅の線路改良工事の完成は2026年度末、つまり反映できるのは2027年3月ダイヤ改正から。つまりE8系の投入が終わる2026年3月ダイヤ改正までに間に合わないのである。

2011年3月12日ダイヤ改正より供用開始した天王寺駅構内の阪和連絡線の複線化のように運転時刻の柔軟化や遅延増大防止には大いに役立つのだが、阪和連絡線を渡る列車は関空・紀州路快速の毎時4本や特急「くろしお」最大毎時2本、特急「はるか」毎時2本の合計毎時8本の運転があるのに対し、山形新幹線「つばさ」は最大毎時2本しか運転しないので別に増発余地を増やす必要ないし、増発するだけの車両確保をする見込みがない。

というか、「こまち」用E6系投入の際には2013年3月16日ダイヤ改正の営業運転開始から2014年3月15日ダイヤ改正までのわずか1年間で24本を投入し、臨時列車を含む全ての「こまち」をE3系からE6系に置き換えた。つまりE6系より性能の低いE8系を17本投入することはJR東日本であれば1年あれば十分足りる。それをわざわざ2倍の2年かけてゆっくり投入するのである

どうせE3系の全車置き換えが2026年3月ダイヤ改正になるんだったら、1年あれば置き換えに間に合うので2025年3月ダイヤ改正での営業運転開始でもいいはずだ。しかしそれを行わずあえて2024年3月ダイヤ改正からE8系の導入に間に合わせるのは、どこぞのスマートフォン同様ALFA-Xの成果により導入する360km/h対応の新型車両をEX系(イーテンけい)と付けるために、あえてその間の数合わせとして山形新幹線「つばさ」向け新型車両の導入を先に行うこととしたのではないだろうか。というか、ALFA-Xと言う時点で半分言っているようなものに見えるには気のせいだろうか…

2. 「つばさ」「やまびこ」の所要時間短縮はいかに

ではE8系導入に伴い所要時間はどれほど短縮できるのだろうか。

E2系やE3系では大宮~宇都宮間をかつてのE4系「Maxやまびこ」と同様の240km/hでしか運転していないが、先頭形状の改良によりE8系では少なくとも260km/hは出せるようになるほか、E5系の300km/h運転時から行っている大宮~宇都宮間275km/h運転を行う可能性がある。

このことから大宮~宇都宮間で275km/h運転、宇都宮~福島~仙台間で300km/h運転を行い「つばさ」の標準的な停車パターンである宇都宮と郡山に停車する仮定すると、「つばさ」及び併結する「やまびこ」は大宮~福島間で3分、大宮~仙台間で4分程度の所要時間短縮が見込める。また1往復だけある大宮~福島間ノンストップ運転の場合、大宮~福島間で5分の所要時間短縮を見込める。

とはいえ、東海道新幹線であれば2020年3月14日東海道新幹線ダイヤ改正のように所要時間を3分短縮できれば運用の合理化に伴い増備なくとも毎時1本の臨時「のぞみ」を増発できるようになるので有意義だが(なおもう毎時1本の増発は折返し時間の短縮)、臨時列車含め最大毎時2本しか運転しない「つばさ」で4分所要時間を短縮したところで運用数に変化はないので合理化は見込めない。強いて言えば山形や新庄での折返し時間が延びるので遅延の回復が早くなることくらいだろう。

実際のところ275km/h運転の「はやて」から320km/h運転の「はやぶさ」になった際には東京~仙台間の昼間の標準所要時間は1時間41分から1時間32分の運転となり9分短縮したが、それより停車駅の多くて最高速度の低い「やまびこ」が4分しか短縮できないのはある意味致し方ない。

2023年3月までには東京~大宮間でも最高速度を130km/hに引き上げ所要時間を1分短縮することを合わせて、東京~山形間は最速2時間26分から2時間20分に、東京~新庄間は最速3時間11分から3時間05分にそれぞれ短縮する見込みだ。




3. 最高速度引き上げは、特急料金値上げが狙いか

ではなぜそんな通常運用上意味のない最高速度引き上げを行うのか。別に遅延回復の遅れを取り戻しやすくしたり運転ダイヤを柔軟に組めるようにするためだけなら、福島駅構内のアプローチ線の複線化だけでいいはずである。

そんな意味の薄い最高速度引き上げをなぜするのか。理由は1つ。特急料金を値上げしたいのである

2011年3月5日の東北新幹線の最高速度引き上げ以降、300km/h運転でも仙台以北各駅に停車しようと「はやぶさ」では320km/h運転時と同じ加算料金を徴収していたので、全ての盛岡発着「やまびこ」を300km/h対応にした場合加算料金を徴収する可能性が高い。

もし盛岡発着の「やまびこ」で加算料金を取ろうとすると、宇都宮~盛岡間で520円も特急料金を追加徴収できることとなる。一方、「つばさ」で加算料金を取ったって宇都宮~福島間分の210円しか加算料金を追加徴収できないのだから、当然より多くとれる盛岡発着「やまびこ」を先に300km/h対応にしたいはずだ。そう考えると、E3系6両編成を淘汰するために盛岡・仙台発着「やまびこ」にE8系を先に投入する可能性が高い

おいおいそれでは「はやぶさ」と「やまびこ」の料金が一緒になってしまうと思った方もいるだろう。確かに一時的になる可能性はあるのだが、ALFA-Xの成果により営業運転を開始するEX系(仮称)が360km/h運転を開始すれば、空気抵抗が小さくなり騒音抑制効果があることから大宮~宇都宮間でも275km/hから300km/hに引き上げられる可能性が高く、加算料金徴収区間を宇都宮~盛岡間から大宮~盛岡間に拡大する可能性が高い。そうなるとEX系による最速達種別と「やまびこ」の間には東京や大宮発着の場合100円程度の料金差を発生させることができる。もっともさらなる高速加算料金表を用意すれば当然「やまびこ」との料金差はさらに開くことができる。つまり長期的に見れば最速達種別と「やまびこ」に料金差があることには変わりないだろう

また今後の車両の更新・廃車情報にも書いたが、そもそもJR東日本は北陸新幹線の水害被害車両の製造と2023年3月ダイヤ改正の上越新幹線最高速度引き上げに向けE7系の製造で手一杯であり、それまでE5系の製造はほぼ不可能に近い。

そんな中1運用たりとも置き換わっていない「つばさ」併結のE2系「やまびこ」があっさりE5系に置き換えられるはずがなく、むしろ定期列車は全運用、臨時列車もほぼすべての列車でE5系が運用している盛岡発着「やまびこ」の最高速度引き上げの方がはるかに簡単にできる。つまり2024年3月ダイヤ改正では仙台・盛岡に発着するE8系運用が始まる可能性が高い

4. 山形新幹線「つばさ」で2024年3月から所要時間短縮を図るのはどの列車なのか

いやいや2024年3月のE8系運転開始当初に盛岡や仙台発着のE3系6両編成からの車両交換を始めたら「やまびこ」や「なすの」にしか運用できないから、看板に偽りありではないか。山形新幹線用E8系なのだから山形新幹線「つばさ」に投入するはずだろう。そう、一部だけならね。

では「つばさ」のうち優先的に最高速度300km/h運転を活用できる運用はどの運用なのだろうか。

山形新幹線「つばさ」のうち、東京6時12分発「つばさ121号」新庄行き一番列車と新庄19時57分発「つばさ160号」東京行き最終列車は「やまびこ」と併結を行わない「つばさ」である。厳密には東京6時12分発「つばさ121号」新庄行き一番列車は年に10回未満ではあるが東京6時12分発臨時「やまびこ121号」と併結することはあるが、運用が余っている早朝なのでE5系にすぐ置き換えられそうな気がしなくもない。

もしこの原則「やまびこ」と併結しない「つばさ」の所要時間短縮が図られれば、東京発の一番列車で山形には8時57分着から8時53分着に4分繰り上がり、山形からの最終列車も山形20時43分発から20時47分発に繰り下げることができる。東京から山形への滞在時間増加と言う意味では意義が大きいと思われる。

ただ、そのほかに2024年3月ダイヤ改正でE8系を投入することにより「つばさ」で所要時間短縮を図るとすれば東京9時24分発「つばさ131号」新庄行き最速達列車くらいだろう。2013年3月16日ダイヤ改正で秋田新幹線「こまち」にE6系を投入する際にも最速達列車から入れたので、可能性は十分にありそうだ。

このことから、2024年3月ダイヤ改正時点では「つばさ」に投入するE8系の数は少なく、併結相手の「やまびこ」のE5系化が進まないので所要時間の短縮は限定的になるものと思われる。

5. 結び

今回の2024年3月東北新幹線・山形新幹線ダイヤ改正では、「つばさ」向け新型車両E8系の導入により、「つばさ」「やまびこ」で300km/h運転を開始することで所要時間短縮を図り始める。

今後新型車両が続々登場することに伴い、東北新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。


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