区間運転縮小も平日に運転時間拡大へ 東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道ダイヤ改正(2019年3月16日)

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東京メトロは2019年1月29日、プレスリリースにて3月16日に地下鉄南北線でダイヤ改正を行うと公表した( 2019年3月16日(土) 日比谷線、半蔵門線、有楽町線・副都心線、南北線のダイヤを改正します )。また埼玉高速鉄道は2019年1月29日、プレスリリースにて3月16日にダイヤ改正を行うと公表した( 平成31年3月16日(土)に ダイヤ改正を実施します。 )。今回はこれらから、2019年3月16日実施の東京メトロ南北線及び埼玉高速鉄道ダイヤ改正について見ていく。

2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 昼間の鳩ヶ谷発着消滅へ

今回の2019年3月16日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、2018年3月30日ダイヤ改正以来約11か月半ぶりにダイヤ改正を実施する。

前回の2018年3月30日ダイヤ改正では昼間6分間隔で運転されている地下鉄南北線のうち4本に1本が埼玉高速鉄道乗り入れをやめ、赤羽岩淵止まりとなり赤羽岩淵〜鳩ヶ谷間で輸送力が25.0%減少した。

しかし今回のダイヤ改正ではさらに赤羽岩淵止まりを増やし、地下鉄南北線の2本に1本が埼玉高速鉄道乗り入れを取りやめることとなった。

これにより赤羽岩淵〜鳩ヶ谷間で平日10~16時台に15往復、土休日9~17時台に23往復が削減し、昼間は赤羽岩淵〜鳩ヶ谷間で輸送力が33.3%減少することとなった。

これにより平日夕ラッシュ時は埼玉高速鉄道が全線運転で5分間隔(毎時12本)、昼間は全線運転のみで12分間隔(毎時5本)となっており、昼夕輸送力比は41.7%となった。

昼夕輸送力比が41.7%となると、流石に昼間少なすぎだろうと思うところもあるが、一般的な路線が定期券利用比率60%〜70%なのに対し、埼玉高速鉄道は80%程度と高く、逆を言えば定期券外利用が他の路線の50~65%しかいないことになる。

これは以前の記事で取り上げた通り昼間を中心に埼玉高速鉄道と並行してJR赤羽駅に接続して安い国際興業バス赤21系統、および鳩ヶ谷駅周辺からはJR京浜東北線西川口に向かう国際興業バス西川01系統、蕨に向かう国際興業バス蕨03系統になど旅客を取られていていることが一番の原因となっている。

今回の埼玉高速鉄道の昼間の減便により埼玉高速鉄道は全線で12分間隔(毎時5本)となり、昼間だけで見れば国際興業バス赤21系統などや西川01系統と同じ運行間隔となった。通勤手段としては定時にくるものの、地下に潜らないと利用できなくて運賃が高いバスと運転間隔が同じ埼玉高速鉄道を昼間に使う理由はないだろう。

赤羽岩淵発着を12分間隔で設定できるなら開業当初からやればよかったのに。

なお平日昼間と土休日昼間で発車時刻に6分のズレが生じていたが、今回のダイヤ改正で平日昼間に合わせる形で同一化することとなった。




2. 土休日夜間の浦和美園発着削減へ

また今回の2019年3月16日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、土休日夜間にも減便を実施する。

土休日夜間は2017年3月30日ダイヤ改正で東京メトロ南北線で増発し6分間隔(毎時10本)での運転に増発したものの、増発分は埼玉高速鉄道に乗り入れなかったため赤羽岩淵行きが概ね毎時2本ほど設定されていたが。しかしこの赤羽岩淵発着が今回のダイヤ改正で18分間隔(毎時3.3本)に拡大し、埼玉高速鉄道線内も平均7分30秒間隔から平均9分間隔に開くこととなった。

このことから、赤羽岩淵〜浦和美園間で土休日18~21時台に5往復が削減し、土休日夜間は赤羽岩淵~浦和美園間で輸送力が16.7%減少することとなった。

これにより土休日夜間は3本に1本が赤羽岩淵行きとなり埼玉高速鉄道線に直通しないこととなった。昼間の2本に1本が直通しないよりかはマシかもしれないが、

ちなみに埼玉高速鉄道では浦和美園から岩槻への延伸計画があるが、同じく2019年3月16日ダイヤ改正で国際興業バスは浦和美園~岩槻間運転の快速バス岩101系統を廃止してしまった。各駅停車便の岩11-3系統は継続運転されているが、昼間は1時間に1本しか運転されていない。どちらかというと東川口・浦和美園~岩槻の移動というより途中にある目白大学の利用目的のための路線なのだが、本当に岩槻に延伸して需要があるのだろうか。




3. 直通強化と終電延長で利便性向上へ

また今回の2019年3月16日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、平日の終電延長が行われる。

ダイヤ改正前は日吉23時24分発各駅停車浦和美園行きが最終であったが、今回のダイヤ改正で日吉23時39分発各駅停車赤羽岩淵行きが浦和美園行きに延長することとなった。

これにより地下鉄南北線内では埼玉高速鉄道川口元郷~浦和美園への最終列車が12~14分繰り下がることとなった。

ちなみに今回のダイヤ改正で新しく設定された終電は川口元郷に24時45分に到着する。この時刻はJR川口駅に終電の1本前の京浜東北線各駅停車大宮行きが到着する時間帯である。

京浜東北線の終電は川口24時56分に到着するが、埼玉高速鉄道の終電がJR京浜東北線と11分しか変わらなくなったこと、東京メトロ南北線の終電を伸ばしたことから現状できる終電繰り下げを最大限に行ったものと思われる。

なお、土休日の終電延長は実施されないことから、土休日は引き続き最終の東京23時45分着「のぞみ64号」から埼玉高速鉄道各駅への連絡は引き続きできない。

このほか2019年3月16日東京メトロ南北線ダイヤ改正では東急目黒線との直通列車が拡大する。平日白金高輪6時27分発浦和美園行きが東急目黒線武蔵小杉6時07分発の急行に延長することとなった。

また浦和美園17時27分発白金高輪行きが各駅停車武蔵小杉行きに延長されることとなった。

これらの直通拡大に伴い、白金高輪~目黒間で1往復増発することとなった。

今回のダイヤ改正では、終電延長により通勤客には利便性が向上したものと思われる。

しかし川口市ではJR京浜東北線しか停車しない川口駅に並行する宇都宮線や高崎線、湘南新宿ラインを停車させようとする動きに入りつつある。もし川口にこれらの中距離電車が停車するようになれば、通勤時間帯も含めて埼玉高速鉄道がより利用されなくなる。

さらに埼玉高速鉄道では、2022年度末の東急新横浜線開業による相鉄線との直通開始が予定されており、相鉄及び東急からの直通車両はすべて2019年現在の6両編成より長い8両編成での直通が確定している。現在のダイヤ構成では埼玉高速鉄道2000系や東京メトロ9000系を全編成6両のまま据え置いたとしても8両編成の埼玉高速鉄道乗り入れは避けられないものとなっている。

こんな状況で8両編成を運転すれば利用の少ない確実に空席が増えるだけであるし、JR川口駅に停車する列車が増えれば川口元郷利用客を中心に通勤客も流れてしまいかねず増結して空く以上に利用されなくなってしまう。現状であれば平日朝ラッシュ時は混雑率123%と一部で増結しても悪くはないくらいにはなっているが、川口駅の停車列車が増えれば埼玉高速鉄道の減便も考えなければならないのだろう。


4. 結び

今回の2019年3月16日埼玉高速鉄道ダイヤ改正では、平日・土休日とも昼間に大幅な減便が実施され、昼間の鳩ヶ谷発着の設定が消滅した。

また土休日夜間も運転本数を削減し、運転間隔が広がることとなった。

埼玉高速鉄道では2022年の東急新横浜線直通による他社車両による8両編成運転が待ち受けているほか、JR川口駅の停車列車増加計画が動き出し実現すれば通勤客も奪われかねないという修羅場が待ち受けている。

周辺環境の変化が埼玉高速鉄道にとって逆風となって吹き荒れる中、今後どのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守って行きたい。

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