路線延伸も増発は小規模か 沖縄都市モノレールゆいレールダイヤ改正予測(2019年10月予定)

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沖縄都市モノレールは2019年5月24日、プレスリリースにて10月1日の消費税増税に合わせ運賃改定を行うと同時に延伸開業区間の運賃を公表した( 消費税率引上げに伴う旅客運賃変更及び延長区間開業に伴う旅客運賃設定認可申請について )。今回はこれから、2019年10月延伸開業予定のゆいレールダイヤ改正ついて予測していく。

延伸開業時を含むゆいレール運賃変遷はこちら!

1. 延伸も平日朝の増発はわずかか

今回の2019年10月1日ゆいレールダイヤ改正では、首里~てだこ浦西間が延伸開業する見込みだ。

今回の延伸で4.1km、4駅間が延伸し、ゆいレールは全線で17.0km、19駅の路線となる見込みだ。

当初の予定では2019年3月までの開業を見込んでいたが、工事遅れの影響で夏ごろまで延期となり、ついには2019年10月開業と2度延期された。10月への延期は、消費税増税のために運賃表を掛け替えるコストが高くつくこともあるのではないだろうか。

JR東日本やJR西日本のような大企業であれば、消費税増税前の運賃・料金改定もお構いなしで行えるほどの財力がある。JR西日本はJR東西線開業に伴う運賃改定をおこなったものの1か月経たずに消費税増税で運賃改定を実施したほか、にJR東日本は秋田新幹線「こまち」の料金表が20日も持たなかったのを2回もやっている。

ただ沖縄都市モノレールのような小さな企業では命取りになりかねない。となると、消費税増税を待った方が利益が出ると踏み、エレベーターなどの設備が遅れているというもっともらしい理由をつけて開業を延期したのではないだろうか。




2. ダイヤはどうなる

では今回の2019年10月1日ゆいレールダイヤ改正ではダイヤはどうなるのだろうか。

そもそも延伸開業時にどれだけの編成を使えるのだろうか。2018年4月2日ダイヤ改正現在では推定13運用がついているが、2019年6月時点で19編成が導入されていることから、予備車2編成を考慮しても4運用増加の17運用まで組める見込みだ。

ただ現在の最短4分間隔では、既存区間の運転本数を据え置いて延伸区間にそのまま直通させると、それだけで増やした4運用分が消化されてしまう。

ゆいレールは平日朝ラッシュ時に最短4分間隔で運転しているが、同じ時間帯に全区間4分間隔で列車が運転しているわけではなく、上り(首里方面)は朝8時台は6分間隔での運転となっている。

このことから4分間隔で運転する時間帯が24分から40分に延び、ピーク時毎時13本から毎時14本に増発し輸送力が7.7%増加する見込みである。しかし沖縄都市モノレールでは4分間隔より運転間隔を短くしようとは考えておらず、朝ピーク時は混雑が増す見込みのようだ。

また従来通り首里折返しの列車も用意するとしているが、首里駅2番線で折り返す必要があり、ダイヤに制約がかかる。このことから首里折返し便の設定は初電・終電などに限られるのではないだろうか。

平成29年度の乗降人員を基にした推定輸送密度は、最も利用があると思われる県庁前~美栄橋間で26,995人/日・往復となっている。ゆいレール1編成は車両定員として東京都市圏の電車の1両当たりの定員とほぼ同じであることから、昼間1編成当たり4000人/日・往復輸送できるとすると、昼間は毎時7本、平日夕ラッシュ時は毎時10~11本、平日朝ラッシュ時は毎時15~16本程度の運転本数が必要となる。

ただこれは首里~てだこ浦西間開業前のデータであり、1日平均49,716人の利用者が延伸後は1万人増える見込みだ。もしその全員が首里以北の延伸区間の駅利用であったとしても、発着駅の片方は那覇市内の可能性が高いので、結果として最混雑区間の県庁前~美栄橋間の輸送密度は5,854人/日・往復増加の32,489人/日・往復となる見込みだ。

このため必要な運転本数は、2両編成のままの場合昼間毎時9本、平日夕ラッシュ時毎時12本、平日朝ラッシュ時毎時18本程度まで必要となってしまう。

このことから、朝オフピーク時間帯の増発や昼間、平日夕ラッシュ時などの増発は考えられるが、平日朝ラッシュ時のこれ以上の増発は難しいものと思われる。

なお今回の延伸開業では2両から3両への増結は見送られることとなった。もし3両に増結すれば昼間毎時6本、平日夕ラッシュ時毎時8本、平日朝ラッシュ時毎時12本で済むのだが、慢性的な混雑は続きそうだ。当初2030年を見込んでいたものを時期を繰り上げようとする動きはあるが、それまで辛抱の時のようだ。




3. バスはどうなる

新線の開業により並行するバス路線が整理されるのはつきもの。周辺のバス路線はどのように変化するのだろうか。

てだこ浦西は隣接する沖縄自動車道幸地バスストップとの連絡を考慮して計画されている。しかし幸地バスストップに停車する高速バスはみな旭橋などの那覇市街地を経由するため、わざわざ北部・中部からバスで来る人たちが幸地でゆいレールに乗り換えようとは思えない。首里城やおもろまちに行くのには重宝するかもしれないが、それほどの需要が見込めるとは思えない。常磐自動車道高速バスから八潮でつくばエクスプレスに乗り換える人は少ないだろう?

では一般道を通るバスについて見ていこう。首里の隣の石嶺にはバス営業所があるが、ほとんどゆいレールと並行している路線がいくつかある。このうち那覇バス13系統は大幅な減便が見込まれるほか、11系統も多少減便される可能性がありそうだ。

ただ浦添市内ではゆいレールと並行してバスが運転しているわけではないので、大きな減便はありそうもない。強いて言えば那覇市街地と琉球大学を結ぶ那覇バス97系統くらいだろうか。

とはいえ那覇バス97系統は琉球大学生の通学の足なので、朝晩に減便してはそれはそれで混雑が増してしまう。

とはいえゆいレールだけで連絡できるかと言うと、終点てだこ浦西から琉球大学附属病院まで2km、琉球大学キャンパスまで3kmもある。さすがに徒歩連絡はきついだろう。

となると、すでにフィーダーバス化している首里駅前~琉球大学を結ぶ那覇バス94系統が経路変更でてだこ浦西発着に再編される可能性が高そうだ。ゆいレールが延伸したことにより、フィーダー便に学生が流れることを祈りたいところだが、琉球大学へはこの他にもてだこ浦西隣接の幸地を経由する高速バスの多くが停車する。那覇市中心部から琉球大学への交通機関としてゆいレールは使ってくれなさそうだ。


4. 結び

今回の2019年10月1日ゆいレールダイヤ改正では、首里~てだこ浦西間が延伸開業し需要が増加する見込みだ。

一方、車両増結は実施されず、運転間隔も現在の最短4分間隔より短縮する見込みがなく、混雑が続くものと思われる。

今後3両への増結でゆいレールでどのようなダイヤ改正が実されするのか、楽しみにしたい。

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