最高速度引き上げで3新幹線で所要時間短縮へ! 東北新幹線上野~大宮間最高速度引き上げに伴うダイヤ改正予測(2020年予定)

JR東日本は5月16日、プレスリリースにて2018年5月より東北新幹線上野~大宮間の最高速度引き上げ工事に着手すると公表した( 新幹線 上野~大宮間の所要時間短縮に向けた工事着手について )。今回はこれについて見ていく。


1. 上野~大宮間で最高速度引き上げへ

今回の東北新幹線最高速度引き上げ工事では、上野~大宮間のうち埼玉県内で最高速度引き上げが実施される。

東北新幹線上野~大宮間は1985年3月14日、東京~上野間は1991年6月20日に開業したが、最高速度は在来線特急時代の東北本線特急「はつかり」「やまびこ」「ひばり」や上越線特急「とき」、信越本線特急「あさま」の120km/hを下回る110km/hとした。当時東北・上越新幹線を運転していた200系新幹線は東海道新幹線を走る0系の鋼鉄製から軽量のアルミ製に素材を変更したことにより騒音を小さくしていたのだが、建設反対運動もあり鋼鉄製の485系在来線特急よりも最高速度を抑えてしまった。

かくして現在の宇都宮線や高崎線、湘南新宿ラインなどは上野・赤羽~大宮間を120km/hで疾走するのに対し、新幹線特急料金を徴収しているはずの東北・上越・北陸新幹線は在来線料金不要列車よりも遅い110km/hでの運転を今日まで33年以上も続けているのである。当時の状況を見ても東北新幹線上野~大宮間で120km/hでの運転は可能であったと思われるし、在来線より遅くしたのはただの線増(複々線化)と捉えても野暮だろう。

その後1987年の国鉄分割民営化によって東北・上越新幹線は新幹線保有機構の所有となり1991年にはJR東日本の所有に切り替わることとなり、通勤需要への対応と所要時間短縮が課題となった。そこで誕生したのが2階建て新幹線E1系と275km/h対応のE2系である。

しかし最高速度の大幅な引き上げは試験走行に始まる設備投資に莫大な資金が必要となり、最高速度以外の面でも所要時間短縮を図る策を練っていた。そこでATCをデジタル化しブレーキを連続的にかけることにより高速走行時間を延長することとした。このデジタルATCを導入する際にJR東日本では「新幹線東京~大宮間の到達時間短縮の検討について」にて東京~大宮間でスピードアップを検討した。この際東京〜大宮間33kmのうち直線区間を主とした18kmでスピードアップ、恐らくは最高速度向上を図り、デジタルATCの導入に合わせて2006年頃に所要時間短縮を図る見通しであったが、デジタルATCの東京~大宮~盛岡間の導入が2007年内となり1年程遅れたほか、このデジタルATC導入に伴う東北新幹線での所要時間短縮は2008年3月15日ダイヤ改正で実現され盛岡発着「やまびこ」で平均5分、最大11分短縮し、「はやて」も東京~八戸間最速2時間56分運転は変わりないものの最大2分の短縮が図られた。しかし、この際には東京~大宮間の所要時間は上野停車の場合25分のまま据え置かれることとなった。

そして、デジタルATC導入から10年以上が経ち、今回のプレスリリースの公表でついに上野〜大宮間で最高速度が引き上げられることとなった。

2. 所要時間短縮はいかに

では今回の上野〜大宮間の最高速度引き上げはどのように行われるのか。

今回最高速度が110km/hから引き上げられるのは上野〜大宮間のうち埼玉県内12kmの区間に留まり、2002年に検討された18kmより短くなっている。工事は防音板設置や防音壁かさ上げなどで、累計3kmほどしか実施されない。逆に言えば残り9km以上は何も対策しなくても130km/h運転が可能ということのようだ。上野東京ライン開業に伴う工事では東北新幹線の上に線路を通すため大々的な工事が行われたが、今回の工事はJR東日本でいう京葉線、JR西日本でいう湖西線のような在来線でも強風対策として行われているものに近い。工期は約2年としているが、2年間丸々使うとも考えにくい。2018年5月から工事を始めたようだが、おそらく2020年3月ダイヤ改正までに間に合うのではないだろうか。

今回の工事により、東北新幹線上野〜大宮間のうち埼玉県内区間では最高130km/hにまで引き上がる。ただしカーブの影響で与野本町付近では115km/h制限、北与野付近では125km/h制限が課せられている。大宮周辺で110km/hに据え置かれるのは、現在東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線の全旅客列車で大宮を通過とする列車はないことから、110km/h制限のままでも差し支えないと判断したのであろう。もし過去にあったように大宮通過の列車が復活するかもしれないが、1日に数本だろうから費用対効果を考えてもあえて引き上げる必要はないだろう。

この最高速度引き上げにより、上野〜大宮間で1分短縮され、東京〜大宮間の所要時間は25分から24分に短縮される見込みだ。この時間短縮の効果は東京・上野発着のすべての東北・上越・北陸新幹線の所要時間を1分短縮することができる。最速達列車で見ていくと、東京〜新青森間では2時間59分から2時間58分に、東京〜盛岡間では2時間10分から2時間09分に、東京〜仙台間では1時間30分から1時間29分に、東京〜新潟では1時間37分から1時間36分に、東京〜金沢では2時間28分から2時間27分に短縮される。東京〜新函館北斗間は2018年現在で4時間02分運転であるが、2019年3月の青函トンネル内最高速度が引き上げにより160km/h運転が実施されるようになることから3時間59分運転となり、さらにそこから1分短縮され3時間58分運転を行うということになる。山形新幹線・秋田新幹線についてはミニ新幹線区間で列車交換を行うため目的地までの所要時間が必ずしも1分短縮するとは言えないが、これだけ多くのエリアで新車置き換えを行うことなく時間短縮が行える。JR東日本では2017年9月~11月にて上越新幹線の最高速度向上試験を行っていたが、以前の記事で述べたように東京~大宮間で最高速度を引き上げた方が安上がりで経済効果も高いのである。そのようなことから今回の上野~大宮間最高速度引き上げにつながったのではないだろうか。

3. ダイヤはどうなる

さて今回の東北新幹線上野~大宮間最高速度引き上げに伴い所要時間が短縮されることから、必然的にダイヤ改正が実施さえるはずであるが、前述したように2020年3月ダイヤ改正で実施されるか、遅くとも2階建て新幹線E4系が消滅する2021年3月ダイヤ改正で実施されるのであろう。ここでは2020年3月に所要時間短縮が実施されるものと仮定してダイヤ予測を行う。

まずは初列車から。下り(新函館北斗・新潟・金沢方面)は東京・上野発着時刻を変更せず、大宮以北で1分ずつ発着時刻を繰り上げるものと思われる。これにより東京6時04分発「やまびこ41号」盛岡行きは仙台8時00分着から7時59分着に繰り上がり東京から仙台7時台着の東北新幹線が登場するようになるものと思われる。この時刻繰り上げにより大宮のみ駅業務時間が1分繰り上がるが、それ以外の各駅では既に上り(東京方面)列車が動き出しているため、駅業務時間が繰り上がることはない。

上り(東京方面)について見ていくと、東京駅に到着したころには下り列車として12分で折り返して運用に就かなくてはならない時間帯となっている。そのため大宮以北で運転時刻が1分繰り下がるというのが一番あり得るだろう。ともなると最大43駅で駅業務時間を1分短縮することができる。

次に終列車について。下り(新函館北斗・新潟・金沢方面)は上り(東京方面)からの折り返しで発車するため、東京発時刻を変えることは難しい。ともなると、大宮以北で時刻を1分ずつ繰り上げることとなり、終列車の繰り上げが続々実施されるのではないだろうか。一方で上り(東京方面)の終列車については折返し後田端の車庫入線となるから、東京駅の着時刻を変更することができる。そのため大宮以北の時刻を変えず、上野・東京着時刻のみ1分繰り上げることとなる。過去にも類似例として2016年3月26日東海道新幹線ダイヤ改正でN700系が増備されたことに伴い東京23時台着で途中定期「のぞみ」に抜かれない「ひかり」を含め1~2分新横浜~東京間の着時刻を繰り上げた事例がある。一方東京着時刻を繰り下げない場合、各駅の東京行き終列車を1分ずつ繰り下げることができ、各都市での滞在時間が延びるものと思われる。

ただ昼間については様々な可能性があり、なかなか選択肢が絞れない。東京~大宮間往復2分短縮されることを活かし、東京発着時刻を変えずに大宮以北で1分ずつずらすのか、E4系が引退する2021年3月ダイヤ改正まで待って乗降時間短縮により東京駅折返し時間を12分から10分に短縮するのか、余裕時分を設けて折返し時間を限界ギリギリの14分で設定するのか、不明だ。

4. 結び

今回の東北新幹線上野~大宮間最高速度引き上げ対応工事では、東京オリンピックにも間に合う2020年3月ダイヤ改正頃に最高速度の130km/h化が見込まれ、所要時間が1分短縮される見通しだ。

ただ今後東京都内での130km/h運転は東北新幹線開業の条件とした赤羽線(埼京線)十条駅付近地下化事業がいつの間にか高架化へ東京都が都市計画を変更しようとしていることで住民と東京都が衝突し、ついには北区選出の都議会議員が党を更迭され離党するほど泥沼化しており、改善の見込みは当分の間ない。

今後今回の工事によるスピードアップでどのようなダイヤが組まれるのか、楽しみにしたい。