JR東海は2025年6月18日、プレスリリースにて2027年度に非電化区間特急列車用車両HC85系を6両増投入すると公表した。今回はこれから2028年3月JR東海ダイヤ改正について予測していく。
1. HC85系6両増投入へ!
今回の2028年3月JR東海ダイヤ改正に向け、高山本線特急「ひだ」および紀勢本線特急「南紀」向け車両HC85系気動車を6両増備する。
2022年7月から2023年7月にかけて従来のキハ85系特急型気動車80両をHC85系68両に置き換えた。もっとも紀勢本線特急「南紀」では利用減少により4両から2両に減車しているが、高山本線特急「ひだ」は土休日を中心に3両から4両への増車を図るなど輸送量が増えていた。そのため今回の2028年3月ダイヤ改正に向け6両増備することとした。
この増備でHC85系は4両編成13本(うちグリーン車付き8本)と2両編成11本の合計74両となる見込みだ。
では今回増備するHC85系特急型気動車をどのように運用するのか、予測していこう。
2. 高山本線特急「ひだ」の増車に使用へ!
まず一番真っ先に思いつくのが、高山本線特急「ひだ」の土休日の増車である。
4両~10両で運転している高山本線特急「ひだ」であるが、今回6両増備することで土休日の4両運転をなくし6両や8両への増車を図り8両運転列車を増やせば、その分輸送力が増えより乗客を運ぶことができるようになる。
そう考えると高山本線特急「ひだ」の増車は積極的に行うだろう。
3. 富山発着「ひだ」1往復増発へ!
また2028年3月JR東海ダイヤ改正では、富山発着特急「ひだ」を4往復から5往復に増発する可能性も十分考えられる。
富山発着「ひだ」は2023年3月18日JR東海ダイヤ改正で従来のキハ85系から新型車両HC85系に置き換わった際に、平日は3両から2両に減車したものの土休日は多くで3両から4両に増車している。また北陸新幹線の延伸状況もありダイヤ改正ごとに4往復をいかに利用の多い時間帯かつ各列車で利用が分散するかの間隔配置の見直しを積極的に行っている。
そう考えると、今回のHC85系増備に合わせ2028年3月ダイヤ改正より富山発着「ひだ」を4往復から5往復に1往復増発して利用しやすくする可能性があるのではないだろうか?
4. 富山発着「ひだ」1往復増発による列車走行キロ調整のため紀勢本線特急「南紀」紀伊勝浦乗り入れ大幅削減へ!
ただ高山本線特急「ひだ」のJR西日本管内富山発着を増やすということはJR東海車両の他社乗り入れ距離が増えるということになる。
JR各社間では列車走行キロで運用調整をしている。高山本線のうち猪谷~富山間は他社線であるJR西日本管内であることから富山乗り入れするにあたり1日当たりJR東海車両のJR西日本乗り入れ距離が36.6×2=73.2km増えることになる。これをどこかで削減しなければならない。
そこで考えうるのが、同じくJR東海HC85系を使用する紀勢本線特急「南紀」のJR西日本管内新宮~紀伊勝浦間乗り入れ削減である。新宮~紀伊勝浦間は片道14.9kmであるから、富山発着「ひだ」が1往復増えるたびに紀伊勝浦発着特急「南紀」を2.45往復減らせば調整可能だ。
かくして紀勢本線特急「南紀」の紀伊勝浦乗り入れが定期3往復+臨時2往復から定期1往復にまで削減できる見込みだ。これにより列車走行キロ調整によるJR西日本と片道14.9km直通するためだけにわざわざ特急「南紀」の臨時列車をJR東海管内片道208.8kmを運転する必要がなくなり、特急「南紀」の臨時増発日を削減することで場合によっては通年定期列車のみ1日4往復とすることでJR東海としても動力費と人件費を大きく削減できる。
直通先のJR西日本は2024年3月16日より特急「南紀」のうちJR西日本区間新宮~紀伊勝浦間でワンマン化するなどやる気がない。だってそんな末端区間、1列車あたり10人乗っているか乗っていないかだもの。JR西日本も動力費節減のために自社車両287系特急型電車で運転する特急「くろしお」や227系普通電車に乗り換えてもらった方が空いている電車の席が埋まるのである。
そう考えると今回のHC85系特急型気動車増備で富山発着「ひだ」が1往復増える一方で、紀伊勝浦乗り入れ特急「南紀」を大幅削減するのではないか。
なおわざわざ増備するほどなので、大阪発着「ひだ」1往復は残るだろう。
また熊野大花火大会に合わせて運転する毎年8月17日深夜24時09分熊野市発名古屋行き臨時快速(名古屋翌日3時56分着)も運転日がお盆で特急「ひだ」にフル運用する日なのでキハ75系6両編成の快速列車のまま変わらないだろうし、そもそも同日の特急熊野大花火号は全車指定席であること、キハ75系は関西本線急行「かすが」としての運用や快速「みえ」で指定席運用があることから、特急用HC85系に置き換えるより先に快速のまま全車指定席化か急行に格上げの上全車指定席化すると思われるが。
5. 最大の目的は全車指定席化か!
そして今回の2028年3月JR東海ダイヤ改正に向けたHC85系特急型気動車増備の最大の目的は、高山本線特急「ひだ」と紀勢本線特急「南紀」の全車指定席化ではないだろうか。
私鉄特急はたいてい全車指定席であるほか、JR東日本やJR西日本も在来線特急の全車指定席化に乗り出している。またJR東海内を運転する特急列車のうち小田急新宿~御殿場間を運転する小田急60000系特急「あさぎり」と名古屋~JR西日本敦賀間を運転するJR西日本683系特急「しらさぎ」は全車指定席で運転している。
高山本線特急「ひだ」が温泉街飛騨高山への観光特急列車であること、紀勢本線特急「南紀」も名古屋近郊は快速「みえ」の運転があること、紀勢本線特急「熊野大花火」はすでに全車指定席であることから、HC85系特急型気動車増備で座席数が増えたところで特急「ひだ」「南紀」を全車指定席にするのではないか。
6. 結び
今回の2028年3月JR東海ダイヤ改正では、高山本線特急「ひだ」の増備のほか富山発着「ひだ」の双発が見込まれる、一方で紀勢本線特急「南紀」の紀伊勝浦乗り入れを大きく削減する可能性がある。
今後JR東海でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:新幹線車両(N700S)および在来線特急車両(HC85系)の追加投入について – JR東海
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