税金でクソガバ報告書作成し計画頓挫か! 奥羽新幹線・羽越新幹線ダイヤ改正予測(2045年予定)

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税金でクソガバ報告書作成し計画頓挫か! 奥羽新幹線・羽越新幹線ダイヤ改正予測(2045年予定)

羽越新幹線建設促進同盟会・奥羽新幹線建設促進同盟会は2020年3月、プレスリリースにて奥羽新幹線及び羽越新幹線の費用対効果について公表した( 羽越・奥羽新幹線の早期実現に向けた費用対効果算出等業務調査報告書 )。今回はこれについてみていく。

1. 奥羽新幹線・羽越新幹線の建設へ向け報告書作成へ

今回の奥羽新幹線・羽越新幹線費用対効果報告書では、奥羽新幹線や羽越新幹線の開業に向けた様々な報告をしている。

そもそも奥羽新幹線は福島~山形~秋田間、羽越新幹線は(富山~)上越妙高~新潟~秋田~新青森間で計画している整備新幹線である。

もし開業した際には全区間JR東日本が運営する可能性が高そうだ。なお今回の報告書では2045年の開業を目指して試算しているようだ。




2. 最高速度320km/h対応、ホーム長は8両までで東京乗り入れを計画などずさんな報告へ

では今回の報告書ではどのような設計としているのだろうか。

まず奥羽新幹線・羽越新幹線は最高速度320km/hで開業するとしている。おいおい、そもそも東京から百万都市を結ぶ区間があれば東北新幹線や北海道新幹線のように320km/h以上の運転を目指すことにはなるのだが、そうではない奥羽新幹線や羽越新幹線は260km/h運転でしか認可はまず降りないだろう。

なお320km/hでの運転の場合、最速で東京~山形間は1時間41分、東京~秋田間は2時間23分、富山~新潟間は1時間13分、富山~新青森間は3時間02分になるとしている。ただ北陸新幹線が新大阪まで延伸したとしても新大阪~富山間で1時間50分程度かかると見込まれるとなると、新大阪~新潟間は3時間程度、新大阪~新青森間に至っては5時間程度かかる見込みだ。

また奥羽新幹線や羽越新幹線は8両編成の停車しか想定しておらず、駅ホームも8両分しか設置しないつもりだ。もっともE5系8両編成を走らせるとは言っているが、奥羽新幹線と直通する予定の東北新幹線は基本10両編成、羽越新幹線と直通する予定の上越新幹線や北陸新幹線は2023年3月ダイヤ改正以降全列車がE7系またはW7系の12両編成のみとなる見込みだ。そう考えると駅設備面では本当に東北新幹線や上越新幹線や北陸新幹線と直通運転を想定しているとは思えない

もっとも駅ホームを短縮し駅設備を簡略化したのは建設費を極力抑えたいからかもしれないが、極端な建設費圧縮によりかえって実現可能性を下げてしまっていては元も子もないし、費用便益比も0.47しかなく便益上も建設するメリットがないとしている。そう考えると、もはや実現可能性はないと言いたいために報告書を作ったと言っても過言ではないのだろうか




3. ずさんな設計から策定したダイヤは適正なのか

また今回の報告書では奥羽新幹線・羽越新幹線の運行ダイヤについても触れている。そこで今回は運転本数が果たして適正なのか見ていこう。

まずどの新幹線でも定期列車と臨時列車の運転があるが、この報告書でのこれまで開業した新幹線の開業当初の運転本数を見る限り定期列車の運転本数のみを計上しているので(つまり多客期は無視)、今回の運転本数の想定も定期列車の運転本数のみなのだろう。

奥羽新幹線・羽越新幹線をともに開業した場合の運転本数想定は以下の通り。

  • 奥羽新幹線
    • 東京~新青森間 片道16本(毎時1本)
    • 東京~秋田間 片道16本(毎時1本)
  • 羽越新幹線
    • 東京~秋田間 片道16本(毎時1本) ※表記では新青森までとしているが、地図上の運転本数から考えると誤植と思われるため修正
    • 新大阪~新青森間 片道16本(毎時1本)
    • 新大阪~新潟間 片道16本(毎時1本)

となっている。上越妙高~富山間は東京へ向かう北陸新幹線より新大阪へ向かう羽越新幹線の方が運転本数が多くなってしまっているし東北新幹線盛岡~新青森間ですら定期列車は片道20本しか運転がないのに秋田~新青森間が片道32本とは想定違いも甚だしい




また、輸送密度も想定しているのでそこからも計算してみよう。まず新幹線は通常期であれば昼間毎時1両の運転で3,000人/日・往復まで運べるし、朝夕でも毎時1両の運転で2,000人/日・往復まで運べる。そう考えるとE5系8両編成であれば輸送密度16,000人/日・往復までなら毎時1本で運びきれるはずだし、24,000人/日・往復であれば北陸新幹線長野~富山間のように昼間毎時1本で済むはずだ。

そう考えると320km/h運転想定での輸送密度を考えても昼間も定期列車が毎時2本必要な区間は福島~山形間くらいしかなく、朝夕だけでも定期列車が毎時2本必要な区間は福島~新庄間と新潟~新発田間くらいしかない。しかも東北新幹線や上越新幹線に会わせて10両や12両に増結してしまえば朝夕毎時2本が必要な区間も毎時1本で済んでしまう。おいおい、奥羽新幹線や羽越新幹線の毎時2本運転なんて完全に空気輸送ではないか

しかもその後には単線化してまで費用便益比を1に近づけようとする始末である。単線になったら速達タイプの新幹線や320km/h運転なんて到底無理だと思いますけれども。

まあこんな無謀な計画に大金を投じて全線開業させようなんて滑稽な話で、秋田県が田沢湖線新仙岩トンネルの計画への覚書を書いたのも奥羽新幹線が開業したら仙台に行きにくくなるため既存の秋田新幹線「こまち」をそのまま残そうとしている一面まであるほどだ。

また今回報告書作成を依頼した建設促進同盟会は沿線の自治体も負担しており、その拠出元は税金である。要は運輸総合研究所が250ページの報告書を作るために税金を無駄遣いしただけである

ではなぜ税金を無駄遣いしてまでこんなポンコツ報告書を作ったのだろか。もっとも費用便益比が0.47奥羽のため奥羽本線や羽越本線の全線開業はあり得ないのだが、JR東日本と山形県が計画している奥羽本線庭坂~関根間の新線付け替えを整備新幹線計画の奥羽新幹線として建設させるか否かの議論材料として制作したのだろう。もし整備新幹線として建設するとなればJR東日本の負担は30年分の収益増加分のみ、山形県や福島県の負担は残りの建設費の3分の1のみとなり県の負担額を減らすことができる。そうなれば山形県としても山形新幹線の安定運行につなげられるほか所要時間短縮効果をアピールできるのでメリットが多そうだ。

あとは羽越新幹線のうち上越妙高~長岡間の建設だけでW7系やE7系の運転で新大阪~新潟間の直通列車を設定でき航空機から多くの需要を取れる可能性がある。そうなれば費用便益比も1を超える可能性があることから可能性がないわけではなさそうだ。


4. 結び

今回の奥羽新幹線・羽越新幹線費用対効果報告書では、奥羽新幹線・羽越新幹線の建設想定が非常に甘く、実質全区間の開業は難しいと考えてもよさそうだ。

ただ山形県が推し進めている奥羽本線庭坂~関根間の新線付け替えを奥羽新幹線の計画の一部として盛り込むことで、県の財政負担軽減を図りに行っている可能性はありそうだ。

今後奥羽本線での新線付け替えにより山形新幹線「つばさ」の所要時間短縮は見込めるのか、見守ってゆきたい。

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