JR北海道は2025年8月18日、プレスリリースにて8月18日より宗谷本線音威子府~稚内間で運休するほか、名寄~音威子府間でも大幅運休することとした。今回はこれについて見ていく。
1. 宗谷本線一部運転見合わせで便乗運休へ!
JR北海道では2025年8月17日に宗谷本線糠南~豊富間にて土砂流入や路盤流出などで運行に支障が生じたため、この区間を含む音威子府~稚内間で運転を見合わせることとなった。
これにより1日全1往復しか運行しない特急「宗谷」は札幌~旭川間で折り返し運行、1日全2往復の特急「サロベツ」は全区間運休とし1日2往復の特急停車駅相互駅間の代行バスを運行することとした。
また稚内市内の高校通学向けに地元住民向けの稚内行き朝1便と稚内発の夕方2便のバスを用意している。
また運転している区間の名寄~音威子府間では昼間の2往復を運休、所定では特急列車3往復と普通列車4.5往復のところ、特急停車駅のみ停車の代行バス2往復のほか普通列車は2.5往復しか運行しない。しかも昼間の普通列車は全便運休のため約8時間30分もの保守間合い時間を確保するに至っている。おかげさまで朝は音威子府6時41分発名寄行きしか運行しないし、夕方も名寄発音威子府行き2本とその折り返ししか運転しない始末である。
果たしてなぜ列車を動かせる宗谷本線名寄~音威子府間でも昼間2往復の普通列車を減便するに至ったのだろうか。
2. バスに転換しても問題なく運べる鉄道を存続したくないJR北海道の態度
ではなぜJR北海道は今回の宗谷本線音威子府~稚内間の運転見合わせに際し名寄~音威子府間で昼間の普通列車を全運休することとしたのか。
そもそも宗谷本線名寄~稚内間の各隣駅間輸送密度は500人/日を下回っており、バスに転換しても何ら問題ない
しかもその利用者のほとんどが特急列車であり、宗谷本線では特急通過駅の利用者数はほとんどが1日3人未満と廃駅レベル、毎年のように数駅ずつ駅を廃止している。もはや特急通過駅をすべて廃止して普通列車を全廃、バスどころかジャンボタクシーで転換しても運べそうなくらいなのだ。このため今回の不通に際し昼間は特急停車駅のみ停車の代行バスで代替している。
がそもそも通常運行できるはずの名寄~音威子府間でも昼間の普通列車を運休、8時間30分列車を運行しなかった。これはもうJR北海道は本音では輸送密度500未満でバス代替しても問題のない宗谷本線名寄~稚内間を運営したくない、廃止にしたいのではないだろうか。
なお2025年8月23日には復旧し宗谷本線全線で運転を再開する。
3. 近い将来宗谷本線名寄~稚内間などのキハ54系線区を廃止か!
なんだかJR北海道のキハ54系線区は末端区間での運転が多い。そもそもキハ54系運転の留萌本線は2026年3月31日の全線廃止が決まっているし、残るキハ54系のみが運転する線区は宗谷本線名寄~稚内間のほか根室本線滝川~富良野間や釧路~根室間となっている。いずれも隣駅間輸送密度500未満が多く占める線区だ。
またJR北海道では2025年3月末までに従来のキハ40系を新型車両H100形に置き換えたことで今後キハ54系の車両老朽化対策を行うとしている。がキハ54系も1986年製造であることからもう製造から40年経過する老朽化車両である。
そう考えると新型車両H100形への置き換えも考えるのだが、平均輸送密度200未満の赤線区の廃止が2026年3月31日の留萌本線全廃止で完了する。そうなると今度は平均輸送密度2,000未満の黄線区が廃止になる可能性がある。その黄色線区に車齢40年を迎える老朽化したキハ54系を集めているのだ!
そう考えるとキハ54系線区は2030年ごろをめどに全線廃止とするのかもしれない。宗谷本線の一部区間運転見合わせに便乗した運行可能区間での昼間の運休はそれを示唆しているのかもしれない。
4. 結び
今回の2025年8月18日~8月22日JR北海道臨時ダイヤ運転では、宗谷本線音威子府~稚内間の運転見合わせに便乗して名寄~音威子府間での昼間の普通列車の運転を取りやめた。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
関連情報:宗谷線 豊富~糠南駅間における大雨の影響について – JR北海道
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