名古屋鉄道は2021年8月10日、プレスリリースにて10月30日にダイヤ改正を行うと公表した( 10 月 30 日(土)にダイヤ改正を実施します )。今回はこれについて見ていく。
1. 昼間の減便さらに実施へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、2021年5月22日名古屋鉄道ダイヤ改正以来約5か月ぶりにダイヤ改正を行う。
前回のダイヤ改正では運転本数の多い名古屋本線を中心に減便を図ったが、今回のダイヤ改正ではその他の路線を中心に減便を図っている。
それでは各線ごとにどのように減便するのか、見ていこう。
2. 豊川線で昼間毎時2本に減便でJR飯田線より乗車チャンス低下へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、豊川線で減便を図る。
そもそも豊川線では前回2021年5月22日名古屋鉄道ダイヤ改正にて名鉄名古屋方面に直通する急行を減便したが、豊川線内のみ救済として国府~豊川稲荷間で普通列車を同時刻で運転することとした。しかし名鉄名古屋方面への連絡がなかったことから利用が少なく、今回のダイヤ改正で国府~豊川稲荷間の普通列車のうち11時~15時までのうち7往復を減便し、昼間は毎時2本の運転となった。
なお豊川稲荷(豊川)から名鉄名古屋(名古屋)へ向かうには名鉄豊川線・名古屋本線を利用するほかにもJR東海飯田線・東海道線を利用する方法もある。しかもJR飯田線は昼間も豊橋まで毎時4本を運転しているほかお得なきっぷを発売し名古屋往復きっぷを使えば往復1,900円で利用できることから、競合していると言えよう。
そんな中名鉄は豊川線を減便してよかったのか、と言われるとやや怪しいが、JR飯田線の豊橋~豊川間毎時4本運転もやせ我慢的なところがあり、列車のおよそ半数は普通列車と名乗りながら豊橋~小坂井間ノンストップである。そう考えると今回の名鉄ダイヤ改正を受けて2022年3月JR東海ダイヤ改正では飯田線豊橋~豊川間の減便は十分考えられそうだ。
3. 各務原線で昼間毎時2本に減便でJR高山本線と同水準に減便へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、各務原線で一部区間で減便を図る。
今回減便するのは各務原線のうち名鉄岐阜~犬山間を運転する列車のうち新那加~犬山間にて急行運転を行う列車毎時2本の中で昼間10~15時の列車10往復となっている。ただ名鉄岐阜~三柿野間では現状通り毎時4本のまま変わらないことを考えると、減便するのは三柿野~犬山間に絞られる。
これにより三柿野~新鵜沼間では昼間毎時4本から毎時2本に半減するほか、新鵜沼~犬山間では昼間毎時8本から毎時6本に減便することとなった。また新那加~犬山間急行運転の列車を区間短縮により各駅に停車することに変更する見込みであることから、市民公園前に停車する列車が昼間毎時2本から毎時4本に増加する見込みだ。
ただ各務原線はほぼ全線でJR高山本線と競合しているほか、高山本線も昼間毎時2本の運転があるほか多くの区間で高山本線の方が安い。もっとも停車駅の多さと昼間の運転本数の多さで名鉄各務原線は勝負していたわけだが、今回のダイヤ改正で三柿野~新鵜沼間で減便したため名電各務原や新鵜沼から名鉄岐阜に向かう列車がJR高山本線と同じ昼間毎時2本に減ってしまった。もっとも各務原市中心部から名鉄岐阜への運転本数は昼間毎時4本を維持しているので影響は最小限に使用としているようだが、ギリギリまで切り詰めているようだ。
ただ今回の減便により昼間から各務原線の急行がなくなるため名鉄岐阜~新鵜沼間の昼間の所要時間は最速26分から31分に5分延びることとなった。安いJR高山本線が21分で結んでいることを考えるとかなりの痛手だろう(なお名鉄は名鉄岐阜~新鵜沼間460円、JR東海は岐阜~鵜沼間330円)。
4. 尾西線で昼間毎時2本に減便へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、尾西線で一部区間で減便を図る。
今回のダイヤ改正では森上~津島間で減便を実施し、昼間のうち10~15時は毎時4本から毎時2本に削減する。
ただこの尾西線運転本数削減により津島から名鉄一宮に行く際に場合によっては須ヶ口を回った方が早く到着することが生じるようになる見込みだ。まあ津島ならまだ尾西線経由の方が乗り換えなしで行けるのでまだいいかもしれないが、佐屋の場合は名鉄一宮へ行く際は津島乗り換えではなく須ヶ口乗り換えの方が一般化してもおかしくなさそうだ。
これらの豊川線・各務原線・尾西線の減便で共通しているのは、昼夕輸送力比100%での昼間の減便であること、及び高校生など下校時間帯の15時以降は減便していないことである。つまり極力利用の少ない時間帯のみの減便に留めたようだ。
5. 瀬戸線で昼間の準急格下げで廃止へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、瀬戸線で昼間の準急を普通に格下げし、廃止する。
そもそも瀬戸線では前回2021年5月22日名古屋鉄道ダイヤ改正より昼間の急行毎時2本を廃止したことから準急毎時2本と普通毎時6本の運転となっている。ただ原則急行を間引きしただけだったため30分サイクルダイヤで普通は15分間隔のままだったことから急行通過駅でも最大運転間隔が15分空くこととなった。
そこで今回のダイヤ改正では準急毎時2本を普通に格下げし、全線運転の普通のみ毎時6本を運転することとした。これにより準急通過駅では停車チャンスが増えたほか、10分間隔で均等運転となった。
ただこの各駅停車化により栄町~尾張瀬戸間は昼間は準急で31分で結んでいたところ36分かかるようになった。もっとも5分程度しか伸びないじゃないかと言われればそれまでだが、直前の2021年5月22日ダイヤ改正までは急行で29分で行けたことを考えると、たった半年で相当所要時間が延びたことになる。
せめてもの救済は瀬戸線用車両4000系は起動加速度が3.0km/h/sと高いため、停車駅が増えてもあまり所要時間に響かなかったところは救いだろう。
ただ、瀬戸線はこのご時世で乗客が減る以前から4両編成毎時5本あれば昼間は運べてしまっていた。もっとも急行や準急などの種別の違いがあっりばらつきが出ることから毎時8本ないし毎時6本での運転をする必要があったものと考えられるが、そもそも全列車各駅停車化して運転間隔を均等化してしまえば混雑をばらすための増発は必要ない。しかもこのご時世で旅客が減少していることを考えると、近い将来瀬戸線で昼間毎時5本運転に減便してもおかしくはなさそうだ。
6. 深夜時間帯の削減へ
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、名古屋本線を中心に深夜時間帯の削減を図る。
今回深夜時間帯に減便するのは主に普通電車となっている。
名古屋本線では平日22時台の名鉄岐阜~須ヶ口間の普通1往復を廃止する。
また竹鼻線・羽島線では平日22時台に1往復を減便するほか、土休日22時台に残っていた名鉄岐阜乗り入れ列車2本の運転を取りやめる。
さらに豊川線では平日21時台に国府発豊川行き1本をを廃止し名鉄一宮始発の急行と合わせて4本から3本に減便する。
また広見線では犬山~新可児間で平日・土休日とも22時台に減便を図り、犬山→新可児間で4本から2本に、新可児→犬山間で2本から1本にそれぞれ減便する見込みだ。これにより御嵩方面への連絡がある列車を除いて22時台の運転はなくなる見込みだ。
全国各地で深夜時間帯の利用が減っており平日でも21時台以降は空席が出る路線があるほどだと考えると、今回のダイヤ改正で名古屋鉄道で減便するのは致し方なかろう。
7. 結び
今回の2021年10月30日名古屋鉄道ダイヤ改正では、名古屋本線のみならずそのほかの路線でも減便を図ることとなった。
今後名古屋鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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