JR東日本は2019年7月10日、プレスリリースにて9月及び10月開催のラグビーワールドカップに合わせ臨時列車を運転すると公表した( 今秋に行われるラグビー国際大会期間中の対応について )。また三陸鉄道は019年7月10日、プレスリリースにて9月及び10月開催のラグビーワールドカップに合わせ臨時列車を運転すると公表した( 9月25日に運転する臨時列車のお知らせ )。今回はこれらについて見ていく。
1. 大会に合わせ臨時列車設定へ
今回の2019年9月~10月JR東日本臨時列車運転では、2019年ラグビーワールドカップに合わせ臨時列車が多数運転される。
2019年ラグビーワールドカップでは日本全国のラグビー施設が会場となっている。このうち横浜国際総合競技場(JR東日本横浜線小机)や東京スタジアム(京王線飛田給)、花園ラグビー場(近鉄奈良線東花園)や札幌ドーム(札幌市営地下鉄東豊線福住)などは、ラッシュ時に活用している編成を活用して都市鉄道の列車を増発したり優等列車を臨時停車させれば臨時輸送を間に合わせることができる。飛田給発新宿行き準特急の運転などこれまでよりも手厚い増発を実施することもあるが、あくまでラッシュ時の輸送力を超えることはない。
しかし遠地となると、そもそもの列車本数が少ないことからラグビーの試合のためだけに他の路線から車両をかき集めて臨時列車を設定することになる。
2. 上越新幹線の臨時列車設定でスピードアップへ
今回の2019年9月~10月JR東日本臨時列車運転では、今回の2019年ラグビーワールドカップでは、熊谷ラグビー場での試合に合わせて、2019年9月24日に上越新幹線及び高崎線でも臨時列車の増発を実施する。
上越新幹線では東京(または上野)~熊谷間で2往復の「たにがわ」を運転し東京都と埼玉県内しか運転しなしない新幹線を運転するほか、新潟21時35分発上越新幹線最終「Maxとき350号」東京行きが熊谷に臨時停車することとなった。
この上越新幹線最終「Maxとき350号」であるが、熊谷臨時停車により大宮では3分遅れで到着するが、終点東京には1分遅れの23時41分に到着する。東京~大宮間の新幹線は制限速度の関係で上野に停車する場合は26分で運転することとなっており、2分短い24分での運転は上野を通過すなければあり得ない。
しかし今回の熊谷臨時停車に伴い大宮→東京間を2分短い24分で運転できるようになったということは、最高速度を引き上げ130km/h運転に対応したということなのだろうか。
JR東日本では2020年を目途に上野~大宮間のうち埼玉県内の新幹線区間で最高速度を110km/hから130km/hに引き上げるといているが、「Maxとき350号」は2021年での引退が決まっているE4系での運転でかつ2019年現在JR東日本の運転する新幹線で最も空気抵抗の高い車両となっており、E4系での130km/h運転ができるよう騒音対策などをおこなったとしても2年後には無駄となってします。本当にE4系で130km/h運転を行うかは怪しい。
また高崎線では終電の後に籠原23時22分発普通上野行き臨時列車を設定する。熊谷ラグビー場の最寄り駅は熊谷駅(といってもそこから4kmあるのだが)のため、籠原始発として設定しているのは運用繰りの影響であるものと思われる。
この高崎線臨時列車は上野24時35分着で到着し、上野24時47分発山手線池袋行きをこの臨時列車の運転日に限り大崎行きとして延長運転し山手線全駅は臨時終電から接続させてカバーする気のようだが、別に池袋以遠であれば高崎線から赤羽で埼京線新宿行きに乗り換えて池袋で定期列車の最終大崎行きに接続できるから、絶対必要かと言われるとそうでもない列車のようだ。
3. 臨時列車設定で釜石線に新型車両と8年ぶりの直通運転再開へ
また今回の2019年9月~10月JR東日本及び三陸鉄道臨時列車運転では、釜石鵜住居復興スタジアムにて2019年ラグビーワールドカップの試合が行われることから、それに合わせて臨時列車を設定する。
そもそも釜石鵜住居復興スタジアムは釜石市街地から遠いところにあり、アクセス手段がかなり限られている。
このことから釜石駅から事前予約制の往復500円のシャトルバスを運転するほか、事前予約制のライナーバスを一ノ関~盛岡間の東北新幹線各駅及び宮古駅、盛駅、いわて花巻空港から片道1000円で運転する予定だ(詳細はこちら)
しかしバスのためそもそも定員が少ないほか、予約枠も限られている(バス1台で観光バスタイプなら40~50人乗せられるはずなのに、20人しか予約させないのは如何なものかと思うが)
また釜石に向かうための臨時列車を運転し、それに接続するため東北新幹線でも臨時列車を運転する。
東北新幹線では仙台の次に新花巻に停車する東北新幹線臨時「はやぶさ」を設定する。一ノ関や北上を通過して新花巻を停車させるなど本来であれば言語道断ものであるが、今回は釜石まで連絡させるためにこのような停車設定にしたようだ。
なお、東京~仙台間は他の日にも運転する臨時列車スジで設定しているが、新花巻停車に伴い所要時間がかかることから盛岡発着時刻を4分程度ずらして設定している。また本来であれば新青森発着、場合によっては新函館北斗発着で設定される臨時「はやぶさ」のスジを盛岡発着で設定している。
そして東北新幹線から釜石まで連絡させるために、釜石線でも臨時列車が設定される。
今回設定するのは、釜石線で快速列車4往復の設定となる。当初は花巻~釜石間の運転で、途中停車駅は新花巻と遠野だけで設定し、試合当日となる2019年9月25日や10月13日にそれぞれ別ダイヤで運転することとなっていた。
使用車両は他路線からかき集めたこともあり、キハ100系4両編成が1往復、キハ110系4両編成が2往復、キハE130系4両編成が1往復で、定期列車の釜石線快速はまゆりに連結される指定席は設定されず、全車自由席での運転となっている。
キハ100系は釜石線の普通列車で運転しているし、キハ110系は釜石線快速はまゆりとして運転しているほか周辺線区でも多く運用実績があるのでわかる。しかし、キハE130系はどこから来たんだ?
そもそもキハE130系が運転しているのは、水郡線と久留里線、八戸線の3線しかない。久留里線から東北までキハE130系を持ってくるのは不可能なので、水郡線か八戸線用の編成を借りて運行することとなる。
水郡線用のキハE130系であれば郡山から自社線内を延々と回送して持ってくることができるが、所属が水戸支社であることから難しそうだ。
そう考えると同じ盛岡支社管内の八戸線用のキハE130系を持ってくることになるが、周辺の在来線は全て第三セクターに転換しており、回送するふぁけで線路使用料をとられてしまう。また青い森鉄道は八戸線へのキハE130系導入に伴い八戸線との直通運転を中止しており、全区間をJRの乗員で輸送しなければならない。
キハE130系であれば3ドアの拡張車体であるため、大きく輸送力を稼ぐことができる。
そこまでしても臨時列車の運用をかき集めたかったと考えると今回の2019年ラグビーワールドカップでの混雑がいかに激しいかを物語っているように見える。
しかし会場となる釜石鵜住居復興スタジアムは釜石駅から遠く、最寄駅としての機能を果たせない。
しかし、三陸鉄道リアス線(旧山田線区間)鵜住居から道のりにして800m、徒歩10分程度でアクセスできる。これに合わせ三陸鉄道では釜石~鵜住居~大槌間で臨時列車を運転する。
そこで三陸鉄道から提案したのが、臨時列車を最寄り駅の旧山田線区間の鵜住居まで延長すること。この増発で三陸鉄道ではより輸送力を高めることができるし、東北新幹線の乗り入れる新花巻まで直通で向かえるようになった。
2019年3月23日の三陸鉄道リアス線復旧では定期列車としてのJR線直通列車は設定されなかったが、今回の臨時列車運転で2011年3月11日まで実施されていた含むJR山田線とJR釜石線の直通列車が復活することになった。
実施するのは2019年9月25日と10月13日にそれぞれ1往復となっており、キハ100系4両編成の列車で延長運転することとなった。
4. 結び
今回の2019年9月~10月JR東日本及び三陸鉄道臨時列車運転では、2019年ラグビーワールドカップの開催に伴い各地で多数の臨時列車を運転することとなった。
上越新幹線のスピードアップや三陸鉄道との直通列車運転再開など、今回の臨時列車運転が今後のダダイヤ改正でどのように生かされるのか、見守ってゆきたい。
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