留萌本線一部廃止で部分存続へ! JR北海道留萌本線ダイヤ改正予測(2023年3月予定)

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留萌本線一部廃止で部分存続へ! JR北海道留萌本線ダイヤ改正予測(2023年3月予定)

北海道新聞は2022年7月16日、プレスリリースにて2023年3月にも留萌本線の一部を廃止すると公表した( JR留萌線の一部、来年3月末にも廃止 地元と調整、バス転換へ )。今回はこれについてみていく。

2023年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 留萌本線、暫定的に部分存続へ!

北海道新聞によれば、JR北海道は2023年3月31日に留萌本線石狩沼田~留萌間を廃止するとしている。

そもそも留萌本線は深川~増毛間の66.8kmの路線だったが、2016年12月5日に留萌~増毛間が廃止になったことにより深川~留萌間の50.1kmに短縮することとなった。

それと前後してJR北海道では管内全線で路線に見直しを精査、2016年に留萌本線全線平均にて輸送密度200人/日・往復未満でいることを理由に全線廃止を前提に議論するとしていた。

もっともこの際に同時に留萌本線同様輸送密度200人/日・往復未満の線区として指定した札沼線北海道医療大学~新十津川間は2020年5月6日をもって廃止となっている

そもそも路線廃止を輸送密度200人/日・往復未満の路線としたのは、国土戦略上廃止にすると都合の悪いものの輸送密度が200人/日・往復~400人/日・往復程度しかいない宗谷本線稚内と根室本線根室を存続させるためである。




ただ、留萌本線は深川~留萌間の間でも駅間によって輸送の差が大きく、2019年度でも石狩沼田~留萌間は80人/日・往復しかいないのに対し深川~石狩沼田間は273人/日・往復あるため、区間によっては存続の基準を満たしてしまっているのである

もっとも輸送密度も廃止基準で、市中心部から高速バスるもい号で札幌まで直通で行けたり沿岸バス・道北バス旭川留萌線で旭川まで直通で行ける留萌市は足早に廃止を承認した。しかもJR北海道は2019年10月1日の消費税増税と同時に大きく値上げを図り深川~滝川間が1,070円から1,290円に値上げしたこと、沿岸バス・道北バス旭川留萌線は深川市街地や留萌市街地に乗り入れて1,100円で迎えることを考えるとほとんど留萌本線で留萌に行こうとは思わない。

しかも留萌市自体が過疎が大きく進んでおり、この25年で人口が約3万人から2万人に3割以上も減ってしまっているほか、2019年には1日10往復の運行があった沿岸バス・道北バス旭川留萌線は2020年9月1日に2往復、2022年10月1日に3往復を減便し快速運行を取りやめることで、各駅停車の普通便のみ5往復の運行に半減してしまうほど利用が落ち込んでいる。留萌市としては留萌本線を潰して需要をバスに一本化することで地域輸送も担う沿岸バス・道北バス旭川留萌線の赤字抑制を図り地域交通を維持したいのだろう。そういう観点からすると留萌市は石勝線夕張支線をぜひ廃止してほしいと願った夕張市のような状況かもしれない。

が、秩父別町と沼田町が隣駅間輸送密度が200人/日・往復を超えていることを理由に廃止を承認していない。




このためJR北海道では当初計画していた留萌本線の深川~留萌間の全線一斉廃止をあきらめ、まずは沿線自治体から廃止の承認が下りるであろう石狩沼田~留萌間を2023年3月で廃止、深川~石狩沼田間はその3年後の2026年頃に廃止するという新たな案を公表したものである

これにより、ほぼ確実に石狩沼田~留萌間は2023年3月をもって廃止することが濃厚である。このため留萌本線は空知総合振興局管内のみの深川~石狩沼田間の4駅間14.4kmの路線に大きく短縮する見込みだ

もう日高本線も日高総合振興局に1駅もなくなってしまったから、留萌振興局に行かない留萌本線ができても前例はある、一応。ただ、全長14.4kmの支線もない路線で本線というのかJR北海道。さすがに滑稽すぎやしないか?

まあJR北海道としてもさよなら乗車需要を1回から2回に分けることで乗車券収入は増えるし、記念入場券セットも初乗り200円に上げたため増収に一役買うようになる。そのメリットも考慮して留萌本線の分割廃止を提起したのだろう。

(2022.8.30追記)2022年8月30日にJR北海道と沿線4市町との協議にて留萌本線の上記の2段階廃止が決定しました。




2. 1運用のみの折り返し運転も柔軟なダイヤ設定へ!

さて、2023年3月をもって石狩沼田~留萌間を廃止する留萌本線では、残る深川~石狩沼田間で列車の運行を引き続き行う。

そもそも2022年現在、全線単線の留萌本線ではキハ54系気動車1両編成による列車のみを運転している。2運用が組まれており、全ての列車が全線運転であることから列車の交換は唯一の交換可能駅である峠下駅でのみ行っている。今回のダイヤ改正で石狩沼田~留萌間に含まれている峠下は廃止となるので、深川~石狩沼田間は全駅で列車交換ができない。つまり、物理的に1列車しか留萌本線に進入できないため、1運用しか組めない。

このため留萌本線部分廃止により気動車が1両余る。もっとも留萌本線は1986年以降に投入したキハ54形のため老朽置き換えの対象ではないが、キハ40系列を押し出すことによりキハ40系1両を廃車にすることができる。

また、2022年現在は峠下で列車交換をする必要があることから、ダイヤ上の制約もかかっており、1時間間隔程度までしか縮めることができない。ただ、今回のダイヤ改正後も存属する深川~石狩沼田間の所要時間は15分~17分程度であり、折返し時間を含めても最小45分間隔程度で組むことができるようになり。つまり深川~石狩沼田間では部分廃止前より柔軟な運転時刻を組むことができるようになるのだ!

ではどのようなダイヤを組むことができるのだろうか。そもそも深川5時44分発留萌行き初列車は留萌6時47分発普通深川行きを留萌まで送り込むための列車だが、留萌まで送り込む必要がなくなるほか石狩沼田6時27分発深川行き車列車として折り返せば良くなる。折り返しは10分程度でできることから、深川6時00分発程度にまで16分程度繰り下げることができる。

また最終列車は留萌20時20分発深川行きで石狩沼田を21時00分に出発するが、利用者は全区間を通じても5人もおらず事実上留萌まで行った列車の折返し返却列車である。この列車も深川20時13分発石狩沼田行きからの折返しに変えれば、石狩沼田20時38分発程度で設定することができ終列車を22分程度繰り上げることも可能だ。

これにより早朝深夜での運転時間帯縮小を図ることができ、営業費用や保守費用を削減することができる見込みだ。




3. 代替交通はどうなる

では2023年4月1日の留萌本線石狩沼田~留萌間の廃止に合わせてどのような廃止代替交通を設定するのだろうか。

先述したように、今回の部分廃止から3年後の2026年3月に留萌本線が全区間で廃止となる。このため留萌からの代替交通は石狩沼田への鉄道連絡バスではなく、全線廃止を見据えた深川までの交通手段で確保する。

現在留萌から深川へは沿岸バス旭川留萌線を運行している。現在は1日5往復の各駅停車便だけだが、2020年までは快速便5往復を合わせた10往復体制となっていた。

今回の留萌本線部分廃止に合わせ沿岸バスでは旭川~留萌~羽幌間、途中滝川には経由しない高速あさひかわ号を1往復運行することとなった。どうやら旭川への本数を増やすことで滝川経由の各駅停車バスの混雑を分散させることが狙いのようだ。この特急あさひかわ号は3年間の実証運行となっているため、2026年3月の留萌本線全線廃止時に存続するかが決まりそうだ。

ただ、2020年までは10往復あった旭川留萌線が、留萌本線部分廃止後は高速バス1往復を含めても6往復しかないとは。

また沿岸バス旭川留萌線は1日5往復しか運行がなく運行時間帯が狭いため、早朝深夜に計2往復の予約制乗合タクシーを運行する。

このほか沼田町内からの移動手段として、沼田町内廃止駅の真布・恵比島向けに並走する沼田町営バス幌新線を1日5往復から4本増発するほか、留萌方面への乗り継ぎのために碧水までの乗り合いタクシーの運行時間帯を拡大する。


4. 結び

今回の2023年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正では、留萌本線石狩沼田~留萌間を廃止する見込みだ。

今後根室本線富良野~新得間の廃止も目論みかつ各線で合理化のための減便を図る中、JR北海道でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

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