奈良県のJR特急9年ぶりに復活へ! JR西日本近畿統括本部臨時列車運転(2019年11月~12月)

JR西日本近畿統括本部は2019年8月22日、プレスリリースにて11月~12月に臨時列車を運転すると公表した( 新大阪~奈良駅間 ノンストップ特急の臨時運行 )。今回はこれについて見ていく。


1. 9年ぶりの奈良県内JR特急運転はノンストップで運転へ

今回の2019年11月~12月JR西日本臨時列車運転では、新大阪~奈良間に特急列車「まほろば」を運転する。

特急「まほろば」の運転日は11月2日~12月8日の全ての土休日となっている。使用するのは阪和線特急「くろしお」用287系3両編成で、繁忙期には増結用として基本の6両から9両に増結する用の車両であるが通常期はもっぱら使用頻度が少ないことから活用することとなったようだ。

実は特急「まほろば」の運転は2回目で、前回2010年4月~6月の運転時には新大阪~大阪環状線~天王寺~大和路線~奈良間で運転している。また2010年の運転では途中天王寺、王寺、法隆寺にも停車していたが、今回2019年11月~12月に運転する特急「まほろば」は新大阪~奈良間を大阪環状線経由から2019年3月16日に開業したばかりのおおさか東線経由に変更するほか、新大阪~奈良間でノンストップ運転を行うこととなった。

このことから、奈良県を運転するJR特急列車の運転は約9年4か月ぶり、奈良県内を運転する料金が別途必要な列車の運転は2011年3月11日の最終運転で廃止した大和路線「やまとじライナー」以来約8年7か月半ぶりとなっている。

また今回運転する特急「まほろば」にはA特急料金を適用する。JR東日本管内の場合、東京近郊区間は大抵B特急料金でありかつ臨時特急を設定する際もB特急料金区間を拡大して割安なB特急料金を徴収するほか、JR西日本でも大阪近郊区間内で2010年に特急「まほろば」を運転した際には大和路線をB特急料金区間に組み込んで割安なB特急料金を徴収したが、今回の臨時列車運転ではA特急料金を徴収することとなった。

なお、新大阪~奈良間は50.6kmと惜しくも50kmを超えてしまう。JR東日本管内には2019年3月16日ダイヤ改正より運転を開始した運転区間56.0kmの青梅線特急「おうめ」と運転区間47.4kmの中央本線特急「はちおうじ」とほぼ同じであるほか、特急料金はA特急料金適用のため通常期普通車指定席で1,730円もかかってしまう。近鉄特急が大阪難波・大阪上本町~近鉄奈良間で特急料金が520円であるのと比べると極めて高い。こんな特急に大阪府民が利用するはずがない。

ではメインターゲットはどのような人たちなのか、プレスリリースによると、山陽新幹線からの乗り継ぎを考慮して設定されるとしている。ダイヤ上本当に山陽新幹線との接続が良いかは後で見るとするとして、料金面だけで考えれば山陽新幹線との乗継割引適用により在来線特急「まほろば」の特急料金は半額の860円にまで下がるし、自由席であればさらに260円下がり600円で利用できる。

そう考えると、新大阪から地下鉄御堂筋線に乗って難波まで出て近鉄特急を拾うのと比べれば、多少特急料金が高くても乗ってくれるのではないかと見込んでいるのではないだろうか。

なんだかキハ189系(「はまかぜ」型車両)でも使って、新大阪~おおさか東線・関西本線経由~伊勢市・鳥羽間で特急列車を設定した方が、山陽新幹線から伊勢・志摩方面への需要を開拓できるのではないだろうか。もっとも、JR西日本が車両製造をもとっも多く依頼している近畿車両は近鉄の子会社なので、近鉄と対抗すると近畿車両に割安な値段で車両を製造してもらえなくなる可能性が高いのだが。

2. ダイヤはどうなる

では今回2019年11月~12月臨時列車運転で設定する特急「まほろば」の運転時刻はどうなりのだろうか。

そもそも奈良から新大阪を経由して新幹線を利用するルートは、東海道新幹線名古屋・東京方面ではなく山陽新幹線岡山・広島・博多方面の方が便利だし、JR西日本が東海道線の利用に対して奈良から新大阪を通して利用することを勧めることはほぼない。今回の新幹線との接続時刻表を見ても、山陽新幹線「さくら」との接続を重視しており、平均10分間隔で来る東海道新幹線「のぞみ」は狙って接続しなくてもどこかで当たってくれるので特段接続は考慮していない。

では特急「まほろぼ」の運転時刻はどうなっているのだろうか。1日当たりの運転本数は1往復で、朝は新大阪10時03分発奈良行き、夕方は奈良16時56分発新大阪行きを運転する。所要時間は奈良行きが50分、新大阪行きが51分となっている。ただ連絡列車を見ると朝は熊本6時01分発「さくら540号」新大阪行きからの連絡となっており、鹿児島中央からは乗れない設定となっている。

料金不要のおおさか東線直通快速は新大阪~奈良間を最速52分で運転することから、所要時間が停車駅の8つ少ない特急「まほろば」とさほど変わらないし、奈良行きに限れば後続に新大阪10時17分発直通快速奈良行きを運転するのでほとんど意味がない。

そう考えると、今回運転する特急「まほろば」は所要時間は直通快速とほぼ同じというボッタクリ列車となってしまっている。

こうしてみると、特急「まほろば」はあくまで奈良向けの宣伝用列車であって、実利用にはあまり向いていないと言わざるを得ないだろう。

3. 結び

今回の2019年11月~12月JR西日本臨時列車運転では、奈良向けに臨時特急列車「まほろば」を運転することとなった。

ただ、使用車両は多客期を中心にしようるる車両の有効活用であり、運転時刻も料金不要の直通快速とさして変わりがない。

今後JR西日本でどのような臨時列車を運転するのか、見守ってゆきたい。


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