順次復旧と運転再開へ! JR西日本七尾線臨時ダイヤ運転(2024年1月)に見る七尾~和倉温泉間を安直に運転再開できないのと鉄道との関係

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順次復旧と運転再開へ! JR西日本七尾線臨時ダイヤ運転(2024年1月)およびのと鉄道七尾線運転再開見込

JR西日本は2024年1月11日、プレスリリースにて七尾線の状況について公表した。今回はこれからJR西日本七尾線について見ていく。

1. JR西日本七尾線順次復旧へ!

2024年1月1日、北陸地方の鉄道各線はいずれも24時間程度の運転見合わせを行っていたが、多くは1月2日までに運転を再開していた。

能登半島へと延びるJR西日本七尾線でも2024年1月1日より不通となっていたが、2024年1月4日より津幡~高松間で運転再開、通常運転速度での運転となった。

ただ全線復旧していないため利用が限られることから、金沢~高松間は通常普通列車が平日25往復のところ毎日21往復の運転としたほか、特急「能登かがり火」などの特急列車は全面運休とした。救済としてIRいしかわ鉄道線内金沢~津幡間で2両編成の臨時列車1往復を設定していた。




2. 1月15日に羽咋まで運転再開へ!

そして2024年1月15日、JR西日本七尾線は高松~羽咋間でも運転を再開することとした。

今回の臨時列車運転で高松~羽咋間が運転再開するのに伴い毎日24.5往復運転化、七尾7時11分発金沢行きを除くすべての普通列車が運転を再開することとなった。

なお減速運転を行うため敷浪~羽咋間は通常より最大6分所要時間が伸びる。原則羽咋行きは敷浪→羽咋間で時刻繰り下げ、金沢行きは羽咋→敷浪間で時刻を繰り上げることで対処する。

1月5日時点の運転再開見込では高松~羽咋間は運転再開までに2週間以上かかるとしていたが、減速運転を行うとはいえ4日以上縮めて1月15日に早期運転再開を図ることとしたようだ。




3. 1月22日に七尾まで復旧で特急も運転再開へ!

さらにJR西日本では七尾線を1月22日を目指して羽咋~七尾間でも運転再開する予定だとしている。

この七尾までの運転再開に際して特急「能登かがり火」も一部運転再開するとしている。

七尾線羽咋~七尾間は輸送密度約3,000人/日・往復程度いること、特急列車の運転もあることから赤字ではあるが鉄道として存続することによって周辺の道路渋滞を大きく抑える効果もある。七尾まで運転再開したというのは今後も七尾線を公共交通機関としてJR西日本自社で維持する構えがあるということだろう。

この運転再開により1月中にはJR西日本七尾線の普通電車は全区間で運転を再開することとなり、JR西日本管内はほぼ正常化する見込みだ。

(2024.1.18.追記) なお羽咋~七尾間の運転再開は2024年1月22日に決まり、減速運転を行うものの普通列車の運転を全便で再開することとした。

一方特急列車は七尾止めとなり、大阪直通特急「サンダーバード」1往復とその送り込みの特急「能登かがり火」1往復の計2往復のみ運転、特急「能登かがり火」4往復中3往復は運休したままとなる。

これにより特急「サンダーバード」七尾行きを設定することとなった




4. 七尾~和倉温泉間の運転再開見通し立たず

一方でJR西日本は七尾線七尾~和倉温泉間の運転再開見込みは立っていないとしている。

はて、七尾までは1月中までに復旧できるのに1駅間5.1kmしかなく街中を走るトンネルもない七尾~和倉温泉間が易々と運転再開できないとはどういうことか。

そもそも七尾線は旧国鉄路線だが、現在では運行主体に応じて2社に分けられる。これは1991年9月1日にJR西日本が七尾線津幡~七尾~和倉温泉間電化に際し七尾~和倉温泉~穴水~輪島間の普通列車の運行をすでに転換された能登線穴水~蛸島間を運営していたのと鉄道に運営移管し、JR西日本が設備保有したままと鉄道が線路使用料を支払い運営しているためである。この後2001年3月31日の最終運行をもってのと鉄道七尾線のうち穴水~輪島間を廃止、2001年4月1日以降七尾線は金沢~津幡~七尾~和倉温泉間はJR西日本が営業、七尾~和倉温泉~穴水間はのと鉄道が営業している。

このうち七尾線七尾~和倉温泉間はJR西日本の特急列車とのと鉄道の普通列車の双方が乗り入れる重複区間となっている。

なぜ七尾~和倉温泉間を2社重複営業させたかというと、地域利用では能登半島一の大都市七尾を境に分けた方が利用しやすい一方、七尾の1つ先和倉温泉は能登半島有数の観光地のため大阪などからの直通特急列車を運転したかったことによる。

が今回の復旧に際し、穴水駅に車庫があるのと鉄道は車両が出庫できず当分営業できないほか、そもそも全線平均輸送密度735人/日・往復しかなく平日朝もバス1台で乗せきれてしまうほどである。終点の穴水駅は乗車人員が113人/日しかいないほどだから輸送密度も226人/日・往復程度しかいない。はっきり言って昼間は13人乗りトヨタハイエースによる乗り合いタクシーでも構わないレベルだ。

しかも復旧するには石川県からの補助金頼みで、その予算も降りるかどうかわからない。このためのと鉄道はそもそも復旧するかどうかすらあやしいのだ。

もっとも七尾~和倉温泉間は電化しているためJR西日本521系100番台の乗り入れは可能、JR西日本車両による普通列車の運転は可能だ。が、そもそものと鉄道の運転再開の可否が決められないとことから七尾~和倉温泉間の普通列車をJR西日本とのと鉄道のどちらが運転するのか決められないのである。

つまりJR西日本が七尾線七尾~和倉温泉間だけ営業運転を再開しようにも、普通列車の運行主体が決められないのである

もっとも応急処置的に臨時ダイヤを組んでJR西日本521系100番台を和倉温泉まで乗り入れて普通電車を設定することは可能だ。が、それをするにも七尾~和倉温泉間の普通列車の運賃収入はのと鉄道にする取り決めもあるだろうし、運賃収入をもらうということはのと鉄道が営業している扱いになるから線路使用料をのと鉄道からJR西日本に支払いを再開しなくてはならないだろうから、そのあたりも会議で詰めなくてはならない。そこには第三セクターののと鉄道を金銭面で支える石川県も了解を得るだろうが、その石川県は道路復旧や避難所などの対応で忙しくて鉄道の復旧にまで手が回るはずもないし、それらと比べたら鉄道の復旧は後回しだろう。

七尾~和倉温泉間の運転再開をはばんでいるのは、線路設備というより会社間の取り決めではないだろうか。そうなると七尾~和倉温泉間は線路設備を復旧したとしても、のと鉄道と石川県が今後鉄道事業を行うか否か決まるまで運転再開できない可能性がありそうだ。


5. 結び

今回の2024年1月JR西日本七尾線臨時ダイヤ運転では、復旧に合わせた運転区間拡大により順次臨時ダイヤを組むこととした。

一方のと鉄道車両運転区間では工事状況というより今後の運転再開の是非も含め議論している節があるようだ。

今後JR西日本七尾線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、そしてのと鉄道をどのような形とするのか、見守ってゆきたい。

2024年3月鉄道ダイヤ改正まとめはこちら!

関連情報:七尾線今後の運転計画につい て – JR西日本

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