恐れていた!京急のL/C車投入宣言! 京急電鉄ダイヤ改正予測(2021年3月予定)

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恐れていた!京急のL/C車投入宣言! 京急電鉄ダイヤ改正予測(2021年3月予定)

京急電鉄は2021年1月20日、プレスリリースにて2021年3月実施予定のダイヤ改正までに新型車両1000形1890番台を投入すると公表した( >車内設備を一新した新造車両4両編成2本導入 )。今回はこれから2021年3月実施予定の京急電鉄のダイヤ改正について予測していく。

1. L/C車の1000形1890番台新規投入へ!

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正までに、京急電鉄では新車を投入する。

今回投入するのは1000形4両編成2本となっている。もっとも2020年設備投資計画にも記載があった予定通りの増備なのだが、2019年度までに投入した4両編成の1000形とは異なり今回投入する1000形1890番台は(評判は悪いであろう前面形状の)1800番台同様貫通扉を設けているほか、京急史上初となるロングシートとクロスシートを切り替えられるL/C車を導入することとなった

そもそもL/C車にするのであえば元3ドアクロスシート車の600形や700形などの新形式を名乗っても良かったと思うのだが、1000形をそのまま使用することとなった。

ただL/C車の最大のメリットは平日夕ラッシュ時に座席指定制列車を走らせる一方でもっとも車両を使う平日朝ラッシュ時はロングシートとして運用することである。しかし京急電鉄は既に平日夕ラッシュ時に2100形を用いてウィング号を運転しているほか、平日朝ラッシュ時もクロスシートのままで運用している。確かに平日朝は品川を通る本線快特や本線特急には運用しないなどの制約はあるが、既に平日朝に運用できている以上わざわざ用意することはない。

また昼間もロングシート運用に就くことを想定しているのだろうが、京急の普通車は昼間は6両毎時6本でも東京都区内では座席が埋まりそうな勢いで4両で来た暁には横浜市内まで座れないことがあるくらいなのだが、そんなところに4両の普通でL/C車が来ようものなら車内が混雑してたまらないのである。そう考えると昼間に1000形L/C車を料金不要列車として使用する場合は、横浜方面のエアポート急行で他の4両編成と併結して運転するほかない。




このほか2100形が1998年から運転しているため大規模改修により予備車が足りなくなることもないわけではないが、今回投入する1000形はL/C車にするとはいえ3ドアのままなので座席数が極めて少なく、2ドアの2100形では同一車両のドア間に最大11列44席あるのに対し3ドアの1000形では端のドア間で6列24席しか置けず、1両当たり20席も少ない。もっとも18m級3ドアなので本来の1000形ロングシートであれば8人掛けになるはずのところを6人掛けにしているため、20m級4ドアL/C車と比べても座席の減少が明らかに多いのだ。ただ3ドアのL/C車投入とはいえ料金徴収を行うクロスシート時には乗降できるドアは2020年現在の「ウィング号」同様制限するはずなので、降車可能駅でも中ドアが開くことはないだろう。

また今回投入する1000形1890番台は全席コンセント設置のほか、既存車にはないトイレの設置も行なっている。横浜に乗り入れる西武鉄道40000系「S-TRAIN」がトイレをつけているのは、すでに特急「レッドアロー」にトイレの設置があるため車内トイレの維持管理の実績があるが、京急電鉄は既存車には車内トイレの設置がないため車両基地にトイレの維持管理のための諸施設を新たに設置しなくてはならないのだ。京急電鉄なんて端から端まで乗っても1時間くらいしかかからないんだ、トイレなしのコンセント設置だけでも良かったのではないだろうか?

さらに車両番号の枯渇を怖れているのか、2020年までの付番法則からすれば1891~1898で付すところを1891-1~1891-4と1892-1~1892-4と付番した。そう考えると状況によっては今後更なる増備を図る可能性がある。

こんな使い勝手の悪い車両を良く造ろうと思ったと思うのだが、それでも投入したくなったのには理由があるはずだ。ということで、今回京急電鉄がなぜ1000形L/C車を4両編成2本で投入することとしたのか、そして2021年3月ダイヤ改正でどのような列車に充当するのか、見ていこう。




2. 成田空港乗り入れ列車への座席指定車の投入は無しか

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、今回新たに投入する1000形1890番台を用いて京成電鉄経由で成田空港に乗り入れることはあるのだろうか。

今回の京急電鉄のプレスリリースと同日に国土交通省がJR東日本羽田空港アクセス線の事業認可を行ったというプレスリリースを公表したことからも、対抗している可能性は十分考えられる(が投資家にはまったく効かず、たった2日で京浜急行株の評価額が大暴落し2割落ちた)。また成田空港~羽田空港間は約2時間かかるため、車内にトイレを設置する理由もわかる。

まあ京急車だけでも2時間に1本は一部車両を座席指定にして運転することもできるのだが、成田空港乗り入れにするのであれば京成電鉄も同時に公表するはずだ。しかも京急1000形1800番台は京成電鉄に乗り入れた経験が少なく、消費電力が多いことから実質出禁状態となっている。そう考えると成田空港~羽田空港間のエアポート快特及びアクセス特急の一部列車・一部車両をクロスシートの座席指定制にして追加料金を徴収するのは考えにくそうだ。




3. 都営浅草線直通座席指定車の設定はあるのか

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、都営浅草線直通の座席指定車両を設定する可能性はあるのだろうか。

もっとも京成電鉄には乗り入れられないとしても、浅草橋で折り返すことはできるので新橋や東銀座、日本橋などに乗り入れることは不可能ではない。また新橋には京急系列のショッピングプラザウィング新橋もあることから、新橋への直通列車を増やしたい意図も考えられる。

ただ今回の2021年3月ダイヤ改正時点では新型車両1000形1890番台は4両2本しか運用しないことから、地下鉄直通用に2本とも使用すると予備編成がなくなってしまう。このため前提として「ウィング号」ではなく一部座席指定車のウィングシートとして設定しなくてはならないほか、京急線内8両料金不要+4両1000形L/C車座席指定の12両快特として運転する必要がある。

ただその際に8両固定編成+4両1000形L/C車の12両で組成してしまうと都営浅草線内で4両単独運転を行わなくてはならない。ただ都営浅草線では2014年11月18日ダイヤ改正以降6両運転がなくなっていることから、今更4両運転を行うとは思えない。まあ頑張れば品川で8+4両を増解結し、4両編成をホームに残したうえで留置線にいる1000形800番台4両編成と増解結、4両ウィングシート+4両締切(利用不可)の8両編成で都営浅草線~品川間を行き来することは不可能ではないのだが、そんなまどろっこしいことをしてまで地下鉄直通ウィング号を運転したいと思うだろうか。

そう考えると土休日ウィングシート設定列車は1000形L/C車+1000形800番台+3ドアロングシート4両編成の12両編成で運転すれば、都営浅草線内は品川で増解結すれば1000形L/C車+1000形800番台の8両編成で運転することができる。なお快特は基本8両固定編成の使用が多いが、1000形1800番台による4両+4両の8両快特を運転したことはあるのでできないことはないだろう(ただし逗子葉山発着のエアポート急行感は強いが)。

ただそもそも2020年1月1日に2ドアの2100形使用のみうら初日号が浅草橋始発で運転していることから、都営浅草線の2100形乗り入れに制約はない。そう考えるとわざわざ新車を投入しなくても地下鉄直通「ウィング号」を設定することはできるはずだ(しかも運転時点で新橋・大門・三田の3駅にはホームドアがあったので、ホームドア設置駅が増えた2021年現在でも2100形は乗り入れることができる)。そう考えると都営浅草線乗り入れはわざわざ1000形1890番台を新造してまでやりたかったこととは思えない。

そう考えると1000形1890番台を2本しか投入しない2021年3月ダイヤ改正時点でまだ1800番台ですら十分に運転できていない都営浅草線への乗り入れがあるとは考えにくい。もし行うとしても2022年以降になるのだろう。

なお地下鉄直通の座席指定車ができたとしても、小田急電鉄や西武鉄道のように地下鉄直通列車の運転系統が既存系統と東京都区内で枝分かれすることは京急電鉄ではあり得ないので、名称は京急線内で使用していたものをそのまま使うだろう。




4. 快特のウィングシート拡大はあるのか

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、土休日の昼間の快特に一時行っていたウィングシートの復活・拡大はあるのだろうか。

そもそも2020年のウィングシートの設定は実験的なものであって、一部の2100形使用の土休日昼間の快特で2号車をウィングシートとして座席指定とした。もっとも他の車両と設備が同じなので利用価値はほぼなかったのだが、この土休日のウィングシートが今回の1000形L/C車の導入につながった可能性は十分考えられる。しかも1000形L/C車は全席コンセント設置で座席幅もやや広くしていることから、2100形と連結しても車内設備を優位にできる。また8両の自由席と連結して12両で運転できるのでこれまで混雑の都合で設定できなかった朝夕にもウィングシートを設定できるようになり、ウィングシート設定列車の拡大は狙えそうだ。

ただ京急で12両運転できるのは品川~金沢文庫間だけである。そう考えると金沢文庫で増解決して続行運転で料金不要の快特とウィングシート4両が金沢文庫~京急久里浜間別列車として運転する可能性はある。もっとも平日夕ラッシュ時は金沢八景〜京急久里浜間で快特と特急が続行運転状態になっているし、昼間も下りは金沢八景、上りは金沢文庫で普通車が快特に抜かれるが退避時間に余裕があり同時に8両の回送列車も抜くことができるようになっている。そう考えると昼間に8両快特と4両ウィングシートが金沢文庫~京急久里浜間で続行運転を行うことはできそうだ。

まあ最悪の場合、1000形1800番台と連結すれば南海本線特急「サザン」のように料金不要の自由席を4両、指定席4両で運転することもできる(もっとも指定席に空席が目立つのは言うまでもない)。まあ京急本線は南海本線より需要があるので自由席が4両しかなかない快特はたまったものではない。もっとも京急久里浜~三崎口間であれば昼間は4両編成毎時6本でも十分運びきれるのだが、横須賀中央~京急久里浜間はかなりギリギリだし金沢文庫~横須賀中央間は快特はどんなに少なくとも6両の料金不要車が必要だ。そう考えると金沢文庫以南で自由席を4両・指定席4両の8両編成で運転するのは難しいだろう。

このほか列車密度が高くて「ウィング号」を運転できない時間帯に1000形1890番台ウィングシートを設定する可能性はある。平日朝ラッシュ時は特急も快特(旧通勤快特)もウィング号も停車駅には差があるのに所要時間がほぼ変わらないが、特急や快特のうち金沢文庫で増結する4両を一部ウィングシートにして座席指定化する可能性はある。もっとも列車は横浜や京急川崎、京急蒲田などにも停車するが、ウィングシート4両はドア扱いをしなければいい。ただ平日朝ラッシュ時は「ウィング号」の12両化の方が先決な気もするが。

また平日夜間の「ウィング号」は品川18時45分発以降にしか設定がなく、東武東上線「TJライナー」の池袋17時30分発からの設定、京王電鉄「京王ライナー」の新宿16時40分発からの設定と比べると設定開始時刻が明らかに遅い。これは京急の平日夕ラッシュ時は毎時24本の列車を運転しており増発の余地があまりないためである。そんな中で一部の12両快特の後ろ4両置き換えまたは8両特急に後ろ4両増結で1000形1890番台を連結すれば、ウィングシートとして「ウィング号」の運転のない時間帯に増発することなく座席指定車を設定することができる。

まあ平日夕ラッシュ時の京急は都営浅草線から来る三崎口行きの8両特急より品川始発京急久里浜行きの12両快特の方が1両当たりの乗客数が多いので快特の4両置き換えより特急の4両増結の方が現実味があるし、ウィングシートは品川~上大岡間の途中駅で客扱いをしなければいいので8両までしか停車できない神奈川新町も後ろ4両ドアカットで対応できる。そう考えると平日夕ラッシュ時の特急に後ろ4両ウィングシートを設定する可能性も考えられそうだ。




5. 「ウィング号」の12両化はあるのか

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、「ウィング号」の12両化はあるのか。

現在クロスシートの2100形は8両固定編成しかない。京急では最長12両まで運用ができるが、2100形を使って12両編成を運転しようとすると必ずロングシートの4両編成を増結しなくてはならない。ロングシートは座席指定制列車として設定していないことから自ずと12両編成のウィング号の運転がないのだ。

ただ今回の2021年3月実施予定のダイヤ改正で1000形4両編成のL/C車を投入すれば、8両編成クロスシートの2100形と連結することで12両全車クロスシートの「ウィング号」が運転可能になる

JR東日本東海道線「湘南ライナー」を基に設定開始した「ウィング号」が10両や15両などで運転していた「湘南ライナー」同様列車ごとに車両数を変えたっていいのである。そう考えると今回の新車増備は「ウィング号」の12両化を狙っている可能性は十分ありそうだ

ただ京急電鉄で12両運転を行うのは品川~金沢文庫間に限られていることから、「ウィング号」も金沢文庫で増解結する必要が出るのだろう。




6. 「ウィング号」の逗子線直通はあるのか

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、逗子線直通の「ウィング号」の設定はあるのだろうか。

まあ先述した12両「ウィング号」は金沢文庫で増解結して金沢文庫~三崎口間は8両編成で運転するだけでもいいだろう。しかしせっかく金沢文庫で増解結するなら逗子線に乗り入れたっていいじゃないか。

そもそも京急にとって逗子線は創業当初の由緒ある路線なのだが、本線が横須賀に延びてからは2010年までただの邪魔者でしかなかった。お情け程度に4両編成の特急を20分間隔で運転していたが、文庫~川崎で本線快特と増結するも羽田空港へ分かれていたのである。追浜や汐入と違い20分間隔で品川直通の先着列車運転とはしてくれなかったのである。

ただ2010年5月16日ダイヤ改正での新逗子発着のエアポート急行の運転開始及び2012年10月21日ダイヤ改正での新逗子発着エアポート急行毎時6本化により逗子線を横須賀線と競合するための強化路線として位置付けるようになる。そして2015年から葉山女子旅きっぷ(男性も利用可)の発売を開始し葉山へのアクセス路線として逗子線を活用し始めた。これらを踏まえると、京急電鉄がこの10年で逗子線に注力しているのは間違いない

しかも平日朝ラッシュ時の逗子葉山から品川への直通列車は特急2本しかなく金沢文庫での乗り換えをほぼ必須としているほか、平日夕ラッシュ時も逗子葉山行きはエアポート急行しかないことから金沢文庫で快特から乗り換えるのが主流となっている。もし「ウィング号」が逗子線直通で運転するとなれば、品川と逗子葉山を結ぶ数少ない列車として利用者から重宝されることは間違いないことから、ある一定の利用は見込めるだろう。

そう考えると、今回のダイヤ改正で「ウィング号」が12両編成運転を開始するのであれば、逗子線直通「ウィング号」を設定してくる可能性も十分考えられる

折しもJR東日本では横須賀線「ホームライナー逗子」を2015年3月14日ダイヤ改正で廃止している。もっともJR逗子は湘南新宿ラインはもとより横須賀線も一部の列車で始発のため2階建てグリーン車も含め着席できるし、横須賀線であれば品川・東京まで乗り換えなしで一直線だ。もし逗子線直通「ウィング号」を設定すれば多少なりともJR東日本から旅客を奪える可能性はある。

ただ逗子線終点の逗子葉山は歴史的経緯から1面1線しかないため、運用上問題がある。平日夕ラッシュ時の逗子線直通「ウィング号」は上大岡→逗子葉山間で料金不要で利用できるようになるはずなので、逗子線で「ウィング号」を運転する分だけエアポート急行を逗子葉山発着から金沢文庫発着に短縮すれば運転枠は確保できる。しかし平日朝ラッシュ時に逗子葉山始発「ウィング号」を運転するとなると逗子葉山から料金を徴収することになるのでそうはいかない。逗子葉山は最速3分折返しをしているが(その際は乗務員交代でダッシュ確定)、どんなに詰めても逗子線は6分間隔より縮めることはできないのだ。そう考えると逗子葉山始発のウィング号を設定しようとすると送り込みは間違いなく回送になるし平日朝ラッシュ時に逗子線料金不要列車の運転間隔が最低でも12分も空くことになる。

また品川~逗子葉山間の運転であればトイレの設置は必要ないはずだ。また2100形との連結を前提としているのであれば貫通扉があっても8号車と9号車の間を行き来することはできない。

ただ、観音崎に京急ホテルがあるからといって浦賀発着の「ウィング号」を運転するなんてことはないよね。まさかね。


7. 結び

今回の2021年3月実施予定の京急電鉄ダイヤ改正では、新型車両1000形1890番台の投入により座席指定制列車の拡大を図ることが見込まれ、「ウィング号」の12両化や逗子線直通「ウィング号」の新設、ウィングシートの設定拡大などが見込まれそうだ。

今後京急電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、都営浅草線への座席指定車両の乗り入れは行うのか、見守ってゆきたい。

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