仙台発着ひたち復活とときわ福島県内乗り入れ終了へ! JR東日本常磐線ダイヤ改正(2020年3月14日)

JR東日本水戸支社は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月ダイヤ改正について )。またJR東日本水戸支社は2020年1月17日、プレスリリースにて2020年3月14日に常磐線で全線復旧を行うと公表した( 常磐線(富岡駅~浪江駅間)の運転再開及びおトクなきっぷの発売等について )。今回はこれについて見ていく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!


1. 運転再開に伴い設備更新へ

今回の2020年3月14日JR東日本常磐線ダイヤ改正では、運転再開に伴い設備を更新している。

今回の復旧では富岡~浪江間が復旧し常磐線全線で運転再開を行うが、運休期間が長く再整備が必要となったため設備を縮小している。大野~双葉間は被災前は複線であったが復旧に伴い単線化するほか、大野、双葉の両駅は1面2線から1面1線に縮小する。これにより帰還困難区域内である大野と双葉では列車交換を行わない。夜ノ森はギリギリ帰還困難区域を免れている上に駅東側も特定復興再生拠点区域として整備する予定のため列車交換を1日2回設定しているが、特定復興再生拠点区域として飛び地で避難区域を解除する大野と双葉の列車交換は行わないこととしたようだ。

また今回の復旧に合わせ、既に橋上化していた大野に加え夜ノ森、双葉の両駅でも橋上化を図る。そもそも列車交換を行わないのであれば1面1線で良いはずで、自由通路を設けるならまだしも1面1線の状態で改札まで橋上化したら階段とエレベーターを地上駅で設計した時と比べ改札内区域に1つずつ増やさなくてはならないほか、表口からの利用者は地上駅の場合には渡る必要のない跨線橋を渡って階段昇降しなくてはならなくなる。また改札内区域に増やすとなると維持費はJR東日本が負うことから、普通誰も得しないはずだ。このため常磐線の復旧に際し高架化したために駅舎をホーム下に移した例はあるものの、橋上化は行っていない。

というか、どうせ駅舎を取り壊すんだったら、既に1面2線規格で橋上化した大野は2線残し、双葉と夜ノ森の両駅を交換不能な1線化とし事業費の圧縮を図っても良かったはずだし、新地~山下間のように間の坂元だけ1面1線化してしまえば2駅に1駅は列車交換ができるのでより柔軟なダイヤを組めたはずである。

ではなぜ今回復旧する3駅すべてで橋上化したのだろうか。おそらく他駅と比べ比較的放射線量が高いことから、列車の到着直前から出発直後までしかホームに人を入れず、それ以外の時間帯は橋上の駅舎で待ってもらうのではないだろうか。

ただ地上駅舎の磐越西線喜多方では既にやってはいるから、別にあえて橋上化しなくても良かった気はするのだが…

そもそも帰還困難区域は本来人の立ち入れない場所であって、特定復興再生拠点区域は帰還困難区域の一部を土壌改良から行い特例的に避難解除をするに過ぎない。よって避難解除したとしても特定復興再生拠点区域の一歩外に出れば高線量地帯に出くわす可能性も大いにあり、原則建物や車など放射線を遮蔽できる壁に囲まれたエリアにしかいてはならないのだ。このため今でも壁によって遮蔽されない二輪車での帰還困難区域の特別通過交通は禁止しているし、恐らく永遠に解除されない。

これは列車交換をするにあたり通常の停車よりも長い時間停車させる必要があり通過旅客も含め最小限以上の放射線量を浴びてしまう可能性があること、万が一廃炉作業中に何らかのアクシデントがあった場合に帰還困難区域内に2本列車がいると迅速に区域外に出せなくなるリスクがあるため、帰還困難区域内である夜ノ森~浪江間には1本しか列車を入れないことにしたのではないだろうか。なお帰還困難区域内を走行する列車が大野や双葉に停車しても良いのは、特別通過交通制度で自動車で通過する場合に交差点を赤信号で停車するのと同様ということで認められたのだろう。

このほか新地、坂元、山下の3駅が復旧に際し内陸移転と共にかさ上げまたは高架化することとなり、被災前の651系特急「スーパーひたち」の定期列車7両編成まで交換できれば問題ないと判断され列車交換設備を縮小し、坂元に至っては1面2線から列車交換不能の1面1線に縮小してしまったが、今回のダイヤ改正で特急「ひたち」E657系10両編成を仙台に乗り入れるようになることから、新地では10両編成の列車交換ができるように設備を拡張した。

ここまで設備更新に伴う変化について見てきたが、次章から具体的なダイヤ改正内容について見ていこう。




2. 常磐線特急「ときわ」のいわき乗り入れ廃止へ

今回の2020年3月14日JR東日本常磐線ダイヤ改正では、特急「ときわ」のいわき乗り入れを廃止する。

これはいわき7時39分発特急「ときわ64号」品川行き及び品川20時15分発特急「ときわ83号」いわき行きのうち高萩~いわき間を廃止することに伴うものである。この「ときわ」はE657系導入前は1日1往復のみ運転のいわき発着のE653系「フレッシュひたち」を踏襲していた列車だったが、特急用車両をE657系に統一した今必要がなくなってしまったのだろう。

これにより唯一いわきに乗り入れていた特急「ときわ」1往復が廃止することとなり、「ときわ」の運転北限はいわきから高萩に南下し福島県内乗り入れを終了るるほか、いわき発着の常磐線特急は「ひたち」のみの15往復となる。

このほか勝田6時35分発快速上野行きは水戸6時49分発快速上野行きに短縮するが、もともとこの列車は水戸で高萩6時02分発水戸線小山行きに抜かれていたので、運転区間が短縮する勝田も含めて利用に影響はほぼない。このほか今回のダイヤ改正では青い快速電車で土浦と水戸で1往復ずつ系統分割を行うが、列車本数に影響はなく土浦以北で減車を図るのみのようだ。

このほか水戸21時11分発普通いわき行き終電は水戸21時23分発に12分繰り下がることとなる。いわき市への利用には便利になるかもしれないが、特急「ひたち27号」からの連絡時間が12分長くなるので、東京都区内から茨城県内への利用には不便になってしまうようだ。




3. 常磐線特急「ひたち」の仙台乗り入れ再開へ!

また今回の2020年3月14日JR東日本常磐線ダイヤ改正では、常磐線全線運転再開に伴い特急「ひたち」の仙台乗り入れが復活する。

被災前はいわき~原ノ町間は6往復、原ノ町~仙台間は4往復の特急「スーパーひたち」の運転があったが、今回の復旧に伴い設定する特急「ひたち」は3往復となっている。

設定するのは下り(仙台方面)は上野8時00分発特急「ひたち3号」仙台行き、品川12時45分発特急「ひたち13号」仙台行き、品川15時45分発特急「ひたち19号」仙台行きの3本、上り(上野・東京・品川方面)は仙台10時13分発特急「ひたち14号」品川行き、仙台16時11分発特急「ひたち26号」品川行き、仙台18時02分発特急「ひたち30号」品川行きの3本となっている。このうち仙台16時11分発特急「ひたち26号」品川行きを除いて全て被災前の上野発着時刻がほぼ同一(最大誤差1分)であり、この特急「ひたち26号」は被災前の仙台15時15分発特急「スーパーひたち54号」上野行きの1時間遅れで上野に到着するように組まれた。

なお特急「ひたち」の所要時間は上野~仙台間で最速4時間22分、品川~仙台間で4時間38分(ともに特急「ひたち14号」)となっている。

これにより被災前はいわき始発仙台行きが1本だけ運転していたが、復旧後は全ての仙台発着「ひたち」が東京都区内に乗り入れることとなる。

なお原ノ町発着の特急「ひたち」は1972年10月2日ダイヤ改正で急行「ときわ」の格上げに伴い特急「ひたち」を1往復から5往復に大増発し運転区間を上野~平(現いわき)間から上野~仙台間に拡大した際に設定を開始したが、設定してから39年後に運休に見舞われ48年後には正式に廃止することが決まった。得も言えぬ風評被害の恐れもあったことから、致し方ないと言えばそれまでなのだろう。

なお余談だが、水戸~仙台間の利用は特急「ひたち」で直通で利用するよりも特急「ひたち」で上野に出て東北新幹線「はやぶさ」に乗り換えた方が所要時間が短い。しかも下り(仙台方面)の特急「ひたち3号」と特急「ひたち13号」に至っては完全抜かされてしまう。

被災前は東北新幹線「はやぶさ」なんて1日3往復しか運転していなかったので275km/h運転の「はやて」が重宝されるどころか途中駅にも多く停まる「やまびこ」もそれなりに東京~仙台利用で先着になることも多かったし、そもそも「はやぶさ」運転開始から7日しか経っていなかったし、最高速度は300km/hだったので水戸~仙台間の利用では特急「スーパーひたち」直通利用の方が上野まで遠回りして新幹線に乗るより速かったのだが、9年経ち東北新幹線「はやぶさ」が320km/h運転開始するは毎時1本は必ず運転するどころか毎時2本で運転する時間帯も多くなり「やまびこ」が東京~仙台間で先着となる列車が減るはで東京~仙台間の平均所要時間が大幅に短くなり乗車チャンスも増えたことで、ついに水戸~仙台間利用は常磐線復旧後でも上野連絡東北新幹線利用の方が速くなってしまったようだ。

3.1. 10両編成のまま仙台乗り入れ実施へ

また被災前は定期列車であれば特急列車は勝田やいわきなどで増解結を実施しており、いわき以北は最大7両編成の特急列車までしか乗り入れていなかったが、今回のダイヤ改正で10両編成に延びることとなった。当初の予定では以前の予測記事に記した通り2012年3月ダイヤ改正でいわきで系統分割しいわき~仙台間でE653系による特急列車を運転し上野方面と系統分割する予定だっただけに(しかもおそらく全列車4両編成、普通車のみのモノクラス)、特急列車に限れば相当サービスが向上している。

なお常磐線は特急「スーパーひたち」時代に多客期は仙台まで11両編成の乗り入れがあったことや、2002年12月1日ダイヤ改正で廃止になる前の特急「ゆうづる」13両編成の乗り入れもあったことから原則13両編成の列車交換もできる。また新地では10両編成の列車交換ができるように設備を拡張した。若干設備改良は行ってはいるが、10両編成の仙台乗り入れ自体に問題はなさそうだ。

ちなみにE657系10両編成の乗り入れではなく新たに3両編成の付属編成を導入する場合、3運用+予備車2本の合計5本を導入すれば済む。しかし、被災前は多客期に11両編成の仙台乗り入れを行っていたことを考えると、多少人口が減っているとはいえ3両編成で捌ききれるとは思えない。通常時は被災前よりも輸送力が大きくなっているためいわき以北は車内は閑散としているだろうが、臨時列車をさらに運転するという手間を省くために通年10両編成で乗り入れることとしたのだろう。

なおこの特急運転再開に伴う普通列車の減便はない。

3.2. 新地の交換設備拡張は妥当なのか

では今回拡張した交換設備の整備は妥当なのか見ていこう。

交換設備の拡張した新地では交換設備拡張に伴い品川12時45分発特急「ひたち13号」仙台行きと仙台16時11分発「ひたち26号」品川行きが列車交換を行うほか、仙台18時44分発原ノ町行きが新地で品川15時45分発特急「ひたち19号」仙台行きの交換を行うこととなった。どちらか片方が普通列車であれば、常磐線の普通列車は最大でも6両編成の運転であるため列車交換設備も6両分あれば片方は10両編成であっても通過させれば列車交換させることができるが、10両編成同士の列車交換となると交換設備を増強せざるを得ない。

ただ、被災前は特急「スーパーひたち」同士の列車交換は原ノ町で行っていたこと、もし被災前の上野発着時刻を当てはめて復旧後のダイヤに組み込むと小高で列車交換をすればよいので、わざわざ新地の交換設備を増強しなくても定期ダイヤでは支障は出ないはずだ。もっとも単線区間なのでダイヤ乱れ時の復旧を早くするために設備増強を図るのは合理的な設備投資ではあると思うのだが、定期ダイヤにあえて組み込む必要はあったのだろうか。2015年5月30日開業の仙石東北ラインのわざと1日1往復だけ2両編成にしてHB-E210系が4両固定編成ではなく2両固定編成として導入するのを無理やり正当化して利用者に不便を強いるのと同様に無駄な気がする。




3.3. 1本のみ上野始発で「ひたち」存続へ

また今回のダイヤ改正で残念なのは、仙台発着特急「ひたち」のうち1本だけ上野始発のまま残ってしまったということである。

風情としては良いのかもしれないのだが、利便性を考えると土休日朝に運転している高崎線や宇都宮線から来る普通品川行き最大毎時2本をを上野行きに短縮して、常磐線特急を土休日に限り品川発着を拡大した方が良いのではないだろうか。なんだか常磐線全線直通列車の一番列車を上野駅地上17番線ホームで式典をやりたいという風にも見て取れるが、一年間のダイヤのためにそんなことをされたら次のダイヤ改正まで残り363日間品川や東京から利用するには上野東京ラインなり京浜東北線なり山手線なりで上野まで向かわなくてはならないではないか。しかももっと確信犯的なのが、この上野8時00分発「ひたち3号」は土休日唯一の上野発着「ひたち」なのだ。もう常磐線復旧時の式典のための準備を2015年3月14日の上野東京ライン開業に伴う常磐線特急「ひたち」「ときわ」の品川乗り入れ開始時から行っていたとでも言いたいのだろうか。これで2021年3月ダイヤ改正で土休日の全ての特急「ひたち」が品川乗り入れを開始することになったら確信犯確定だろう。

なおこれまで常磐線の復旧はJR東日本のダイヤ改正日から1~2週間遅れて実施することが多かったが、今回の常磐線全通は全国のダイヤ改正と同日に行うこととなった。

3.4. 常磐線特急「ひたち」の停車駅設定は妥当なのか

次に停車駅について見ていく。今回の復旧に伴い、仙台発着の特急「ひたち」を1日3往復運転し、広野、富岡、大野、双葉、浪江、原ノ町、相馬に全停車するほか、亘理と岩沼は1往復のみ停車する。これにより今回復旧する富岡~浪江間は夜ノ森を除いて全駅が特急全停車駅ということになる。

なお被災前のいわき~仙台間の特急全停車駅はいわき、富岡、浪江、原ノ町、相馬、仙台のみで、ほかに一部停車駅として広野(12本中5本停車)、大野(12本中11本停車)、双葉(12本中4本停車)、小高(12本中6本停車)、亘理(8本中4本停車)、岩沼(8本中4本停車)があった。

大野はほぼすべての特急「スーパーひたち」が停車していたことから特急「ひたち」が3往復に半減したために特急全停車駅になるのは必ずしも不可解ではないし(ただし開業直前まで無人地帯)、亘理や岩沼も被災前に運転していた停車列車が無くなったために停車回数が減ってしまったのも納得できるし、仙台に近いからむしろ被災前はほとんど運転のなかった東北新幹線「はやぶさ」を利用してもらった方が良いと判断したのだろう。ただ人口が減ったはずの広野と双葉の特急停車回数が増えている。双葉は普通列車が被災前と比べ5往復減っているので、特急列車を1往復停車回数を増やして停車本数を確保しようとした可能性があることからまだわかる(ただし開業直前まで無人地帯である)。でも広野はいわき方面への列車本数は被災前と比べて変化していないにもかかわらず特急列車の停車本数が増加するのである。

そもそも双葉町は被災前は7,140人住んでいたが、2019年1月現在全域が避難区域のため誰一人住んでいないはずのほか、特定復興再生拠点区域に指定しても2027年の居住人口目標を2,000人としている(元に戻るというありえもしない予測を立てるよりはるかにマシではあるのだが)。大熊町も同様で、大野駅周辺に計画している特定復興再生拠点区域の2027年の居住人口目標を2,600人としており、現在町内に住んでいる人口と合わせても3,300人程度にしかならない見込みだ。そんな人口で特急停車が全停車で残るだけでも相当な奇跡である。

ちなみに既に常磐線が復旧している富岡町は被災前は15,000人以上住んでいたが2019年末現在では800人程度、浪江町も被災前は21,000人以上住んでいたが2019年末現在は850人程度しか住んでいない。この数字を見ただけでも特定復興再生拠点区域に2,000人ずつ住むなんて夢のまた夢な気もしなくもない。人口だけで見ればそんな過疎地は北海道、奈良、広島の山奥に宝庫のようにあるのだが、列車設定本数なんて普通列車が1日3往復あればこと足りるレベルである。帰還に伴い若干人口が微増傾向ではあるとはいえそんな過疎地に1日3往復の10両編成の特急列車の停車があるのは相当すごいことだし、もはや贅沢と言っても過言ではない。

まあ南相馬市は被災前は71,000人以上いて2019年末現在でも53,000人はいるので特急列車が停まってもおかしくない人口規模であるし浜通り最大の都市いわきと仙台を結ぶという意味では特急「ひたち」の仙台乗り入れ復活は行うべきではあるのだが、果たして居住人口1,000人程度ずつにしかならない村レベルの自治体にほぼ各駅に特急列車を全停車させるのは如何なものかとは思う。

なお小高は被災前は3往復の特急停車があったのに2020年3月14日ダイヤ改正による特急運転再開後は全通過である。確かに旧小高町域の人口は7,500人程度しかいなくなってしまったが、ほかの人口1,000人程度の自治体は全停車しておいて小高は全通過とはいかがなものか。しかも小高は被災前にみどりの窓口があったが、双葉は設置がなかったからなぁ…

また被災前より特急停車のない楢葉町は、被災前は双葉町より多い8,000人程度住んでおり、ほぼ全域が避難区域に設定されたにもかくぁらず2019年末現在でも4,000人程度住んでいるほか、微増傾向である。もはや双葉への特急停車が東京電力効果にしか見えないのは気のせいだろうか。

このほかに特急列車の所要時間が延びているのは、内陸移転に伴い駒ヶ嶺~浜吉田間の営業キロが0.6km延びたこともあるが、営業キロの延長で延びる所要時間はたった1分である。しかしこの区間を通ると所要時間が被災前と比べ概ね3~4分延びるということは、明らかに運転速度が落ちている。被災前はほぼ直線であったことから最高速度100km/hで運転できていたが、内陸移転後にカーブが多くなっていることからも表定速度80km/h程度しか出せなくなってしまったようだ。




4. 常磐線普通列車の全線運転再開へ!

また今回の2020年3月14日JR東日本常磐線ダイヤ改正では、復旧に伴い普通列車の運転も再開する。

今回復旧する富岡~浪江間では2019年現在の広野~富岡間と浪江~原ノ町間の運転本数と同じ11往復22本を運転する。代行バスが1日11本の運転であったことを考えると乗車チャンスは倍増しているのであるが、広野以南と原ノ町以北は被災前の運転本数と同数を運転するにもかかわらず広野~原ノ町間では16往復から11往復に削減することとなった

震災後人口が減っているのは福島県内の常磐線沿線(浜通り)では避難者が多いいわき市を除いて多くの自治体で起きているが、415系4両編成からE531系5両編成に延ばしたことを差し引いても広野~原ノ町間では2011年の被災前の運転本数が5往復減便するとはいかがなものか。特に下り列車(原ノ町・仙台方面)では昼間に3時間以上開いているところもあり、利便性が高いとは言えない。先述したように大きく人口を減らしているし一部では開業直前まで無人地帯なので車内が閑散としているのは間違いないのだが、2022年以降に街びらきしても昼間は電車では3時間は戻れませんと言われて行きたい人はいるのだろうか。2019年4月1日の石勝線夕張支線の廃止と2019年3月16日ダイヤ改正での普通列車の減便に伴う措置と同様に福島県内の旧避難区域の住民にいわき~原ノ町間の特急券代用証を無料配布したりしないのだろうか。

なお仙台支社のプレスリリースによれば浪江~原ノ町間では全ての列車が勝田車両センター所属の車両に戻るため、仙台車両センター所属のE721系や701系の乗り入れは常磐線では被災前同様原ノ町が南限に戻るほか、719系の常磐線運用を廃止する。富岡まで乗り入れているはずのE501系に関する記載はないのだが、乗り入れ区間は戻るのだろうか。

719系は仙台車両センターに2両編成4本が残っているが、常磐線小高~原ノ町間向けの列車は2本しか運用していない。もし仙台からフルーティア編成以外の全ての719系が廃車となるとすると、仙台地区の在来線でラッシュ時を中心に減車を行う可能性がありそうだ。

なおダイヤについて見ていくと、いわき~原ノ町間では普通列車の多くがいわき発着の特急「ひたち」と連絡を取るように時刻設定を行っている。

また原ノ町~岩沼~仙台間でも一部で変更している。仙台8時38分発普通山下行きが新地行きに、山下9時46分発普通仙台行が新地9時37分発にそれぞれ延長するほか、仙台18時26分発普通新地行きを原ノ町行きに延長する一方仙台17時51分発普通原ノ町行きを仙台17時43分発普通山下行きに短縮する。

また仙台23時31分発普通山下行き終電を仙台23時32分発に1分繰り下げる。また原ノ町22時35分発普通仙台行き終電は原ノ町22時38分発に3分繰り下げるのだが、途中列車交換箇所の変更はないのだが発車時刻を2分繰り上げる駅もある。

なお原ノ町~岩沼~仙台間ではこのほかは最大9分程度の時刻変更を行ったのみである。特急「ひたち」がそのまま増発したことにより列車交換回数が増加したものと思われる。

そもそもなぜ415系4両編成をE531系5両編成に置き換えてしまったのだろう。そもそも常磐線中距離電車で運転しているE531系の付属編成だけで支線区をカバーしようと思ったのかが理解できない。

確かに常磐線水戸~いわき間では415系11両による運転をE501系10両による運転に、415系7両や8両による運転をE531系5両編成による運転に短縮できてもいるのだが、水戸線や常磐線いわき以北は415系は原則4両編成での運転で、水戸線の朝ラッシュ時だけ7両編成の運転があったくらいで、小田林と東結城は5両編成導入に伴いホームを1両分延長したほどである。番台区分変えてまでE531系を投入するのであれば、ワンマン補助装置を付けるのであれば、4両編成を導入しても良かったではないか、いや常磐線いわき以北と東北本線黒磯~新白河間に限れば3両編成でも良かったはずだ。もちろん専用運用になるので、4ドアではなく3ドアで十分だ。両数やドア数も削減できるので保守にかかる費用も抑えられたはずだ。というか、茨城県内及び福島県内の常磐線が直流電化だったら間違いなく415系は205系4両編成や211系3両または4両編成で置き換えられていただろうに。

このほか常磐線佐貫は龍ケ崎市からの要望により龍ケ崎市に改称するほか、2019年4月15日に開業した臨時駅Jヴィレッジを常設化する。またいわき~浪江間及び小高~原ノ町間でICカードSuicaが利用できるようになり、それぞれ東京及び仙台の大都市近郊区間に組み込まれる。なお浪江~小高間を跨ぐ利用はできない。同じ福島県内である勿来~いわき~原ノ町~新地間は相互利用させても良かったのではないだろうか。こう見ると、JR西日本のICOCAの200kmまで利用可能というのがいかに地元の利用実態に合っているのかがよくわかる。

このほかに通常の指定席券売機ほかに話せる指定席券売機を設置するとしているが、要するに不評に終わり全撤去したもしもし券売機Kaeruくんの復活ということなのだろうか。常磐線では復旧に際しいわき~原ノ町間の途中駅からみどりの窓口を撤去している。2020年1月現在大野にはみどりの窓口があることになっているが、復旧後配置はないだろう。今回の話せる指定席券売機や多機能券売機の設置はみどりの窓口なき後の特急利用ニーズに応えるためのものだろう。かつては特急券の発券にみどりの窓口は重宝したものだが、多機能券売機や指定席券売機が発展した21世紀ではもはやみどりの窓口でしか買えないものの大きな需要は通学定期券程度しかなくなってしまった。しかも開業直前まで無人地帯の駅や人口の9割以上が去った1,000人もいない集落の駅に高校なんてなく、通学定期券を買うにも高校のあるいわきや原ノ町で買えばよい(おそらく出張販売もしている)。そう考えると、緑も窓口をいわき~原ノ町間の途中駅に一切置かないのも納得できる。

ところでなぜJR西日本はみどりの券売機plusを成功させたのにJR東日本のもしもし券売機Kaeruくんはことごとく失敗に終わってしまったのだろうか…

5. 結び

今回の2020年3月14日JR東日本常磐線ダイヤ改正では、常磐線の9年ぶりの全線運転再開に伴い大きく列車の運転が変わり、10両編成の特急列車が仙台まで乗り入れることとなった。

ただ、被災地を中心に人口が大きく減少していることから被災前の運転本数を確保しなかった。

今後JR東日本常磐線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。


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