移管で増発へ! JR西日本城端線・氷見線あいの風とやま鉄道移管に伴うダイヤ改正予測(2026年以降予定)

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移管で増発へ! JR西日本城端線・氷見線あいの風とやま鉄道移管に伴うダイヤ改正予測(2026年以降予定)

あいの風とやま鉄道城端線・氷見線となって生まれ変わります。

富山新聞は2023年10月24日、新聞記事にて城端線と氷見線についてあいの風とやま鉄道へ移管することに正式合意したと報じた。今回はこれから、JR西日本城端線・氷見線をあいの風とやま鉄道移管した際に行うダイヤ改正について予測していく。

1. 城端線・氷見線、あいの風とやま鉄道移管へ!

今回の城端線および氷見線の新しい交通体系の検討結果により、城端線と氷見線があいの風とやま鉄道に移管することで合意した。

もっとも諸条件があるためすぐには移管できないが、2~8年後程度をめど、つまり2026年~2032年ごろに移管するのではないだろうか。

この城端線と氷見線のあいの風とやま鉄道移管に際し、国の財政支援活用制度の条件となる鉄道事業再構築実施計画を目指している。

会議としてはあいの風とやま鉄道社長初参加なのだが、沿線4市町が要望したことであること、城端線・氷見線のあいの風とやま鉄道移管を即日合意したことを考えると事前に根回ししていたことは確実である。突然湧いて出てきた北陸新幹線小浜ルートと言いかなりのやり手ぞJR西日本。

逆に城端線・氷見線のLRT化は見送りとなったようだ。氷見線は路面電車万葉線と直通させた方が利便性は高くなりそうではあるが。

また城端線・氷見線で運転する車両はキハ40系列であり老朽化が著しい。車両交換がどこかで必要になるが、転換前に導入してJR西日本の置き土産とする可能性もあるし、国の財政支援活用制度の条件となる鉄道事業再構築実施計画に基づいて転換後に新車を投入する可能性がある。もしJR東日本GV-E400形車両のような電気気動車を導入すれば電車運転に必要な免許動力車操縦者運転免許で運転することが可能である(用別途講習だが、気動車運転免許を新たに習得するよりはるかに手間が少ない)。そうなると運転要員も効率よく動かせるし、増発しやすそうだ。

ただ現状JR西日本がキハ47系2両+キハ40系1両の3両運転を行っていることを考えると、もしJR西日本が置き土産として城端線・氷見線用新型車両を導入するなれば2両編成と1両単車をそれぞれ導入することになるのだろう。




2. 氷見線のダイヤはどうなる

富山県及び沿線自治体では、氷見線と城端線のあいの風とやま鉄道移管に際し増発を行う予定だとしている。そこで今回は氷見線と城端線のあいの風とやま鉄道移管後のダイヤについて予測して以降。

まずは氷見線。氷見線は万葉線に直通してLRT化した方が良かったと思うが、おそらく高岡市街地の越中中川駅周辺から北陸新幹線新高岡駅への直通交通手段が欲しいがゆえに城端線と直通させたいことからあいの風とやま鉄道に移管し普通鉄道として存続することとしたのだろう。

昼間の旅客増加が見込めることを考えると、昼間は約1時間30分間隔から1時間間隔に増発してもおかしくはない。

また朝に40~50分間隔から30分間隔に増発する一方で3両から2両に減車することで、終日2両運転を行えば増発と車両運用合理化の両方がかないそうだ(2023年3月18日JR西日本ダイヤ改正で同じく富山県を走る高山本線で実施済み)。

一方高岡市街地最寄り駅は高岡駅ではなく氷見線越中中川駅であるが、越中中川と富山方面への直通列車の設定は高岡駅でスイッチバックの必要があることを踏まえると難しいだろう。




3. 城端線のダイヤはどうなる

次に城端線。

城端線は高岡~砺波間で輸送密度が6,000人/日・往復あると見込まれていることから、単線のままLRT化するには交換設備の設置や複線化など大規模改修が必要だ。このためあいの風とやま鉄道移管とすることで普通鉄道として残すこととしたのだろう。

まず、昼間が約50分に1本というのが分かりにくい。高岡~砺波間は30分間隔に増便、砺波~城端間は60分間隔として近距離列車を増発すべきではないか。

しかもあいの風とやま鉄道線は昼間に毎時1本富山~高岡間運転の区間運転列車がある。これを城端線直通にすれば運用効率も上がるだろう。

また2023年現在JR西日本キハ40系列3両編成があいの風とやま鉄道富山まで平日に2往復乗り入れているが、運転には電車運転免許とは別の気動車運転免許が必要なためJR西日本の運転士が乗務している。が、非電化の城端線と氷見線があいの風とやま鉄道に移管すれば気動車運転免許を持った運転士がおのずと必要になるので自前で確保できるようになることから、乗務員の運用繰りもスムーズになる。

また車両面でも気動車も自社保有車両になることから、運用面でも今まで以上に自由度が増すのは間違いない。

また現状高岡駅は城端線と氷見線を直通する際には構内で2回スイッチバックする必要があるが、今回の新聞報道によればそれも解消するようにするようだ。

よって昼間の城端線・氷見線気動車運転は、

  • 富山~高岡~砺波~城端間 2両編成毎時1本
  • 氷見~高岡~砺波間 毎時1本

で足りるだろう。

正直昼間毎時1本の砺波~高岡~氷見間系統は1両単車で十分運びきれるのだが、平日朝夕に使わない車両を導入するとその分車両保有コストがかかるだけなので、平日朝に2両+1両の3両運転を城端線で行わないのなら2両編成のみを導入して昼間も2両運転を行うべきだろう。

一方朝はすでに20分間隔で3両運転を行っている。もし全列車2両運転しようとすると富山市内の高山本線同様最短10分間隔で運転することになる。ただ増発するのは高岡~砺波間のみで十分で、砺波~城端間は運転本数据え置きの減車でちょうどいいだろう。




4. 城端線福光~城端間は存続するのか

ただ城端線と氷見線は全区間を存続すべきなのだろうか。

もっとも高岡~砺波間は輸送密度が6,000人/日・往復あると推定されるので赤字補填をしてでも存続すべき区間だし、高岡~氷見間の氷見線もそれなりに旅客があるので残りてもいいだろう。

一方で福光~城端間の末端2駅間は輸送密度が600人/日・往復を割っている。はっきり言って昼間はバスが3時間に1本で足りるし、平日朝も1時間に1台バスが来れば概ね運びきれる。そもそも旧城端町は合併して南砺市になる前の2004年時点で人口が1万人を割っており、2023年時点で7,500人程度しかいない。はっきり言って夕張市内に末端鉄道を残しているのと同様である。

福光駅は南砺市役所最寄り駅なので南砺市も福光までは存続させに行くだろうが、そこから城端までの末端2駅を残すくらいならバスで代替させた方が旧城端町民も使いやすい。

そう考えるとあいの風とやま鉄道移管時または移管後に城端線福光~城端間は廃止になってもおかしくないのではないか。

5. あいの風とやま鉄道移管で城端線と氷見線の運賃はどうなる

では城端線と氷見線がJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管するにあたり、運賃はどうなるのだろうか。

あいの風とやま鉄道は北陸新幹線開業に伴い2015年3月14日にJR西日本北陸本線市振~倶利伽羅間100.1kmを移管した鉄道だが、移管当初は普通運賃と通勤定期は12%値上げ、通学定期は3%値上げとした。その後2023年4月1日あいの風とやま鉄道運賃改定で当初の計画より2年遅れでJR西日本時代と比べ普通運賃と通勤定期は19%値上げ、通学定期は5%値上げとした。

ただ、北陸本線はJR西日本幹線運賃適用だったが、城端線と氷見線はJR西日本地方交通線運賃適用のため、運賃がおおむね10%割増しとなっている。一方鉄道運賃は原則全線同一料率とする原則があるため、一時的に緩和措置として特定運賃を設定することはできるが、いずれは通しの運賃で同一運賃表を用いて運賃を算出することになる。

そうなると旧北陸本線のあいの風とやま鉄道線と同率にしか値上げできないとすると、城端線と氷見線は普通運賃と通勤定期でたった8%しか値上げできないし、通学定期に至っては4%値下げする可能性すらある

もし城端線と氷見線が旧北陸本線のあいの風とやま鉄道線と同一運賃になるとしたらどのような運賃となるのだろうか。

城端線高岡~砺波間は営業キロ13.3kmで240円から290円に50円値上げ、氷見線高岡~氷見間営業キロ16.5kmは330円から390円に60円値上げとなるが、城端線高岡~城端間は営業キロ29.9kmのため590円から600円に10円しか値上げしない。高岡~城端間でほぼ運賃が変わらないではないか。

また富山直通需要も多いことから富山駅からの運賃も考えると、富山~氷見間35.3kmは720円から810円に、富山~砺波間32.1kmは630円から700円に、富山~城端間48.7kmは980円から1,020円に値上げする見込みだ。

このほか土休日に1日乗り放題となるあいの風とやま鉄道1日フリーパス1,500円も適用エリアが拡大すると各新聞社が報じている。もっともエリアが100.1kmから146.5kmに広がるため1,500円から2,000円に値上げしてもおかしくはないが、利便性は向上するだろう。


6. 結び

今回の城端線および氷見線のあいの風とやま鉄道移管では、移管に伴い増発を図る見込みだ。

今後あいの風とやま鉄道の路線となる城端線と氷見線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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