複線化による速達化で急行運転区間拡大へ! 東武野田線ダイヤ改正(2020年3月14日)

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東武鉄道は2019年12月9日、プレスリリースにて2020年3月に野田線でダイヤ改正を行うと公表した( 東武アーバンパークライン、急行運転の開始や最終列車の繰り下げ等大幅なダイヤ改正を2020年3月14日に実施 )。今回はこれについて見ていく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 特急運転区間拡大へ

今回の2020年3月14日東武鉄道ダイヤ改正では、2017年4月21日東武鉄道ダイヤ改正以来約2年11か月ぶりに野田線でダイヤ改正を行った。

今回のダイヤ改正では野田線の全種別において大幅にダイヤ改正を行っている。

まずは平日のみ運転の野田線特急から見ていく。浅草20時30分発特急「アーバンパークライナー1号」大宮行きは土休日同様浅草20時30分発特急「スカイツリーライナー7号」春日部行きに短縮した。

一方で、浅草21時30分発特急「アーバンパークライナー3号」大宮・運河行きを特急「アーバンパークライナー71号」に改め大宮・柏行きに延長したほか、大宮22時43分発特急「アーバンパークライナー2号」野田市行きを岩槻に増停車させ、柏行きに延長することとした。

また柏23時17分発特急「アーバンパークライナー73号」春日部行きを新設した。




2. 複線化で急行運て区間拡大と増発へ

今回の2020年3月14日東武野田線ダイヤ改正では、複線化区間の拡大に伴い、急行運転区間拡大と増発を行う。

今回のダイヤ改正に合わせ逆井~六実間の3.9kmを複線化したほか、高柳を2面4線化し緩急接続できるようにした。

これにより急行運転区間をこれにより急行運転区間を2016年3月26日ダイヤ改正当時から実施していた大宮~春日部間のほかに運河~柏~船橋間にも拡大し、その分各駅停車を増発することとなった。

新たに通過運転を行うこととなった運河~船橋間の急行停車駅は、流山おおたかの森、柏、高柳、新鎌ヶ谷で、他社線乗換駅を基本とし緩急接続のできる高柳にも停車する。もっとも高柳に急行が停まることで得するのは六実と高柳だけなので、はっきり言って必要性があるかと言われれば疑問だが。

急行は概ね30分間隔(毎時2本)を運転する。昼間こそ大宮発着の急行を運転するが、柏~船橋間では朝夕にも急行列車を運転し、ほぼ終日19~20分で運転することとなった。

これにより混雑率は139%から118%に緩和する見込みだ。




ただ、平日朝ラッシュ時にも増発しているということは、運用数が増えているという証拠である。その車両補填は、東武日光線に20400系列を導入し伊勢崎線の6両固定編成を捻出、野田線に転属させることで編成数を確保している。確かに野田線で一番混雑率の高い区間を増発するのはいいけど、別に東京都市圏的には混雑を緩和するほど喫緊に輸送改善を行わなければいけない混雑率ではないし(大阪・名古屋都市圏でもわざわざ増発するほどではない)、わざわざ運用数を増やして電気を消費するほどのものであったかと言われると疑わしい。

ただ、このご時世で混雑を緩和させたいことから、平日朝ラッシュ時の増発は結果として悪くはなかったとは思う。

また、そもそも平日夕ラッシュ時に各駅停車毎時6本しかなかったところに昼間にも昼夕輸送力比100%となる毎時6本の各駅停車を運転し、7人掛けの席に4人しか座っていないのが標準の東武野田線で昼間に急行を増発しても空気輸送が増すだけではないか。そもそも昼間の急行の増発自体が本当に必要だったのか疑わしい。

このほか、複線化区間拡大により列車交換待ちがなくなったことから、高柳での急行の待ち合わせがない場合各駅停車でも柏~船橋間の所要時間が30~31分から28~29分に概ね2分短縮した。また朝夕を中心に設定している六実発着の列車は高柳発着に変更している。

このほか平日夜間に中途半端に岩槻発着や春日部発着で運転する。これらの急行は2020年6月6日ダイヤ改正で特急「アーバンパークライナー」に置き換えられる見込みで、その前の準備列車として運転しているようだ。

ただ、朝6時30分から急行を運転させる意義はあったのだろうか。東京都区内まで直通していて利用の多い路線ならまるっきり話は別だが、上野に7時25分に到着する常磐線快速に連絡するような列車をあえて増発してまで速達化する必要があるかと言われると意義は薄い。別に東急大井町線の急行みたいに両数が異なっていて急行用車両が各駅停車に就くことができないというわけでもないので、野田線急行の設定は7時台からで良かったのではないだろうか。

この増備にあたり20400系列を日光線に投入し余剰となった10030系6両固定編成2本を東武野田線に転属させた。

事前予測のように野田線の8000系を2両編成に短縮して館林送りにして佐野線に転属させることはなかったのだが、代わりに10000系2両編成2本をワンマン改造している。おそらく車両の保守メンテからして春日部支所配置にして亀戸線または大師線転属が濃厚だと思われるが、亀戸線や大師線は増発の必要性はない。そう考えると、大師線・亀戸線用8000系2両編成2本を佐野線に転属させ佐野線普通列車を全て2両化、余った元佐野線用800形・850形3両編成2本を伊勢崎線に転属させると、朝夕を含め終日に渡り館林~伊勢崎間の普通列車を3両編成ワンマンで統一することができ館林での系統分割が完成させることができる。つまり予測とは車両転属計画は若干異なるものの、2020年6月6日ダイヤ改正で伊勢崎線の料金不要列車が館林で完全に系統分割する可能性は高そうだ

なお、今回のダイヤ改正では運河~柏間でも急行の通過運転を開始したが、平日夕ラッシュ時は各駅停車のみの毎時8本であることに変わりないことから昼夕輸送力比は75.0%から100.0%に変化した。つまり増発した毎時2本分はそのまま空気輸送である。

このほか朝夕には運河~柏間で各駅に停車する区間急行を新設したが、区間急行の船橋乗り入れは行わないこととなった。これから察するに、運河~柏間での通過運転は大宮~船橋間の所要時間を短くアピールするためだけのオマケのようだ




3. 初電繰り上げと終電繰り下げで運転時間拡大へ

今回の2020年3月14日東武野田線ダイヤ改正では、初電繰り上げと終電繰り下げを図った。

初電は高柳4時50分発普通船橋行きを増発して初電を8分繰り上げたほか、六実5時10分発普通大宮行きを船橋4時54分発普通大宮行きに延長して船橋→六実間で19分繰り上げた。

また平日は終電の繰り下げも行っている。

まずは下り(船橋方面)から。大宮23時55分発普通七光台行きを普通柏行きに延長し、大宮から柏への最終列車は15分、春日部から柏への終電は16分繰り下がることとなった。

大宮24時10分発普通春日部行きを普通七光台行きに延長したほか、大宮24時17分発最終普通岩槻行きを大宮24時23分発に繰り下げ普通七光台行きに延長した。これにより大宮から七光台への最終は28分、春日部から七光台への終電は23分繰り下がることとなった。また上野23時46分発高崎線普通高崎行き最終列車から春日部・七光台へ行けるようになった。

また大宮24時37分発普通春日部行きと大宮24時46分発普通岩槻行きを増発し、岩槻→春日部間で終電を28分、大宮→岩槻間で終電を29分繰り下げた。

なおこれまで列車本数の少なかった終電は列車交換が少なかったために比較的所要時間が短かったが、今回のダイヤ改正で運転区間延長に伴い列車交換回数が増え、これまでより所要時間が多くて4分程度かかるようになった。

柏24時07分発普通六実行きと柏24時22分発普通六実行きをともに普通船橋行きに延長し六実→船橋間の終電を31分繰り下げた。また柏24時38分発普通高柳行きを増発し大宮23時40分発普通柏行きを普通高柳行きに延長することにより、柏→高柳間の終電を34分繰り下げた。六実だけ柏からの終電が繰り下がっていないが、繰り上がってもいないので可哀想ではあるが悪化はしていない。

次に上り(大宮方面)。柏23時20分発普通岩槻行きを普通大宮行きに延長したほか、船橋22時46分発普通春日部行きを柏行きに短縮し、柏23時30分発最終普通大宮行きを増発した。これにより岩槻→大宮間では17分終電が繰り下がった。

また柏23時50分発普通七光台行きを普通岩槻行きに延長し、春日部→岩槻で終電を28分繰り下げた。

さらに柏24時02分発普通七光台行きを普通春日部行きに延長し、七光台→春日部で終電を31分繰り下げた。これにより、京成成田空港線成田空港23時00分発アクセス特急金沢文庫行き最終列車から新鎌ヶ谷連絡で行ける駅が七光台までから春日部までに拡大した。もっとも春日部だけであれば東松戸・南越谷連絡で行けたのだが、新たに川間、南桜井、藤の牛島の3駅にも行けるようになったほか、春日部へもこれまでより低運賃で行けるようになった。




このほかに船橋24時13分発普通六実行きを船橋24時14分発普通七光台行き最終列車に延長し柏→七光台で終電を13分繰り下げたほか、船橋24時32分発普通柏行きと船橋24時44分発普通高柳行きを増発し、船橋から柏への最終列車を33分、船橋から六実までの最終列車を31分、船橋から高柳までの最終列車を45分繰り下げた。

これらの終電繰り下げにより、平日に限り上野23時46分発高崎線普通高崎行き、秋葉原24時18分発つくばエクスプレス普通守谷行き、羽田空港23時06分発北総線普通印旛日本医大行き、久里浜22時39分発総武線快速千葉行きの各最終列車から東武野田線に接続する列車を設定するようになったほか、上野24時12分発常磐線快速取手行き(柏への終電の2本前)からも東武野田線に連絡できるようになった。

またプレスリリースにはないが、東急田園都市線中央林間22時22分発東武線内急行南栗橋行き最終列車から岩槻・七光台へ行けるようになった。平日はスカイツリーラインの全ての急行から野田線に連絡できるようになったことは自社線としてものすごく強みのはずだが、なぜ書かないのだろう、逆に東武鉄道が書かなかったらどこも書かないと思うのだが。

ただ土休日は初電は平日同様繰り上げたが、終電は繰り下げなかった。


4. 結び

今回の2020年3月14日東武野田線ダイヤ改正では、複線区間の拡大により急行運転区間の拡大が図られたほか、特急「アーバンパークライナー」の運転区間拡大も図られた。

今後東武野田線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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