JR東日本は2025年9月19日、プレスリリースにて2025年11月より根岸線でATO運転を行い2026年3月より横浜線および根岸線の8両編成でワンマン運転を開始すると公表した。今回はこれから2026年3月JR東日本横浜支社ダイヤ改正について予測していく。
1. 根岸線でATOワンマン運転開始へ!
JR東日本では2025年11月22日より根岸線東神奈川~大船間でATO自動運転を開始する。
なぜ根岸線で行うかというと、踏切がないためである。
そもそもATO自動運転は地下鉄など踏切がないかつ雨雪などでも路線環境が変化しにくい地下で採用することが多い。これは自動運転パターンが変わらないためATOを導入しやすいからである。
が今回のJR東日本では地上を走る根岸線でATO自動運転を導入することとした。まあ中国の新設都市鉄道では高架路線でもATO自動運転による無人運転を行っているので2025年の技術力であればまあできるのだが。
今回ATOを搭載するE233系6000番台8両固定編成は横浜線用の車両でその一部列車が根岸線に乗り入れているが、横浜線はほぼすべての駅間で踏切があるためATCとTASCを入れるので限界で現代の技術ではATO自動運転ができない。そこで踏切がない根岸線でのみATO自動運転を行うこととしたのである。
ただ1つおかしいのは、横浜線用8両編成は根岸線に乗り入れているとはいえほとんどが東神奈川の2駅先桜木町で折り返すため磯子や大船まで乗り入れるのはごく一部である。そもそも横浜線と根岸線の8両編成は2026年3月ダイヤ改正よりワンマン運転を開始する見込みであるが、ワンマン運転実施に際しATO自動運転装置は必要不可欠ではないし南武線用E233系8000番台には搭載していない。たった2駅間であれば今まで通り運転士が操作してもそんなに変わらないしむしろそのためにわざわざATO装置をE233系6000番台に後付けしたとなるとそれなりに費用が掛かっている。正直東神奈川~桜木町間の2駅間往復で元が取れるような額ではない。
ではなぜ横浜線用E233系6000番台8両固定編成にあまり使わないATO自動運転装置を搭載するに至ったのだろうか。
2. 根岸線への横浜線直通拡大でワンマン運転拡大設定か!
ではなぜ今回の2026年3月JR東日本ダイヤ改正に向け横浜線用E233系6000番台8両編成にわざわざ多額の費用をかけてまでATO自動運転装置をつけることとしたのか。
その1つが根岸線ワンマン運転列車の早期拡大ではないか。
昼間は京浜東北線の南浦和~磯子間の電車と横浜線八王子~桜木町間の各駅停車の運転時刻が2分程度しか空いてないのである。
しかも根岸線の昼間は10分間隔の大船行きの合間に20分間隔で磯子行きがやってくる。このため最大10分間隔が開いているほか磯子行きは前の列車との間隔が狭いのと運転区間が短いため根岸線内横浜~磯子間ではガラガラである。磯子始発終着を昼間10両から8両に減車しても輸送力として問題ない。
そこで昼間の京浜東北線磯子始発終着電車と横浜線桜木町始発終着の各駅停車を交換、京浜東北線南浦和~桜木町間と横浜線八王子~磯子間運転に再編するのではないだろうか。
これにより根岸線も横浜~磯子間で昼間毎時3本がワンマン運転となるし、磯子や関内から東海道新幹線に乗り換えられる新横浜直通電車が増える。また桜木町始発の東京方面電車を毎時3本設定することで始発効果による不動産価格上昇につながることができる。
まあ京浜東北線も1年後の2027年3月ににワンマン運転化するので根岸線はどうせ全列車ワンマン運転になるのだが、桜木町~磯子間で昼間毎時3本が10両から8両に減車することで電力消費が減り環境にやさしくなる。しかも京浜東北線鶴見・川崎・大井町方面へは桜木町や東神奈川で対面乗り換えすればよい。むしろ管内~磯子の各駅から昼間も新横浜直通電車が走るので新幹線アクセスが向上し不動産価格も上がる可能性がある。それを踏まえると横浜線8両編成の昼間の磯子乗り入れは支出が減るだけでなく利便性が上がることだろう。
3. 京浜東北線や山手線でのATO自動運転のデータ取りか!
もう1つ考えられるのは他の線区でのATO自動運転実施のためのデータ取りである。
同じく根岸線を走るE233系1000番台10両編成が走る京浜東北線は大宮~東十条間と王子~品川間に踏切がない。このため全線ではないが8割程度の区間でATO自動運転が導入可能だ。
また山手線は駒込~田端間の1か所にしか踏切がなく、その踏切さえなくなれば全線で踏切がなくなる。このためJR東日本では山手線は2031年までにワンマン化したのち無人運転まで視野に入れている。
ただ山手線も京浜東北線もともに東京の中心部を走る鉄道路線で新システムを入れた際に支障をきたし運転見合わせするようなことになると被害が大きくなってしまう。実際現在山手線を走っているE235系が営業運転開始した初日、鉄道車両の制御伝送・モニタリング装置インテロスの誤作動により運転不可能になり山手線が運転を見合わせたのである。
そこで山手線向け新技術を他路線で検証するべく、同じく踏切のない根岸線でATO自動運転を試すことにしたのではないだろうか。
5. 結び
今回の2026年3月JR東日本横浜支社ダイヤ改正では、横浜線の磯子乗り入れが拡大する可能性がある。
今後ワンマン化が進む横浜線・根岸線・京浜東北線・山手線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
関連情報:横浜線E233系 一部区間における自動列車運転装置(ATO)の使用開始について – JR東日本
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