
JR東海は2025年6月18日、プレスリリースにて2027年度に非電化区間特急列車用車両HC85系を6両増投入すると公表した。今回はこれから2028年3月JR東海ダイヤ改正について予測していく。
普通列車も電気式気動車置き換えで紀勢本線白浜~新宮間非電化化か!2028年以降JR西日本和歌山支社ダイヤ改正予測はこちら!
1. HC85系6両増投入へ!
今回の2028年3月JR東海ダイヤ改正に向け、高山本線特急「ひだ」および紀勢本線特急「南紀」向け車両HC85系気動車を6両増備する。
今回のJR東海HC85系気動車投入では4両編成1本と2両編成1本の合計6両を投入するとしている。
ふつうに考えれば高山本線特急「ひだ」の増車用になりそうではある。
ただ、周辺路線環境からして高山本線特急「ひだ」ではなく、紀勢本線特急向けになるのではないだろうか。
2. HC85系をJR西日本紀勢本線に投入し特急「くろしお」を系統分割置き換えか!
そこで考えられるのがまさかのJR東海HC85系気動車によるJR西日本特急「くろしお」の一部代替である。
2023年時点で紀勢本線特急「くろしお」では283系、287系、289系の3車種で運転しており、いずれも6両または9両の運転としている。このうち283系と287系は紀勢本線特急用に新製投入した車両であるが、289系は元北陸本線特急「しらさぎ」用683系である。
このうち1996年に投入した283系(「オーシャンアロー」型車両)は6両編成2本と3両編成2本しかなく、車体傾斜装置があるため整備にも手間がかかる。また導入当初紀勢本線内で130km/h運転ができる車両として投入したが、ほんのごく一部区間でしか130km/h運転ができなかったほか2022年より紀勢本線内の最高速度を110km/hに下げている。このためいつでもほかの車種に置き換える準備ができている。
特急「くろしお」を白浜~新宮間乗り入れを取りやめれば2運用浮く。2028年となれば283系(「オーシャンアロー」型車両)は車齢32年なので引退してもおかしくはない。
そうなるとJR東海HC85系気動車でJR西日本283系オーシャンアロー型車両を置き換えようとしているのではないだろうか!
しかも特急「くろしお」の白浜~新宮間を折り返し運転で代替すると時刻変更してだいたい2運用で足りそうなのである。
JR各社間では列車走行キロで運用調整をしている。列車走行キロ調整によるJR西日本管内片道14.9km直通するためだけにわざわざ特急「南紀」の臨時列車をJR東海管内片道208.8kmを運転する必要があるが、これを白浜~新宮間のJR西日本管内のみの臨時列車折り返しで済むようになればJR東海管内での余計な回送ロスを減らすことができる。このためJR東海としては他社の特急列車の自社の車両を使うことになるが、それを上回る事実上の回送ロスとそれに伴う乗務員行路ロスを減らせる。また後述するように栗本から東京へも特急「くろしお」利用新大阪乗り換え東海道新幹線から特急「南紀」利用に変わりJR東海区間の利用距離が延びることから運賃・料金で造酒数るためまんざらでもないのである。
またHC85系気動車は2両編成で定員100人である。JR西日本が公表している2023年度の特急くろしお白浜~新宮間の新大阪行き上り列車乗車人員の合計は313人なので、定期列車の1日5本で割ったとして1列車あたり平均62人、ばらつきがあったとしても100人乗れるHC85系2両編成で十分運びきれてしまう。とてもではないが現状の6両編成では空気輸送にもほどがある。むしろ1日5往復から減便したくなければ減車した方が良い。
しかも283系や287系、289系ではワンマン運転ができないが、HC85系であればすでに2024年3月16日ダイヤ改正よりJR西日本管内でワンマン運転を実施している。またJR東海HC85系はクラッチ操作のない電気式気動車のため電車の運転士免許で運転可能だ。このため白浜~新宮間の特急列車を「くろしお」から「南紀」に置き換えるだけで乗務員を削減することができるのだ!
そう考えると2028年3月JR西日本和歌山支社ダイヤ改正で紀勢本線特急「くろしお」を白浜で系統分割、白浜~新宮間でHC85系気動車による2両編成ワンマン特急に置き換えるのではないだろうか?
3. 特急「南紀」が名古屋~白浜間に拡大で東海道新幹線のりかえ東京アクセスが安く!
では2028年3月JR西日本和歌山支社ダイヤ改正で特急「くろしお」が白浜で系統分割することで乗客の利便性はどうなるのだろうか。
まずは大阪・和歌山方面への利用。紀勢本線特急「くろしお」が白浜で系統分割することになるため周参見~新宮の各駅から和歌山・大阪方面へは乗り換えが発生するが、白浜駅では極力同一のりばまたは対面乗り換えですぐにのりかえられるようにするはずだし、特急料金は連絡特急券制度で通算してしまえばこれまで通りの運賃料金で利用できるため何ら問題はない。
次に名古屋方面への利用。2~3往復が名古屋~白浜間直通の特急「南紀」となった場合、特急「南紀」は326.3km、所要時間5時間10分程度の日本第8位の走行距離と所要時間日本第3位を誇る長距離特急となるが、乗り換えが不要になるほか特急券も1列車分になる。そして特急料金地帯は200kmまでの次は300kmまでであり、名古屋~新宮間はJRの営業キロで208.8kmであることから、名古屋~新宮・紀伊勝浦間の在来線特急料金通常期普通車指定席2,950円で名古屋~串本・周参見まで行けるようになる。このためもし紀伊勝連~串本・周参見間で特急「くろしお」を利用し紀伊勝浦で特急「南紀」と乗り換えるときと比べて特急「くろしお」の特急料金通常期1,290円安くなるのである。
最後に東海道新幹線のりかえ東京方面。串本からですら特急「くろしお」利用新大阪のりかえ東海道新幹線利用で東京に行くのと、特急「南紀」利用名古屋のりかえ東海道新幹線利用で東京に行くので所要時間が変わらない。しかも新幹線より遅い在来線特急列車に乗車する所要時間が長いにもかかわらず所要時間がほぼ同じということは営業キロにして149.1kmも短くなりその分運賃や新幹線特急料金が値下げとなる。かくして東京~串本間は所要時間がほとんど変わらぬまま通常期普通車指定席利用で運賃料金合計で片道19,760円から18,500円に1,260円値下げとなる。もっとも2026年3月14日JR東海・JR西日本運賃改定で往復割引1割引が廃止となることから往復利用で片道当たり1,100円の値上げとなるが、それを踏まえても2025年時点より安くなる見込みである。
この点を踏まえるに、紀勢本線特急「くろしお」を白浜で系統分割し特急「南紀」を名古屋~新宮~白浜間の運転とすれば、大阪・和歌山方面へはほとんど利便性を損なわなくて済むし、名古屋・東京方面へはかえって利便性が高くなる。そう考えれば地元住民目線で考えても紀勢本線特急「くろしお」の白浜系統分割は利便性が上がりそうだ。
4. 結び
今回の2028年3月JR西日本和歌山支社ダイヤ改正では、紀勢本線特急「くろしお」を白浜で系統分割、白浜~新宮間の特急列車を283系や287系、289系の6両編成からJR東海HC85系2両編成に減車することで運転本数の確保を図るほか、283系オーシャンアロー型車両を引退させる可能性がある。
今後JR西日本和歌山市支社でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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関連情報:新幹線車両(N700S)および在来線特急車両(HC85系)の追加投入について – JR東海



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