延伸と高速化で全席指定席化か! 北陸新幹線福井・敦賀延伸に伴うダイヤ改正予測(2024年以降予定)

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JR西日本は2023年度末に北陸新幹線金沢~敦賀間を延伸するとしている。今回はこれから2023年3月に実施予定の北陸新幹線敦賀延伸に伴うダイヤ改正について見ていく。

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1. 北陸新幹線敦賀延伸へ!

今回の2023年3月北陸新幹線ダイヤ改正では、金沢~敦賀間が延伸する。一時期東京オリンピックに合わせるために金沢~福井間だけ2020年に先行開業させるという風の頼りもあったが、結局敦賀まで同時に開業することにしたようだ。

今回延伸するのは6駅間、125.1kmで、北陸新幹線の駅として新たに小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の6駅を設置し、越前たけふを除き北陸本線転換後の第三セクター路線と接続する見込みだ。このうち待避可能なのは加賀温泉と南越の2面2線+待避線2線のみで、敦賀は折返し列車を多数設定するため2面4線で設置するが、そこそこ需要の見込める小松は芦原温泉とともに2面2線、県の代表駅のはずの福井は1面2線しか設けない。もっとも福井は全列車停車を前提にしているためエレベータやエスカレータの設置を少なくし維持費を減らすために島式ホームにしたのだろう。なお福井は1面2線しかないが、芦原温泉方に留置線を2本設置する計画があり、毎時1本程度なら福井行き及び福井始発の北陸新幹線を設定することができる(なおこの留置線を4線に増やせなかったために北陸新幹線の福井先行延伸開業がなくなたらしい)。




最高速度は既に開業している高崎~金沢間と同じ全ての新幹線の設計最高速度である260km/hとなる見込みだ。

また敦賀延伸を実施する2023年3月までに、上野~大宮間の最高速度を110km/hから130km/hに引き上げるのに合わせ所要時間を1分短縮するほか、上越新幹線の最高速度を240km/hから275km/hへの引き上げに伴い大宮~高崎間で所要時間が2分短縮する見込みだ。

この上越新幹線内最高速度引き上げと北陸新幹線敦賀延伸に伴い北陸新幹線東京発着列車は上越新幹線同様全席指定席化を図る可能性が高いほか、東京に乗り入れない「つるぎ」も全席指定席化を図る可能性がある。

なお今回の北陸新幹線の延伸により、東京~福井間の運賃・料金を現在の北陸新幹線の料金体系を基に算出すると、東京~福井間が営業キロ526.4kmであることから運賃は8,580円、通常期普通車指定席料金は基本賃5,700円に北陸新幹線加算1,320円と東京発着加算210円を加算した7,230円となり、運賃と合わせると15,810円となる。これは現在の北陸新幹線+北陸本線特急利用の16,340円(内訳:運賃8,580円、通常期普通車指定席料金7,760円)よりかは530円安くなるが、東海道新幹線+北陸本線特急「しらさぎ」利用の14,920円(内訳:運賃8,910円、通常期普通車指定席料金6,010円)より890円値上がりする。まあ直通化と所要時間短縮を考えれば妥当な値上げ額ではあるだろう。




2. ダイヤはどうなる

では北陸新幹線敦賀延伸後のダイヤはどうなるのだろうか。

そもそも福井県は全国で人口ワースト5に入る過疎県で、需要が見込めるとは言い難い。北陸新幹線が福井県内に延伸したところで、北陸新幹線の東京口から福井県内へのの輸送密度の増加は6,000人/日・往復程度と見込まれる(これでは秋田新幹線と同レベルである)。途中の小松周辺からの利用が増えても8,000人/日・往復の増加がせいぜいだろう。

そう考えると、北陸新幹線長野~上越妙高間の輸送密度は高々34,000人/日・往復と見ていいだろう。

北陸新幹線に使用しているE7系及びW7系12両編成であれば12号車グランクラスを考慮しても平常時昼間であれば35,000人/日・往復まで運べてしまうので昼間の定期列車は毎時1本で足りてしまうことになる。恐るべし新幹線の輸送力だ。

しかし、朝夕など利用の多い時間帯や少しでお利用が多くなる土休日はE7系やW7系毎時1本では足りなくなる。このことから、東京~北陸方面へは臨時列車も含め毎時2本程度の運転枠は確保するものと思われる。

また敦賀~金沢間はどうだろう。2017年度のデータで見るJR西日本のデータによれば、湖西線特急「サンダーバード」の輸送人員は下り片道9,092人/日となっている。単純に2倍しても18,184人/日・往復にしかならない。名古屋発着「しらさぎ」からの需要が増えたとしても限りがあるので、北陸新幹線福井~敦賀間の輸送密度は在来線の輸送密度をそのまま持ってきて24,000人/日、新幹線部分開業効果で輸送量が増えたとしても40%増しの34,000人/日程度となる。

そう考えると、北陸新幹線敦賀口も平常時昼間は毎時1本、朝夕や多客期は毎時2本の設定で十分ということになる。ただ敦賀で接続する特急「サンダーバード」が昼間2時間に3本の定期列車が運転していると考えると、北陸新幹線も2時間に3本程度の運転を確保する可能性はありそうだ。




では東京から運転する列車はどのように設定するのだろうか。

まず、各所必要運転本数を整理すると、臨時列車を含め長野まで毎時3本(うち定期列車毎時2本)、金沢まで毎時2本(うち定期列車毎時1本)、福井県までは毎時1本あればさばききれる。

東京から福井県内への利用者は秋田新幹線と同じレベルなんだから秋田新幹線「こまち」同様多客期毎時2本必要なのではないかと言う意見もあるかもしれないが、秋田新幹線「こまち」E6系7両編成はミニ新幹線で、フル規格新幹線の4.5両程度しか輸送力がない。つまり、2倍してもフル規格9両編成分で足りる輸送量しか運べないので、E7系及びW7系12両編成であれば毎時1本で多客期の輸送も賄えてしまうのである(逆に言えば多客期以外の東京発着列車の金沢~敦賀間は空席が目立つはずだ)。

というか、そもそも福井県内まで毎時1本必要としたが、福井より先にも必要なのだろうか。越前市は人口8万人しかおらず周辺自治体を足しても11万人しかいないし、敦賀都市圏は75,000人しかいない。山形新幹線天童〜新庄の自治体の人口合計22万5千人よりも少ないというのに、そんなところに東京から毎時1本も必要なのか?もはや山形新幹線ですら2時間に1本しか来ないようなところで、しかも敦賀始発の列車が設定される中、わざわざ東京から越前・敦賀まで直通した1本の列車で行けなくてもいのではないか。現状でも1回乗り換えはあるので、金沢で乗り換えさせればいいのではないだろうか。

朝夕はパフォーマンス目的で東京~敦賀間の直通列車が数往復運転する、というのはあるかもしれない。しかし昼間は東京発着列車の終着地は福井でも全然問題ないだろう。




そう考えると、運用数に変化はあるだろうか。

現在北陸新幹線用車両として、E7系12両編成19本とW7系12両編成11本の合計30本がある。JR東日本区間については上越新幹線内所要時間短縮とW7系も含めた北陸新幹線と上越新幹線に共通運用化が見込めるので、2017年に増備した1編成分は上越新幹線運用を中心に回される可能性がありそうだ。ただ、大きな増発はないのでJR東日本所有分E7系の運用本数に変わりはなさそうだ。

しかし今回の延伸で大きく運転本数が増えるJR西日本管内は、増備の必要性がある。今回のダイヤ改正で臨時列車も含め増え得るのは金沢~福井間毎時1本と金沢~敦賀間毎時2本で、合計5運用あれば足りそうだ。そう考えると、予備車を含めても6編成程度増備すれば足りそうだ。

そう考えると、定期列車の運転本数は以下のようになるのではないだろうか。

東京発着列車

  • 「かがやき」 東京~敦賀間 6往復
  • 「かがやき」 東京~福井間 4往復
  • 「はくたか」 東京~福井間 5往復
  • 「はくたか」 東京~金沢間 9往復
  • 「あさま」 東京~長野間 17往復

※上越新幹線「とき」は東京~新潟間26往復

敦賀発着列車(東京発着列車を除く)

  • 速達タイプ 敦賀~富山間 4往復
  • ※上記「かがやき」と合わせて合計10往復確保
  • 停車タイプ 敦賀~富山間 5往復
  • 停車タイプ 敦賀~金沢間 10往復




2.1. 所要時間は最高速度引き上げで短縮も、昼間は「はくたか」により3時間超えへ

所要時間は、上野~大宮~高崎間の最高速度引き上げにより合計で3分所要時間を短縮することから、東京〜金沢間の最速所要時間は2時間28分から2時間25分に短縮する見込みだ。

さらに東京~福井間は上野~大宮~高崎間の最高速度引き上げも含め最速で2時間50分で結ぶとしているが、昼間は上越妙高~福井間で各駅に停まる「はくたか」しかないので、3時間28分での運転、飯山通過で3時間24分の運転となりそうだ。2020年現在昼間は東京~金沢間で2時間56分かかるんだもの、それ以上かかってしまってしまうのはある致し方ない。

そう考えると、昼間に限れば東海道・山陽新幹線の東京~岡山間の「のぞみ」の所要時間3時間13分、東北新幹線東京~新青森間の3時間09分より少々長くなる。福井が岡山や青森より時間がかかるって、福井県に旅客用空港がないことにうぬぼれているように見えるのは気のせいだろうか




ちなみに2019年現在の東海道新幹線米原連絡特急「しらさぎ」利用では、昼間は東京→福井間で3時間26分、福井→東京間で3時間34分かかる。現状同様北陸新幹線では昼間の定期列車は最も速い列車で「はくたか」しか走らせないとすると、北陸新幹線ができても昼間の所要時間が変わらないって効果あるって言えるの?ただ直通列車走らせただけじゃない?

というか、昼間に関しては東京~敦賀間の利用は北陸新幹線利用より東海道新幹線米原連絡北陸本線特急「しらさぎ」利用の方が50分程度所要時間が短くなるし、運賃・料金も東海道新幹線経由の方が安い。それで東京~敦賀間の北陸新幹線を昼間も走らせようとは思わないだろう。

あとは、小松空港対策のために「かがやき」の一部を小松に停車させる可能性は少なからずありそうだ。小松空港は富士ドリームエアラインの第2の拠点空港と化しているので存続するだろうが、羽田便は羽田~富山間と同様小型化や減便を余儀なくされるのは間違いないだろう。




2.2. 初終列車も原則既存列車の延長で対応か

また今回のダイヤ改正では初終列車にも変化が出る可能性があるので、東京発着列車を中心に見ていこう。金沢6時00分発「かがやき500号」東京行きは東京8時32分着から8時28分着に4分繰り上がる見込みのほか(もっとも2階建てのE4系撤退により折返しに係る時間が短縮すれば東京発着列車を毎時15本から拡大すればずれる可能性はある。)

また、金沢〜福井間が最速達で24分で結ぶとすると、上野〜高崎間での所要時間3分短縮により金沢での停車時間1分を含めても東京21時04分発「かがやき519号」最終金沢行き(金沢23時35分着)をそのまま福井まで延長し福井23時58分着で設定することができる。

現状では東京から福井への最終列車は東海道新幹線経由で東京20時21分発「のぞみ259号」新大阪行きからの名古屋連絡「ひかり663号」新大阪行きからの米原連絡北陸本線特急「しらさぎ65号」利用であるが、これが43分繰り下がる見込みだ。また北陸新幹線経由でも東京20時12分発北陸新幹線「はくたか577号」金沢行きから金沢連絡で金沢23時30分発北陸本線特急「ダイナスター6号」福井行きの利用となっているが、これが52分繰り下がる見込みだ。

とはいえ、富山と金沢と福井の最終列車が全て同じ列車というのはいかがなものかと思うかもしれないが、東北新幹線にて新青森・秋田への最終列車と盛岡への最終列車が東京発基準で4分しか変わらないことを考えれば、おかしなことではなさそうだ。

では福井からの一番列車は金沢からの一番列車をそのまま伸ばせるかというとそれは違う。先述したように金沢から東京への始発列車は金沢6時00分発「かがやき500号」東京行きで、これを福井始発に伸ばそうとすると新幹線の営業時間6時00分〜24時00分までに治らなくなってしまう。また2本目も金沢6時13分発「はくたか552号」東京行きで、福井まで最短でも24分かかることを考えるとこれも伸ばせない。そうなると福井始発に伸ばせそうなのは金沢7時00分発「かがやき502号」東京行きを福井もしくは敦賀始発で設定することになる。もしこのまま伸ばすとすれば福井→金沢間をノンストップで運転すれば福井6時35分〜6時38分発くらいで設定できそうだが、もはや盛岡発東京行き一番列車の「はやぶさ102号」東京行きが盛岡→仙台間で各駅に停車することを考えると、福井県からの東京への一番列車も時間に余裕があれば福井→金沢間で各駅に停めてしまってもいいのではないだろうか。そう考えると、福井から東京への一番列車は福井6時19分発〜6時22分発くらいで設定してもおかしくなさそうだ。

ただ、これでは福井からの東京到着は現状と変わらないし、高崎→上野間で3分短縮し金沢→東京間で上野停車で最速2時間27分で運転できるようになったとしても、東京駅発着枠を考えると東京には9時28分に到着するのが関の山だ。これでは現状の新青森から東京への一番列車の到着時刻である東京9時23分着より遅くなってしまう。現在は在来線特急連絡があるのでまだ分かるが、北陸新幹線開業後は新青森より福井の方が東京への一番列車の到着が遅いとはいかがなものか。むろん、盛岡から東京への一番列車の東京到着8時56分着より遅いのは言うまでもない。そう考えると、福井から東京への一番列車の設定自体を繰り上げる可能性はある。

もし金沢7時00分発の「かがやき502号」東京行きを繰り上げるとどうなるのだろうか。その後の列車が金沢7時48分発および8時48分で設定している。そう考えると、現在は集客のために金沢7時00分発で「かがやき502号」を設定しているが、福井からの利便向上のために金沢6時48分発ないし3分短縮を金沢側で反映して金沢6時51分発で設定するようになる可能性がある。そう考えると福井から東京への一番列車は福井→金沢でノンストップの場合福井6時23分発〜6時26分発、福井→金沢間で各駅に停車する場合6時11分発〜6時14分発で設定可能となり、東京は9時16分着程度で設定できそうだ。現在東京9時16分着には越後湯沢始発の「たにがわ404号」がいるが、2023年3月ダイヤ改正でE7系を上越新幹線と共通運用させることを考えれば、柔軟に時刻変更してもおかしくないだろう。




(2023.7.14 追記)ただ、そもそも北陸新幹線の敦賀行きは敦賀行きとして表示するのだろうか。

敦賀は県庁所在地ではないため福井と比べると知名度が低いため、東京からの場合山形新幹線「つばさ」の山形・新庄行きのように北陸新幹線「かがやき」福井・敦賀行きとしてもおかしくない。

ただそうなるとこれまで行先表示していた石川県が反発するだろうから金沢・敦賀行きになるのだろうか。いやはたまは北陸3県と言えば富山・石川・福井の3県なので富山・金沢・敦賀行きとするのか、多くの種類に可能性が考えられる。

また富山以西においても、敦賀で連絡する在来線特急列車の行先に合わせて敦賀・大阪行き、敦賀・名古屋行きと表示してもおかしくはない。

そう考えると北陸新幹線敦賀延伸では多種多様な行き先を見ることができそうだ。




(2022.11.15 追記)なお北陸新幹線敦賀延伸は2023年3月を目指していたが、2024年3月以降に延期することとなった。これは敦賀駅の建設工事が大きく遅れていることがあるが、これはフリーゲージトレイン導入断念に伴い在来線ホームの新幹線直下への設置を行う必要が生じ、1フロア増やすこととしたためである。

このため敦賀以外の各駅および線路設備は2022年11月までにほぼ完成しているにもかかわらず敦賀だけが遅れているために福井も含め開業が遅れているのである。おいおい、せめて福井まででも2023年3月までに先行開業しても良いのではと思ってしまうが、先行開業の予定もないようだ。


3. 結び

今回の2023年3月実施予定の北陸新幹線ダイヤ改正では、敦賀延伸に伴う最高速度引き上げにより全線に渡りダイヤ改正を実施する見込みだ。

ただ昼間に関しては東京~福井間では現状と所要時間が変わらず、効果は限定的と言わざるを得ない面もある。

一方、一部では金沢発着を福井発着にそのまま延ばせば対応可能な列車もあり、2020年現在でもある程度敦賀延伸を意識したダイヤにはなっているようだ。

今後北陸新幹線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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