緊急事態宣言で列車減便により終列車繰り上げへ 東海道新幹線・山陽新幹線・JR北海道・JR九州・JR四国臨時ダイヤ運転(2020年3月~4月)

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JR北海道は2020年3月11日、プレスリリースにて3月23日より減便を行うと公表した( 特急列車の減便・減車について )。またJR東海は2020年3月13日、プレスリリースにて3月19日より減便を行うと公表した( 東海道新幹線 列車の一部運休について )。さらにJR西日本は2020年3月13日、プレスリリースにて3月19日より減便を行うと公表した( 一部臨時列車の運休について )。そしてJR九州は2020年3月13日、プレスリリースにて3月19日より減便を行うと公表した( 新型コロナウイルス感染拡大に伴う今後の運転計画について )。今回はこれらについて見ていく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 緊急事態宣言発令による利用者大幅減で定期列車を減便へ

今回の2020年3月~4月JR北海道臨時ダイヤでは、特急列車を中心に減便を行う。

北海道では2月28日より毎週末に非常事態宣言を出していることから、北海道の鉄道の多くをカバーするJR北海道では利用者が大幅に減少、2月だけでも全線で1割減っているのに3月第1週は在来線特急が69.8%減、北海道新幹線が74.3%減

これを受け在来線気動車特急では3月2日より増結を廃止しているが、石勝線特急「スーパーおおぞら」では所定6両編成のところを8両への増結を恒常的に行っていたことから、既に事実上減車が始まっていると言っても過言ではない。

ただ気動車特急であれば1両単位で減車できるのであるが、電車となると減車できず減便しか策がなくなってしまう。このことから、3月23日より減車のみならず定期列車を減便を行こととなった。

減便するのは3月23日~4月23日の間、函館本線特急「カムイ」「ライラック」計5往復及び室蘭本線特急「すずらん」3往復となっている。なお函館本線特急「カムイ」「ライラック」は旭川で石北本線特急「大雪」や宗谷本線特急「サロベツ」、石北本線特別快速きたみ、宗谷本線快速なよろに連絡する列車の減便はない。これにより札幌~旭川間では毎時1本の特急列車の運転が確保されることとなる。

ただそれだけでは足りず、3月23日より室蘭本線特急「北斗」を所定の7両から6両に、石勝線特急「おおぞら」を所定の6両から5両に減車するほか、4月5日からは室蘭本線特急「北斗」でさらに減車し電車特急「すずらん」と同じ5両での運転となる。

またそれでは飽き足らず、4月5日より室蘭本線特急「北斗」及び石勝線特急「とかち」で初終列車の変更を伴なう定期列車2往復の減便を行う

これにより4月5日より札幌から函館への最終列車は札幌20時00分発「北斗24号」函館行きから札幌18時10分発「北斗22号」函館行きに1時間50分繰り上げ、札幌から帯広への最終列車は札幌21時10分発「とかち9号」帯広行きから札幌19時39分発「おおぞら11号」釧路行きに1時間31分繰り上がった。

また初列車も繰り上がり、4月5日より函館から札幌への初列車は函館6時02分発「北斗1号」札幌行きから函館7時37分発「北斗3号」札幌行きに1時間35分繰り上がるほか、帯広から札幌への初列車も帯広6時45分発「とかち2号」札幌行きから「おおぞら2号」札幌行きに1時間16分繰り下がった。

なお千歳線快速エアポート(と記載しているが、おそらく新千歳空港発着利用なのではないか)も利用者が半減している。2020年3月14日ダイヤ改正で定期列車を毎時4本から毎時5本に増発したのが仇となったようだ。




2. 東海道・山陽新幹線でも減便へ

また今回の2020年3月~4月東海道・山陽新幹線臨時ダイヤでも、臨時列車の削減を行う。

東海道新幹線で減便を行うのは東京~新大阪間で運転する臨時「のぞみ」で、3月19日~3月31日までの減便実施が決まっている。最速で3月19日に毎時12本での運転を開始する予定だったが、お預けとなったようだ。とはいえ減便後でもほとんどすべての日・時間帯で東海道新幹線では概ね10分おきに「のぞみ」が来ることに変わりないので、利便性の低下はほぼないだろう。

また運転本数確保の意味は薄れたかもしれないが、2020年3月14日東海道新幹線ダイヤ改正では「のぞみ」を中心に多くの列車で所要時間短縮を実施している。臨時列車の設定本数はやや減るが、ダイヤ改正自体は運用の効率化という意味では意味があるようだ。

さらに山陽新幹線でも臨時「ひかり」の減便を行う。減便は3月19日~3月31日運転分に対し行うが、この臨時「ひかり」は山陽新幹線新大阪~博多間のみを運転し臨時「さくら」のダイヤを生かして運転する列車なので全列車N700系8両編成(「みずほ」「さくら」型車両)による運転となっている。とはいえこちらも「のぞみ」「みずほ」や定期「さくら」で十分救済可能なので、東海道新幹線ほどではないが影響は小さいものと思われる。

このほかJR西日本管内では、北陸本線特急「サンダーバード」や紀勢本線特急「くろしお」でも臨時列車の減便を行う。




3. JR九州管内でも大幅減便へ

また今回の2020年3月~4月JR九州臨時ダイヤ運転では、臨時列車のみならず定期列車でも減便を行う。

九州新幹線は臨時列車のみで減便を行うが、減便するのは九州新幹線博多~鹿児島中央間のみ運転の3往復のみとなっている。

また長崎本線特急「かもめ」では臨時列車の減便を行うほか、佐世保線特急「ハウステンボス」はハウステンボスの営業縮小に伴いほぼ全便運休となり、実質博多~早岐間で減車を行う。

また日豊本線特急「ソニック」「にちりん」でも昼間に博多~大分間及び大分~宮崎空港間で4往復の減便を行う。もっとも日豊本線佐伯~延岡間なんて輸送密度が1,000人/日・往復に満たないので特急「にちりん」が2時間に1本の運転になっても問題ないのだが、博多~大分間で毎時2本から毎時1本に減便して本当に大丈夫なのだろうか。なんだか長崎本線特急「かもめ」同様いつの間にか昼間の定期列車が毎時1本に削減されそうで怖い。

そして博多24時10分発臨時「きらめき22号」小倉行き最終列車も減便する。土休日運転とはいえ、最終列車の繰り上げはやや便乗感が見られるのは気のせいだろうか?

またホームライナー要素で運転している特急「きりしま」1往復も減便しているが、これも主な利用は県内移動だろうから便乗減便感が否めない。なんだかJR九州の減便にはコロナウイルスを理由にすればなんでも減便しても良いと言いたげそうな感じがするのは気のせいだろうか。

このほかJR東日本では東京ディズニーリゾート休園に伴う京葉線の土休日臨時列車運転の取りやめは行うが、ほかの減便はないようだ。

4. 四国では普通列車も減便へ

今回の2020年3月~4月JR四国臨時ダイヤでは、特急列車のみならず普通列車の減便も行う。

まず特急列車では、3月24日〜3月31日に予讃線特急「宇和海」2往復、高徳線特急「うずしお」1往復、徳島線特急「剣山」1往復を減便する。

また、JR四国では四国の広い範囲で普通列車も減便する。

確かに高校が休校であることを考えると利用が平年より少ないのは正しいのだが、そもそも3月の末って高校春休みなんだから毎年減便してたっていいじゃない。JR九州とは別種の便乗減便感が否めない。




5. 今後の減便はどうなる

まず今回の臨時ダイヤ実施で共通しているのは、全て管内のみの減便であるということ。

だってJR北海道管内の長距離列車では在来線特急より北海道新幹線の方が減少率が大きくて、かつ室蘭本線特急「北斗」定期列車減便のうち1往復が北海道新幹線「はやぶさ」と連絡する列車なんだから、当然のごとく北海道新幹線の減便もしたかったはずだ。しかしそれができないということは、JR東日本との直通の兼ね合いがあり安易に減便できなかったと言わざるを得ない。

また東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線のそれぞれで臨時列車の減便を行ったものの、2線を直通する臨時「のぞみ」や臨時「さくら」の減便は行われなかった。これも直通列車については他社との兼ね合いで安易に減便できなかったのだろう。

ただ今後もイベント等の中止が広まり利用が芳しくないとすると、今後JR各社間で減便できる列車を調整し、4月以降は2社間運転の列車も減便の対象に入れる可能性が高くなりそうだ。そう考えると、まだこれらの列車減便は序の口で、今後臨時列車の運転本数の多い新幹線を中心にさらに大幅な減便を行う可能性がありそうだ。


6. 結び

今回の2020年3月~4月JR各社臨時ダイヤでは、利用者の想定を超える大幅な減少により各地で減便を行う。

今後の情勢によりどこまで減便が広がるのか、見守ってゆきたい。

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