ゴールデンウィークの利用減少を見越し朝夕に減便へ JR東日本など東京都市圏各線臨時ダイヤ運転(2021年4月30日~5月7日の平日)

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ゴールデンウィークの利用減少を見越し朝夕に減便へ JR東日本など東京都市圏各線臨時ダイヤ運転(2021年4月30日~5月7日の平日)

JR東日本は2021年4月27日、プレスリリースにて4月30日~5月7日の平日に臨時ダイヤで運転すると公表した( 4月30日(金)、5月6日(木)、7日(金)に首都圏の一部列車を削減します )。今回はこれから4月30日~5月7日の平日に実施の東京都市圏での臨時ダイヤについて見ていく。

2021年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. ゴールデンウィーク期間中の平日朝夕に減便へ

今回の2021年4月30日~5月7日のJR東日本をはじめとする東京都市圏各線臨時ダイヤ運転では、期間中平日の朝を中心に減便を図る。

そもそも例年4月~5月のゴールデンウィーク期間の平日は比較的通勤利用客が減るので多少車内が空く傾向にある。まあこれまではほとんどの東京都市圏の各社は黒字だったしたった数日間のために臨時ダイヤを組むのは面倒なので多少空いていても平日ダイヤ100%で運転してきた。

しかし2020年に入り旅客が大幅に減少、都市鉄道でも前年比20%減のほか東京23区内では訪日外国人現象の影響を強く受け30%減、新幹線に至ってはほぼ半減と言っても過言ではない。

これにより鉄道各社はほぼ総じて年間累計で赤字に転落、空いている日に余裕をもって列車の運転本数を確保することすらムダと思うようになってしまっているところも少なくない。そう思っていたところ、国や都県が減便しろと仰せなら経費節減のために減便して臨時ダイヤを組み実施しているのが今回の2021年4月30日~5月7日の平日の臨時ダイヤ運転である。

結果的に国や都県が強く要請したため行政が今回の減便を強要したように見えるのだが(もっともその方が鉄道会社にとっては自分のせいにはならないので好都合)、そもそもの過程を考えれば減便しようと思っていたのは一部の鉄道会社もそうであるし減便内容を各社ごとに見て分析すれば今回の減便に積極的なのかいやいや応じているのかまでわかる。

では各社ごとに今回の臨時ダイヤ運転でどのような減便を図っているのか、見ていこう。




2. JR東日本と東京メトロで大規模減便実施へ

今回の2021年4月30日~5月7日のJR東日本及び東京メトロ臨時ダイヤ運転では、一部の路線で大規模な減便を図る。

まずはJR東日本山手線。そもそも前回2021年3月13日ダイヤ改正で平日朝ラッシュ時に両回りとも2周分削減し1運用ずつ合計2運用浮かせたのだが、今回の臨時ダイヤ設定でさらに減便を図っている。

今回の臨時ダイヤ運転では平日朝ラッシュ時だけで内回りは15周、外回りは6周削減し、運用本数は内回りで5運用、外回りで3運用削減している。おいおい、内回りは平常ダイヤでも平日朝ラッシュ時に毎時21本の運転なんだから毎時5本も削減したら輸送力が23.8%も低下するではないか。

まあ山手線は2010年頃までは混雑率180%超の過密路線で6ドア車を積極的に運用して混雑緩和を図っていたが、つくばエクスプレス・上野東京ラインの開業東急東横線渋谷駅地下化による地下鉄副都心線との直通運転開始、相鉄JR直通線開業に伴う平日朝の赤羽方面からの埼京線渋谷・大崎方面直通列車の増加、渋谷駅埼京線・湘南新宿ラインホーム移設などにより徐々に利用者が減っており、2019年度の混雑率は156%にまで落ちている。

とはいえ、そもそもE231系からE235系への置き換えにあたり2本削減しているんだし、ホームドア設置で停車時間が延びているので運用数を増やさないために終日に渡り少しずつ減便しているし、ついこの前両回りで2周ずつ減便したばかりなのに今回の臨時ダイヤで4本に1本の割合で間引くのはやりすぎだとは思うが。

また2019年度まで混雑率180%超を誇っていた中央線快速や総武線各駅停車、地下鉄東西線でも減便するのは狂気の沙汰としか言いようがない。もはやJR東日本や東京メトロは客の動向よりも国や都県の顔を伺っているのである

最終的には東京都への貸しを果たしたいのか、はたまた国土交通省の認可の必要な運賃値上げをしたいのかわからないが、両社は乗客なんてモノとしか見ていないと言っても過言ではないだろう。

(2021.5.6追記)その後、JR東日本は2021年5月7日の平日朝夕の減便を取りやめ、通常ダイヤで運転するとした。おそらく今後運用数を減らす上で絶好の機会だったと思うが、実質社会実験の結果できないということになったのだろう。




3. 西武と東武で合理的減便実施へ

今回の2021年4月30日~5月7日の西武鉄道及び東武鉄道臨時ダイヤ運転では、平日朝ラッシュ時に減便を行う。

まずは西武鉄道。減便するのは平日朝に2本しか運転していない新宿線通勤急行全2本(ともに本川越発西武新宿行き)及び折返しの急行2本(実質西武新宿発新所沢行き)の2往復となっていた。

この通勤急行、田無→西武新宿間ではすぐ後続に拝島線からの急行が続行するほか、上石神井→西武新宿間では直前に準急がいるなど周辺に速達列車は多いし、そもそも全区間で通過運転を行うのに本川越を出発して最初に普通を抜かすのが東伏見であり通勤急行通過駅からは急行未満の恩恵しかないことなどから比較的すいていた。つまり今回の通勤急行の削減は西武鉄道が当初から減便したい列車と考えており、今回国や都県からの要請が出たことで社会実験的に減便した可能性が高い。

ただ4月30日の午前を終え、残る運休日のはずだった5月6日・7日は通常ダイヤの通り運転することに決まり、西武新宿線の臨時ダイヤをたった1日で終了することが決まった。まあ今回の減便が失敗だったことになるのだが、西武鉄道としても今後のダイヤ改正でどの列車を減らすべきかの検討材料には十分役立っただことからムダではなかっただろう。

また同様の減便を行ったのが東武スカイツリーライン。今回減便したのは南栗橋始発北千住行き8両区間急行2本とその送り込みの浅草発南栗橋行き区間急行2本である(ただし浅草→北千住間は地域輸送性確保のため運転)。

この南栗橋発北千住行き区間急行は2本ともほとんどの区間となる東武動物公園→北千住間で直前に館林始発浅草行き区間急行を運転しており、館林始発の区間急行に乗れなかった人の救済目的が強い。そう考えるとこのご時世でそもそも利用者が減っている中南栗橋始発北千住行き区間急行が他の列車と比べて空きやすいのは明らかで、東武鉄道もどこかのタイミングで廃止させたかった可能性がある。そんな中国や都県から減便要請を受ければそれはすぐさま運休したいだろう。

このほか小田急電鉄でも平日朝ラッシュ時ピーク時過ぎの成城学園前始発地下鉄千代田線直通5本を小田急線内のみ運休することとなった。

このように西武新宿線や東武スカイツリーラインでは将来の運用数削減を図るために事前に廃止候補にしていた列車をこの機会に運休し社会実験を図った可能性が高い。もっとも西武新宿線では通勤急行の復便が決まったので当分の間廃止はなさそうだが、東武スカイツリーラインでは減便を図る可能性は残りそうだ。


5. 結び

今回の2021年4月30日~5月7日のJR東日本をはじめとする東京都市圏各線臨時ダイヤ運転では、平日朝を中心に減便を図ることとなった。

ただ会社により対応に温度差があり、減便によりかえって混雑してしまっているところまである。

今後各社がどのような対応をしていくのか、見守りたい。

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