終日減便と昼間の快速廃止で415系大幅縮小へ JR九州鹿児島本線ダイヤ改正(2022年9月23日)

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終日減便と昼間の快速廃止で415系大幅縮小へ JR九州鹿児島本線ダイヤ改正(2022年9月23日)

JR九州は2022年6月10日、プレスリリースにて9月23日にダイヤ改正を行うと公表した( 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します )。今回はこのうち鹿児島本線について見ていく。

1. 昼間の快速廃止で最速達列車は区間快速へ

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、2018年3月17日JR九州ダイヤ改正以来約4年5か月ぶりに鹿児島本線で終日に渡るダイヤ改正を行う。

そもそもJR九州では2018年3月17日ダイヤ改正の際に次回の大規模なダイヤ改正は西九州新幹線開業時と談話が出ていたため、今回のダイヤ改正自体は時期的には予定通りである。

今回のダイヤ改正では鹿児島本線で終日に渡り大規模な減便を行う。

まずは昼間。鹿児島本線では小倉~荒尾間に毎時1本の快速を運転していたが、今回のダイヤ改正で廃止することとなった。これにより鹿児島本線の昼間から快速が姿を消す。これにより昼間に福間~小倉間で通過運転を行う料金不要列車が無くなる。

また区間快速も運転区間を見直し、鳥栖~羽犬塚間で毎時1本を減便することとなった。これにより昼間は博多~久留米間を直通する区間快速が毎時1本しかないし、しかも通過運転を行うのは博多~二日市間に限るのである。おかげさまで鹿児島本線では昼間に博多~久留米に行こうとすると45分もかかるのである。

西鉄は昼間は急行以上が毎時4本運転し(しかも土休日はうち毎時2本が特急)、かつ福岡市の中心部天神と久留米市街地に近い西鉄久留米を結んでいることを考えると、西鉄が圧倒的優勢になっている。また直近の2022年8月28日西日本鉄道ダイヤ改正で所要時間を短縮し急行でも38分で結ぶようになったばかりである。おそらく今回の鹿児島本線の久留米での減便は毎時3本程度の運転がある九州新幹線誘導なのだろうが、それ以上に大きな都市鉄道としての役割を失っている感が否めない。

これらの減便により海老津~折尾間は昼間毎時3本から毎時2本に減便することとなった。




なお今回のダイヤ改正では福間~二日市間は昼間は区間快速毎時2本と普通毎時3本に再編する。昼間の鹿児島本線での減便は大きく快速の毎時1本減便だが、それぞれで運転本数が異なることと混雑分散のため20分サイクルダイヤからの毎時1本減便ではなく区間快速は25~35分間隔となる。

また、昼間の区間快速は福間〜博多間のみ快速運転する列車も博多以南で快速運転する列車に分かれており福間〜二日市間で通しで快速運転を行う区間快速は基本的になかった。が、今回のダイヤ改正で全区間で快速運転を行う快速が昼間から消滅したため、救済として昼間の区間快速が毎時2本とも福間〜二日市以南で通しで快速運転を行うこととなった。このため昼間を中心に鹿児島本線で大きく時刻を変更している。

このほか昼間の鳥栖~熊本方面毎時2本を大牟田で系統分割することとなった。これは久留米~熊本間利用で新幹線誘導を図るためだろう(実際にあの距離は新幹線や高速バスで行った方がいいとは思うが)。

この系統分割により昼間に運転している鳥栖~大牟田間で通過運転を行う区間快速を普通に格下げすることとなったことから、区間快速通過駅で利便性が向上することとなった。

なお(門司港~)小倉~折尾間の昼間に毎時1本運転している4両編成の普通電車は(門司港~)小倉~折尾~直方間に延長し3両ワンマン化する。これに合わせ若松線・福北ゆたか線直通の若松~直方間昼間毎時2本中毎時1本を若松~折尾間に短縮する。

折尾駅はかつては鹿児島本線と福北ゆたか線の直通列車は鷹見口ホーム発着だったが、本年2022年3月12日に連続立体交差化により全て横並びとなり、乗り換えがしやすくなった。それも含めて直方発着列車を調整したのだろう。




2. 平日朝ラッシュ時の減便で415系大幅に廃車を計画か!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、鹿児島本線で平日朝ラッシュ時にも減便を図る。

まずは久留米・二日市方面から博多へ向かう上り列車。荒尾5時26分発快速博多行き(鳥栖から快速)を初列車を廃止する。救済として鳥栖6時13分発普通門司港行きを荒尾5時25分発普通門司港行きに延長し荒尾→荒木間の初電を維持する。なお平日の博多到着は6時55分から6時57分に2分繰り下がるのみとなる。

また大牟田6時53分発快速門司港行きを廃止するほか、大牟田7時38分発区間快速博多行き(久留米まで各駅に停車)は大牟田7時34分発普通博多行きに格下げすることとなった。また荒木6時34分発普通福間行き、荒木6時56分発普通吉塚行きなどを廃止し平日朝8時30分までに到着するラッシュ時の列車で減便を行い、定員ベースで10%の削減を行っている。

このほか佐賀7時12分発区間快速門司港行きを廃止する。救済として長崎本線では佐賀7時11分発普通鳥栖行きを運転する。ただ鳥栖で併結していた荒尾始発の区間快速門司港行きは残るため、佐賀7時11分発普通鳥栖行きに乗車後終点鳥栖で乗り換えれば従来通りの時刻に博多に到着することができる。このため佐賀から博多へ直通する平日朝の快速は3本から2本に減りはするが、長崎本線内での減便はないし博多到着時刻にも変更はないようだ。

次に小倉・福間方面からの下り列車。門司港5時29分発快速博多行きを廃止し、福間以南の救済として福間6時27分発普通荒尾行きを設定する。また小倉5時38分発普通博多行き、門司港6時28分発普通南福岡行き、小倉6時34分発普通南福岡行き、福間7時39分発普通久留米行き、小倉7時34分発普通鳥栖行きを廃止している。これにより下り列車でも定員ベースで8%の削減を行っている。

ただJR西日本京都線や神戸線で平日朝ラッシュ時に14.3%も減便していることを考えると、そもそも混雑率最大105%しかなかった鹿児島本線で減便するのは致し方なかろう。

これらの減便により、8両または9両運転の列車を計7運用削減できる見込みだ。




JR九州では新型車両の821系電車の投入を当初2025年3月まで行う予定だったが、方針転換し2022年3月までで切り上げることとした。これにより当初から製造費が6割ほど減らし、当初90両~105両程度投入予定だったものが10本30両の投入で打ち切ることとした。おそらく821系は415系の置き換え目的であったことも考えると、60両~80両程度の415系が廃車になってもおかしくはない。

もっとも415系は鹿児島本線のみならず長崎支社や熊本支社、鹿児島支社などで運用があるが、この3支社では次回の2022年9月23日ダイヤ改正で車掌配置を廃止することからワンマン運転ができない415系の運用を全て廃止する見込みだ。が、鹿児島車両センターの415系が4両編成5本20両しかないことを考えるとそれだけでは60両から80両を置き換えられない。

もし今回のダイヤ改正で削減する6運用を415系4両編成2本をつないだ8両運転で削減するのであれば、鹿児島本線だけで415系4両編成14本、56両を削減できる見込みだ

もっとも415系は南福岡車両区と大分車両センターに4両編成29本を配置しており、うち5本は今回の2022年9月23日ダイヤ改正で821系への運用置き換えを行う見込みであることから残る415系は24本となるし、そもそも山陽本線下関~小倉間運用に415系が必要なので今回のダイヤ改正での415系全廃車はあり得ないが、このうち14本56両が鹿児島本線からなくなるだけでも415系半数程度が廃車することとなる

また鹿児島車両センターなどの415系を置き換えるために鹿児島本線から減便分でねん出した817系3両編成を転出し置き換える可能性もあるが、間接的にせよ415系の運用削減になることは間違いなさそうだ。

鹿児島本線での平日朝夕の減便で車両運用数が減少するのに乗じて415系の運用を削減し、大きく廃車を発生する見込みのようだ。

またJR九州では813系以降の電車に対して車外カメラを付したワンマン改造を行うと同時に座席を一部撤去しているが、全車両が対象というわけではない。鹿児島本線では今回の2022年9月23日ダイヤ改正以降もほとんどの列車が車掌常務のツーマン運転を行うことを考えると、非改造の座席が多い813系は鹿児島本線に集中的に残るのではないだろうか。そう考えるとダイヤ改正後の鹿児島本線はワンマン非対応の811系と813系を中心に使いそうだ。




(2023.6.12 追記)また今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、朝の鹿児島本線の時刻を原則平日と土休日同時刻で設定することとなった。

これまでは朝は平日と土休日で輸送量に大きな差があったため平日ダイヤと土休日ダイヤを別時刻で設けていた。が、今回のダイヤ改正で朝の平日ダイヤと土休日ダイヤを全日ダイヤに統合して同じ時刻での運転とし、その一部を土休日運休とすることで平日のみの運転とし輸送力を調整することとした。

この全日ダイヤへの統合によりダイヤ改正の手間や信号・分機器等の稼働の差異を減らし合理化を図ったようだ。




3. 平日夕ラッシュ時の減便も熊本発門司港行き設定へ!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、鹿児島本線で平日夕ラッシュ時にも減便を図る。

今回のダイヤ改正では平日夕ラッシュ時に二日市・久留米方面の普通電車を概ね毎時1本減便する。これにより博多から二日市方面へは区間快速以上毎時3本と普通毎時3本の概ね20分サイクルダイヤとなる。

なお快速毎時2本中毎時1本が区間快速に格下げするが、平日夕ラッシュ時の区間快速は鳥栖まで快速運転を行うことから久留米行きや荒木行き快速が区間快速に格下げしても肥前旭に停まるようになるだけで1分程度しか伸びないし、その分普通電車を荒木行きから鳥栖行きに短縮できている。

このため博多から久留米への平日夕ラッシュ時の先着列車は区間快速以上の毎時3本のまま変わりはない。そう考えると少ない変更で運用合理化を効率よく図れていると言えるだろう。

ただ久留米以南はそうでもない。平日夕ラッシュ時でさえも大牟田までの快速をたった1本(博多18時22分発のみ)しか運転しないのは、流石にやる気なさすぎだろうJR九州。もう久留米より南への輸送は通勤時間帯も含めて西鉄にお任せするようだ。

なお博多から福間方面へは快速毎時2本、福間まで快速運転の区間快速毎時1本、普通を毎時4本運転しているが、今回のダイヤ改正で快速毎時1本を減便することとなった。これにより平日夕ラッシュ時に博多から小倉へ向かう快速は毎時1本のみとなり、区間快速も小倉まで辛うじて快速に抜かれることなく先着はする。




このほか熊本15時53分発普通鳥栖行きと荒木17時34分発快速門司港行きを二日市~福間間快速運転の区間快速に格下げし、両列車を鳥栖で連結することとなった。これにより荒木→鳥栖間で鳥栖から先同一となる列車を別列車として運転することとなったほか、熊本15時55分発区間快速門司港行きが誕生する

もっとも2021年3月13日JR九州ダイヤ改正より熊本へ821系が乗り入れており、811系以降の電車と併結は可能だ。今回のダイヤ改正で昼間は大牟田での系統分割が増えたため久留米以南は短い編成中心で終日系統分割してもおかしくなかったが、どうやら415系がJR九州管内からなくなったとしても佐賀や熊本から博多方面への快速などの直通運転は今後も続けるつもりのようだ


4. 結び

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、鹿児島本線にて終日に渡り大規模な減便を図ることとなった。

JR北海道やJR四国が2020年以降に運賃値上げに順次踏み切っている中、JR九州でも運賃値上げを図る可能性は十分あるほか運賃値上げに際し極力合理化を図り経費を抑えに行く可能性が高いことを考えると今後も減便を積極的に行っていく可能性は十分に考えられそうだ。

今後JR九州鹿児島本線でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

同日実施の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正のうち駒元県内についてはこちら!

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