
JR西日本は2026年7月16日、プレスリリースにて2030年度をめどに北陸特急「サンダーバード」向け新型車両を投入すると公表した。今回はこれについて見ていく。
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1. 北陸新幹線小浜京都ルート桂川駅案に決定も2052年以降に開業へ!
JR西日本では北陸新幹線の全線開業に伴い特急「サンダーバード」全区間を新幹線化し在来線特急「サンダーバード」を廃止する見込みだ。
ただ北陸新幹線敦賀~新大阪間の工期は25年と見積もられており、2027年に着工したとして開業するのは最速で2052年となる。つまり向こう25年は北陸新幹線は東京~敦賀間のみの運行となり、在来線特急「サンダーバード」も大阪~敦賀間で残るのである。
一方大阪方面特急「サンダーバード」用683系は2009年~2010年ごろに投入した車両が多く、名古屋方面特急「しらさぎ」用683系は2001年ごろに投入した車両で車齢25年が経過している。しかもこのほかに1997年までに投入した旧型の681系が6両編成2本と3両編成3本が残っており、もう車齢30年を迎える。これらの車両は古いためほとんどの座席に電源コンセントの設置がない。敦賀で接続する北陸新幹線は普通車も全席電源コンセント付きなことを踏まえるともはや時代遅れである。
それを踏まえこれらの置き換え用にJR西日本では北陸新幹線新大阪開業までのつなぎとして最後の特急「サンダーバード」用新型車両を2030年度、つまり2031年3月ダイヤ改正の営業運転開始に向けて導入するとした。今回はこれについて見ていく。
2. 北陸特急「サンダーバード」向け新型車両で14両編成化か!
ただ近年の鉄道車両更新の際には必ず通らなければならないものがある。それが1両当たりの車両定員削減である。
2005年ごろから車内トイレの多目的化により面積が広くなったのと、2020年頃より車椅子枠の拡大によりどんどん1両平均の座席数が減っているのだ。
もっとも新幹線が通らずに在来線特急の通るような地方では多くで在来線特急の乗客利用が減少しているため、同じ両数ながらも座席数を減らしてもほとんど影響がない。
ただし特急「サンダーバード」は2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸により敦賀乗換ながらも大阪・京都~金沢・富山間の所要時間が短縮したため利用者が増えており、三日以上の連休では満席御礼立席特急券の発売が常態化している。そこで2026年7月~9月の夏の臨時列車運転では定期北陸新幹線に接続する臨時特急「サンダーバード」を増発したほどだ。つまりそれだけ特急「サンダーバード」のさらなる増発が求められているし、三日以上の連休でよく運転する12両編成の座席数718席から削減することはできないのだ!
ただ先述したように車両更新にあたり多目的トイレの設置や車椅子枠の拡大で同じ両数では座席数が減るのは必須である。そこで特急「サンダーバード」を最大12両から14両への増車を図るのではないだろうか?
もっとも大阪・新大阪・京都駅は21m車14両編成の停車が可能だし、敦賀駅も31番のりば~34番のりばの直江津方の北陸新幹線高架下に12両から2両程度延ばす余地はある。ついでに朝の大阪行き2本と夜の敦賀行き3本が停車する近江今津もホーム長320mあるので15両まで停車が可能だ(ついでにすべての特急「サンダーバード」が通過する大津京駅もホーム長320mのため15両まで停車可能)。いやむしろ運転区間が大阪~敦賀間に短縮したことでホーム長を14両に対応する駅数が減ったのは大きい。ただし特急「サンダーバード」定期25往復中朝の敦賀行き4本と夜の大阪行き5本が停車する高槻と朝の大阪行き2本と夜の敦賀行き3本が停車する堅田は12両までしかホームがないほか、延長は難しい。
このため特急「サンダーバード」の多くで14両編成の運転は問題ないが、高槻と堅田対策で一部の特急「サンダーバード」は12両までしか運転できない、または14両で運転するも2両ドアカットしなければならなそうだ。
また今回特急「サンダーバード」向けに投入する新型車両は2052年以降の北陸新幹線新大阪開業時には車齢20年と若い。このため他線区への転用まである程度考慮した方が良いだろう。特急「サンダーバード」向け新型車両を9両+5両編成および9両+3両編成で導入すれば、9両編成は関空特急「はるか」用に、5両編成と3両編成は紀勢本線特急「くろしお」や山陰本線・福知山線の北近畿方面特急各列車置き換え用とすればよいだろう。さすがに2050年ともなれば和歌山県の人口は減っているだろうから通常時6両編成、多客時9両編成のの特急「くろしお」を通常時5両、多客時8両に減車しても問題ないって。
この特急「サンダーバード」を通常時は9両編成を維持しながらも多客時は最長12両から14両に増車できる新型車両の導入により、1両当たりの座席定員が減っても増え続ける輸送力低下を増車で補うようだ。
なお北陸特急「サンダーバード」はほかの大阪発着在来線特急と繁忙期などのシーズンカレンダーが異なり日によって指定席及びグリーン特急料金に差が生まれるため、関空特急「はるか」と北陸特急「サンダーバード」の直通運転はしないだろう。
2026年現在特急「サンダーバード」用車両はグリーン車付き9両編成が683系実質13本と普通車のみの3両増結編成が683系6本と681系3本の合計9本となっている。このため今回導入する特急「サンダーバード」向け新型車両ですべての特急「サンダーバード」を置き換えるとすればグリーン車付き9両編成13本と普通車のみ5両編成5本、3両編成4本程度になるのだろう。
3. 特急「サンダーバード」にグランクラス設置か!
今回の2031年3月JR西日本ダイヤ改正向けに投入する特急「サンダーバード」向け新型車両であるが、車内はどうなるのだろうか。
まずはほぼ確実なのは普通車含め全席に電源コンセント設置。2015年以降に新製投入している新幹線及び在来線特急車両の標準装備であることからほぼ間違いないだろう。
また敦賀方1号車にある36席のグリーン車も持て余している。近年の在来線特急ではグリーン車は12席~18席程度しか設置しないことが多くなっておりJR西日本では683系の289系改造及び紀勢本線特急「くろしお」転用に際し1号車グリーン車をわざわざ半室グリーン車に改造してまで普通車席を増やしていること、今後北陸新幹線延伸によりグランクラスの新大阪乗り入れが確実になること、JR西日本も特急「サンダーバード」のグリーン車と北陸新幹線「つるぎ」グランクラスの乗り継ぎキャンペーンを行っていることを踏まえると、グリーン車を削減して半室グランクラスとしてもおかしくないだろう。
もっとも在来線特急は新幹線より車幅が狭いため、普通車は新幹線なら横5人掛けのところ在来線特急は横4人掛け、グリーン車も新幹線なら横4人掛けのところ多くの在来線特急では横3人掛けにしかならない。このためグランクラスを特急「サンダーバード」に設置するとして新幹線なら横3人掛けにしか設置できないので横2人掛けにしかならないだろう。
それを踏まえるともし特急「サンダーバード」にグランクラスを設定するのであれば、敦賀方1号車に横2人掛けグランクラス3列6席と、横3人掛けグリーン車6列18席の合計24席として半室グランクラス半室グリーン車とするのではないだろうか。
半室ずつにはなるが席数は足りるだろうし、その分増収となれば問題ないだろう。
なお特急「サンダーバード」にグランクラスを設定するとしてもシートのみ営業となる見込みだ。
4. 特急「サンダーバード」新型車両は起動加速度向上で所要時間短縮か!
今回2030年度より投入する特急「サンダーバード」向け新型車両は全区間直流電化区間での運転となるため交流電化区間対応装置が不要となる。もっとも現在の683系も交流電化区間を取りやめた2024年3月16日以降順次直流半固定工事を行っているため、新型車両置き換え時には交流電化乗り入れ対応装置は搭載せず直流区間専用車両となるだろう。車両形式は275系あたりになるのではないだろうか。
また湖西線は160km/h対応としているが、130km/hから160km/hに引き上げるには信号設備などの地上設備を大幅に更新する必要がある。もう北陸新幹線ができて使い物にならないことがわかっているのにそこに大幅な設備投資をしても無駄でしかない。このため最高速度引き上げはないだろう。
一方で2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸に伴うダイヤ改正で北陸特急「サンダーバード」は大阪~敦賀間の136.9kmのみの運転となっている。もうほとんど近畿地方しか運転がない。一方で北陸特急用683系は長距離目的のため起動加速度が1.8km/h/s程度しかなく、大阪~京都~山科間48.3kmなどの新快速と線路を共有する区間では新快速遅延のリスクにもなっている。
ここは短距離特急と化した特急「サンダーバード」向け新型車両は最高速度130km/hのままでよいので起動加速度を1.8km/h/sから新快速223系・225系並みの2.5km/h/sに向上してもらって大阪~敦賀間の所要時間を2分短縮していただけないですかね。そうすれば大規模な地上設備改修をしなくても160km/hに最高速度引き上げ時と同様の所要時間短縮効果が見込めるのだが。
5. 特急「サンダーバード」に新型車両一斉投入で中古車両で他線区の特急型車両置き換えへ!
今回の2031年3月JR西日本ダイヤ改正に向け投入する特急「サンダーバード」用新型車両がグランクラス設置のとき、全編成にグランクラスを設置する可能性が高いことからすべての基本編成9両編成が置き換え対象となる。
とはいえ現在特急「サンダーバード」で運転している683系はおもに2009年~2010年に投入した車両でまだ車齢20年と若い。このため今回の特急「サンダーバード」向け新型車両投入により2008年~2010年ごろに投入した683系を置き換え、683系のうちまだ車齢20年程度しか経過していない車両で2005年までに投入したほかの在来線特急車両を置き換え転用するのではないだろうか。
先述したようにもし今回の新車投入で特急「サンダーバード」にグランクラスを設置するとすれば特急「サンダーバード」の全編成が置き換えとなる。このときまだ車齢20年程度の683系9両編成12本、3両編成6本が浮くことになる。これらはどこに転用するのだろうか。
まず9両固定編成のままどこかに転属するとすれば関空特急「はるか」くらいしかない。しかし関空特急「はるか」は2029年度をめどになにわ筋線直通貫通扉付き新型車両に更新見込みだ。つまり貫通扉が全先頭車にあるわけではない特急「サンダーバード」用683系の関空特急「はるか」への転用は不可能となる。
またこのほかのJR西日本特急列車への転用を考えても定期運転は6両、増結してやっと9両となっている。このためほかの在胎線特急へ683系を転用するとなると9両編成の6両以下への減車は必至だろう。
次に考えうるのが紀勢本線特急「くろしお」のうち283系(「オーシャンアロー」型車両)。1996年に紀勢本線特急「くろしお」用車両として投入したが、あくまで増発用だったため6両編成2本と3両編成2本の計18両しか製造しておらず大量生産による保守コスト削減を図れなかった車両である。この後紀勢本線特急「くろしお」のほとんどを占めていた381系は車体傾斜機構のない新型車両287系や683系を改造した289系で置き換わっており、残るはこの283系の置き換えを残すのみとなっている。このため紀勢本線特急「くろしお」が今の運愛を維持するのであれば283系(「オーシャンアロー」型車両)を特急「サンダーバード」向け新型車両の投入によって追い出された683系改め289系によって置き換わってもおかしくはない。
ただ、近年の動きから大阪方面紀勢本線特急「くろしお」のうち白浜~新宮間を名古屋方面特急「南紀」に振り替え非電化化する可能性がある。その分の車両としてJR東海がHC85系電気式気動車を追加投入するほどだ。このため283系(「オーシャンアロー」型車両)をJR東海HC85系に置き換える可能性がある。
そうなるとほかに考えうるのは名古屋~敦賀間運転の特急「しらさぎ」を681系および683系0番台から4000番台への置き換えだろう。まあ681系6両編成2本は1997年ごろに製造した車両でかなり老朽化が進んでいるので車齢34年となる2031年ごろには置き換え廃車とするのが一番良いだろう。ただ683系0番台は2001年ごろに投入した車両で車齢30年程度ながらも、交換する683系4000番台は2009年~2010年ごろ製造と8年程度しか変わらない。しかも少なくとも2052年の北陸新幹線新尾所赤延伸まで着くとなると683系4000番台は43年程度も使用することになる。まあ延命にはなるとはいえまた新たに新車を入れなくてはいけないように見えるのだが。
6. 結び
今回の2031年3月JR西日本ダイヤ改正では、北陸特急「サンダーバード」向けに新型車両を投入することとなった。
ただ新型車両は1両当たりの車両定員削減を補うために最長12両から14両に増車する可能性があるほか、半室グランクラスを設置する可能性があるほか、起動加速度を向上して所要時間短縮を図る可能性もある。
今後JR西日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
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