新型車両導入で最高速度引き上げはあるのか 山陽新幹線ダイヤ改正予測(2020年7月予定)

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JR東海は2019年1月25日、プレスリリースにて2020年7月よりN700S量産車の営業運転を開始すると公表した( 次期新幹線車両「N700S」量産車の仕様および投入計画について )。今回はこれから、山陽新幹線の2020年7月ダイヤ改正予測について見ていく。

同日実施予定の2020年7月東海道新幹線ダイヤ改正予測はこちら!

2020年3月ダイヤ改正予測一覧はこちら!

1. N700S営業運転開始で最高速度引き上げはあるのか

今回の2020年7月山陽新幹線ダイヤ改正では、N700Sの運転が山陽新幹線内でも始まる。

N700Sの投入に伴い東海道新幹線内での最高速度引き上げはほぼ確実な情勢となっているが、山陽新幹線内でも最高速度引き上げはあるのだろうか。

まず空気力学的にはN700系は300km/h運転が可能であるが、ブレーキ力が不十分なためN700A改造後も運転間隔の狭い東海道新幹線内では285k/hを最高速度としていた。しかしN700Sでは軽量化と先頭形状の優化によりブレーキ距離が短縮し、東海道新幹線内でお300km/h運転を実施する見込みだ。

また東海道新幹線内では滋賀県内においてN700Sで330km/h運転を行う見込みであるが、当該区間にはトンネルがないことからトンネルドン対策が不要なため騒音を考慮しても330km/h運転ができると判断されたものと思われる。このため東海道新幹線内での330km/h運転は、空気力学的には例外とみなすべきであろう。

ただN700SではN700系と比べ多少なりとも空気力学的に技術が進んでいる。つまり、山陽新幹線内でも300km/hを超える運転ができるようになるのではないだろうか。

確かに今回のN700Sのブレーキ力向上は空気力学的なもののほかに車体軽量化によるものもあるため、山陽新幹線内でもそのまま最高速度を15km/h引き上げられるわけではない。しかしブレーキ性能だけでいえば運転間隔が東海道新幹線より広い山陽新幹線内で330km/h運転は可能なので、シャーシはN700Sベースにしてボディを500系にすれば何の問題もなく320km/h運転ができる。

山陽新幹線では2017年3月18日ダイヤ改正までにATCをアナログからデジタルのものに更新した。これにより5m/h刻みでの最高速度設定も可能となり、山陽新幹線内での305km/h運転も夢じゃない。

ただ、山陽新幹線内で305km/h運転を行うには、カーブで車体傾斜装置を使用する必要がある。しかももし使用したとしても新大阪~博多間で2分しか所要時間短縮が見込めない。かつてJR西日本単独で夢の最高速度320km/hを目指したこともあったが、果たしてその2分のために最高速度を5km/hだけ引き上げて車体傾斜装置を山陽新幹線内でも使用しようというのだろうか…




2. 東海道新幹線内所要時間短縮で一部列車で時刻変更へ

今回の2020年7月山陽新幹線ダイヤ改正では、東海道新幹線内でのN700S使用列車の所要時間短縮に伴い山陽新幹線内でも運転時刻を変更する。

これによりN700Sで運転することになるはずの東京6時00分発「のぞみ1号」が東京→新大阪間で所要時間短縮されるのはほぼ確実であることから、新大阪以西の山陽新幹線区間でも時刻繰り上げを実施するのは間違いない。つまり2020年7月頃のN700S投入に伴い山陽新幹線でもダイヤ改正を実施するのはほぼ確実な情勢だ。

まず、東京6時00分発「のぞみ1号」博多行きはは新大阪到着時刻を3分繰り上げることから、新大阪発時刻も3分繰り上げる可能性が高い。そうなると、「のぞみ1号」は新大阪8時21分発、博多10時49分着で設定することとなりそうだ。

なお、JR東海側の都合によりおそらく品川6時00分発「のぞみ99号」博多行きは2020年7月ダイヤ改正以降もN700系での運転となる見込みであることから、たとえN700Sが最高速度を引き上げたとしても新大阪到着時点で前に詰まってしまいこれ以上の所要時間短縮はないものと思われる。

また、博多発の最終列車も少なくとも東海道新幹線内で所要時間を3分短縮することができる。このことから博多18時59分発から19時02分発に繰り下げることもできるのだが、東海道新幹線の混雑(特に新大阪→名古屋)を考えると、博多発の最終便の時刻は変えず、新大阪始発で新大阪21時26分発の「のぞみ」を設定したほうが良いのではないだろうか。もっとも、山陽新幹線内でも所要時間を短縮できれば、博多19時01分発の東京23時42分着で設定でき、博多〜東京間を最速4時間41分で運転可能になるほか博多19時台の東京行き初設定となるのだが。

また、N700Sの運用本数が十分ではなく東京~博多間運転の「のぞみ」毎時1本を賄うことができないことから、昼間の所要時間短縮は2020年3月ダイヤ改正時点と比べてないものと思われる。




3. 臨時列車の増発はあるのか

今回の2020年7月山陽新幹線ダイヤ改正では、臨時列車の最大運転可能本数を増加させる可能性がある。

N700Sの導入により少なくとも3運用はN700S固定運用となる見込みであることから、N700系の廃車がない限り3運用増発させることが可能となる。

そこで考えられるのが、山陽新幹線直通「のぞみ」の増発。2019年現在東海道新幹線を運転する臨時を含む「のぞみ」の運転本数は毎時10本で、うち山陽新幹線に直通するのは毎時5本となっている。このうち毎時3本は定期列車として設定している。

しかし東京7時台発及び東京20時台着は山陽新幹線直通の定期「のぞみ」を毎時4本設定しているほか、東京8時台発も東京8時40分発「のぞみ159号」広島行きが、東京19時台着も広島16時06分発「のぞみ176号」東京行きがそれぞれほぼ毎日運転で設定していることから実質定期的に毎時4本以上での運転となっている。

そもそもこの東京8時40分発「のぞみ159号」広島行き及び広島16時06分発「のぞみ176号」東京行きが2020年3月ダイヤ改正または2020年7月ダイヤ改正のどちらかで定期化するのではないかと思うのだが(ちなみに東京8時40分発「のぞみ159号」広島行きは新大阪までは「のぞみ211号」として、広島16時06分発「のぞみ176号」東京行きは新大阪から「のぞみ242号」として既に定期化済み)、いずれにしても東京7時台発及び8時台発の「のぞみ」の需要が多いことが分かる。

そう考えると、山陽新幹線直通「のぞみ」を下りは東京7時台発・8時台発、上りは東京19時台着・20時台着など需要の多い時間帯で臨時列車を含め最大毎時5本から毎時6本に増発するのではないだろうか。


4. 結び

今回の2020年7月山陽新幹線ダイヤ改正では、N700Sの投入により早朝・深夜の一部列車で所要時間の短縮が図られることとなった。

今後N700Sの車両増備に合わせてどのような所要時間短縮や増発が行われるのか、楽しみにしたい。

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